No.690386

【獣機特警K-9ⅡG】漢ネルソン、奮闘す!!【交流】

古淵工機さん

情に厚くて義理堅い、だけど女の子の前ではちょっと照れ屋な男の一幕。

■出演
ミランシャ:http://www.tinami.com/view/650820
ナディ:http://www.tinami.com/view/636190

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2014-05-30 22:02:58 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:905   閲覧ユーザー数:879

雨の降りしきるラミナ自然保護区。この一角で銃声が響いた。

「へっへっへっへ…。アネさん、こんなもんでええでっしゃろ」

「雨の日はなかなかレンジャーどもも出てこれないからねェ。よぉし出せッ!!」

撃たれていたのは大量のサイ。密猟にあたっていたのは赤いネコ形ロボットの女と、

ヒゲを蓄えサングラスをかけたカバ形ファンガーの男の二人組だった。

二人はトラックの荷台にありったけのサイを積み込むと、どこへともなく走り去っていった。

 

「待てー!…クソ、遅かったか!!」

密猟者がいるとの通報を受け、トラ形ファンガーのザリャーはすぐに駆けつけたのだが、

時すでに遅く、サイは持ち去られた後だった。跡には雨で流れたおびただしい量の血液が、草を赤く染め上げていた…。

翌日、ベースキャンプ会議室。

「すでに今週に入って5件目だ。しかもオレが駆けつけたときには犯人の影も形もありゃしねえ」

説明するザリャーに、ミランシャは考え込む。

「まさに神出鬼没。しかも我々でさえうかつに出てこれない雨天を狙うなんて、考えたわね…」

「なんて奴らだ!ナディ、奴ら裁き受けさせてやる!!」

机を叩き怒りををあらわにするサザル族のナディを、隣にいたリス形ファンガー・マイは必死になだめていた。

「とにかく、今まで以上に監視を強化していきましょう。これ以上サイの密猟を許すわけにはいかないわ」

「ラジャー!!」

…密猟現場付近の監視キャビンの中。

「でも、神出鬼没の相手なんてどうやって探すんですか?」

と、マイが訊ねる。

「んー、それが問題だな。もっとも、見つけ次第とっ捕まえてきっちり搾り出してやらねえと」

短銃を整備しながらザリャーが応える。

「だいいち、パトロールするにしたって…範囲が広すぎちゃな…」

考え込む一同。すると、メンバーの中にいたブタ形ファンガーのネルソンが立ち上がる。

「…よし、俺が探してみよう」

「ムリですよ!だってネルソンさんは銃すら持ってないじゃないですか!!」

「そうだ、一人で行くムチャだ!ネルソン死に行くようなもの!!」

「もちろん一人では行かないさ。まず犯人を探し当てるにはわずかな痕跡を探り当てる必要もあるし、それに遠距離のサポートも必要だろう…つまり」

と、ネルソンはここまで言いかけて、ナディとシンディの肩を叩く。

 

「キミたちにも一緒についてきてもらいたい。いいかな」

「わかった!ナディ任せとけ!!」

「あたしもどこまでやれるかわかんないけど…野生のカンでなんとしても探し当ててやる!!」

と、意気込む三人に、ザリャーとマイが声をかける。

「あんまりムチャすんなよ。何かあったらすぐ連絡してくれ」

「そうですよ。皆さん銃を持ってないんですから、返り討ちにされるキケンも…」

と、マイが言いかけたとき、ネルソンは応えた。

「マイちゃん。銃を持ってないからといって、オレは簡単にやられたりしないさ。なにしろ…」

そのとき、キャビンの近くで銃声が響いた!

「おいでなすったか!結構近いよ!!血の匂いがする!!」

シンディがすぐ反応する。

「なんだと!?もう許せん!ネルソン、車出してくれ!!」

「よし!しっかり捕まってろ!!」

勇んで車を出す三人。アクセルを踏み込み、密猟現場へと急行する!!

 

その頃の密猟現場。

いつものように冒頭の二人組が、サイをトラックに積み込んでいた。

「しかしアネさん、なんや今回えらいぬかるんでますなあ」

「連日連夜の雨だからね。多少は仕方ないだろ」

「せやけど、こんなんで時間食うてたらレンジャーが来てまいまっせ」

「なに、こういうときのためのアサルトライフルだ。マシンガンも持ってるんだ、恐れるに足りないよ」

そう語っていた二人組の目の前に、数本の矢が突き刺さった!!

