No.689735

英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~

soranoさん

第37話

2014-05-27 20:03:58 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:2245   閲覧ユーザー数:2103

~ルナリア自然公園・奥地~

 

「なっ!?あの紋章は―――メンフィル帝国!」

「ええっ!?」

「こ、今度はメンフィル兵……!?」

「一体何が……」

メンフィル兵達の登場にラウラ達は驚き、リィンは呆けた様子でメンフィル兵達を見つめた。

「―――領邦軍の連中を一人残らず拘束しろ。」

「ハッ!」

そしてレーヴェの指示によってメンフィル兵達は領邦軍の兵士達を拘束し始め

「ええっ!?りょ、領邦軍の兵士達を……!?」

「レオン教官!一体何故彼らを拘束するのですか!?」

メンフィル兵達の行動を見たアリサは驚き、ラウラは真剣な表情でレーヴェを見つめて尋ねた。

 

「奴等はプリネ皇女を拘束・拉致をしようとし、挙句の果てには冤罪まで押し付けた”賊”だ。メンフィル帝国の軍人として皇族の身を狙い、皇族を侮辱した”賊”は拘束して当然だと思うが?」

「それは…………」

レーヴェの正論を聞いたラウラは複雑そうな表情をし

「その……どうしてメンフィル兵達がこんなにたくさん、ケルディックにいるんですか?」

エリオットはおずおずとレーヴェを見つめて尋ねた。

 

「―――”貴族派”と”革命派”の対立が激化し始めているこのエレボニアにメンフィルという新たな勢力を動かす事ができる”要”となるプリネ皇女が自国領にいる事がわかっていて、強引な性格や政策で知られているアルバレア公爵が何らかの策を講じている可能性が考えられたからな。昨夜、領邦軍の詰所に潜入した所、アルバレア公爵自身からプリネ皇女拘束の命が下ったとその領邦軍の隊長が口にしていた。そして俺はその計画を阻止する為にリウイ陛下に許可を貰い、部下達を昨夜の内にこのケルディックに呼び寄せただけだ。」

「…………………」

「という事は今回の件、既にお父様の耳にも入っているのね……」

レーヴェの口から出た驚愕の事実にリィンは口をパクパクさせ、プリネは静かな表情で呟き

「そ、そんな……じゃあ本当にアルバレア公爵が……」

アリサは信じられない表情をし

「他国の皇族誘拐に加えて皇族に冤罪を押し付けた罪は余りにも重い……しかも既にリウイ陛下に知られているとなると、エレボニア帝国は何らかの形でメンフィル帝国に”謝罪”を示さないと完全に外交問題へと発展するだろうな……」

「も、もしかして”戦争”とか……?」

重々しい様子を纏って呟いたラウラの話を聞いたエリオットは不安そうな表情をした。

 

「なっ!―――そこで一体何をやっているのですか!?」

その時驚いた様子の涼しげな女性の声が聞こえ

「え―――」

「――来たか。」

女性の声を聞いたリィンは呆け、レーヴェは冷静な表情で声がした方向を見つめた。すると灰色の軍服を身に纏い、武装した軍人達がその場に駆けつけ

(あの者達は……)

(間違いない……!”鉄道憲兵隊(T・M・F)”だ!)

(帝国正規軍の中でも最新鋭と言われている……)

軍人達の正体を知っているラウラ達は驚きの表情で軍人達―――鉄道憲兵隊を見つめた。すると隊を率いていると思われる可憐な容姿を持つ女性将校が現れてレーヴェを睨んだ。

 

「”氷の乙女(アイスメイデン)”クレア・リーヴェルト大尉……」

女性将校―――クレア大尉の姿を確認したプリネは真剣な表情でクレア大尉を見つめた。

「―――メンフィル帝国プリネ皇女親衛隊副隊長レオン=ハルト少佐。一体何故領邦軍の兵士達を拘束しているのですか?それにこれ程の数のメンフィル兵達の入国の許可は報告に受けていません!」

そしてレーヴェはクレア大尉にメンフィル兵達や自分達の行動の正当性を説明した。

 

「―――証拠としてプリネ皇女拘束、誘拐を指示したアルバレア公爵家の勅命書に加え、俺を含めたプリネ皇女以下数名がそれぞれに害なす者達への抵抗権並びに拘束権を認めるユーゲント皇帝陛下の勅命書もある。これでもまだ文句はあるのか?」

