宝鈴は『神域の結界』を解除するどころか更なる『黒装束』を出現させ
あろう事かその『黒装束』に幻をかけ
愛紗達を一刀に戦わせたのだった!
果たして一刀はまともに戦えるのだろうか?
四節 〜ココにいる〜
フォン!!
一刀「くっ!!」
シュンッ!!
黒装束(沙和)「……………」
ギュイーンッ!!!
一刀「っ!!!はっ!!」
シュンッ!!
黒装束(真桜)「………………」
ゴオッッ!!
一刀「ふっ!!『吸気』っ!!!」
ギュォォッ!!
黒装束(凪)「………………」
戦闘が始まった瞬間、三羽鳥が襲いかかってきた
一刀「くっ……避けるので精一杯だ……」
沙和は得物で斬りかかり、真桜は得物で風穴を開けようと試みたり、凪は『気弾』で遠距離攻撃したりと厄介この上ないコンビネーションで攻撃してきたのだ
更に一刀の直属の部下という関係でもあり、自分の事を好いている女性でもある
手を出せる訳がない
一刀「『空走』で回避してもキリがないぞ」
一刀の困っている姿を見た宝鈴は
宝鈴「やはり甘いですね、北郷一刀さんは
偽物だと分っているのにも関わらず一切攻撃をしないとはね
それでは私と戦うなど夢のまた夢ですね〜」
ととても喜びながら頬杖をしていた
黒装束(春蘭)「……………」
今度は春蘭の『黒装束』が得物を構えて走り出し
フォン!!
一刀「っと!!!」
素早く斬りかかってきた
一刀「春蘭なのに一声も上げずに襲い掛かるなんて………気持ち悪いな」
しかし春蘭に続いて次々と『黒装束』が襲いかかってきた
黒装束(星)「………………」
黒装束(明命)「………………」
黒装束(季衣)「………………」
黒装束(猪々子)「……………」
フォン!!
フォン!!
ブォンッ!!
ブォンッ!!
一刀「ちょっ!!?まっ!!ってっ!!ってのっ!!」
一刀は一斉攻撃を紙一重で躱していく
その攻撃には単調ではないがわずかな隙があり、反撃することは出来なくはないのだが
ギュォォッ!!
一刀「『幻龍……』っ!!」
黒装束(白蓮)「……………」
一刀「く、くそっ!!」
シュンッ!!
一刀は攻撃をしようとして皆の顔を見て途中まで発動した技をキャンセルし、『空走』で距離をおいてしまうのだった
一刀「くそ……………駄目だ
いざやろうもしても………出来ない………」
一刀は汗をかきながら苦虫を噛み潰したような表情をする
黒装束(思春)「……………」
黒装束(恋)「……………」
一刀「…………あの二人はいつもとあまり変化がないんだよなぁ……」
黒装束(雪蓮)「………………」
シュンッ!!
一刀「っ!!?雪蓮っ!!」
雪蓮は『空走』をして距離を詰め
フォン!!
フォン!!
フォン!!
フォン!!
容赦のない斬撃を放ってきた
一刀「くっ!!」
ブォンッ!!
ガキンッ!!
ガキンッ!!
ガキンッ!!
ガキンッ!!
一刀は咄嗟に出した『極死の剣』で斬撃を受け止めていく
一刀「まるで『紅蓮虎獣』の状態の雪蓮だ…………しかも蓮華や小蓮までもあの状態か………」
黒装束(雪蓮)「………………」
黒装束(蓮華)「…………………」
黒装束(小蓮)「………………」
無表情の三姉妹は得物を構えて少しずつ一刀に近づいていく
それに続いて他の武将達も次々と近づいていく
一刀「何か………何か方法はないのか………!?」
一刀は『極死の剣』を構えて叫んだ
于吉「くっ………参りましたね……
本来なら北郷さんを手助けしたいところなのですが…………」
ギュォォッ!!
ゴオッッ!!
