No.690219

島津一刀と猫耳軍師 2週目 第34話

黒天さん

今回は天華さんオンリーのお話。
とうとうガチロリ勢にも一刀の魔(?)の手が……。

2014-05-29 23:56:59 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:9400   閲覧ユーザー数:6087

今日も今日とて戦後処理。とはいっても今は庭で休憩中だけど。

 

戦後処理といえば、天華から今回の褒賞どうする? っていう相談をされた。

 

天華的には俺を大将軍かなんかに昇格させたかったらしいけど。

 

俺は辞退しておいた。正直みんなと対等な今の一介の将って身分が気に入ってるし。

 

「なら一刀は何が欲しいのだ?」

 

「んー。別に領地もいらないし、お給料は財政難の時期を脱して増えたから満足だし……。

 

欲しい物って無いなぁ……」

 

「無欲なのはいいが、あれだけの功績をたてたのだから、何かしないとこちらの立場もあるのだからな?

 

それにお前に褒賞を突っ返えされたら顔が潰れる」

 

「んー。普通に昇給とかでもいいんだけど……」

 

「まぁ今日返事を出さなくてもいい。それはそうとだ」

 

天華がぐっと顔を近づけてきてジト目でじーっと俺の目を覗き込み

 

「いつになったら私の部屋に遊びに来るのだ? 忘れていたなどというなら張り倒すぞ」

 

いや、忘れてたわけじゃないんだけどさ……。

 

桂花から『皇帝が真名を呼ばす異性は伴侶か肉親以外にありえない』って話しを聞いたら行くに行けなくなっちゃったんだけど……。

 

天華が好意を持ってくれてるのをなんとなく分かってるから余計に。

「うーん、でも変な噂とか立ったら困るって思うと何か遠慮が」

 

「どこからそんな噂が立つというのだ。将や軍師なら用事でこちらの城に来るのも普通だろう」

 

「というかここでこうしてる時点で変な噂立ちそうだけどねぇ」

 

というのも、現在進行形で庭でお茶飲んでる上に、天華が何を思ったか、麗ちゃんと服交換してメイド服なんか着てるから。

 

いやとっても可愛いから嬉しいのは嬉しいんだけど。

 

休憩中にお茶飲みながら話す話題なのかなーとか思ったりしつつ。

 

前に愛紗が斬りかかって来たことがあったなぁ、そういえば。

 

確か月とお茶飲んでた時に……。

 

「一刀様、昼間から侍女を相手に鼻の下を伸ばしているとはよいご身分ですね?」

 

そうそうこんな感じでっ!?

 

と、とっさに青龍偃月刀を白刃取り。

 

「死んだらどうする!」

 

「鼻先で止めるツモリでしたが? というよりまた侍女が増えたのですか?」

 

青筋立てながら青龍刀にぐいぐいと力を入れてくる愛紗。切れる!? 顔が切れちゃうよ!?

「……、関雲長、私の顔がわからぬか?」

 

俺の正面でお茶をすすりながら盛大に溜息をつく天華。

 

トレードマークのでっかいリボンも外してるし、天華の顔をいつも見てないとわかんないかもなぁ。

 

数秒の間、愛紗が硬直し……、その間俺は偃月刀を白刃取りしたままの姿勢で必死にその刃を押しとどめている。

 

「りゅ、劉協様!? 何故そのような格好を!?」

 

「私の友人がいつも着ているのでな、着てみたくなったのだ。単なる戯れだよ。

 

安心しろ、一刀が着ろと言ったのではないし、友人の服を借りているから無駄金も使っていない。

 

それより、そろそろ刃を引いてやらなくて良いのか?」

 

そういって肩をすくめると、愛紗が慌てて偃月刀に込めた力を抜いた。

 

うーん、俺が王様やってた頃と違って天華は威厳があるなぁ……。

 

「ま、はたから見ればのんきに茶を飲んでるようにしか見えんだろうが、これでも仕事の話しもしている。

 

出来れば邪魔をするのは控えてもらいたいものだが?」

 

「は、はい、申し訳ありませんでしたっ!」

 

「ああそうだ、関雲長、それにお前の妹分の張翼徳も、今回の戦の褒賞で、お前の扱いを降将から通常の将の扱いまで格上げする予定だが、問題無いか?」

 

「はい、ありがたく思います」

 

