【 蜀の武神……? の件 】
〖 荊州 鳥林 袁術軍陣営地 にて 〗
《 夕方 ( 16時頃 ) 》
俺達は、雪蓮を促し少数精鋭で向かっている!!
ーーーーーーー
伝令兵から受けた報告に、念の為……ある容貌を伝えた………
颯馬「その敵将は《熟したナツメのような赤い顔、胸まで伸びる美しい髭、蚕のような眉、鳳凰のような目》だったのだな!?」
伝令兵は……『ご、ご存知なのですか──!』と叫び、『そこまで分かっておいでなら、何故! 対応策が出来ていないのですか!!!』と罵られる!
話を聞けば……その者一人の為、数千の被害が出ているという!
人を片手で鳥林峯の頂上付近に投げ捨て、得物で一振り事に数十人の命を奪う。 ………俺の知る『蜀の武神』を……遥かに上回る猛将。
詳しい事情を説明も出来ず、鬱々とした気持ちを宿して………伝令兵と共に雪蓮へ進言、援軍を派遣する事となったのだ!
ーーーーーーーー
ガタガタ ガタガタ!
ダッダッダッダッ!!
颯馬「『義の武神』………なのか!? しかし、何で……この世界に!!」
謙信「まさか……あの『古の軍神』が……か!?」
信廉「…………………」
ーーーーー
華琳「べ、別世界の関雲長!? ───な、何? この胸の高鳴りは!!」
凪「『古の軍神』……」ドキドキ ドキドキ
蓮華「………そんな事って………」
冥琳「………雪蓮、貴女は信じられる? 私達の他に……別世界の男である『私達』が居るなんて………」
雪蓮「…………信じられないわよ。 普通に物事……考えてたら。 だけど、颯馬達が居るじゃない! 天の国より降り立った御遣いという物証!
それに……一刀も言っていたわよ? 天の国には、私達以外の女の子が、大陸を駆け巡り、雌雄を決する物語があるって。
私が…一番驚いたのは……ね。 どの世界の『孫呉の将兵』は……大陸統一を、母様の目指した平和な世を目指し……驀進(ばくしん)して行ったことよ! 世界が変わろうが性別が変わろうが……私達は私達だなって……!!」
冥琳「………私が聞いて驚いたのは………貂蝉が……『絶世の美女』? 董仲穎様が………いや、止めておこう。 あまりの落差に私の精神が持たん!!」
雪蓮「ちょっと、冥琳! 私に恥ずかしい事、喋らせといて…自分は黙り───!? それに、それは聞いてないわよ!! 教えなさい!!!」
冥琳「駄目だ! これは……箝口令が敷かれている! 言うわけには……!」
雪蓮「さっき…口に出そうとしてたのにぃ~!?」
◆◇◆
【 忘れていた?二人 の件 】
〖 荊州 鳥林 袁術軍陣営地 にて 〗
《 夕方 (16時半) 》
忠勝「だ、駄目でござる! こやつの武は……拙者を超えているでござる!」
一存「こ、これしきの事でぇーーーーーー!!」ガクガクガクッ
長慶「み、皆! ここは……私を残し……退いてくれ!!」
昌景「………ふっ! 死に急ぐのは、老い先短い儂が……一番!
お主等! 合図と共に……この場を離れよ!! 後、三、四合……なんとか耐えて……時間を稼いでやるわぃ!!」
忠勝「ま、待つで……ござる!! 昌景殿!!!」
ーーーーー
カンウ「ソンナ………トキナド……アタエン……!! 『呉』ニクミスルモノニハ………『死』ヲ─────!!」 ガッ! ブン! ブゥ……!!
片手て冷艶鋸を振り回し、四人の将へ斬りかかる寸前───!!
ジャラジャラジャラ ジャラジャラジャラ
カンウ「───ンッ?」キョロキョロ
背後から金具の擦る音が響き、驚いて……辺り周辺を見渡す!
ジャラジャラ───!! ギュルギュルギュル!
カンウ「 ──! ウオオォォオオオ─────!!」
音の根元を特定した時は、すでに遅く──己の身体に巻き付いてきた!
