No.692778

真・恋姫†無双 裏√SG 第2話

桐生キラさん

こんにちは!
Second Generations 夏候覇伝其二です

2014-06-09 17:00:01 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:2269   閲覧ユーザー数:1986

 

 

 

秋菜「全隊整列!気をつけ!」

 

私の号令と共に、バラバラだった部隊の人員は一糸乱れぬ動きで並び、姿勢を整える

 

友紀「…」

 

この時ばかりは、あの友紀も集中してくれる。

なんでも、舐めた態度で挑んだら、凪さんから氣弾の洗礼を受けたんだとか

 

凪「よし!警邏隊の1番隊3番隊揃ったようだな。これより訓練を始める!」

 

兵士s「ハ!」

 

凪「お前達は警邏隊所属ということもあり、基本は街の問題に対応してもらっている。

悪漢が出たら制圧するのも、お前達の仕事だ!

しかし、警邏隊は基本的に武器の携帯を許可していない。

そこで、今日の訓練内容は無手による戦闘術を指南する!全員、準備はいいな!?」

 

兵士s「ハ!」

 

凪「声が小さいぞ!」

 

兵士s「ハ!!!」

 

兵士の気合いの入った返事の後、訓練は開始される。

素手による戦闘術は、二人一組になり、実戦形式で行われる。

そこで、凪さんが見て回り、助言をしてくれるのだ

 

秋菜「なら、私の相手は友紀だな」

 

友紀「ま、そうなるだろうよ」

 

私の相手は必然的に友紀になる。力が均衡している者でないと、この訓練は成り立たない

 

友紀「しかし、この平和な世の中で、今でもこうして戦う為の訓練って必然なのかね?」

 

友紀は私と組手をしながら話しかける。そういう友紀だが、本人はかなり強い部類に入る

 

友紀の言う通り、この大陸はかつて戦乱の渦中にあった17年前と比べると、

幾分かは平和になったらしい。が、それでも脅威が無くなった訳ではなく、

いまだに賊や悪行を重ねる者もいる。故に、こうして力を付ける事は必要なのだ。

何かを守る為には…

 

秋菜「必要だから、やるのだろう」

 

私はそう答える。対する友紀は、私を品定めするかのように見てくる

 

友紀「お前は、なんで軍に入ったんだ?」

 

秋菜「私が軍に入った理由?」

 

友紀「あぁ。お前なら、あの『晋』で働く事も出来たはずだろ?」

 

秋菜「ふむ…まぁ言ってしまえば、母上の影響が強いな。

私は母上を敬愛しているし、母上のように強い女性になりたかったのだ。

そして強くなり、家族を、大切な者達を守れるようになりたいのだ。

恐らく、凪紗も同じ気持ちだぞ」

 

まぁ父上には反対されまくったがな。あの人は本当に心配性というか、過保護というか…

 

友紀「ふーん…なら、なんで同じ気持ちだったお前の兄貴は、軍を辞めたんだろうな」

 

秋菜「ん?何か言ったか?」

 

友紀が何かを呟いていたが、訓練中ということもあり、よく聞き取れなかった

 

友紀「いや、なんでもないさ。ただの独り言」

 

秋菜「そうか。そういうお前は、何故軍に入ったのだ?」

 

友紀「そりゃもちろん、羽振りが良かったから!」

 

そんな理由で…そして力があるからタチが悪い…

 

 

 

 

凪「これより、私及び許褚将軍が直々に相手をする!覚悟が決まった者からかかって来い!」

 

季衣「お!やっと出番かぁ、遅いよ凪!待たされた分、めいいっぱい暴れちゃうぞ!」

 

前半の訓練は、言ってしまえば後半のこの模擬戦の為の準備運動のようなもの。

ここからが今日の訓練の本番だ

 

模擬戦の相手は凪さんか季衣さん。

武器の使用も許可されているが、それは向こうも同じだ。

季衣さんは何処からか出した鉄球を振り回している。

あの細い身で、一体何処からあんな物を振り回す力があるというのだ

 

友紀「うわ、許褚将軍とは当たりたくねぇ。見ろ、兵士がゴミのようにぶっ飛ばされていくぞ」

 

確かに、覚悟の決まった者から一斉に季衣さんに向かって行ったが、

ことごとく返り討ちにあっている

 

秋菜「流石に、あの戦乱の世を生き抜いただけあると言うことだ」

 

母上や叔母様の話によると、許褚将軍は今の私より幼い年齢の頃から、

前線で戦を支えていたらしい。その活躍から、その力虎の如く、とも言われていたらしい

 

私個人としては、季衣さんは昔からの『晋』の常連ということもあり、

良く食べる人という印象の方が強い。顔つきは可愛い系だが、どこかかっこ良くて、

すらっとした体型。桃色の少し長めの髪を後ろに束ねた、頼れるお姉さんという感じだ

 

秋菜「さて、私は凪さんに挑もうかな。お前はどうする?」

 

私は弓を担ぎ、友紀に聞いてみる。友紀は小太刀を二本、逆手に持ち、此方を見て微笑む

 

友紀「ふん、付き合ってやるぜ?しっかり援護しろよ!」

 

友紀は一気に走り出し、凪さんに向かって行く。

友紀の接近に気付いた凪さんは少し微笑み、周りに居た兵士達を吹き飛ばして構える

 

友紀「王異!挑ませてもらいます!」

 

秋菜「夏侯覇!王異の援護に入ります!」

 

凪「二人がかりか…来い!」

 

私は友紀が激突する前に、弓で凪さんの注意を逸らす。

氣を込めた矢を放つが、凪さんはそれをいとも簡単に掴み、そして握り潰した

 

友紀「飛んできた矢を掴むか普通?」

 

そう文句を垂れながら、友紀は二刀の短剣を重ねて突っ込む。

対する凪さんは、これを拳一つで受け止めた……いや!

