No.701115

【獣機特警K-9ⅡG】おまかせっ!ドルチェちゃん(前編)【交流】

古淵工機さん

2014-07-16 00:21:25 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:823   閲覧ユーザー数:790

ラミナ警察署。

「…と、いうわけで…すでにエルザ署長の話でもあったと思うけど、今回はトイランド星の要人がラミナ市内をたずねられると言うことだ」

K-9ルームに集められた各隊員の前で、久遠・ココノエが話をしていた。

「あ、聞いたことあります!トイランド星…って、ロボット形生命体が住んでいるって星ですよね?」

と、煌月 空。

「そう。要はその星のお偉いさんが来るってことなんだけど、今回ばかりは通常の政府要人とは違うんだ」

「通常の政府要人とは違う?」

「What?そりゃ、どういうことなんですかい隊長?」

と、イシス・ミツザワとジョナサン・ボーイングが続く。

「……まあ平たく言うと『王女様』ってコトさ」

すると、いっせいに目を輝かせるのはソラとその友達のナタリア・天神・フタロイミツィ、および最年少のベルタ・カシイ・アインリヒトだ。

「「「お、王女様ですってーーーっ!?!?!?」」」

「と、唐突だな…」

その勢いに、思わず身を引いてしまうクオン。

「王女様ってどんなかしらねナタリアちゃんw」

「きっと優しくってキレイで…えへへへw」

「とーってもステキな人!だよねっ!!」

いかに警察官の仕事をしているとはいえ、そこは夢多き乙女。

王女と言う存在には、あこがれもあるに違いないだろう。

 

一方の男子はと言うと…。

「あーあ、やっぱり女の子は王女様とか、そういうのにあこがれちゃうんだよなー。ん?あれ?どうしたタツヤ、それにソウも!」

ジョニーがきょとんとしていると、宮之陣 竜矢と三沢 颯がなにやら顔を赤くしながら呟いていた。

(王女様…王女様か…ああ、レイナちゃんが王女様だったらなあ…)

(ナタリアちゃんに…ナタリアちゃんに王女様になってもらいたいっ!ああっ…!)

「……隊長。こっちもこっちで抜け殻になってますぜ」

「…おいおい男の子よ…」

すっかり呆れ顔になっていたクオン。だがそんな空気を破ったのは筑波 未来の言葉だった。

「でもさあ、王女様ってことは最重要人物じゃないですか。ファンガルドでいうところの副大統領みたいなモンなんでしょ?」

「まあそんなところだね。王女ってことはつまりあちらさんにとっては女王の娘なわけだし、彼女に傷でも負わせようものならどんな文句を言われるか…」

その言葉に、夢うつつだった子供たちは現実に引き戻される。

「…そ、それは…責任重大ですね…」

「失礼なことにならないよう気をつけなきゃ…」

「そ、そうだね…」

 

そんな状況を見かねたクオンはひとつ咳払いをすると、さらに続ける。

「とにかく、相手はトイランド王族の娘だ。くれぐれも失礼のないように注意するとともに、彼女が危険な目に遭わないようしっかりガードすること。いいね」

「「「「「「「「了解!!!!」」」」」」」」

クオンの号令に、K-9隊員は気合も十分。いつもより強い調子で敬礼した。

…喫茶店、カフェ・ラ・ヴォルペ。

「へえ、そんなことがねえ」

と、ソラの話を聞いていたのは看板娘のモニカ・マルティーニ。

「正直、気合入れたはいいけど、ホントにあの王女様を守れるのかしら…」

と、ためいきをつくソラのもとに、一人の少年。

「ソラ、不安なのはお前だけじゃないんだぞ」

「あ、お兄ちゃん…」

やってきたのはラミナ警察署ライドアーマー隊所属の煌月 陸斗。

「俺もアラン隊長に言われたんだけどな。相手は一国の王女だから粗相のないようにって」

「そ、粗相って?」

「まったく悪い冗談だぜ。王女だからって俺が手を出すわけないだろう…だいいち俺にとっての王女様はモニkむぐぐっ」

と、ここまで言いかけたところでリクはモニカに口を押さえられた。モニカの顔は恥ずかしさで真っ赤であった。

 