数百人の兵士が集まり、鎖を全員で持ち……カンウを抑え込む!!
思春「───孫呉に仇なす『化け物』がぁ!! ──手の開いてる者で灯りを用意しろ!!! 奴へ絶対に近付くなぁ────!! 」
孫兵「はっ!」
明命「───間に合って良かったですぅ!!」
カンウ「『鎖』ゴトキデ……ワレヲ! ──フゥン! フウゥゥン!? ───バカナ!! チギレナイダト…………!!」
思春「無人になった天幕を捜索していたら、奇怪な部屋があってな? 部屋内の監禁場所より、見つけた鎖で……お前を縛したのだ!! 拘束場所にあった鎖と同じ物! これなら……縛せると思ったが……正解だった!!」
明命「袁術軍を監視していた私達です! 変装をして……謎の将になっていますが……誤魔化せませんよ!? 元死刑囚……『士 仁』!!」
カンウ「ワレハ……ソノヨウナ『名』デハナイ!! 『カンウ』ダ!! 『呉』ガ………『樊城』……キュウエン……コナケレバ! ワレガ『死ナナケレバ』……『兄者』ハ……トキト……ジュミョウ……ムダニシナカッタ!!」
思春「何を訳の分からない事を!! 関羽は……我らの仲間として活躍しているぞ!! それに、樊城は袁術側、お前達の勢力範囲の城ではないか!」
カンウ「ニクイ……! ニクイゾ!! 『陸遜』『呂蒙』『孫権』!!!」
明命「───士仁!! 大人しくなさい!!!」
カンウ『ガアアアアアァァァーーーーーー!!!』
威嚇の声を発するカンウ! ここで逃れさせると……自分達に刃が降りかかるため、全力で阻止する孫呉の兵士達!!
ーーーーー
忠勝「た、助かった………でござるか?」
昌景「───いや。 あやつの闘氣が…下がっておらん!」
ーーーーー
長慶「一存! しっかりしろ!!」
一存「姉さん……無事かぁ………!」
長慶「馬鹿者! 私を庇って楯になるなど……しっかりするんだ!!」
◆◇◆
【 順慶の鬼策 の件 】
〖 荊州 葫蘆谷付近 にて〗
《 夕方 ( 同時刻 ) 》
久秀「順慶? この辺りで……いいんじゃない!?」
順慶「………そうですわね?」
順慶は、ツカツカと殿に向かい………必死の形相で付いてくる負傷兵士達の隊列に来て……ニッコリと笑いながら言い放つ!!
順慶「皆さん! お疲れ様!! よく頑張ってくれましたわね!! ……でも、安心していいですわ。 もう…付いて来なくても…宜しいですわよ…!」
負傷兵「……つ、筒井……サマ? い、今……なんと……?」
順慶「もう~! しっかり聞いてくださいね!! 後、一度しか申しませんからね?」
先程の天女の笑顔から……鬼女の蔑みへと表情と言葉使いが変わる!!
順慶「…………アナタ方は、全員──ここで待機!! この場で、孫呉の追討軍を阻止するのよ!! 自分達の命を賭けて!!
……敵に懇願して、命を助けて貰うのも……手ですわね? 颯馬様は…お優しいから可能性ありますわよ? まぁ、私は……許す気などありませんが……」
負傷兵「お、俺達を………捨て石に…………」
久秀「その言い方は……違うわよ? 貴方達は……袁術様の国の『礎石』になるの? 捨て石だなんてぇ思ってないわ! 使えるところは……骨まで使わせて貰うわよ?」クスクス ──スッ!
順慶「………では、最後の命令。 しかと伝えましたわよ?」──スッ!
負傷兵「つ、筒井ぃ────さぁまあぁぁぁ!!!」
負傷兵「司馬ぁぁさぁぁまぁぁ!!」
こうして……袁術軍約一万の負傷兵達が……仲間を無事に引き上げさせるために……残されたのだった!!!
