No.698568

【獣機特警K-9ⅡG】君に「頼む」と言った意味【交流】

すげえ! 男しか登場してねえ!
ジャック(ⅠG) http://www.tinami.com/view/544844
七馬君 http://www.tinami.com/view/633590
(名前だけ)カリン http://www.tinami.com/view/553518
(名前だけ)クオンさん http://www.tinami.com/view/551025

2014-07-04 23:24:51 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:802   閲覧ユーザー数:779

 ある日曜日の朝。

「お方様! おはようございまする!」

 蘇芳七馬は、向こう側から走ってきた人物に声をかけた。

「おはよう七馬。その『オカタサマ』っての、やめてくれないかな? 調子が狂っちまう」

 ジャック・ココノエは苦笑した。ロードワーク中に七馬と出会ったのだ。

「されど、某にとっては貴方様はお方様にござる」

 七馬は譲らない。

「そうだ。七馬、ちょっとスパーリングに付き合ってくれ」

「はっ!」

 10分後、二人は、ジャックがいつも使っている道場にいた。

「スタンモードで来い」

 空手道着を着たジャックが、七馬に声をかけた。

「スタンモードで!? それはいくらお方様でも危険でござる!」

 驚いた七馬が聞き返す。スタンモードとは、暴漢などを取り押さえるための実戦用モードだ。命こそ奪わないが、大の男でも、レーザー刀身に軽く触れただけで、強い衝撃を受け、失神してしまうほどの威力がある。

「当たらなきゃ安全だろ」

 ジャックは当然のような口ぶりで言った。

「で、では……」

 七馬は、レーザーソードを起動した。ヴゥゥンという音を立てて、光の刃が伸びる。七馬の方は、全身を防具で固めていた。ジャックの指示だ。

「遠慮はいらない。全力でかかって来い!」

「はっ! いざ、参りまする! やああぁっ!」

 レーザーソードを構えて、七馬は突進した。踏み込みながら、剣を振り下ろす。ジャックは半身になって、あっさりとかわした。

「やあっ! やあっ! やあっ!」

 七馬は続けざまに剣を振る。ジャックは全てかわしていく。

 そして、七馬に隙が生まれた。

「セイッ!」

 鋭い正拳突きが、七馬を襲った。

「ぐっ!?」

 防具越しでも、強烈な打撃で七馬はよろめいた。続けて、首を刈り取るようなジャックの猛烈な上段回し蹴り。すんでのところでかわした七馬だったが。

「ハッ!」

 次の瞬間、速く重いローキックが七馬の足を強打した。

「ぐあっ!!」

  ドタッ!!

 尻餅をつくように、七馬は畳の上に倒れた。

「……勝負あり、だな」

 と、七馬が体を起こし、その場に手をついた。

「某は、もっと強くなりまする! 何があってもカリン姫を守れるように!」

 ほとんど土下座のような格好の七馬を、ジャックは見下ろした。

「……七馬。お前、何か勘違いしてないか?」

「は?」

 聞き返す七馬に、ジャックは言葉を投げかけた。

「俺もクオンも、お前に『カリンの命を守れ』なんて言った覚えは一度もないぞ。そんなの、金払ってボディガード雇えば済む話だ。そうだろ?」

「で、では……某は……」

 七馬はあえいだ。自分の存在価値が否定されている、そう思ったからだ。

 ジャックはしゃがんで、七馬と視線の高さを合わせる。

「カリンが、女が一番欲しいのはな、ただ単に安全を守ってくれるだけの便利な用心棒なんかじゃない。いっしょに泣いたり笑ったり、時たまケンカしたりして、二人で歩いていけるパートナーってヤツだ。わかるか?」

 ジャックは、真剣に語りかけた。

「パートナー……」

 その言葉を噛みしめるように、七馬は繰り返した。

「俺もバカだから、そんな簡単なことに気づくのに、ずいぶん時間がかかっちまったけどな」

 ジャックは悪ガキのような屈託のない笑顔を見せた。そして、七馬の目を真っ直ぐ見つめ、言った。

「カリンを頼む。あいつのそばにいてやってくれ」

 七馬も、真っ直ぐな瞳でジャックを見つめ返すと、返事をした。

「ははっ!」

 


 
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