「な、なにするんだよ…」

「これ以上言わないでよ、恥ずかしいでしょ!もうリクってばぁ…///」

「いやあすまんwま、とにかく失礼がないようにってことだな」

三人が談笑していると、ベルが鳴り、扉がゆっくりと開かれた。

「あ、いらっしゃいませー!」

と、すぐにソラが対応しようとしたその時であった。

 

「…あ、どうもこんにちは。一人いいかしら」

立っていたのは一人の少女…テラナーにも似ているがどこか雰囲気が違う。

装甲だろうか、いや、服と呼ぶべきなのだろう、その衣装はどこか他の人とは違ったいでたち。

なにより、頭に載せられたティアラが、その少女の出自を物語っていた。

 

「あ、あ、あ、あ、あなた様はま、まさかトイランド星の」

「お、お、お、王女様ですか!?」

「ど、ど、どうしよう、王女様がウチのみ、店にっ…」

と、緊張してしまう煌月兄妹とモニカの前で、少女はにっこり笑って見せる。

「あ、どうも。わたくしトイランド星の王女、ドルチェ・エル・トイランドと申します。よろしく」

 

その名前を聞いたとき、三人の緊張は最高潮に達した!!

「ほ、ほ、ほ、本物だよ本物!ど、どうしようリクっ…」

「そ、そんなこと言ったって…、お、王女殿下、ほ、本日はようこそいらっしゃい…まし…た…」

「え、ええと、と、当店の料理があなた様のお、お口にあうかどうか…」

そんな緊張している三人を、ドルチェはしばらく凝視していたが、

「ぷっくく…あっはっはっはっは!なにそれ?あなたたち緊張してるの?おっかしいー!」

と、大笑いしてしまった。

「「「へ…?」」」

リクたちが突然の出来事に目を丸くしていると、ドルチェはさらに続けた。

「もう、わたしが王女だからって緊張する必要ないよ。リラックスして!」

「で、でもドルチェ様…」

「ストップ。その『様』はやめてよ」

「じゃ、じゃあドルチェさん…」

「あー…」

と、まだ緊張の糸がほぐれていない三人を見て、ドルチェは微笑んで見せると、そのままこう返した。

「あのね。王女って言ったってわたしはまだまだ修行中の身だよ。それに年齢だってあなたたちと大して変わらないくらいだもん。呼び捨てでいいよ」

「でも、ドルチェ王女…」

「だーかーら。王女はやめてってばwそれより、モニカちゃん…だっけ?」

「え?ドルチェ王j…ドルチェちゃん、なんで私の名前を?」

「またまた、誰だってわかっちゃうよ。名札にそう書いてあるじゃんw」

「あ…/////」

意外に気さくな性格だった王女を前にして、先ほどまで張り詰めていた緊張の糸はすっかりほぐれ、いつもどおりの仕事をこなすモニカたち。

それを、ドルチェはただ微笑んで見つめていたのだが…。

 

「誰かー!誰かそいつを捕まえてくれ!!当て逃げだーーーっ!!!」

店の外から男の悲鳴が聞こえた。店に面した大通りで当て逃げ事件が発生したのだ。

「なんてやつだ…野郎、俺が行ってとっちめてきてやる!ソラ、店のほうは頼むぞ」

「うん!」

「待って!…ここは私に任せて」

「なっ…!?ムリだよ!だってあんた、仮にもトイランド星の王女なんだろ?アンタに何かあったら…」

「…それでも困ってる人を見捨てておけないの!止めないで!!」

ドルチェはそう叫ぶや否や、店を飛び出していった。

思わぬ方向に動き出した事件は果たして解決するのか!そしてドルチェ・エル・トイランドの運命やいかに!!

次回に続く!!

 


 
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