No.699160

リリカルHS 53話

桐生キラさん

こんにちは
しばらくシリアスが続きます

2014-07-07 17:32:41 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:1296   閲覧ユーザー数:1148

 

 

 

 

 

はやて「おーっす、士希ー!」

 

士希「おはよー、はやて」

 

私と士希は、いつも通りお互いの家の前で待ち合わせ、一緒に登校し始める。

いつもと変わらない日常。せやけど、今日の朝にザフィーラから聞いた話もあって、

私は少し士希の様子を気にしていた

 

士希「ふわぁぁ……眠い…」

 

相変わらず眠そうな顔、そしておぼつかない足どり。

握っている手からは力を感じられない。まったく、いつも通りの士希やった

 

はやて「あんた大丈夫?しっかり寝とる?」

 

士希「ちゃんと寝てますよー。健康的に11時には寝てます」

 

はやて「知っとるけどさ。ザフィーラから聞いたんけど、悪夢見たらしいやん。

なんかあったん?」

 

下手に誤魔化して、誘導しようとしても、士希にはバレると思い、私は直球で聞いてみた。

せやけど士希は…

 

士希「あは、多分少し疲れてたんだと思う。たかが悪夢だし、そんな気にすんな!」

 

士希は私の頭を撫でて、何でもないと笑顔で言った。

いつも通りに見える士希の笑顔が、何故かこの時は無理してるような…

いや、初めて出会った頃の、感情の気薄な士希に見えた

 

 

 

 

フェイト「士希が無理してる?」

 

休み時間。私は今日の士希の事について、なのはちゃんとフェイトちゃんに相談してみた。

こういうのは一人より、みんなで考えた方がええ案でるからな

 

なのは「私には、いつも通りに見えたけど…」

 

はやて「うーん…なんて言うかこう、無理して笑顔を作っとるっていうか、

嘘臭い笑顔っていうか…」

 

なんなんやろなぁ、この違和感。上手く伝えられへん

 

フェイト「私もいつも通りに見えたけど、きっと、はやてが言うんならそうなんだろうね」

 

なのは「はやてちゃん、士希君の彼女さんだもんね。

多分、私達には気づけない機微があるんだろうね」

 

そう言われて、私は少し照れてしまう。

なんや、私だけが士希の理解者って言われてるようでくすぐったかった

 

フェイト「それにしても、何があったのかな?

士希が無理してるって、なかなかないことだよね?」

 

士希はアリサちゃん並に高スペックで、大抵の問題はなんの障害もなく解決できる。

そんな士希でも、悩む事があった。その原因になったのが…

 

はやて「なんや、悪夢見たらしいで?」

 

なのは「悪夢?」

 

フェイト「悪夢…かぁ。もしかして、過去のトラウマとか?」

 

士希の過去…それは、士希が絶対に喋らない事の一つ。

軍人やったってのは、今までの士希との会話やシグナムとザフィーラの報告、

そして以前会ったルネッサちゃんの話からわかった。

せやから私も、その線が濃厚やと思っとる

 

なのは「レーゲン君には、何があったか聞いたの?」

 

なのはちゃんの何気無い言葉に、私はハッとなってしまった。

忘れとった。レーゲンおるやん

 

はやて「(レーゲン、レーゲン、聞こえる?)」

 

私はすぐさま念話でレーゲンに呼びかけた。

最近は学校にこやんと、リインと遊んどる事も多いけど…

 

レーゲン「(どうしました、はやてさん?)」

 

よかった、今日は学校来とるみたいや

 

はやて「(今士希何しとる?)」

 

レーゲン「(お友達と話していますよ?)」

 

好都合や

 

はやて「(なぁ、レーゲン。今日の士希、ちょっとおかしいよな?)」

 

レーゲン「(……流石はやてさんです。この話、しきさんには内密の方が?)」

 

流石士希の相棒だけあるな。話が早い

 

はやて「(頼むわ。あいつに何があったん?)」

 

レーゲン「(しきさん、今日うなされていたんですよ。

ただ、そのうなされ方が普通じゃなくて…

まるで、過去の過ちを悔いてるかのように、何度も、何度も謝っていました)」

 

過去の過ち?謝る?