ちなみに朱里は政関係ですでにかなり評価されてて詠や桂花達と同等までにはなってる。

 

といっても、序列はあってないような物で違うのは給料ぐらいのものだけど。基本、ウチの人間ってあんまり命令しないしなぁ。

 

……ちなみに天梁、静里、優雨、俺あたりが一番給料が多い。武官と文官と二足のわらじを履きこなしてる分で給料が上乗せされてるから。

 

「なら、今度正式にそのようにしよう。」

 

「はい。では私はここで失礼いたします」

 

天華の要件がおわると愛紗が去っていく。その背を見送って天華がため息。

 

「まぁいい、お前も褒賞は何がいいか考えておけよ?」

 

「んー、じゃあ、有給休暇をくれるっていうのは?」

 

「有給休暇か。要するに給料を貰える休日ということだな?」

 

「そうそう、任意の日に休めてかつ給料をもらえる、数日程度でいいし」

 

「ま、いいだろう。といっても、その有給休暇をもらってもお前は使わないのだろうがな。

 

それとだ、今夜予定があいているなら私の部屋に来い。いいか、待っているからな?」

 

「ん、分かった」

───────────────────────

 

そう返事はしたものの、やっぱりいざ行くとなると緊張するなぁ……。

 

それに夜に、っていうのもなんかこう……、変な想像しちゃうというかなんというか。

 

ドアをノックすると中から開いてるという声。

 

なんだかいつもと逆だな、何て思いながら部屋にはいると、

 

何だか今までみた部屋で一番女の子してる部屋かもしれない。

 

色こそ落ち着いた色合いだけど、ちょっとした可愛い小物とか一杯置いてあるし……。

 

普段の印象とかなり違うなぁ。

 

「何か私の部屋がおかしいか?」

 

「そんなことないけど」

 

……、ていうかなんで寝巻き姿なのさ。確かにあとは寝るだけって時間だけどさ。

 

ちょっと無防備すぎやしないだろうか。

 

「まぁ座れ」

 

そういってお酒と肴になるものを何品か机に置く。

 

天華の歳でお酒飲んでいいのかなぁ……。とか考えてると自分の分はお茶を用意してたようで、それを準備している。

「ここなら邪魔が入る心配はまず無いからゆっくり出来る」

 

「ははは、俺の部屋は仕事中でも休憩中でも人の出入りもそこそこあるしね」

 

「やはり……、私もどうしても人目がある所では自分の立場というものを考えてしまうしな。

 

正直言えば、素直にお前に甘えられる麗が羨ましい」

 

「あー、最近麗ちゃん激しいからなぁ……」

 

休憩してる時とかだと膝に乗っかってきたりするし。それを天華や桂花に見られた事もあるし……。

 

「天華もする?」

 

冗談のつもりでそういうと、こっくりと頷いて、こっちに歩いてきて俺の膝の上に座る。

 

……、本気だとは思わなかった。

 

「……、近いな」

 

「まぁそりゃ……」

 

当然天華の顔は目の前にあって、その目がじーっと俺を覗きこんできている。

 

ちょっと居心地悪い感じかも……。

 

あと寝間着姿の可愛い女の子が膝の上に乗っかってるのは精神衛生上とってもよろしくない。

 

恥ずかしいのかかすかに頬を染めた天華の表情もその一因だし。

「そういえば、桂花と婚約したそうだが、本当か?」

 

「ん、本当だよ」

 

「ふふ、私を妾にするか、ま、それもいいだろうさ」

 

「なんで急にそんな話しになるんだ……」

 

「聞いたことはないか? 『皇帝が真名を呼ばす異性は伴侶か肉親以外にありえない』という話しを」

 

「え、アレって本当の話しなの?」

 

「一応今まではそうだったらしいな。まぁ私は妾でも構わん」

 

「……、あれ、でもそれって相当ヤバくない?」

 

天華自身の想いはともかく、立場的な問題とか色々と……。

 

「このままでは相当ヤバいだろうな。が、まぁお前が皇帝になればいいのではないか?

