No.694703

~ISD~インフィニット・ストラトス・ディメンション

オリジナルワールドルート編一話
これとSEEDDESTINY編のどちらかを書きたいと思います。

2014-06-17 18:45:33 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:2583   閲覧ユーザー数:2503

宇宙。

人類のもう一つの故郷ともいえるようになったこの世界に、一つの巨大なスペースコロニーが浮かんでいた。

 

スペースコロニー、より正しくは島三号タイプと呼ばれるそれは、宇宙に浮かぶ巨大な円筒である。

全長は約25キロメートル、その直径は約6キロメートル。その内壁は六分割され、光を取り込むための特殊透明材質の河と、人々の住まう陸とに分けられている。スペースコロニーは慣性重力を発生させるため、2分ごとに一回転する。水を入れたバケツを振り回しても水がこぼれないのと同じように、回転するスペースコロニーの内壁は、遠心力が重力のように働くのだ。

その内部には人工の大地が存在し、人々はそこを生活の場としていった。

 

真空の宇宙を、警戒色であるレッドに塗装された宇宙戦用モビルスーツ・MSJ-Eティエレン宇宙型がゆっくりと慣性で流れていく。その巨大な姿すら、背後に浮かぶスペースコロニーの巨大さに比べれば、人の着る宇宙服(ノーマル・スーツ)と大差がないように見える。

 

「ラインバッカー2よりクォーターバック。定期連絡だ。アティスマータは今日もご機嫌だ。何も異常はない。宇宙は綺麗なもんだ」

 

その狭いコクピットに身を収めるウォン・アローは凝り固まった筋肉をほぐすようにしながら、司令部に連絡を入れた。この分なら妻と息子たちを連れてプラネタナイトに向かうことが出来そうだ。

 

(シフトを変わってくれた青葉少尉には、何時か借りを返さないとな……)

 

「あ……いや。報告にあった通り、三番のミラーに破損があるな。デブリの衝突だと思う」

 

『クォーターバック了解。そちらは行政当局が対応することになっている』

 

「了解。ラインバッカー2、帰投アプローチに入る」

 

『ラインバッカー2。クロスフィードの三番ゲートは、新造戦艦が入港して使えなくなっている。七番に回ってくれ』

 

「新造艦ね……ま、いつ次元世界のどっかからELSやら連合にでも来られたら厄介だもんな。ま、了解だ。……ん?」

 

『ラインバッカー2。どうかしたか?』

 

「あ、いや……視界の端を何かが横切った気がしたんだが……」

 

レーダーと熱センサーに反応はない、と続けようとしたところで、ウォン・アローの目の前をナニカが通過した。

それは、流れ星を見つけて消えたかの如く一瞬の出来事で、そのナニカは一直線にアティスマータの首都、クロスフィードに向かい、無人区域に衝突した。

スペースコロニー、『アティスマータ』にある首都、『クロスフィード』森林地帯にて、一夏は衝突によって生まれたクレーターの中央で目を覚ました。

見知らぬ場所に自分が居るということと、自分自身について、彼は困惑するが、森の中で混乱していても自体は変わらない。彼は仕方なくさまようようにして歩き出した。

 

どれぐらいそうしていたのだろうか……。

ふいに一夏は人の気配を感じ、導かれるようにそちらへと向かいだした。

一夏が向かった先にいたのは、一人の少女だった。

すらりとした細身の身体と、新雪を思わせる白い肌、端正な顔立ちに、蒼い長髪、妖精のような神秘的な美しさを持つ少女。

まるで完璧な美術作品のように、少女は緊張も緩みも見せず、泉の縁側に足だけ水に浸して座っていた。

 

「あら?」

 

一夏の存在に気が付いた少女が顔だけこちらに向けてくる。

 

「珍しいことがあるものなのね。ここって滅多に人が来ないのに」

 

「……そうなの?」

 

ここに来て一夏がようやく発した言葉は疑問系だった。対する少女はくすり、と小さな笑みを漏らしてから答える。

 

「ええ、ここってクロスフィードから少し離れてるから」

 

そう言って少女は泉の水は片手ですくい上げてから再び口を開いた。

 

「でも、私はこの泉と鳥たちのさえずりが穏やかで好きよ」

 

満足したのか少女は泉から足を引き揚げると横に置かれてあったタオルで軽く拭いてから、同じく横に置いてあった革のサンダルを履いた。

その姿は容姿も相まってまるでどこかの国のお姫様のように一夏は見えた。

 

「あなたはどうなの?ここに来るって事は、アティスマータでも珍しい方の人だと認識してるけど」

 

一夏はすぐに少女の問いに答えようとするが……答えることはできなかった。なぜなら彼は……

 

「……わからないんだ」

 

「わからない?」

 

少女が思わず聞き返してくる。

 

「うん……何かから必死に逃げていたのだけは覚えてるんだけど……それ以外は何も……」

 

ここに来たとき、真っ先に一夏はポケットの中なり何なり、手掛かりになるようなものを探していたのだが、結局何一つ彼の個人情報になるものは見つからなかった。

ようするに一夏はここに来ることで記憶喪失になってしまっていたのである。

その事実に、少女は困惑の表情を浮かべ、どうしたものかと悩んだ。

 

「そう……なら私の家に来ない?」

 

しばらくして不意に少女が口を開いた。

 

「え……?」

 

一瞬何を言っているのか理解できなかった一夏は思わず唖然として聞き返してしまう。

 

「私の父、このコロニーの軍で上層部にあたる人なの。軍で住民リストを調べることぐらいは容易いし、あなたの事もすぐわかると思うわ」

 

「……いいの?」

 

「何が?」

 

「俺みたいな、得体の知れない奴の言葉を信じるなんて」

 

自分で言うのも何だが、少女に何か危害を加えるつもりで近付いた等とは考えたりしないのか、という意味で尋ねてみると少女はああ、と納得してすぐにくすりと微笑みを浮かべた。

 

「その点は気にしてないわ。だってあなたの心、そんな邪なことを考えられないくらい澄んでいるもの」

 

彼女の言ってる言葉の意味が理解できない一夏は、それが一体どういう意味なのかを聞き出そうとするが、その前に少女が一夏の手を引っ張り出した。

 

「とにかく、まずはあなたのことを知るのが先よ」

 

思ってた以上に細くて柔らかく、そしてひんやりとした手の感触に胸を高く踊らせながら、一夏は少女に連れられる形でクロスフィードへと向かっていった。

こうして一夏は、少女━━クルルシファー・エインフォルクと出会った。

絶対にわからないと思うので説明しますが、冒頭のウォン・アローさんは今放送してるブレイクブレイドの主人公、ライガット・アローの父親ということになっております。名前がわからなかったのでオリキャラ扱いです。

 

次いで、最後に明かされたクルルシファー・エインフォルクは最弱無敗の神装機竜(バハムート)における二人目のヒロイン、クルルシファー・エインフォルク本人です。

それと、この本を知っている人ならすぐ気付いたかもしれませんがコロニーや首都の名前もここから使ってます。

 

あともう一つ、これと別にプロローグから種運命に行くルートを執筆中です。明日くらいには投稿しますので、どっちを詠みたいか感想にお願いします。種運命の場合は今書いてるTSキラのいない方のTSシンをやめます。


 
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