No.700350 英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~soranoさん 2014-07-13 00:27:39 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:2264 閲覧ユーザー数:2071 |
~マルーダ城・会議室~
「―――話を戻します。次に闇陣営の神々についてですが……皆さんもご存知の通り、”混沌の女神(アーライナ)”も闇陣営に属する女神で、メンフィル領内にも多くの教会があります。そしてそれとは別に他にもメンフィル領内に多くの教会がある宗教団体があります。―――その宗教団体が崇める神とは”暗黒の太陽神(ヴァスタール)”。」
「ヴァスタールは別名”暗黒王”の名を持つ”暗黒の太陽神”です。」
「”暗黒王”に”暗黒の太陽神”……」
「何だか名前からして少し怖いですよね……?」
プリネとツーヤの説明を聞いたガイウスは呆けた表情で呟き、セレーネは不安そうな表情になり
「……ちなみにその宗教はどんな教えなのですか?」
真剣な表情で黙り込んでいたエマは尋ねた。
「”闇勢力としての秩序を成立させる”が本来の教えなのですが……盗賊や山賊が自分達の行動を正当化する為にも崇められ、本来の教えとは若干外れている事例も多く、また規則や制限も緩い為、魔術の追求のためだけに入信する魔術師も多いそうです。」
「なっ!?それは要するに犯罪行為を認めるって事じゃないか!」
「……犯罪行為を教義で正当化している事に、そのヴァスタールとやらを崇めている宗教団体は何の処罰も降さないのか?」
エリゼの説明を聞いたマキアスは信じられない表情で声を上げ、ラウラは眉を顰めて尋ねた。
「―――先程も説明したように”暗黒の太陽神(ヴァスタール)”教は規則や制限が緩やかで、例え犯罪行為を正当化する為に教義を使われても処罰等しないんです。これに関しては世界に”混沌”を望む”混沌の女神(アーライナ)”教も同じです。」
「闇陣営の神々を崇める宗教団体は光陣営の神々を崇める宗教団体と違って、全体的に規則や制限が緩やかである事が特徴的なんです。勿論闇勢力による国家などは教義に忠実ですから、全ての信者が犯罪者と言う訳ではないんです。」
「―――要するに犯罪者も受け入れる宗教団体って事ね。名前の通りまさに”闇”の宗教団体ね。」
プリネとツーヤの説明を聞いたサラ教官は頷いた後真剣な表情でプリネ達を見つめた。
「そしてメンフィルは”光”と”闇”の”共存”を謳う国……」
「今の話を聞けば並大抵の事ではできんな。下手をすれば両陣営を敵に回す行為だしな。」
「メンフィルが”大陸最強”と呼ばれる理由はそれもあるんだろうね。」
ガイウスは考え込み、ユーシスが呟いた言葉に続くようにフィーは静かな表情で答えた。
「最後にこの世界―――ディル・リフィーナにおいて戦闘する際の注意を説明します。」
「?一体どういう事?」
エリゼの話が気になったアリサは首を傾げて尋ね
「――あ。そう言えばそうだったな……」
「リィンはエリゼちゃんが知っている言葉の意味を知っているの?」
ある事に気付いたリィンの様子を見たエリオットは尋ねた。
「ああ。この世界では俺達が住んでいるゼムリア大陸で言う”上位属性”――――時・空・幻属性が有効になるんだ。」
「ええっ!?それってもしかして……!」
「上位属性アーツにも弱点や抵抗があるという訳か。」
「……そう言えば、この世界に来てから旧校舎やリザイラの”領域”、それにノルドの地にてテロリスト達を追い詰めた遺跡で感じていた今までとは異なる”風”をずっと感じてきたな……」
「………………」
リィンの説明を聞いてある事を思い出したアリサは驚き、ユーシスは冷静に呟き、ガイウスは考え込み、エマは真剣な表情で黙り込んでいた。
「それと異世界での戦闘に必ず関係してくる”属性”はゼムリアの時の”属性”と違って、抵抗や弱点も違うから少々厄介よ?」
「?どういう事、サラ。」
サラ教官の言葉が気になったフィーは首を傾げて尋ね
「今、その属性に関する事の資料をお配りします。」
エリゼはリィン達にディル・リフィーナにおける属性の弱点、抵抗が書いてある資料を配った。
「今まで聞いた事の無い属性ばかりだな……」
「”火炎”は火属性、”冷却”は水属性、”電撃”は風属性、”地脈”は地属性だと推測できるのですが……」
資料を読んでいたマキアスは不思議そうな表情をし、エマは戸惑いの表情で呟き
「言葉からして”暗黒”は闇、”神聖”は光を想像できるが……まさか時属性と空属性の事なのか?」
考え込んでいたユーシスはプリネ達を見つめて尋ねた。
「はい。”暗黒”は時属性。”神聖”は空属性です。」
「ちなみに幻属性はこの資料だと何の属性になるのだ?」
ユーシスの質問にプリネは頷き、ラウラはユーシスに続くように尋ねた。
「幻属性は”万能”属性ですね。」
「えっと……それじゃあこの世界にいる間は幻属性――――”万能属性”を主体に攻めた方がよろしいのでしょうか?サラ教官に弱点がわからない敵に関しては万能性がある上位属性で攻めた方がいいと習いましたし。」
「良い所に目を付けたわね。でも残念ながら、その万能属性に抵抗を持っている属性もいるわよ?」
ツーヤの答えを聞いて推測したセレーネの言葉に感心したサラ教官はリィン達を見回した。