特殊黒装束「「「「…………!!!!」」」」
于吉「今はそのような余裕がありません………残念ながらですが」
于吉は『毒眼槍』を放ち、『特殊黒装束』を蹴散らしながら言った
一刀が偽物の愛紗達と苦戦している間、隔離された于吉も大量に現れた『特殊黒装束』に手を焼いていた
倒しても倒してもキリがないのだ
消しても次々と現れ、一向に減る気配がない
むしろ増えているようにも見えるほどだ
于吉「元々『毒眼槍』は一撃で倒せられらなかった者に追加効果で猛毒を負わせる技ですから
一撃で消えてしまう『黒装束』には向いていませんね」
ギュォォッ!!
于吉は『幻惑宝』に気を送り始めた
そして
于吉「………愚かなる傀儡の群れに怒りの鉄槌を下せ……………『雨雷昇天(うらいしょうてん)』っ!!!」
ゴロゴロゴロゴロ……………
ドォンッ!!
特殊黒装束「「「「…………!!!!?」」」」
『幻惑宝』から無数の巨大な雷を出現させ、次々と『黒装束』を感電させ始めた
于吉「(まず、この大量の『黒装束』を何とかしなければなりません
その次に『蜃気楼壁』を破壊してこの隔離状況を打破しないと北郷さんは前に進めません)」
于吉は『雨雷昇天』を発動させながら作戦を練っていく
その様子を観ていた宝鈴は
宝鈴「…………流石于吉……やりますね………
ですが、ここで手を休める気はありませんよ?」
宝鈴も負けじとこれでもかという『特殊黒装束』を召喚していく
だが、ここで宝鈴は一つの疑問を感じていた
宝鈴「しかし何故于吉は『白装束』を召喚していかないのでしょう?
『黒装束』よりは弱いですが、それなりにでも戦闘が楽になるはずです
何故全て気を使った攻撃を………?」
宝鈴は『特殊黒装束』を召喚しながら考え続けていた
于吉「大分減ってきましたね………
ではそろそろ行動に移しますか……」
ギュォォッ!!
于吉はそう言うと『雨雷昇天』を一度やめ、『幻惑宝』に気を送り始めた
今の『特殊黒装束』の量は大体50体程
これでも減ったほうだ
于吉「我が配下の傀儡共よ………黒に染まりきった闇の人形を滅ぼせっ!!」
于吉がそう言うと
ゴォンッ!!
ゴォンッ!!
ゴォンッ!!
ゴオッッ!!
ゴオッッ!!
ゴオッッ!!
白い霧と共に真っ白な色の道化師の服装をした傀儡、『白装束』が大量に現れた
その数およそ200体を超える程だ
宝鈴「出ましたか………『白装束』
しかし、何故このタイミングで?」
于吉「更に…………『倍力術(ばいりょくじゅつ)』っ!!」
グオォォォッ!!!
于吉の一声により『白装束』達の気が膨れ上がった
宝鈴「『倍力術』を『白装束』に!?
そんな事が出来たのですか!!?」
『倍力術』とは簡単に言ってしまえば能力強化
又はドーピングとも言う
しかし、副作用などがない術なので『禁止術』には認定されていない
ただし、複数重ねての使用は禁止されている
しかも傀儡といった人形を強化するのは決して簡単なものではない
『妖術の于吉』だからこそ出来た術といっても過言ではない
白装束「「「「……………!!!!」」」」
フォン!!
フォン!!
フォン!!
ドカッ!!
ドカッ!!
ドカッ!!
特殊黒装束「「「「…………!!!!?」」」」
『倍力術』により強化された『白装束』は次々と『黒装束』に襲いかかり始めた
徐々に『特殊黒装束』の数が減りはじめた
宝鈴「くっ!?こうも簡単に減らされるのですか…………!!?