 

はやて「(他に何か言ってなかった?)」

 

レーゲン「(他は…庇ったとか、起きろとか…すいません、断片的で…

でも、凄い汗で、涙を流していました)」

 

『庇った』…『起きろ』…それで謝って、泣いて…まだ、少しわからんな

 

はやて「(いや、ええよ。ありがとうな)」

 

レーゲン「(いえ。あの、はやてさん、どうかしきさんを助けてあげてください。

きっとはやてさんなら、しきさんを救えると思います)」

 

レーゲンは最後に私にお願いし、それからほどなくして、士希も友達と一緒に帰ってきた。

その様子は、気にすればするほど、いつもとは違った。

心から笑ってるような表情ではなかった

 

なのは「(うーん…やっぱり私には、いつも通りに見えるんだけどなぁ…)」

 

フェイト「(でも、何かあるなら、力になりたいね。士希にはお世話になったし)」

 

はやて「(ありがとうな、二人とも)」

 

その後私らは念話や休み時間を使い、どうしたら士希の悩みを解消できるかを話し合った。

アリサちゃんやすずかちゃんも話に加わり、案を出して行く。

改めて、士希はいろんな人に想われていると思った。

それくらい、みんなが一生懸命で、真剣に考えてくれた

 

はやて「みんな、ありがとうな。こんなに話に乗ってくれて」

 

なのは「あはは!いいよ、はやてちゃん!」

 

フェイト「それに、はやての為でもあるからね」

 

アリサ「何気に、はやてがこうして相談を持ちかけるってなかったものね」

 

すずか「私達、はやてちゃんのお友達なんだよ?だから、こうして頼ってくれて、嬉しいんだ」

 

はやて「っ!?」

 

みんな、すごく優しくて、その優しさがとても温かくて、

それがどうしようもなく嬉しくて、思わず涙が出そうになってしまった

 

はやて「みんな、ほんまにありがとう!」

 

そして、いろいろ話し合った結果、私は…

 

はやて「士希、放課後デートや!」

 

士希「はい?」

 

士希をデートに誘う事にした

 

 

 

 

はやて「ごめーん!待たせた?」

 

士希「いや、そんなに待ってねぇよ。だからそんなに焦んなくてもよかったのに」

 

私はデートの約束を取り付け、放課後は校門で待ち合わせと言っておいた。

せやけど、デートプランを練ってたら、待ち合わせの時間を少し過ぎてしまい、

ものっそい焦ることになってしまった

 

士希「ほら、これ飲んで落ち着け」

 

それでも士希は怒る事なく、柔らかい笑みで私にスポーツドリンクを手渡してくれた。

やっぱり士希、優しいなぁ

 

はやて「んくんく…」

 

士希「間接キス~」

 

はやて「ぶーーっ!!」

 

士希「おいおい、吹き出すなよ」

 

前言撤回。こいつのこのニヤニヤした顔を殴りたくなった

 

士希「んで?はやてさんは俺と何処に行きたいのかな?」

 

士希が聞いてきた。私はドリンクのキャップを閉め、士希に渡してから話し始めた

 

はやて「とりあえず、街行こっか」

 

士希「りょーかい」

 

私は士希の手を握り、歩き始めた。

このデート使って、とりあえず士希の心を癒そうということや。

ちなみに、士希の相棒のレーゲンは、なのはちゃんらと一緒に帰った。

せやから今日は、完全な二人きりでのデート。

私らが付き合い始めて初めての、二人だけのデート。何気に楽しみでもあった

 

 

 

士希「おーおー、流石にこの時間は、学生さんが多いなぁ」

 

街に着いた士希は、街が学生で溢れていることに少し驚いていた。

士希自身、あまり街の方に来ることはないようで、少し新鮮なのだろう

 

はやて「お、クレープ屋さん発見!士希食べよ食べよ!」

 

士希「あはは、女の子は甘いもの好きだなぁ」

 

そう言いつつも、しっかり士希は付き合ってくれた。

結構並んでたけど、士希と一緒やし、苦ではないな

 

士希「お、やっと俺らか。はやては何にする?」

 

はやて「うーん…ベリーミックスにするかチョコバナナにするか…」

 

