北郷一刀の外史紡ぎ二篭 第十三話―黄巾党討伐3
一刀「・・・曹操さん、呼ぶまで待っててっていたよね?」
一刀は勝手に入って来た曹操こと、華琳に無駄だろうと思いつつ注意する。
華琳「あら、他人の判断を待っていてはこの時代の覇者にはなれないわよ?」
一刀「そ、れ、で、も。他陣営で勝手を働く人間だって思われちゃうだろ?」
華琳「それもそうね。」
一刀の呆れの入った注意にそれも道理と納得する。
一刀「で、荀彧さん。男だからって評価は自分の目を曇らせる要因になりかねないから自制しようね?」
これまた理不尽な非難を入れた荀彧こと、桂花にこれまた無駄だろうと思いつつ注意する。
桂花「ふん!あんたなんかに言われたくないわよ!」
一刀「なんだろう・・・会って間もないけどこう言われると思ったよ。」
一刀は予想通りの返答を貰って苦笑するしかなかった。
一刀「まったく・・・徐晃ちゃんはいい子だなぁ」
一刀は疲れた心をいやすために徐晃こと、
香風「ん~~~~」
香風は気持ちよさそうん黙ってなでられる。そんな姿が可愛くて一刀はさらに撫で続ける。
冥琳「こほん。北郷、まずは自己紹介をしたいのだが?」
一刀「あ、そうだったね。」
華琳「そう言えば・・・貴方って結構な重役なのね?」
一刀「はは、まあ・・・蓮華、孫権とはこうやって敬語なしでも話せる関係・・・かな?」
冥琳(それ自体が考えられないんがな。いや、蓮華様がこの男の事を?いやいや、それこそ・・・)
一刀「じゃ、俺からで良いかな?姓を北郷、名を一刀、字、真名は国の風習で持ち合わせていない。異国の知識人と思ってくれ。」
香風「異国の人・・・魅力的///////」
一刀「あ、あははは・・・」
出会って落とすとか、マジ種馬な一刀。もげろ。
冥琳「周瑜公瑾だ。建業で軍師をしている。」
華琳「へえ、貴方があの高名な美周郎・・・って女じゃない!」
一刀「見事な突っ込みだな・・・突っ込むべきでない所に突っ込む覇王様。」
華琳「渾名は伝わっていたから・・・男だと思ってたわ。」
冥琳「まあ・・・語呂がよかったんだ。語呂がな・・・雪蓮がな・・・」
周瑜は遠くを見つめてそうつぶやいた。孫策が関わっているのは明確だろう。
華琳「こほん。私は曹操よ。字は孟徳。陳留で太守をしているわ。軍師の荀彧に近衛隊長の徐晃よ。」
曹操の紹介に軽く礼をする荀彧、そして徐晃。そんなやり取りをしながら曹操はおもむろに質問してきた。
華琳「孫権はどこなのかしら?会っておきたいんだけど。」
一刀「ああ、今所用で出てるみたいだよ。ちょっと待ってる?」
華琳「そうね・・・正直これからの作戦行動の相談もしたかったから・・・待っているわ。」
一刀「それじゃあ・・・明命。」
明命「ここに。」
華琳「へ!?」
冥琳「な!?」
桂花「きゃ!?」
香風「ふえ~?」
一刀の呼びかけに応え、明命が瞬時に一刀の前に跪き現れる(片膝をついて片手を地面に付ける格好)
一刀「俺の天幕から“あれ”持ってきてもらっていい?」
明命「はい!」
元気な返事と共に明命は全員の前から掻き消えるように姿を消した。
その光景を見ていた四人は相当驚いていた。
一刀「・・・あれ?どうしたの??」
冥琳「いや・・・明命が・・・消えなかったか?」
一刀「ああ、そう見えただけだよ?」
冥琳「そ、そうか・・・」
華琳(・・・香風、どう思う?)