ーーーーー
久秀「……『捨てかまりの計』を行うの。 ……やっぱり、考えが陰険なのね? だから『大和国』を久秀に奪われるのよ……」
順慶「久秀こそ……この計より奸智に長けた計を、放つつもりだったのでしょう? 貴女の計に比べれば……私の計が颯馬様に好まれますわよ?」
久秀「どうかしら? 久秀の計は……あの兵士達を囮に置いて…近付いてきたところを油や大木を落として、火計で焼き尽くしてあげれたのに……虎牢関で颯馬が使ったような策をね…………」
順慶「くっ……………!!」
久秀「……どのみち……時間も材料も無いから、出来ないのだけど…」フゥ…
ーーーーー
この一万の軍勢のお陰で……久秀達は無事に、赤壁を逃れる事が出来た。
ただ……この『負傷者の軍勢』は……その後……どうなったのか……?
孫呉の公式的な記録及び漢王朝の公式記録さえも……記載がなかった。
……後々……噂だけが流れるだけ。
『絶世の美女に招かれ……益州に向かった』と…………
◆◇◆
【 集結 の件 】
〖 荊州 鳥林 袁術軍陣営地 にて 〗
《 夕方 (17時頃)》
鳥林峯より、戦場の異様さを感じ取り……兵に陣営を守備するよう命じて、降りてきた将達!! そこは………地獄絵図に似た凄まじい有り様だった!!
灯りで、照らされる辺りには……五体満足の遺体は……無しに等しい!
手足が散らばり、身体の中心部は、骨や内臓がはみ出て……飛散している。
目が慣れれば、すぐ近くの木々に……大きな『実』が……連なっているように
見えた。 だが……『実』の下より『樹液』が滴り落ちるのを見て、違うモノだと判別する。
第一、人の頭ぐらいの大きさの実など……木の上には出来ない!!
ーーーーー
霞「なんや、なんや──!? この惨状は!!」
ねね「大災害でも……あったような……!」
恋「………可哀想……」
道雪「……理由はわかりませんが……根本は、あの捕らわれている将と見ていいでしょう!! ───紹運! 宗茂! 直ぐに忠勝殿達を……あの将より引き離して下さい!! 」
紹運「分かりました! 姉上! ……宗茂! 行くぞ!!」
宗茂「はいっ!!」
ーーーーー
星「これは────!? 筒井順慶と対峙した黄巾討伐戦より──惨い!!」
愛紗「これを……一人の将が………か!?」
義清「────油断が出来ぬのじゃ!」
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鹿介「──────『武神 関羽』!」
朱里「えっ!? あ、愛紗さんなら……そこに………」
信玄「違いますよ、朱里! あの将は『天の国で伝わる関雲長』に……似ているのです! ……不自然な程に…………!」
星、朱里「────────!」
愛紗「わ、私かぁぁぁ!?!?」
ーーーーー
颯馬「─────関雲長!! それと……昌景殿達が! 信長、謙信殿! 紹運殿と宗茂の手伝いを頼む!!」
信長「任されてやろう。 ……だが、良いか? この私が素直に命令を聞いてやるのは……颯馬……お前だからだ!! 覚えておくがいい!」
謙信「わかった! 私も軍師殿の指示なら、火の中水の中! ……その……閨の中でも……行くぞ……。 って、何を言ってしまうんだ、私は!!! ──す、すすす──っ、すまぬ! 私も……行ってくる!!」
颯馬「……?」
ーーーーー
華琳「………あれが『天の国の関雲長』!! ほ、欲しい! 私の臣下に加わえなければ──!!」
蓮華「か、華琳! 貴女は……我が孫呉の臣下!! 勝手な事など……させないわよ!!
それに───あの将は、我が兵士を多数虐殺した!! この修羅場を見ても、命を助け臣下に欲しいなど………許せない!! 私が!!!」ダッ!
信廉「───孫仲謀殿! 颯馬……私は後を追います!!
貴方も……気を付けて!!」ダッ!
颯馬「頼みます!! 信廉殿!!!」
ーーーーー
冥琳「………思春、明命! ご苦労!!」
雪蓮「────これは!? 皆!! 直ぐに警戒態勢!!! いえ、戦闘準備を早く──!!! ─────蓮華!? 行くなぁ!!!」
☆☆★
ダッダッダッダッダッダッ!