「わっ!?あ、アネさん、来よった来よりましたでぇ!!」

慌てふためくカバ男のそばで、不敵な笑みを浮かべるネコ女。

そんな二人に、ナディの怒号が響く。

「覚悟しろ!オマエ達、サイ殺した。裁き受けさせてやる!!」

「ああ、そうかい?やれるもんならやってみな!!」

ネコ女はマシンガンをめくらめっぽうに発射する。

 

「うわっ!あいつ…!!」

「抵抗するな!やるだけムダ、罪重くなるだけ!!」

ナディは弓矢を放ち、飛んでくる銃弾を跳ね返す。

「あわわわ…アネさんどないしまひょ…」

「フン、これも想定内なんだよ!!」

ネコ女はそういうと、ポケットの中から手榴弾を取り出し、車に向かって投げつけた!!

 

「あぶない!みんな車から離れろッ!!」

ネルソンの声に、車から離れるナディとシンディ。

そして直後、手榴弾は車に命中し、大爆発を起こした。

「はっはっは!これであいつらも無事じゃ済まないだろうねェ」

高らかに勝ち誇った表情のネコ女。だがその横で、カバ男はあるものを発見するや、恐怖におびえた表情を浮かべた。

「あ、アネさん、あれ…」

「あん?ただの岩じゃないのかい?まあいい、もしやつらの生き残りならトドメをさすだけ…」

と、炎の前にうごめく影に女が近づいたときだった。

 

「どぉぉぉっ…せええええええええっ!!」

「う、うわ!?」

突然、その影に女は投げ飛ばされた。衝撃で尻餅をついてしまう女。

「あ、アネさん!!」

「いてて…何モンだいあいつ…!!」

炎の中から出てきた影…それはネルソンだった!

 

「くそぉ!よくもアネさんを投げ飛ばしよってからにー!!」

半ばやけを起こしたカバ男が、全ての武器をかなぐり捨ててネルソンに向かっていく。しかし…。

「そぉぉぉいやあああああああああっっ!!」

「う、うわわわぁぁ!!」

なんということだろう。身体の大きさだけなら自身の1.5倍はあろうかという相手にもかかわらず、

ネルソンはその相手に巴投げを食らわせてしまったのである。たまらずもだえ苦しむカバ男。

 

「俺は銃の類いは嫌いでね。銃は持っちゃいないが、そのかわりちょいとばかり柔道をたしなんでいてね」

「こ、こいつ、なんて男だい…くそっ、こうなりゃさっさと退散だよ!!」

「へ、へい!」

動転している二人組がトラックに向かおうとしたとき、なんとトラックの車体が何者かによって持ち上げられていた!!。

「な…何なんだよ今度は!?」

「やっぱりあなたたちだったんですね。サイさんにこんなひどいことするなんて許せません!!それーっ!!!」

マイはトラックの車体を勢いよく二人組の目の前に投げつける。

「ひ、ひいいっ!!」

次から次に現れる超人の前に、たまらず失禁してしまう密猟者たち。

その後方からは、通報を受けて駆けつけたパトカーの姿があった。

 

パトカーから降りてきたのはラミナ警察署・K-9隊のイシス・ミツザワとジョナサン・ボーイング。

「警察よ。サイの密猟が多発していると通報があったわ」

「野生動物保護法違反ならびに殺人未遂の現行犯だ!さぁ大人しくお縄につけ!!」

「「は、はいぃぃぃ!!」」

事件の翌日、ベースキャンプ。

「ご苦労様。これでしばらく密猟は減るでしょうね」

と、コーヒーを飲みながらミランシャは一息つくと、ネルソンのほうに向き直り告げた。

「…でも、銃をもたずに密猟者に向かっていくなんて恐れ入ったわ。普通できないわよ?」

「いや、あの時はどうしても許せなかったもんで…無我夢中だっただけさ…」

と、恥ずかしそうに頭をかくネルソンに、マイとシンディ、ナディが声をかけた。

「でも、あの時のネルソンさんかっこよかったです!」

「ほんとほんと!」

「ネルソンのジュードー、すごく強かった!」

「え?あ、いやぁ…」

さらに顔を赤くするネルソンに、ナディがさらに続ける。

 

「今度、ナディにもジュードーのケイコしてくれ!ナディ、もっと強くなりたい!!」

「ちょ、ちょっとナディさん!」

「ハハハ、わかったわかった。今度の日曜でいいな?」

 

…自然を愛し、仲間を愛する男、ネルソン・ケンワース。

彼の抱いた信念は、きっとどんな宝石にも勝る美しさと堅さを兼ね備えているのだろう。

 

 

 


 
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