No.688630

がちゆり-松本りせ誕生日SS-2014

初音軍さん

会長誕生日おめでとう~。相手はもちろんせんせー♪
お互いをさりげなく想いあってる二人がかわいいのですが。
書いた内容は全然さりげなくないですね。
べたべたいちゃいちゃです。
ちなみに口べたや極端な小声の人だからって

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2014-05-23 08:45:41 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:716   閲覧ユーザー数:715

がちゆり-松本りせ誕生日SS 2014-

 

「お疲れ様でした、会長」

 

 可愛い後輩達の仕事を見ながら自ら仕事をしていたら思ったよりも早く仕事が

終わっていた。いつも気まぐれな大室さんが古谷さんに叱られながらも

よく手伝ってくれたのが結果に現れていた。

 

 私が立ち上がると、生徒会の中でよく私を見てくれている杉浦さんが

声をかけてくれた。私は杉浦さんに頭を軽く下げるといそいそと生徒会室を後にする。

 

 急いではいるが走らず、いつもよりちょっと速度を上げて歩いていく。

目的は職員室。普通の生徒は特に用事がない限りは寄らない場所だけど、

私は事務的な用事ではなく私用で先生に会いに行こうとしていた。

 

 いつも明るくて爆発していて、だけど一緒にいると落ち着ける西垣先生…。

周りは心配してくれるけど、私は巻き込まれても幸せだった。

願いが通じたのか職員室前までたどりつくとばったり先生と会うと

先生はいきなりすまなそうに顔の前に手をあげて謝る素振りを見せる。

 

「すまない、松本。これから職員会議があって時間かかりそうなんだ」

「…」

 

「遅くなると困るから今日は帰っててくれないか?」

「…」

 

 先生は私の顔を見て、優しい眼差しで見つめながら「そうか」と呟いてから

私の頭を撫でてくれた。

 言われた時、私は首を横に振って待つことを選んだのだ。

 

 多くの生徒が廊下を歩いて私の前を通っていく中、私は職員室の壁に背中を預ける。

途中見知った顔と会って頭を下げる。一応話もするけれど聞こえてないのはわかるから。

私の声が聞こえるのは西垣先生だけだから…。

 

 やがて生徒の気配もなくなって窓から差し込んでいた明かりも消えていき、

私は少し寂しく感じながらも動かずに目を瞑って先生の仕事が終わるのを待っていた。

真っ暗で情報は耳から入ってくるものだけ、他は遮断しているから職員室の中の音も

わずかながら聞こえてくる。他には細かい音、自分の呼吸の音。

 

 色々聞こえてはくるけれど、肝心のあの人の音が聞こえないのが寂しかった。

今日は私の誕生日で、一言でいいから言葉をもらいたかった。

それ以上を求めることはなかったのに、なんてタイミングが悪いんだろう。

 

 胸から溢れる想いが愛おしいものから苦しくなって目元が熱くなってくる。

そこからこぼれて、落ちるのと同時に私の背後から慌てて開けるような音が聞こえた。

 

「松本!」

「…」

 

「あはは、やっと終った。待たせたな」

 

 目を開けて声をしたほうに視線を向けるとずっと会いたかった人が目の前にいた。

私はすぐに飛びついて羽織っていた白衣にしがみつく。

視界の端に見える窓の景色はすっかり暗くなっていてどれだけ長く待っていたのだろう。

 

「そうだ、松本。今日は遅いから私のとこに来るか?」

「…」

 

「大丈夫、ちゃんと親御さんには連絡しとくから」

「…」

 

「あぁ、安心しろ」

 

 しばらくの間に抱きしめ合いながらお互いの耳元で囁いていた。

他の先生に見つかる前に先生が抱きしめる手を解いて歩き始めた。

私はその後にゆっくり追っていく。

 

 先生の後ろ姿を見ているとホッとしてさっきとはまるで違う気持ちでいられた。

少し胸が熱くドキドキしていた。

 

 

「先、風呂入ろうか」

「…」

 

「あぁ、もちろん一緒だよ」

「…」

 

 先生の家へ着いた後、すぐにお風呂の準備をしてから二人で一緒にお風呂場へ

行って湯船に浸かった。

 

 体をゆっくり温めて二人の視線が合って微笑む。

先生が私の体に触れつつ、空いた手で頬を撫でると愛おしそうな目で私を見る。

 

「言い損ねてたけど、おめでとう。松本」

「…」

 

「うん、誕生日おめでとう。生まれてくれて、私の傍にいてくれてありがとう」

「…」

 

 その言葉が欲しくてずっと待っていて、その甲斐あって今私はとても幸せだった。

暖かいお湯に浸りながら先生に触れて触れられて溶けてしまいそうな気持ちになる。

そしてお互いの背中を流してからのぼせる前にお風呂場から出ると二人で一緒に

ごはんを作って食べると、その後にケーキが出てきて。

チョコ飾りには私の名前が書かれていて嬉しかった。

 

「改めておめでとう。松本」

「…」

 

「これからも私の傍にいてくれるか?」

「…」

 

「そうか…」

「…」

 

 私は軽く頷く。何があっても私は先生から離れるつもりはない。

先生が私を必要としなくなるまでの間は…。

 

「そうか」

「…?」

 

「いや、嬉しくてな。言葉にできないくらい」

「…」

 

「そうか、松本もか」

 

 そして聞こえるか聞こえないかくらいの大きさでまた爆発に付き合ってもらうかという

言葉を聞いて私は笑みを漏れそうになるくらい嬉しかった。

 

「今日は一緒に寝るか」

 

 私はその言葉に何度も頷いて先生にしがみついた。

精一杯のアピールに先生も抱きしめて応えてくれる。

 

 同じベッドの中に入って先生の胸元に顔を当てると先生の匂いがして落ち着く。

お風呂で同じものを使ってるのに、違う匂いがするから不思議。

好きな人の匂いがするから、好き。

 

 ずっとこうしていられるように私は願いながら目を瞑ると、仕事と待っていた疲れが

溜まっていたのかすぐに眠気が襲い掛かってくる。

 もう少しだけ先生の感触、匂いに包まれていたかったのに…。

そう思いながら抵抗できずに重たくなった瞼がゆっくりと閉じていった。

 

 

「あ、会長。おはようございます!」

「…」

 

「あれ、何かいいことありました?」

「…?」

 

「だっていつもより嬉しそうですから」

 

 朝、先生と一緒に登校してから生徒会室に向かったら早めに来ていた

杉浦さんに言われてドキッとした。私の言葉は聞き取れないはずだけれど、

表情を見て察したようだ。この子の人を見る目はたいしたものだと関心した。

 

「会長が元気そうだと私も元気もらえるような気がします」

「…」

 

「えーと、今日もがんばりましょう!」

「…」

 

 確かに私は先生と一緒にいて祝ってもらって元気をもらった。

先生には照れくさくて言えないけれど、その元気を生徒会の仕事で活かせればいい。

先生のためにも私は結果を残そう。

 

 生徒会の奥にある、会長の椅子に座り辺りを見渡して徐々に活気が出てくるのを

微笑み見守りながら今日も忙しい日々が始まるのだった。

 


 
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