 

世に平穏が訪れたら皇帝の椅子などくれてやる。そうなればお前が法だ、問題あるまい」

 

「ものすごい暴論だなぁ」

 

「私の気持ちは変わらん。おかしな相手と政略結婚のような形で縁組するより、意中の男の妾になる方がいい。

 

それに、……お前は私を嫌ってはおらんだろう?」

 

その問いかけの部分だけは、いつもの天華とはちがう何だか自信なさげな、縋るような感じの視線を向けてくる。

 

「もしそうだったらこうして膝に乗っけたりはしてないよ。

 

でも、まだ天華にはちょっと早いんじゃ……?」

 

「阿呆! もうちゃんと子供の作れる体になっている!

 

私だけでなく、麗や璃々だってそうだぞ? 確かに背も低いし子供のように見えるかもしれんがな。

 

体はちゃんと大人だ。薄いがちゃんと胸だってな……」

 

俺の手を掴んで自分の胸に触れさせて、そこで恥ずかしくなったのか顔を急に真っ赤にして。

 

可愛いなぁ……。

「……、ここまで言わせたんだ、せめて口付けぐらいはしていけ」

 

俺の膝にまたがり、向かい合うように座り直して、間近から俺の目をじっと覗き込む。

 

「天華がこんなに押しが強いとは思わなかったなぁ……」

 

「……、眭白兎の影響かもしれん。麗が殺されかけてから、白兎に護衛を頼む事もあるから、話す機会があって、

 

その考え方を聞いてな、お前も白兎の考え方はしってるだろう?

 

それに、お前は相当無茶をするというのが袁紹との戦いで分かったから尚更だ。

 

明日は死んでいるかもしれないとかんがえると、今すぐ抱けとでも命令してしまいたいぐらいだ」

 

「天華は俺にそう命令する?」

 

「せん。義務的に抱かれるなんてまっぴらだ。やはりお前から求めて欲しいと思う。

 

だから、もしそうしたいと少しでも思うなら、して欲しい。私はそう伝えるだけしかせん」

 

女の子にそこまで言わせて、しないっていうのもさすがに酷か。

 

手始めに背に手を回してゆっくりと引き寄せる。

 

そうすると明らかに慌てた様子の表情になり、自分でそういった手前、やめて欲しいとも言えないのか困った様子。

 

目を閉じるように促せば、素直に応じるものの、緊張してるのか体はカチコチ。

 

右手で頭を撫でるように髪を梳き、体に入った力が少し抜けてきた所で軽く唇を重ねる。

 

「……、手慣れた様子が何だか腹立たしいな。何人食ったのだ? このケダモノ……」

 

「そうだよ? 俺みたいなケダモノが抱いたら、体が小さな天華はこわれちゃうかもね」

 

「構わん……、壊せ」

 

少し怖がっているような、戸惑っているような硬い表情と声だけど、でもはっきりと天華はそう言った。

───────────────────────

 

「本当に壊されるかと思ったぞ……」

 

「優しくしたつもりなんだけど……」

 

「そういう問題ではなくてな。まぁ……いい」

 

そういって小さく笑う。壊されるかと思った、という割には割りと余裕な感じがする。

 

なんというか、いつもどおりの天華だ。

 

最中は可愛かったけどすぐ素に戻ってしまった。いやまぁ、普段も可愛いんだけど。

 

「それに、好いた男にその……される気持ちも分かったしな」

 

そういって、頬を染めて視線をそらす。

 

あぁ、可愛いなぁ……。

 

思わず天華を抱きしめて、頭をなでなでと。

 

「早く平穏な世にしなければな、私達も民も、戦に怯えることのない世にな。

 

たよりにしているぞ? 一刀」

 

「ん、頑張るよ」

 

「今日は……泊まっていくだろう? さすがにこのまますぐ帰られては私も寂しいし、な。

 

それに、お前がその気なら……な?」

 

そういって、幼さの残る顔に年齢不相応な妖艶な笑みを浮かべるのだった

 

あとがき

 

どうも黒天です。

 

やっと一人分できました。

 

今回は天華こと劉協さん。

 

最近精神的にちょっと落ち込んでるのでペースがかなり鈍いです。

 

気分を変えるのに神社に行ってみたりしましたが、

 

その神社でカラスに後頭部をキックされる等いいコト無いし……。

 

全快にはまだかかりそうです。

 

他キャラの分も途中までは書いてるので多分もうすぐ上がるとおもいますが……。

 

気長にお待ちくださいませ

 

さて、今回も最後まで読んでいただいてありがとうございました。

 

また次回にお会いしましょう。

 


 
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