むー、どっちも美味しそうや

 

士希「ふーん、ならベリーミックスとチョコバナナを一つずつお願いします」

 

私が悩んでると、士希は勝手に注文してくれた。しかも、両方私の食べたいやつ

 

士希「二人で半分ずつにしたら、お得だろ?」

 

はやて「あ、ありがと…」

 

士希のその優しい笑みが、私をドキリとさせた。

こういう細かな気遣いができる人やで、士希はズルいよなぁ

 

ほどなくして、私らはクレープを受け取った。

私はベリーミックスを、士希はチョコバナナや。

私らは公園のベンチに座り、そして食べ始めた

 

士希「む、結構美味いな。ほら、はやても食ってみろよ」

 

はやて「ありがと。あーん…」

 

士希にクレープを向けられ、私は一口食べる。バナナとチョコの程よい甘さが絶妙やった

 

はやて「美味しい。あ、士希、ベリーミックスもイケるで!」

 

士希「お、どれどれ、あーん…」

 

士希も私のベリーミックスを一口。なんや、食べさせ合いっこって、恋人っぽくてええな

 

はやて「あ、間接キス」

 

私は思い出したかのように言ってみた。士希がどんな反応するか気になったからや

 

士希「…なら、今お前にキスしたら、ベリーミックスの味がするんだろうな」

 

いじわるな顔で言う士希に…

 

はやて「っ!?」

 

私は思わず顔を赤らめてしまう。カウンター食らってどうすんねん、私

 

士希「それにしても、クレープって美味いんだな。今度作ってみるか」

 

はやて「あはは、士希のクレープ食べたら、店のクレープ食べれやんくなるな」

 

士希「はは、ならそうなるように、努力しないとな」

 

クレープを食べつつ、他愛のない会話をしていく。

こういうゆったりした時間が、ホントに心地ええ

 

 

 

 

次にやって来たのはゲームセンター。二人で遊べる定番スポットやな

 

はやて「士希士希!格ゲーしよ!」

 

士希「お、いいぜ。士希さんのゲームテク、見せてやるよ」

 

私も士希もかなりのゲーム好きや。やるジャンルも似てるから話も合う。せやけど…

 

士希「うお!ちょっ!待てはやて!ハメんなコラ!」

 

はやて「いやこれ、一応抜け出せれるコンボやでな?」

 

士希は別段ゲームが得意ってわけやなかった。

こういう対戦ゲームで私が負ける事はほとんどない

 

士希「はやて強過ぎ!ストレート負けなんですけど!?

なんだあれ?手の動きどうなってんの?」

 

士希は私の隣に座って手の動きを見たり、画面を見たりしていた。

なんや上手く集中できへんな

 

士希「お、New Challengerだってよ?どうする、はやて?」

 

挑戦者か。隣にはおらんで、この台の対面におる人かな?

 

はやて「ふふん!なら彼氏の前やし、ええカッコ見せたろかな」

 

士希「それ、本来なら俺の役目なんだろうな」

 

ということで、私は挑戦を受ける事にした。どれどれ、お手並み拝見…

 

はやて「ん?おぉ??」

 

なんやこの人、めっちゃ強いぞ?

 

士希「す、すげぇなこの人。はやてと互角かよ」

 

はやて「士希じゃ勝てへんな」

 

士希「ちくしょう…」

 

士希はションボリしてたが、こっちはそれを気にするほど余裕はない

 

はやて「フッ!フン!よいしゃー!まず一勝!」

 

士希「さっすがはやて!」

 

私は士希とハイタッチして喜ぶ。かなりギリギリの勝負やった分、勝ててめっちゃ嬉しい

 

士希「さぁ、二戦目も勝ってくれよ!」

 

はやて「なら、私が勝てたらジュースな」

 

士希は笑って了承してくれた。せやけど試合は…

 

はやて「うお!やばっ!あ…あぁー…」

 

上手いことコンボを決められ、負けてしまった

 

士希「強いなぁ。はやてが負けるとこ、初めて見たかも。

いったいどんな人が……へぇ、女の人かぁ」

 

女性プレイヤーやと?こら火が着いたで。絶対負けられへん!