「―――”不死属性”と”霊体属性”の事ですね?」
「”不死属性”と”霊体属性”?」
「先程もらった表には書いていないが……」
ツーヤの言葉を聞いたエリオットは首を傾げ、ガイウスは戸惑った。
「――――不死属性と霊体属性は攻撃属性にはなく、魔物独特の属性だから書いていないのです。」
「不死属性と霊体属性を持つ魔物とはこの世に未練を持つ哀れなる存在――――つまり皆様にわかりやすく説明すると幽霊やゾンビです。」
「ええっ!?ゆ、ゆゆゆゆゆ、幽霊にゾンビって……!?」
「そ、そそそそそ、そんな非常識な存在までいるのか!?」
プリネとエリゼの説明を聞いたアリサとマキアスは表情を青褪めさせて声を上げ
「フン、今更驚く事もあるまい。神や天使、悪魔が存在しているのだから、幽霊やゾンビがいても何らおかしくはあるまい。」
二人の様子を見たユーシスは鼻を鳴らした後冷静な様子で答えた。
「ゆ、幽霊にゾンビって……僕達が戦って勝てる相手なの……?」
「―――そう言った系統の”魔物”は伝承では聖なるものに弱いですが……もしかして神聖属性―――空属性が弱点なのですか?」
エリオットは大量の冷や汗をかきながら表情を引き攣らせ、エマは真剣な表情で尋ねた。
「ああ。後は火炎属性―――火属性にも弱いな。ただし、霊体属性は他の属性持ちの魔物と比べると最も厄介な相手で物理攻撃はほとんど通じないんだ。」
「霊体属性の魔物はその名の通り”霊体”ですから、属性付与の加護もない通常の武器での攻撃は一切効きません。」
「ふむ……そうなると私にとっては相性が最悪の相手になるな……」
「物理を通さないって事は銃も効かないの?」
リィンとエリゼの説明を聞いたラウラは真剣な表情で考え込み、フィーは尋ねた。
「基本通じないけど、戦技(クラフト)に関しては効果は薄いけどダメージは与えられたわ。多分、あたしの予想だと闘気を纏った攻撃に関しては効くと思うけど……」
「ええ。闘気を纏った攻撃に関しては”万能属性”になるので、僅かにですが攻撃は通ります。」
「勿論、魔導杖(オーバルスタッフ)による通常攻撃も効果がありますよ。魔導杖による通常攻撃は魔法(アーツ)に分類されますから。」
サラ教官に尋ねられたプリネは答え、ツーヤが続けて説明を捕捉し
「じゃあ、僕と委員長の通常攻撃は通じるんだ……」
「……それとこの世界にいる間はいざ出会った時に空属性か火属性アーツをいつでも放てるようにクオーツを変えて置く必要がありますね……」
「わたくしは光の魔法は得意としますから、その時になればわたくしの出番ですね!」
「私もプリネのお蔭で光と炎の魔術を使えるから……いざ現れた時は大丈夫ね!」
ツーヤの説明を聞いたエリオットは目を丸くし、エマは静かな表情で呟き、セレーネは力強く頷き、アリサは自分に言い聞かせるように呟いた。
「後は聖なる加護を受けた武器―――例えば”聖剣”等であれば、霊体系の魔物にとって弱点になります。」
「”聖剣”……」
「そういった聖なる類の武器は伝承などでも出てくるが……」
「その言い方からするとまさか異世界では”聖剣”すらも簡単に手に入るのか?」
プリネの説明を聞いたガイウスは呆け、ラウラは考え込み、ユーシスは呆れた表情で尋ねた。
「はい。商人の方々も独自のルートで大量に手に入れていますから販売している店もありますし、光陣営の神々を崇めている教会でも販売しています。」
「で、伝説の存在の”聖剣”が普通に売っているなんて……」
「ちょっとショックですね……」
「一体どうやって量産しているのかしら?」
ツーヤの話を聞いたエリオットとセレーネは大量の冷や汗をかいて表情を引き攣らせ、アリサは苦笑しながら呟いたがある事に気付いた。
「あら?買い物で思い出したけど……よく考えたら異世界でミラが使えるのかしら??」
「た、確かに言われてみれば……」
「異世界でゼムリア大陸の通貨が使える方がおかしいよな……」
「となると我々は一文無しになるな。」
「こ、困りましたね……」
「セピスが換金できるみたいに、ミラを換金とかできないの?」
アリサの疑問を聞いたエリオットとマキアスは冷や汗をかき、ラウラは戸惑いの表情になり、エマは冷や汗をかいて表情を引き攣らせ、フィーは尋ねた。
「―――その点はご安心下さい。レスペレント、アヴァタール地方で使われている通貨―――”ルドラ”に換金しますので、皆様が持っているミラと今この場で交換できるように用意してあります。」
「よ、よかった~。」
「金がないと、色々と不都合があるからな。」
「用意がいいな。さすがは皇族の専属侍女長と言った所か。」
エリゼの話を聞いたエリオットは安堵の表情をし、ガイウスは静かに頷き、ユーシスは感心した様子でエリゼを見つめた。そしてリィン達はエリゼに”ミラ”を”ルドラ”に交換してもらった。
「―――それでは世界情勢等の説明も終わりましたので、そろそろ行きましょうか。」
「へ……行くってどこにだ?」
エリゼの言葉を聞いてプリネとツーヤを除いたそれぞれが首を傾げて不思議そうな表情をしている中、リィンが代表して尋ね
「フフ、そんなの勿論”移動手段”の所に決まっているでしょう?」
リィン達の様子を面白そうに見ていたサラ教官はウインクをした。
その後リィン達はエリゼの案内で郊外に出た。
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第145話