No.693732

英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~

soranoさん

外伝~人と精霊王女の邂逅~(前篇)

2014-06-14 00:18:44 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:1922   閲覧ユーザー数:1798

 

ゼクス中将の依頼内容である魔獣退治を受けたリィン達は、特徴やどこにいるかを聞いた後馬で高原をかけて魔獣を見つけた後協力して戦い、撃破した。

 

~ノルド高原~

 

「よし……退治できたか。」

「ええ、全員無事で何よりです。」

「ああ……これで少しは中将に恩返しができるというものだ。」

「フッ、殊勝なものだな。」

「フフ、よかったわね。」

「ふふ、それではすぐにでも報告に戻るとしましょうか。」

手配魔獣との戦闘の勝利にリィン達が喜んでいる中、戦いの前にアリサに召喚されて援護していたミルモはふらふらとどこかに向かった。

 

「あ、ミルモ!戻ってきなさい!」

ミルモの様子に気付いたアリサは慌てた様子でミルモに近づいた。

「全くもう……こんな所ではぐれたら、大変な事になるんだからね……って、何これ??」

ミルモに追いついたアリサは安堵の溜息を吐いた後目の前に見える空間の亀裂に気付いて目を丸くし

「………………」

ミルモは心配そうな表情で亀裂を見つめていた。

 

「アリサ?どうしたんだ?」

「あ、リィン。それにみんなも。これって何なのかしら?」

「へ――――」

アリサの言葉に呆けたリィン達はそれぞれ空間の中に入っている亀裂を見つめて呆けた。

「これは一体……」

「……その亀裂からこの大地とは異なる風を感じるな。」

「…………………」

亀裂を見つめたユーシスは驚き、ガイウスは静かな表情で呟き、エマは真剣な表情で亀裂を見つめ

「(もしかして……)―――フィニリィ。」

ある事に気付いたプリネはフィニリィを召喚した。

 

「何か用ですの?」

「フィニリィ、その亀裂の先はもしかして話にあった……」

「………………ええ。その亀裂の先から覚えのある気配――――”リスレドネーの領域”の気配を感じますから、その亀裂が精霊領域への入口になりますわ。」

「そう…………」

フィニリィの説明を聞いたプリネは考え込んだ。

「えっと、プリネさん?何か知っているようだけど……」

二人の様子を見たリィンはプリネに尋ね

「実は――――」

プリネはケルディックで知ったフィニリィがミルモから聞いた出来事―――”精霊王女リザイラ”が自然を守る為に人間界―――特に自然破壊が酷いエレボニア帝国への侵攻に備えて、その時を待っている事を説明した。

 

「ええっ!?せ、精霊達がエレボニア帝国の侵略を!?」

「確かに発展と共に自然が破壊される事はある意味、自然の道理だけど……」

「………………人間達の身勝手さに精霊達が怒りを抱いていた……という事ですか……」

「……精霊は自然と共に生きている意思ある存在だと伝承で聞いている。自分達の住処を守る為に立ち上がったという訳か。」

説明を聞き終えたアリサは驚き、リィンとエマは複雑そうな表情をし、ガイウスは静かな表情で呟いた後亀裂を見つめ

「……何故今まで黙っていた?」

目を伏せて考え込んでいたユーシスは真剣な表情でプリネに尋ねた。

 

「エレボニア帝国の問題である為、他国の皇族である私が口を出せば内政干渉になりますし……フィニリィの話では精霊は気が長いそうですから、少なくても数十年後の話の可能性もあるとの事ですから、お父様からエレボニア皇族の方達にそれとなく注意するように伝えて置く事が私の限界だったんです……―――今まで黙っていてすみません。」

「そ、そんな。プリネが謝る事じゃないわよ。」

「ええ……発展の為に自然を破壊し続けるエレボニア帝国の行動に対する精霊達の怒りはある意味当然でしょうし……」

自分達に謝罪したプリネにアリサは謙遜しながら答え、アリサの言葉に頷いたエマは真剣な表情で亀裂を見つめ

「それでこれからどうするつもりだ?エレボニア帝国の侵略を計画している精霊を統べる存在とやらが住まう領域とやらへの道があるようだが。」

ユーシスはプリネを見つめて尋ねた。

 

「勿論今から、リザイラ様の所に向かって何とか説得しようと思います。幸いこちらには”精霊王女”であるリザイラ様より位が上のフィニリィがいますから、話は聞いてくれると思いますし……」

「ま、貴方達には荷が重い話ですわ。私達がさっさと説得してきますから、貴方達は”特別実習”とやらを済ませてきなさい。」

「……………………」

プリネとフィニリィの話を聞いたリィン達はそれぞれ顔を見合わせて頷いた後二人を見つめてある事を口にした。

 

「いや……俺達も当然ついて行くよ。」

「え……」

リィンの言葉を聞いたプリネは呆け

「本来ならエレボニア帝国が解決するべき事なのに、留学生のプリネ一人に任せられないわ!」

「ええ、それに私達は仲間ですし。」

「フン、俺は帝国貴族の一人として祖国の戦争回避の為について行くだけだ。」

「ああ……それにこれも”特別実習”の一つだ。」

「クラスメイトとしては当然だけど……俺はプリネさんの護衛の一人でもあるから、護衛対象を一人で行かせられないよ。」

「皆さん…………わかりました。では、行きましょう……!」

リィン達の力強い言葉に微笑んだプリネは号令をかけ

「おおっ!」

号令に頷いたリィン達は亀裂の中に入って行った。

 