 

 

ガキィン!

 

 

友紀「うわ!」

 

受け止めるどころか、弾き返した。友紀は態勢を崩されながらも、なんとか後退する

 

秋菜「シッ!!」

 

私は友紀が態勢を立て直す為に援護射撃を行う。数本の矢を連射。

しかし、流石に凪さんだ。目的は達成されそうだが、矢で倒す事は不可能のようだ。

全て弾かれてしまった

 

凪「流石に、あの秋蘭さんの娘だ。以前より更に技が磨かれている」

 

秋菜「お褒めに預かり、光栄です。友紀、いけそうか?」

 

友紀「悪りぃな秋菜。つか、楽進将軍もホント化け物だよな。あんな連射、私なら捌けない」

 

秋菜「ほう?お前が褒めるのは珍しいな」

 

それとも、気を遣ってくれたか?

 

友紀「あぁ?そんなつもりはなかったが、嬉しかったか?」

 

友紀はニッと笑い聞いてくる。こんな奴でも、私の先輩で、一時期は尊敬もしていた

 

秋菜「ふっ、どうだかな」

 

正直に言えば、嬉しかったかもしれないが、

そんな事を言ってはこいつが付け上がるのは目に見えているので言わない

 

友紀「相変わらず、可愛げのない」

 

友紀はつまらない、と言った様子でも、短剣を構え直し、凪さんに相対する

 

友紀「まぁいい。秋菜、しっかりついて来い。私に当てたりしたら酒奢ってもらうからな」

 

秋菜「万に一もないが、気をつけておこう」

 

凪「ふふ!二人とも良い気迫だ。私に勝てたら夕食をご馳走しよう」

 

その凪さんの提案に、私と友紀はお互い顔を合わせ、そして笑みを浮かべる

 

秋菜・友紀「絶対勝つ!」

 

私と友紀は凪さんに突っ込んで行った

 

 

 

 

秋菜「はぁ…はぁ…」

 

友紀「ば…ばけもんめ…」

 

私と友紀は二人して大の字で倒れていた。そのすぐそばには、凪さんと季衣さんが立っている

 

季衣「惜しかったねー。でもよく頑張ったよ!」

 

凪「あぁ、二人とも、ずいぶん強くなった。流石の私も、少し本気を出してしまった」

 

なら、なぜ呼吸の一つも乱れない…

 

凪「さて、今日の訓練はここまで!全員、しっかり体を休めておくように!」

 

凪さんの号令に、歓声にも似た声があがる。

よく見れば、私達以外の兵士も倒れていた。おそらく季衣さんがぶっ飛ばしたのだろう

 

季衣「いやぁ〜、いっぱい動いたなぁ!秋菜達の代の警邏隊は皆根性あるから、

限界まで諦めないで立ち向かってくるんだよねー」

 

凪「あぁ、精神が良く鍛えられている。皆、良き兵士になるだろう」

 

凪さんと季衣さんの言葉を聞き、私は倒れながらも嬉しくなってしまう。

自分の部隊の人間を褒められるのは、自分の事のように嬉しい

 

友紀「はぁ…はぁ…秋菜、立てるか?」

 

友紀はゆっくり立ち上がり、私に手を差しのばしてくる。私はそれに掴まり、立ち上がる

 

秋菜「すまんな」

 

友紀「チッ、勝てなかったか…私もまだま…」

 

 

「あれ?一足遅かったか?しまったなぁ。訓練やってるって聞いたから駆けつけたのに」

 

 

凪「馬超将軍!お久しぶりです」

 

訓練所に、蜀の五虎将の一人である馬超将軍がやって来た。

そう言えば今日、洛陽から北郷様が来ると報告があったな。

恐らく馬超将軍は北郷様の護衛で来たのだろう

 

私は慌てて姿勢を整えるが、馬超将軍は「おっと、気にしなくて良いぜ」と気を使ってくれた

 

翠「久しぶりだな、秋菜!今日はご主人様と一緒に『晋』に寄らせてもらうよ!」

 

秋菜「お久しぶりです、馬超将軍。それと、了解しました。父上にも伝えておきます」

 

これは、今日の『晋』は大忙しだな

 

翠「おいおい、馬超将軍なんてこそばゆいなぁ。翠でいいんだぜ?」

 

確かに、仕事以外の場では翠さんと呼んでいるが

 

秋菜「いえ、今は職務中なので」

 

季衣「あは、相変わらず秋菜はお堅いなぁ。ボクの事も仕事中は許褚将軍だもんねー」

 

凪「公私を分けるのは悪い事ではないですからね。秋菜の判断は間違いではないかと」

 

翠「つっても、ちっちぇ頃からの付き合いだからさ。

まぁいいや。ところで、秋菜の隣にいる子は誰だ?」

 

翠さんは友紀を指して言う。そうか、この二人初対面なのか

 

秋菜「こちら、王異と言って、私の部隊の副官の一人です」

 

翠「へぇ、よろしくな王異!あたしは馬超、字は孟起ってんだ!仲良くしようぜ!」

 

そう言って、翠さんは友紀に手を差し出す。そんな様子を私はボンヤリと眺めていたが…

 

秋菜「…ん?」

 

今一瞬、友紀の雰囲気が…

 

友紀「はい、よく存じ上げています、馬超将軍。

私は王異といいます。よろしくお願いします」

 

外面だけはいい友紀は、笑顔で翠さんの手を握り、握手を果たす。

んー?私の気のせいか?今、本当に一瞬だけ友紀の雰囲気が黒く変わった様に感じたが…

 

友紀「あはは!」

 

友紀は翠さんと仲良く談笑している。やはり、思い過ごしのようだな

 

 


 
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