「クッ………!ならばせめて拘束した領邦軍の身柄をこちらに引き渡してください!こちらで詳細な調査を行います!」

レーヴェに2枚の勅命書を見せられ、反論を封じられたクレア大尉は唇を噛みしめてレーヴェを睨んで言ったが

「その必要はない。今回の件、メンフィル帝国は”エレボニア帝国との関係を悪化させない為”にも内密にユーゲント皇帝やアルバレア公爵を交えて”穏便に”処理するつもりだ。よって、貴様ら”鉄道憲兵隊”や”情報局”……――いや、”鉄血宰相”の出る幕はない。”エレボニア帝国の為”にも今回の件は”知らなかった事にする”方が得策だと思うが?」

「なんですって……!?」

「それとも下手に藪をつついて、世界中に国家間の関係の修復の為に留学して来た他国の皇女を拘束、誘拐しようとした上冤罪まで押し付けたエレボニア帝国の卑劣さを知らせたいのか?」

「クッ…………!」

不敵な笑みを浮かべるレーヴェに見つめられたクレア大尉はレーヴェを睨み

「フッ、心配しなくても捕えた領邦軍共は後で全員生きている状態でエレボニア帝国側に引き渡すつもりだ。その後はそいつらを好きにするがいい。」

クレア大尉に睨まれたレーヴェは静かな笑みを浮かべて言った。

「副隊長!領邦軍の拘束、完了しました!あちらの賊共はいかがなさいますか?」

「捨て置け。奴等の処遇に関しては鉄道憲兵隊にさせておけ。それに奴等も”元々そのつもり”でこの場に来ただろうしな。」

「ハッ!」

「……………」

メンフィル兵の質問に答えたレーヴェに視線を向けられたクレア大尉は唇を噛みしめてレーヴェを睨んでいた。

「もうこの場に用はない。―――総員、”帰還の耳飾り”による撤収を。」

「ハッ!」

そしてレーヴェとメンフィル兵達はメンフィル帝国が開発した魔法道具―――”帰還の耳飾り”を使って拘束した領邦軍と共に次々とその場から消えた!

 

「なっ!?」

「ええっ!?」

「き、消えた……」

「これは一体……」

レーヴェ達が消えた事にクレア大尉やアリサ達は驚き

「―――”帰還の耳飾り”。登録した場所に一度だけ帰還できる転移魔術が込められたメンフィル帝国で開発された魔法道具だ。奇襲や緊急脱出用にも使える応用性が高い魔法道具で、メンフィル軍では重宝されている物だ。」

レーヴェ達が消えた理由がわかっていたリィンは目を伏せながら答えた。

「リ、リィン……?」

「どうしてそんな事をリィンが……」

「それに何故軍で活用されている事を知っている?」

リィンの説明を聞いたアリサとエリオットは戸惑い、ラウラは真剣な表情でリィンを見つめた。

 

「……………」

アリサ達に見つめられたリィンは複雑そうな表情で黙り込み

「――リィンさん。話しても構いませんよ。私もそうですが、お父様達も”例の件”を話す事は禁じてはいませんし。」

「それは……」

プリネに促され、複雑そうな表情でアリサ達を見回した。

 

「た、大尉。我々はどうすれば……」

その時鉄道憲兵隊の隊員の一人が戸惑いの表情でクレア大尉に判断を促し

「………そちらの者達を拘束しなさい。元締め達の話によればプリネ姫を含めたそちらの学生さん達が犯人である可能性は絶対にあり得ません。盗品も回収し、速やかに持ち主に返却するように。」

「イエス、マム!」

気を取り直したクレア大尉の指示に敬礼で答えた後偽管理員達を拘束し始め

「ク、クソッ……」

「い、一体どうなってんだよ!?」

「は、話が違うじゃねえか!」

「何でメンフィルが出てきてあいつらを拘束するんだよ!?」

拘束されている偽管理員達はそれぞれ悔しそうな表情をし、クレア大尉はリィン達に近づいてきた。

 

(綺麗な人……)

(こ、こんな人が鉄道憲兵の……?)

((………………………))

クレア大尉の可憐な容姿を正面から見たアリサとエリオットは驚き、ラウラとプリネは真剣な表情でクレア大尉を見つめていた。

「―――犯人拘束のご協力、ありがとうございました。帝国軍・鉄道憲兵隊所属、クレア・リーヴェルト大尉です。トールズ士官学院の方々ですね?調書を取りたいので少々お付き合い願えませんか?」

クレア大尉はリィン達に名乗った後、先程レーヴェに向けた見た者が凍えるような厳しい表情が無かったかのような誰もが見惚れるような柔らかな微笑みを浮かべてリィン達を見つめた。

 

その後リィン達はクレア大尉達と共にケルディックに戻り、鉄道憲兵隊の調書の協力をし始めた。

 

 

 

 

本来ならクレア大尉の見せ場のはずが……という風になってしまいました。なお、4章でも同じような事が起こる予定ですww言っておきますけど、私はクレア大尉は好きですからね!?クレア大尉が仕えている奴が悪いのです(断言)


 
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