香風(相当の腕前。手合わせしてみたい。)
華琳(ふふ、来たるべき時まで待っていなさい。)
香風(あい~)
驚く周瑜の対応をしている一刀に聞こえないように曹操は武人である徐晃に意見を求め、その答えに満足した曹操は、一刀の依頼した“あれ”に興味を移した。
華琳「ねえ、“あれ”ってなんなの?」
一刀「ん?ああ、待ってれば分かるよ。」
明命「一刀様、お持ちしました!」
今度は天幕の入り口から素直に入って来た明命に一刀以外全員が拍子抜けな顔をした。
一刀「どうしたの??ま、いいや。明命も食べて行ってね。はい、蜂蜜パンケーキ。」
明命「はい、いただきます!!あむあむ・・・は~、甘くておいしいです~~~。」
一刀からパンケーキを一切れ貰った明命は、両頬に手を当てそいしそうにしている。
華琳「ぱん・・・けーき?」
桂花「なにそれ?」
冥琳「北郷の国の甘味か?」
一刀「だよ。はい徐晃ちゃん。あ~ん。」
香風「あ~ん。もぐもぐ・・・(ぱあああぁぁぁぁぁぁぁ)」
徐晃は満面の笑みを浮かべそのおいしさを表現した。眩しすぎるのでサングラスをお掛け下さい。
その後、蓮華が姉を引き連れて戻って来た。孫策が少し老けて見えたのは気のせいだと思いたい。
蓮華「客人が来ていたか、待たせてしまって申し訳ない。」
華琳「いいのよ、いいものも食べさせてもらったし。」
蓮華「いいもの?ああ、パンケーキね。あれは美味しいわ。」
その後蓮華達の自己紹介も終わり、ちょっとしたお茶会になりかけたが、曹操が今後の軍事行動をどうするか決めたいとのことで軍議を開く事になった。
参加者は蓮華、一刀、七乃。孫策、周瑜、黄蓋。曹操、荀彧、徐晃と三勢力三人づつの構図となった。
蓮華「それじゃ改めて自己紹介ね。私は寿春太守孫権だ。」
なでなで・・・『名前は?』
雪蓮「その姉、孫策。建業の太守をやってるわ。」
なでなで・・・『香風』
冥琳「孫策の軍師、周瑜だ。」
なでなで・・・『真名だろ?』
華琳「陳留の太守、曹操よ。」
なでなで・・・『一刀いい人、だからいいの。』
桂花「曹操様の軍師、荀文若よ。」
なでなで・・・『そっか、香風よろしくね。』
七乃「孫権様の軍師の張勲です~」
なでなで・・・『よろしく』
祭「黄蓋じゃ。」
なでなで・・・『気持ちいい~』『可愛いなぁ~』
「「「「「「「いい加減にしろ!」」」」」」」
一刀「ちっ」
香風「ちっ」
「「「「「「「舌打ち!?」」」」」」」
一刀「こほん・・・孫権軍所属、北郷一刀だ。」
香風「曹操様近衛隊長、徐晃。」
こうして自己紹介を終え、今後の行軍をどうするかの話し合いが行われた。
軍議は滞りなく行われた。作戦はこうだ。
1・袁紹はほっとく。
2・曹操軍は同行中の義勇軍、劉備軍を前線に配置し囮とする。後に交戦中の劉備軍に割り込み黄巾党を削り取る。
3・孫策軍は劉備軍と曹操軍の作戦の援護をする。それと同時に敵を囲むように徐々に包囲網を完成させる。
4・孫権軍は野戦兵器を用いて後方から援護、精鋭部隊を率いて張角、張宝両名を捕縛ないしは討ち取る事となった。
この作戦で孫権軍は被害が出ないだろうと言う曹操の言葉だったが、建前上孫策の軍勢なので被害は総じて均等であると言う事、劉備を盾にするのだからそちらも同様だろうと言う事で話は着いた。
勿論、使った兵器の情報を曹操にもたらす事も条件に入れたので引き下がるのも早かったのだが・・・
こうして、袁紹無視の曹、孫連合は動き出す。・・・劉備?知らん。
曹操軍陣営
此処は曹操軍の駐屯地、その一角に曹の旗とは違う緑の生地に義の文字をあしらった旗がなびいていた。そう、此処は劉備率いる義勇軍の割り当てられた一角である。
そこで桃色の髪の少女、劉備こと、桃香が何やら神妙な面持ちで佇んでいた。
桃香「・・・は~。」
そこへ彼女の義妹にして腹心の一人、関羽こと、愛紗が近寄ってくる。
愛紗「どうしました?桃香様。」
桃香「あ、愛紗ちゃん。えっとね?私達このままでいいのかなって・・・」
愛紗「それは仕方ないでしょう。私達は弱小、曹操のように力ある諸侯の協力なしでは此処まで来れませんでした。それに彼女も私達が名声を欲しがってる事を分かっている様で、しっかり見せ場を作ってもらえるだけ良かったと思いますよ?」