 

はやて「さぁ最終戦や!絶対負けへんで!」

 

私は座り直し、気合いを入れる。士希が見とる前で、みっともないとこは見せへん!

 

はやて「うっ!っとと。ならこれで!」

 

私の自キャラはコンボを食らってだいぶ押されるが、なんとか脱出し、反撃にでる

 

士希「よし!いけ!やれはやて!」

 

士希の応援で、さらにやる気の上がった私は、

それに呼応するかのように自キャラの動きが良くなり、そして…

 

はやて「んー!よっしゃー!!」

 

最後に必殺技が決まり、私のゲーム画面にはYou Winの文字が映っていた

 

士希「すげー!」

 

士希は感極まったのか、私に抱きついて来た。私も喜びのあまり、抱き返してしまう。

うん!この勝利は最高に嬉しい!

 

「いやー!あんたすげぇな!優雨が負けるとこなんて初めて見たよ!」

 

私と士希が喜ぶを分かち合ってると、長身の綺麗な女の人が声をかけてきた。

その後ろには、悔しそうな表情の女の子がおった

 

優雨「君が対戦相手よね?君強いね。まさか負けるなんて思わなかったわ。

私は…あー、優雨っていいます。よろしくね」

 

優雨さんはモデルみたいな体型で、黒髪ショートヘアのものっそい美人さんやった。

せやけど、なんで名前教えるとき、ちょっと考えたんやろ

 

はやて「八神はやていいます。優雨さんもゲーム強くてびっくりしました。

まさかあんなに追い込まれるなんて」

 

士希「だな。はやてが苦戦するとこなんて初めて見たわ。

おっと、俺は雑賀士希だ。よろしく」

 

アイ「あったり前よ!優雨は強いんだから!あ、あたしはアイってんだ。よろしくな!」

 

アイさんは、なんというか姉御肌っぽい雰囲気の人やな

 

アイ「おっと、優雨そろそろ仕事の時間じゃない?大丈夫?」

 

優雨「ん?あ、ホントだ。よし、なら最後に四人であれやろう」

 

優雨さんが指したのはカーレースのゲーム。最大四人で対戦できるやつや

 

士希「お、カーレースなら、俺でも勝てるかもな!」

 

アイ「あたしも負けないよ!」

 

はやて「なら、やってみよか!」

 

私ら四人はシートに座り、コインを入れる。走行タイプは…

 

はやて「まぁ、マニュアル一択やろ」

 

士希「だな。オートとかつまらん」

 

アイ「車動かすなら、しっかり動かしたいよね」

 

優雨「いいねーみんな!面白そう!」

 

コースはやたらとカーブの多いところ。ドライビングテクが試されるコースである

 

そしてゲームが開始される。四人が一気にアクセルを踏み、ガチャガチャとギアを変える小気味良い音が聞こえる

 

アイ「へぇ!流石にやるね!」

 

士希「そういうあんたらもな!」

 

はやて「せやけど、ゲームで負ける気はないで!」

 

優雨「ふーん…ところで、二人って付き合ってる?」

 

ガタッと、私と士希は思わず動揺してしまう。いきなりのことでびっくりしてしまった

 

はやて「え、えーと、そやけど、それがどうしたん?」

 

優雨「ん?精神攻撃は基本かなって。はい、トップいただき!」

 

アイ「おっさきー!」

 

はやて・士希「あ!」

 

動揺した直後、私と士希は上手くカーブを曲がれず、

その隙を突いた優雨さんとアイさんに譲ってしまった

 

はやて「あんた何抜かれとんねん!」

 

士希「そういうはやてこそ!」

 

そしてここでのミスを挽回できず、私らは負けてしまった

 

はやて「く、悔しー!もう一戦!もう一戦しよ!これでイーブンなんやで!」

 

優雨「あはは!私もそうしたいんだけど、これから仕事なんだー。だから、また今度遊ぼ!」

 

士希「決着はまた今度か。そりゃ楽しみだ」

 

アイ「そうだ!けー番聞いていい?またこの四人で集まろぜ!」

 

私と士希はアイさんの提案に同意し、お互いの番号を教えて登録した

 

優雨「じゃあねー二人とも!デートの続き、楽しんでねー!」

 