いつもいつも人の顔に泥を塗って……………おのれ于吉っ!!!」
宝鈴は握り拳に力を込め、顔を真っ赤にして悔しさを露わにしていた
握り拳からは血が滴り落ちるほどであった
そんな事は露知らず、于吉は『白装束』と『特殊黒装束』との戦場で歩いていた
そして、一刀と愛紗達のそれぞれの『蜃気楼壁』の中間辺りで立ち止まった
于吉「『蜃気楼壁』はその場にいる者を隠したり、逆にいないのに見えさせたりする幻を見せる壁
しかも強度も中々のもので破壊出来るのは妖術師や幻術師でも一握り………
左慈や貂蝉でも不可能でしょう」
ギュォォッ!!
于吉はそう言いながら『幻惑宝』へ気を送り出した
于吉「ですが、『蜃気楼壁』は一点集中の攻撃には滅法弱いのでそこを突けば簡単に破壊できます」
于吉は静かに左手を愛紗達がいる『蜃気楼壁』に、右手は一刀がいる『蜃気楼壁』に向けた
于吉「砕けろ、偽りの壁よ………
『粍光砕波(ミリメートルこうさいは)』っ!!!」
ピュンッ!!
ピュンッ!!
于吉の両手からは僅かに光った髪の毛程の光が『蜃気楼壁』に向かって放たれた
そして直撃した瞬間、
ドッカアァァンッ!!
『蜃気楼壁』は粉々に砕け散った
愛紗「な、何だっ!!!?」
焔耶「っ!!?あそこに于吉がいるぞ!!」
祭「ならば、于吉がやったのかの?」
卑弥呼「流石じゃのう………」
卑弥呼や祭は関心して于吉を見た
華琳「何はともあれ、これで一刀に声が届くわ」
蓮華「えぇっ!!これで一刀を救えるわっ!!!!」
華琳や蓮華達は爆煙が舞う一刀がいるてあろう方向を見た
その様子に于吉は
于吉「さて…………私が出来るのはここまでですね
今の混乱している北郷さんを助けられるのは今まで一緒にいらっしゃった貴方方ですから」
愛紗達を見ながら微笑んでいた
ドッカアァァンッ!!
一刀「っ!!?な、何だっ!!?」
突然の爆発に一刀は驚き、爆発が方向を見た
爆煙が晴れた先には大量の『白装束』と『特殊黒装束』が戦っている中、立っている于吉と
本物である華琳達がいた
蓮華「一刀ーーー!!!」
爆煙が晴れた瞬間、蓮華は大声で叫んだ
桃香「ご主人様ーーー!!!本物は私達だよーーーーっ!!!」
皆は苦戦している一刀に各々思っている事を叫び始めた
雪蓮「一刀っ!!私達はここよっ!!そんな偽物に惑わされちゃ駄目よっ!!!!」
明命「雪蓮様の言う通りです!!私達の偽物を倒して下さいっ!!」
稟「我々と偽物を比べても何も変わりませんよ!!」
華琳「一刀っ!!貴方は本物の私達と偽物の私達の区別もつかないのかしらっ!!?
今まで一緒にいたのよ!その薄気味悪い人形に苦戦してどうするのよっ!!」
愛紗「大丈夫です、ご主人様っ!!
我々は……………ココにいますっ!!!!!!」
一刀「っ!!!!」
華琳達の発言に目を大きく見開いた
一刀「そうだ………そうだよな……………
華琳や雪蓮達とは長い付き合いだ
特に桃香や愛紗、鈴々は一番長い………」
ギュォォッ!!
一刀は瞳を閉じて気を溜め始めた
黒装束(桃香)「………………」
黒装束(愛紗)「………………」
黒装束(鈴々)「………………」
一刀「だからこそ、俺が倒さなければならないな……………」
そして、一刀は目を開けてこう言った
一刀「手加減なしでいくぜ、悪く思うなよっ!!!!」
……終……
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次々と襲いかかる愛紗達の姿をした黒装束に一刀は悪戦苦闘をしていた
一刀を助ける為に于吉は策を練り、黒装束と戦い続ける
3ヶ所に隔離された2つの『蜃気楼壁』を
于吉はどう攻略するのか?