蓮華「わが名は『孫仲謀』!! 我が国! 我が民! 我が兵に危害を加える将よ!! 孫策の代わりに私が──お前を裁く!!!」
信廉「お止めなさい!! 貴女では──関羽に油を注ぐ結果に!!」
カンウ「───ソ、『孫権』ダト!? 『碧眼ノ小童』───!! 『兄者』ハ! 『兄者』ハ────!!! グガアアアアァァァアアア!!!」
ガキーン! バキッ! カチン! バキン! ボロッ!
ーーーーー
思春「鎖が──!?」
明命「鎖を持つ手を離して────きゃっ!!」
ーーーーー
カンウの身体が急に膨れ上がり、鎖を弾き飛ばした!!
カンウ「クハァァ────ッ! 呂蒙ノ献策ヲ受ケイレ……陸遜ヲ命ジ……ワレヲ謀リテ……捕ラエ処刑ヲ……!! シカモ……兄者ヲ愚弄シタ……信義無キ者!!! 許サン! 許スワケニハ……イカン!!!」
……ズシン! ………ズシン! ……ズシン!
蓮華「……えっ!? ───えっ!? 」
信廉「は、早く──お逃げくだ─! くっ、間に合わない!! 」
氣当たりを受け、動けない二人に……カンウの狂刃が閃く!!
カンウ「ワガ恨ミ───思イ 『 ───させないわよ!!』 ──!!」
ガキィ─────ン!
後ろより攻撃を仕掛けた雪蓮の『南海覇王』をカンウが易々と受ける!
雪蓮「蓮華! 何をしてるの!! 早く逃げなさい!!!」
蓮華「──! ね、姉様!!」
冥琳「信廉殿! すまない! 貴殿も下がれ!
──思春! 蓮華様を遠ざけよ!!
諸将!! 頼む!! 蓮華様と雪蓮を守ってくれ───!!」
☆★★
霞「はっ! あない強敵…貂蝉以外…相手したことなんぞ……あらへんやったからな!! こりゃ……久々に──完全燃焼や!!!」
恋「………貂蝉……倒すつもりで……全力!!!!」
道雪「私の……この身では足手まとい! 紹運達を応援しましょう!」
ーーーーー
星「筒井並みの強さ……か? やれやれ……この世は、なんと強敵に恵まれているのやら……。 だが……連闘だけは勘弁して欲しいな……!!」
愛紗「あ……あれが…私? あ、兄者とは兄上の事か? ん? 姉上も向こうで…男なら……兄上!? 『愛紗! 考え事など後にしろ!!』──ぐっ!」
義清「くうぅぅ──!! このような強敵相手に槍を振るえるなど、村上家の名誉!! そ、それに、兄者へ……私が背中を任せられる者に相応しいか! 頼りになるか! ……お見せしなければ!!」
華琳「…一度、刃を交えて……実力を知らないと。 曹孟徳! ……この戦闘、参戦させて頂く!」
信玄「諸将! 相手は『関羽』を名乗る怪物! 皆で突撃しても勝てません!
ですので……私が采配を振るいますから、その指示に従って下さい!!」
ーーーーー
信長「──おっ! 私達も参戦しよう! 謙信! 行くぞ!!」
謙信「道雪殿! 私達は『関羽』と対峙する! 忠勝殿達の事……頼む!!」
道雪「任されましょう!」
ーーーーー
朱里「…………一存さんは大丈夫です! 身体が鍛えてあったため、命に別状は無いですよ!!」
長慶「そうか………ありがとう! 朱里!」
ーーーーー
忠勝「拙者も……まだまだで……ござる! これでは、直政に笑われるでござるよ…………」
昌景「はははっ! まずは、お互い無事である事を喜ぼう! ………戦は何回重ねても……初陣の覚悟で赴かなければな!!」
ーーーーー
颯馬「───凪! 油とか『火が点く水みたいな物』……どっかに無いか探してきてくれ!!」
凪「はいっ!! 」
ーーーーーーーーー
信玄「陣を二段に分け、長柄の者が前方! 剣、刀の物が後方! 敵を三方包囲するのです! 義清、鹿介、信廉、関雲長、曹孟徳は待機!! 攻撃する度に、次の相手右側から後ろへ回り込む(逆時計回り)で交代!