アイ「じゃあな!今度はあたしが勝たせてもらうよ!」

 

そして二人は走って帰って行った。なんやあの二人、不思議な雰囲気やったなぁ

 

 

 

 

士希「さて、次はどうするか…」

 

私らは二人と別れた後も、ゲーセンを思う存分満喫してた。

士希の表情も、だいぶ楽しそうに見える。来て正解やったかもな

 

はやて「あ!士希あれやろ!」

 

私は士希を引っ張ってとある場所にやってきた

 

士希「これって、プリクラ?」

 

はやて「せや!まだ撮ったことなかったやろ?」

 

私と士希は早速中に入る。なんや恋人らしい気がしてきた。ドキドキする

 

士希「へぇ、こんなんなんだ。初めて入ったな」

 

はやて「あはは!なら士希の初プリ、私が奪ってしまったな!」

 

私が設定している間、士希は物珍しそうにキョロキョロ見ていた。

その仕草が、なんや妙に子どもっぽく見えた

 

はやて「ほないくで!一枚目は普通に撮ろ!」

 

士希「お、おう!」

 

私は士希の腕に抱き着き、ピースする。

対する士希は、緊張してるのか妙に硬い笑顔でピースしてた。

そしてそのままパシャっと一枚が撮られた

 

はやて「なんや士希!えらい表情硬いで!」

 

士希「う、うっせ!慣れてねぇんだよ!」

 

はやて「あはは!ほら、二枚目いくで!」

 

私は士希の後ろに回り、背中に抱き着く。

そしてそのままおんぶしてもらい、士希の肩に頭を乗せた。

そして二枚目が撮られる。今度は士希も、普通の笑顔になっていた

 

はやて「お、ええ感じやな。それなら次は…」

 

士希「……は?マジかよ?」

 

はやて「恋人同士やと、やるらしいで?」

 

士希「いや、だからって…」

 

はやて「ほら、早くしやな撮られるで?それとも、私とじゃ嫌?」

 

士希「…チッ、その言い方はズルイなぁ…」

 

 

パシャッ

 

 

私と士希は出来上がったプリをデコって行く。

一枚目は『初デート&初プリ記念!』と書き、

二枚目は『めっちゃなかよしです!』なんて書いた。

三枚目の写真だけは、なんのデコレートもしやへんだ

 

士希「うわっ!これ恥ずかしいな…」

 

はやて「えへー!私は満足やわ!さて、このプリどこに貼っとこっかなぁ」

 

ま、定番はケータイとかやんな

 

士希「は、はやてさん?二枚目まではいいけど、

三枚目だけは人目のつかないところにしてくれよ?じゃなきゃ悶え死ぬ…」

 

はやて「わぁっとるよ!このちゅープリは大事に保管しとくわ」

 

士希は一層顔を赤くし、片手で顔を覆っていた。嫌って顔ではない。

ただ、ものっそい恥ずかしいだけなんやろう

 

はやて「ほら!私はケータイに貼っといたわ。士希のも貼ったるで!」

 

私は士希からケータイを奪い、二枚目に撮ったおんぶのプリをケータイに貼った。

これでお揃い。たったそれだけの事が、無性に嬉しくなってしまう

 

士希「うわっ、こりゃ男子からさらに妬みの目で見られるな」

 

はやて「ま、それは私もやけどな。さ!次どこ行こっか!」

 

士希「時間も時間だし、飯食いに行くか?それとも、食材買って作るか?」

 

時間は7時前。短い時間ながらも、結構遊んでたようや。

リインやレーゲンは翠屋で預かってもろとるでご飯の心配はいらんし、

まだちょっと遊んでたいなぁ

 

はやて「せっかくやで、食べに行かへん?」

 

士希「了解。なら、この近くにある定食屋なんてどうだ?

