No.701246

そらのおとしもの after 禁断の果実

D.C.D.さん

新しい続き物の準備に手こずってます…

完成するまで、短編をお楽しみ下さい。

2014-07-16 20:17:45 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:1367   閲覧ユーザー数:1360

 

 

 

 

 

 

夏。それすなわち、

 

 

 

 

「スイカの…季節…」

 

 

 

 

イカロスは庭に設置したスイカ畑の前にしゃがみ込み、心を踊らせていた。

 

その外見は、いつもと同じポーカーフェイスだが。

 

スイカもかなり育ってきた。夏には丸々と、撫でたくなるようなスイカに仕上がるだろう。それが待ち遠しくてたまらないようだ。

 

 

 

 

「イカロス先輩って、いっつもスイカ撫でてるのに何で楽しみにしてるんでしょう?」

 

「まぁ、あれだろ。買ったのと自分で育てたものじゃ愛着が違うんじゃないのか?」

 

 

 

 

そんなイカロスを縁側から眺めている2人。

 

 

 

 

「アストレアお姉様、スイカって美味し…」

 

 

 

 

「美味しいの?」、そう言い終える前に、智樹とアストレアの二人がかりでカオスの口を塞ぐ。

 

ちょっとした子供の好奇心だろう。イカロスがあれだけ大事に育てていれば、きっと美味しい食べ物だと思うのは当然である。

 

だが、この桜井家でスイカを食べようものなら、天罰が下る。

 

傷をつけても、食べようとする意思表示をした時点でアウトだ。

 

子供であれ、カオスにもそれを教えなければならない。

 

 

 

 

「モゴモゴ」

 

「ちみっ子、スイカは絶対に食べるなよ。これは家族のルールだ」

 

「家族の…ルール?」

 

 

 

 

拘束から解かれたカオスは、不思議そうな顔で智樹を見つめてくる。

 

 

 

 

「そう、家族のルール。この桜井家において、スイカは神聖なるもの。もし食べてしまうと…」

 

 

 

 

智樹は写真を取り出し、カオスに見せた。

 

そこには、ボロボロになったアストレアやニンフ、そして智樹が写っていた。

 

 

 

 

「でも、お兄ちゃんはいつもこうなってるよ?」

 

「き、気のせいだ!とにかく、絶対に食べるなよ!」

 

 

 

 

一抹の不安は残るが、危険だということは伝わったのだろう。カオスも先程より真剣な顔になっている。

 

 

 

 

「桜井く〜ん?」

 

 

 

 

そこに聞こえた、聞き覚えのある声。

 

間延びした、大人っぽい声。何度も聞いたあの声。恐怖を呼ぶ声。地獄を呼ぶ声。…悪魔の声。

 

 

 

 

「差し入れ、持って来たわよ〜」

 

 

 

 

美香子の隣にはオレガノがいた。

 

彼女の片手には、荒縄でグルグル巻きにされたニンフがいた。

 

確か、お菓子を買いに行ってたはずなので、途中で捕まってしまったのだろう。

 

 

 

 

「さ、差し入れ…デスか?いやぁ、申し訳ないデスねぇ…」

 

「もうすぐ夏だし、季節の食べ物をと思って〜」

 

 

 

 

美香子が取り出したは、

 

 

 

 

「メロン、よ」

 

 

 

 

綺麗な三角形に切り分けられた、真っ赤な果実。所々に黒い種が散らばっている。

 

そう、スイカ、なのだが…

 

 

 

 

「か、会長?」

 

「メロン、よ〜。カオスちゃん食べる?」

 

「うん!」

 

「か、カオス〜〜〜〜!」

 

 

 

 

メロンなど、桜井家の財政状況では買えない。従ってカオスはメロンなど知らない。また、カオスはスイカの中身も知らない。

 

見分けなどできなかった。

 

 

 

 

シャク、っと一口。

 

 

 

 

「美味しい!」

 

「でしょ〜?」

 

「や、ヤバい…」

 

 

 

 

智樹とアストレアは強烈なオーラを背後に感じ、恐る恐る振り向いた。

 

案の定、そこにはポーカーフェイスな天使…いや、悪魔、だろうか、がそびえ立っていた。

 

 

 

 

 

「スイカ…」

 

 

 

 

美香子とオレガノは、とうに逃げていた。…ニンフを置いて。

 

 

 

 

「ち、ちみっ子!逃げろ!」

 

 

 

 

智樹は叫んだ。

 

カオスに罪は無い。無邪気な子供に罰が下される必要は無い。

 

保護者である自分の責任だ。

 

 

 

 

「智樹、事情は把握した」

 

 

 

 

何処からともなく、守形が現れた。

 

昼飯でも食べに来たつもりだろうが、そんな事はこの際関係ない。

 

 

 

 

「先輩!カオスを!」

 

「承知した!」

 

 

 

 

守形はカオスを抱きかかえ、一目散に家を出て行った。

 

桜井家が爆発と共に散ったのは、その数秒後だった…

 

 

 

 

 

 

 

 

作者より…

 

 

 

 

「キカイダー REBOOT」を見逃してガッカリしている、D.C.D.です。

 

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それではこの辺で、さようなら…

 

 

 

 


 
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