そう、彼女達は幽州の公孫賛の所から義勇兵を募り黄巾党を討伐して行ったのだがある時期から兵力差に悩ませる事になり、道中出会った曹操に協力する形で世話になっていたのだった。
愛紗「朱里もこればかりはいた致し方ないと言っていたではありませんか。」
桃香「そう、だよね。」
しかし、致し方ないと言っても、これから曹操が持ち帰る作戦に頭を悩ませる事になるのは自明の理であるのだが・・・それは弱小の弱みだろう。どのみちこれを断っても作戦としては問題なし、曹操はその穴を新兵で埋める事が出来るのだから。
そして、その頭を悩ませる作戦を伝えに曹操の兵が近づいてきた。
曹兵「失礼します。」
愛紗「なんだ。」
曹兵「曹操様からの伝令です。」
愛紗「なんだ?」
曹兵「このまま前曲にて方円陣を展開、黄巾党を引き付けよ。とのことです。」
愛紗「な、それはどう言う」
???「はわわ~!!!それは本当でしゅか!?」
関羽の言葉を切り、慌てて割って入る少女、しょかちゅりょう・・・諸葛亮こと、朱里である。
朱里「どうしてそんな無謀を!?」
曹兵「無謀で和ありません。その間に我等の軍で敵前曲を半包囲、機を見てそちらと攻守を交代します。敵前曲を殲滅している間に孫策軍が黄巾党の三割を半包囲、足を止めている間に孫権軍の野戦兵器を用いて黄巾党を殲滅しつつ、孫権軍精鋭にて張角達を打つ計画です。」
朱里「はわわ!?それだと孫権軍の被害はほとんど・・・」
曹兵「そうですか?孫権軍と孫策軍は一つの軍と変わらないと聞きましたが?」
朱里「はわ?そう・・・言われてみれば・・・」
その言葉に納得してしまいかけたが・・・
朱里「そ、それでも一つの軍の被害が少ないのは不平等では!?」
曹兵「そう申しあげられましても・・・断るならそれでよいと曹操様から言われてますが?」
朱里「う・・・」
桃香「受けます。私達が敵を引きつければいいんですよね?」
朱里「桃香しゃま!?」
愛紗「桃香様!?」
桃香の言葉に朱里と言葉を切られ黙って聞いて居た愛紗も驚きを隠せない。
桃香「だって、これで黄巾党が壊滅出来るんだよ?これで平和な世の中になるの。ならいいじゃない。防御に適した方円陣で守りながら敵を引きよせて別動隊で叩く、戦術的にも間違ってないよ!」
朱里「はわ・・・わ、分かりました。」
桃香「そう言う事で伝令さん、その任承りましたって、曹操さんにお伝え下さい。」
曹兵「はい、わかりました。それでは失礼します。」
桃香の返事を聞き伝令は自らの主の元に戻って行った。
愛紗「桃香様・・・兵達にはどう言うんですか?」
桃香「正直に言うしかないよ、どのみち私達は放り出されてもやれる事は限られてくるんだから・・・」
朱里「桃香様の言う通りですね・・・あそこで断ればむしろ私達は決戦にすら参戦できなかった弱小として名声どころか逃げ出した臆病者になってしまいかねません。」
愛紗「く・・・やるしか、ないのか・・・」
この時期は劉備軍の不憫が続くのは当然なのだが・・・それでも僅かながらの同情も禁じ得ない。
あとがき
はて・・・こんな展開で大丈夫か?
華琳「大丈夫だ、問題無い。・・・ってなんで私が言うのよ!!」
おお・・・すみません。つい自問他答してしまいました。
華琳「自問他答って新しすぎるわよ。」
さて、華琳さんとの邂逅ですが・・・どうですか?
華琳「いや、どうって聞かれても・・・桃香不憫すぎるでしょう?」
ですよね~
華琳「私と共闘する時は決まって囮だものね。」
です、です。
華琳「で、この後どうなるの?」
この後はエロオヤジとエロジジイの討伐です。
華琳「え?そう言うキャラなの?」
変態です。
華琳「そ、そう。」
それでは次回は黄巾党編終了に・・・なるのかな?
華琳「私に聞かないでよ。」
なってほしいなぁ・・・
華琳「心配になって来た・・・」
ま、なるようになるでしょ。
華琳「・・・じゃ、また次回。見ないと呪うわよ!」
なんでしょう・・・どっかで聞いたことあるセリフです・・・
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イッツ十三話
さて、黄巾党編もそろそろ佳境を迎えてきました。
それでは本編どうぞ。