あそこの料理、なかなか美味かったんだよな」

 

はやて「ほー、ならそこにしよか!」

 

 

 

 

私らは士希オススメの定食屋にやって来た。

中はシックな雰囲気で、従業員もおじちゃん、おばちゃんみたいな年の人ら。

とても温かい店や

 

おばちゃん「あら士希ちゃん、いらっしゃい。あら?もしかしてその子、士希ちゃんの彼女?」

 

士希「あ、あはは。実は…はい」

 

はやて「あ、八神はやてです!こんばんは!」

 

おじちゃん「んだよ士希坊!えらいベッピン連れてんじゃねぇか!」

 

おばちゃん「ふふ!お似合いよ、二人とも。

さぁ、座って座って!腕によりをかけて作っちゃうわ!」

 

私と士希は促されるまま、テーブル席に着いた

 

はやて「ほえー、いろいろあるんやなぁ」

 

私は早速メニューを見ていく。定食に始まり、丼もの、麺もの、一品ものと、色とりどりやった

 

士希「ここのオススメはコロッケ定食とハンバーグ定食だけど、どうする?」

 

コロッケとハンバーグかぁ。どっちもええなぁ

 

士希「…はは!コロッケとハンバーグにするか?」

 

はやて「あれ?私そんなにわかりやすかった?」

 

なんでわかったんやろ

 

士希「俺、お前の彼氏だから。おばちゃーん!コロッケ定食とハンバーグ定食お願いします!」

 

おばちゃん「はいはーい!」

 

士希はオーダーを頼むと、お茶を一口飲み、微笑んだ

 

士希「はやて、今日はありがとうな」

 

はやて「ん?突然どないしたん?」

 

えらい急やな

 

士希「今日の俺、変だったんだろ?だから気ぃ遣って、こうやって誘ってくれた。違うか?」

 

流石に、察しがええな

 

はやて「ええよ。私もめっちゃ楽しませてもらったし」

 

士希「あぁ、本当に楽しかった。だから、ありがとうはやて」

 

士希はまっすぐと、私の目を見て伝える。その表情は、朝までの無理してる感じはなかった

 

はやて「なぁ、何があったか、聞いてもええの?」

 

私は聞いてみる。士希は少し視線を下げ、目を閉じる。

そして再び開かれた瞳には、少し悲しげな色が見えた

 

士希「俺は…はやてに聞いて欲しいと思ってる。だけど、怖いんだ。

それを話して、はやてが離れて行ったら、そう考えると、どうしようもなく怖い…」

 

士希の声は震えていた。きっと、士希なりにいろいろ考えて、悩んでたんやと思う。

それも、私の事を想って

 

はやて「私はさ、士希にどんな過去があったかはわからんし、

士希の気持ちになれるかはわからん。せやけど、私は士希を支えたいと思とる。

士希が抱えとる問題、私も一緒に悩んでいきたい。せやから、離れるなんてありえへんよ。

私は士希の彼女で、どうしようもなく、士希の事が好きやから」

 

士希は私を支えてくれてる。せやから、私も士希を支えたい。これはずっと思ってきたことや

 

士希「…はは、はやては優しいな」

 

はやて「それは士希もやろ。士希は私を支えてくれてる。

士希の優しさに、私は救われてる。士希に会えて良かったと思てる。

なぁ士希、私の事信じられへん?士希と一緒に歩くには、頼りないかな?」

 

士希「そんなことない!俺ははやてを信じてる。はやては、俺の光だから。

とても温かくて、優しい光だから。俺もはやての事が好きで、大好きで、

どうしようもなく愛おしいから、だからこそ、離れて欲しくなくて…」

 

士希の目には涙が溜まってるように見えた。それだけ、士希は本気なんやと思った

 

はやて「大丈夫やで士希。私は離れてったりしやん。絶対、そばにおる。

やから、もし士希が話してくれる気になったら、話してほしいな。

いつまでも、待ってるから」

 

私は士希の手を握る。少し冷たい士希の手を、私は温めるように両手で包み込んだ

 

士希「はやて…俺は……」

 

 

「(よぉ!この念話が聞こえるか?聞こえないわけないよなぁ、はやて!士希!)」

 

 

はやて・士希「!?」

 

これは、念話?一体誰や?なんで私らの名前を…

 

「(今から一時間後、海岸に来い!決勝戦をやろうぜ!)」

 

一時間後に海岸?決勝戦?

 

士希「………ホント、ツイてねぇよな」

 

どうやら今日のデートの締めは、刺激的になりそうやった

 

 

 


 
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