亀裂の中に入って行ったリィン達が見た光景は緑と綺麗な水に溢れた光景だった。

 

~精霊領域・リスレドネー~

 

「ここが精霊領域…………」

「綺麗…………こんな緑にあふれた場所、今まで見た事がないわ…………」

「まるでおとぎ話の中の世界に来たみたいです……」

精霊領域の緑豊かな光景に圧倒されたリィンやアリサ、エマは呆け

「―――なるほど。伝承上の存在である精霊を統べる者が住まう地として相応しい地と言った所か。」

「……ここに来てから感じる妙な”風”……これは一体……?」

ユーシスは真剣な表情で周囲を見回し、何かに気付いたガイウスは戸惑いの表情で周囲を見回した。

 

「―――どうやらガイウスさんは気付いたようですね。」

「へ……」

「き、気付いたって、何を??」

静かな口調で呟いたプリネの言葉を聞いたリィンは呆け、アリサは尋ねた。

「この不思議な気配……どうやらこの場所では”上位属性”が働くみたいですね。」

その時考え込んでいたエマは真剣な表情で答えた。

 

「あら……エマさんも気付いていたんですか。」

エマの答えを聞いたプリネは目を丸くし

「”上位属性”……!?」

リィンは驚いた後同じように驚いたアリサ達と共にエマを見つめた。

 

「地・水・火・風の4属性のアーツで魔獣の弱点を突けることは皆さんもご存知だと思います。この場所では、それに加えて時・空・幻の上位3属性が有効になっているみたいなんです。」

「ふむ……オレが今感じるこの妙な”風”の正体はそれか。今までと勝手が違うなら、気を付ける必要がありそうだな。」

「でも、エマ……よく気付いたわね?」

エマの説明を聞いたガイウスは頷き、アリサは不思議そうな表情で尋ね

「えっと……あはは。その、何となくの考察ですから。」

エマは苦笑しながら答えた。

 

「だが、考えは間違ってなさそうだ。精霊達が住まう領域だし、何かあるのかもしれない。」

「!………いや。どうやら早速”何か”が来たようだぞ。」

リィンの忠告を聞いたユーシスは周囲を見回して何かに気付いて目を細めて見つめ

「へ――――」

ユーシスの言葉に呆けたリィンが仲間達と共にユーシスが見つめる方向を見つめると”ディル・リフィーナ”にいる精霊―――”アースマン”、”ドリュアス”、”ユイチリ”、”ティエネー”が数体警戒の表情でリィン達の前に立ちはだかった!

 

「……!」

「な、何なの、こいつら……!?」

「人……のような姿をしている者もいるが……」

精霊達の登場にエマは気を引き締め、アリサとガイウスは戸惑い

「まさか奴等も異世界の精霊なのか?」

ユーシスは精霊達の行動を警戒しながらプリネに尋ねた。

「ええ……どうやら私達を”侵入者”として判断し、排除しに来たようですね……」

「クッ……相手を説得する為にもできれば戦いは避けたかったんだが……!」

ユーシスの疑問にプリネは頷いた後武器を構えて周囲を警戒し、リィンは唇を噛みしめた。

 

「…………!」

一方ミルモは真剣な表情で精霊達に自分の主――アリサやアリサの仲間であるリィン達は敵ではない事を伝え

「―――ミルモの言う通り、その者達はこの領域を荒らしに来たわけではありませんわ。その者達をリザイラの許へ通しなさい。」

フィニリィが周囲の精霊達を見回して言い、精霊達はそれぞれ戸惑いの様子で互いの顔を見合わせたが

「―――リスレドネーを守護せし精霊達よ、聞きなさい!我が名はフィニリィ!セテトリ地方の”光燐の谷”を守護する”精霊女王”!私とそこの人間達はこの領域を治めている主に用があって、この領域に参りました!道を開けなさい!これは”精霊女王”である私の命令ですわ!」

威厳を纏ったフィニリィの言葉を聞き、フィニリィが自分達の主をも超える精霊である事をすぐに悟った精霊達は慌てた様子でその場から去って行った。

 

「精霊達が……」

「去って行ってくれたわね……」

その様子を見ていたエマとアリサは呆け

「なるほどな。精霊の”王族”であるそいつの命令は、精霊達にとっては無視できないという事か。」

「ええ。ありがとう、フィニリィ。」

ユーシスの言葉に頷いたプリネはフィニリィに微笑み

「いえ。精霊達を導く存在の一人としてできれば同胞を傷つけたくありませんもの。」

微笑まれたフィニリィは威厳を纏って答え

「……幾ら精霊達を説得できる存在がいるとは言っても、精霊達に対してできるだけ刺激は避けるべきだろう。慎重に進もう。」

「おおっ!」

リィンは仲間達に号令をかけた。その後ミルモの案内によって慎重に奥へと進み、時折出会う精霊達はフィニリィの威厳と命令によって戦闘を避け、ようやく奥に到着すると領域の主らしき女性がリィン達に気付き、殺気をリィン達に向けながら近づいてきた…………

 

 

お待たせしました!次回、ついにご期待の人物が登場ですww


 
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