─────武田流《巴の闘陣法》で撃って出ますよ!!」
ーーーーー
霞「──なら、まず先陣切らんとあかんな! 『神速』の張文遠! 行くでぇぇぇ────!!」
ブゥゥ────ン! ガキィン! クルッ!
雪蓮「『江東の小覇王』こと孫伯符!! 亡き将兵達の仇! 取らせてもらうわ!!」
ザシュ────!!
ーーーーー
恋「──恋の力! 思い知れ!!」
ガガガァァ─────ン! クルリ!
謙信「『越後の軍神』の刃! 受けていただこう!!」
シュ──────ン!!
ーーーーー
星「このような強敵と刃を交えるのは、武人としての喜び! だが、こういう勝負に勝利して、主より誉め言葉を賜う事こそ……至上の喜び!!!」
シュンシュンシュンシュン!! クルッ!
信長「武で破壊する事は不定はせん! だが……その尻拭いも出来ず、ただ暴れるだけとは……思量が足りんわ!!」
ゴシュ──────!!
ーーーーー
▼▽▲ ▲▽▼ ▼▽▲ ▲▽▼
《 巴の闘陣法 》
六人三組、得物の長短で分ける闘い方。
最初に……相手の持つ得物の長さと同じ者が一斉に掛かり、得物の間合いを覚えさせる。 次に違うタイプの得物を持つ者が攻め、間合いの感覚をずらす。
複数で行う為、長長長が長短長、短短短が長長短と、ランダムで変化するため、相手は間合い設定を……その度に修正し直すため……疲労が早くなる!!
▼▽▲ ▲▽▼ ▼▽▲ ▲▽▼
カンウ「オ、オノレェェェェ─────!!」
ブゥゥ─────ン!
恋「………ぐっ!」ガキィ!
霞「恋! ウチも助太刀するでぇ!!」ガン!
カンウの怒りに任せた横薙ぎの攻撃を、恋が受け止め、霞が加勢して抑え込む。
星「───どこを見ている! お前の相手は……此処だ!!」シュッ!
カンウが、二人に捉えられた冷艶鋸を、外すために四苦八苦していると……背後より星が攻勢を掛けた!!
カンウ「グオッ───!!」
ーーーーー
信玄「疲れた者、怪我をした者は、直ぐに申し出るように! 予備の将に代わって貰いますよ!!」
義清「私もやるぞ!!」
華琳「あの将を戦術で防ぐ……応用で使える方法は……無いかしら?」
信廉「姉上……さすがです!」
愛紗「………あの猪が私? 私も同じ猪……?」
鹿介「あの将一人で、此処まで手こずるとは………」
ーーーーー
凪「あ、天城様! 油壺と『白酒』の酒壺がありました!!」
颯馬「ありがとう! だけど……必要なさそうだな……」
ーーーーー
冥琳「………将対将の戦いに……こんな闘い方が……あるなんて!!」
明命「………私の武力では……及びもしません……」
ーーーーー
蓮華「………ご、ごめんなさい!」
思春「謝らなくてもよろしいです、蓮華様。 ただ、貴女様は次期孫呉に担う方であると同時に……我らの家族です。 我らの為に、お怒り下さる事……有り難いですが……御自分の身も御自愛下さい!」
★★★
ダダダダダダッ!!
祭「策殿達は───!? こっちか!! 」
亞莎「こ、こちらは……掃討出来ましたよ──!!」
穏「司馬懿達は、どうなりましたか~!?」
ーーーーー
宗茂「だ、駄目です! 呂蒙や陸遜が此処に来たと知ったら──!!」
紹運「~~~~言ったら、余計駄目だぁ!! 宗茂!!」
宗茂「あっ───!?」
ーーーーー
カンウ「『呂蒙』『陸遜』!! 仇ガ………揃ッタ───!!」ブワッ!
仇……二人の名前を聞いたカンウの氣が……更に膨れ上がる!!
霞「───急に強くなりおった!?」
恋「……た、耐えれない!!」
星「うわ────っ!!」
信玄「───皆! 急いで離れなさい!!」
ーーーーー
その事態の緊迫が、更に増すのを察知した颯馬は、用意していた物を──!
颯馬「凪!! 油壺を『関羽』に投げつけてくれ──!!」
凪「はい!」
カンウに向かう油壺……それは易々と得物で叩き壊される!!
カンウ「コンナモノ! 『ガチャン!』 ブハァ!? 『油』カ!!」
………が、颯馬の策の内。 後は、火を点けるのみ!!
颯馬「よし! 次は氣弾を放て!!」
凪「猛虎蹴撃!!」
カンウ「フ──ン!!」バシュ!
凪の蹴りより、虎形の氣弾が行くが……カンウの一振りで氣弾は消滅!!
颯馬「氣弾を消すか!! ………火を点ければ勝てるが。 ……よし!!」
颯馬は……少し黙思し………悲壮な決意を固めた!!
颯馬「……凪、松明を準備してくれ! それと、白酒も合わせて………」
凪「あ、天城様!! また……貴方は……自ら危険に飛び込んで……行くのですか!?」
その決意が……顔に現れていたようで、凪が止めに掛かるが…………。
颯馬「……それは違うよ。 此処では……安全な場所なんて無い。 軍師として拝命したからには、敵の損害甚大にし、味方の被害を抑える。 例え……命を懸けてでも。 だから、俺しか知らない方法で……火を点けるんだ!!
……『君達を守る為、行く事は、流れの如し』 ………後を頼むよ」
そう言って……寂しげに……されど、決意も固く決めた颯馬に……何も言い返せない!! そこへ……複数人の足音と共に声が掛かる!
愛紗「どうか、お待ち頂きたい!!」
そこに居たのは、予備戦力として……体力を消耗して居ない将達!!
愛紗「………御一人より二人の方が成功しやすい! 私も参戦させていただきます!! 」
義清「兄者! 兄者の背後を守る者として! 何故、私を呼ばぬ!! そんなに私が頼りないのか!!」
華琳「言った筈よ! 貴方の戦い振り、間近で見たいと…! 我が野望を達成する術は無き今! 一人の武人として死すのも…また良し!!」
鹿介「天城殿! 命じていただければ……命懸けで行いますぞ!」
紹運「大友勢の参戦無しでは……いい笑い話だ! 高橋紹運! この修羅場! 好き好んで参加させて頂く! 断っても却下するぞ!!」
信廉「……姉上より劣るかもしれませんが、『影の虎』の采配! 皆さんを必ず勝利に導いてみせます!!」
それを見ていた凪も参戦を申し出た!!
凪「…………分かりました! ならば、私も天城様の護衛! 参加する事、当然でしょう!! 行かせてもらいます!!!」
颯馬は……暫し唖然としていたが……足止めしてくれている将達にも、疲労がかなり出ている! 押し問答している間も惜しい!!
颯馬「……あ、ありがとう! それでは、策を説明する! 俺が『関羽』の三尺(約70㌢)まで間合いに入れるような隙を作ってくれ!
それと、祭殿! もしもの時……この火計! …………貴女に託します!」
祭「よく分からんが、颯馬が失敗した時は……儂が動けばいいのじゃな……」
天城颯馬による第二回目のカンウ討伐戦が始まった!!
ーーーーーーーーーーー
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あとがき
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
信玄の使用する陣法は……無論作者の考えであり、実在しません。
今までの策は七割近くは、作者の机上の策でして残り三割は、実在した策を使用、若しくは応用したものです。
ですから『武田に、そんな陣備えなんかないぞ!』とか言われると、作者としては困ってしまいます。 ただ、武田で代々伝わる武術があるとか、本で読みましたが……どうでしょう?
早く話を纏めて終わせたいのですが……どんどん長くなるこの話。
また、よろしければ読んで下さい!!
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義輝記の続編です。 よろしければ読んでください!