No.685964

管理者からの御遣い 魏√7

ZZさん

連続投稿です。

2014-05-11 20:10:19 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:2638   閲覧ユーザー数:2202

華琳「さて。これから如何するかだけれど・・・・・。新しく参入した凪たちもいることだし、一度状況を、まとめましょう・・・・一刀」

一刀「あぁ。俺達の敵は黄巾党と呼ばれる暴徒の集団だ。構成員の方は若者が中心になっていて、散発的に活動をしているものの、

主張らしい主張が無く、今現状では目的は不明。また首領では張角も、旅芸人の女の子ということ以外は分かってない」

真桜「分からんことだらけやなぁー」

凪「目的とは違うかもしれませんが・・・・・我々の村では、地元の盗賊団と合流して暴れていました。陳留の辺りでは違うのですか?」

華琳「同じようなものよ。凪たちの村の例もあるように、事態はより悪い段階に移りつつある」

春蘭「悪い段階・・・・・・・?どういう意味ですか?」

桂花「ここの大部隊を見たでしょう?ただバカ騒ぎをしているだけの烏合の衆から、盗賊団やそれなりの指導者と結びついて組織として纏りつつあるのよ」

 

 

春蘭は、いまいち分かっておらず首をかしげた。

 

 

春蘭「・・・・・・??」

桂花「要するに・・・・・今までのように、春蘭が大声で咆えたくらいじゃ逃げ出さなくなるって事」

春蘭「・・・・・あぁ、なるほど」

桂花「・・・・・ホントに分かっているのかしら」

春蘭「秋蘭や季衣たちだけでは苦戦するということだろう。それくらい分かるぞ」

一刀「・・・・・・・・(すぐ、忘れそうだな)」

 

 

一刀は、春蘭を慈悲の眼差しで見ていた。

 

 

華琳「ともかく、一筋縄では行かなくなったということよ。ここで此方にも味方が増えたのは幸いだったけれど・・・・・これからの案、誰かあるかしら?」

桂花「この手の自然発生する暴徒を倒す定石として、まずは頭である張角を倒し、組織の自然崩壊を狙うところですが・・・・・」

季衣「張角ってどこにいるんですか?」

秋蘭「もともと旅芸人だったせいもあって正確な居場所が掴めていない・・・・・というより、むしろ我々のように特定の拠点を持たず、各地を点々としている可能性が高い」

凪「本拠地が不明で何処から来るか分からない敵ですか・・・・・・」

桂花「そうよ。でもだからこそ、その相手を倒したと成れば、華琳様の名が一気に上がるわ」

一刀「・・・・・・・・・」

華琳「・・・・如何したの、一刀。さっきから黙っているけど」

 

 

華琳の一言で、皆の視線が一刀に集中する。

 

 

沙和「すいませーん・・・・・軍議中失礼しますなの」

春蘭「どうした?」

沙和「街の人たちに配っていた食糧が足りなくなっちゃたの。代わりに行軍用の食糧を配ってもいいですかー?」

華琳「桂花、糧食の余裕は?」

桂花「数日分はありますが・・・・・義勇軍が入った分の影響もありますし、ここで使い切ってしまうと、長期に及ぶ行動が取れなくなりますね」

華琳「・・・・とはいえ、ここで渋れば騒ぎになりかねないか。いいわ、まずは三日分で様子を見ましょう」

沙和「三日分ですね。分かりましたなのー」

華琳「桂花、軍議が終ったら、糧食の補充を手配しておいて」

桂花「御意」

一刀「・・・・・・・・糧食・・・・か」

華琳「・・・・・・一刀?」

 

 

一刀の発言で、再び周囲の目が一刀に注目する。

 

 

一刀「部隊の規模が多ければ多いほど、糧食の数は増えていく・・・・・」

秋蘭「・・・・・なるほど」

一刀「分かったようだな」

季衣「にゃ?」

桂花「その手があったわね」

春蘭「どういう意味だ?」

華琳「・・・・・そういうこと」

一刀「分からんか、春蘭。黄巾党は、今や大部隊まで発展している。現地調達だけでは、武器、食糧は手にすることはまず無理だ。

奴らはきっとどこかに、物資の集積場所を持っているはず・・・・・・其処を衝けば」

華琳「えぇ、すぐに各方面に偵察部隊を出し、情報を集めましょう。桂花は周辺の地図から、物資を集積できそうな場所の候補を割り出しなさい。偵察の経路は、何処も同じくらいの時間に戻ってこられるように計算して」

桂花「お任せください!」

華琳「他の者は、桂花の偵察経路が定まり次第、出発しなさい。それまでに準備を済ませて置くように!」

「「「「御意!!」」」」

華琳「相手の動きは極めて流動的だわ。しとめるには、此方も情報収集の早さが勝負よ。皆、可能な限り迅速に行動しなさい!」

 

 

華琳は指示を飛ばし、一刀たちは即座に行動に移した。

 

 

 

半日ほどの場所に敵の物資を見つけ出した。

数刻の後、撤収を終えた一刀たちは、半日の行程を僅か数刻で駆け抜けた。其処に建つのは古ぼけた砦。

 

 

華琳「既に廃墟された砦ね・・・・・・・良い場所を見つけたものだわ」

凪「敵の本隊は近くに現れた官軍を迎撃に行っているようです。残る兵力は精々一万かと」

一刀「官軍が来たからって砦を捨てる・・・・・・勿体無い」

秋蘭「連中は捨ててあるものを使っているだけだからな。そういった感覚が薄いのだろう。もう少し遅ければ、此処はもぬけの殻だったはずだ」

華琳「厄介きわまりないわね・・・・・・それで秋蘭。此方の兵力は?」

秋蘭「義勇軍の併せて、八千と少々です。向こうはこちらに気付いていませんし、荷物の搬出で手一杯のようです」

一刀「今が、好機だな」

華琳「えぇ。一気に攻め落としましょう」

桂花「華琳様。一つ提案が・・・・・」

華琳「何かしら?」

桂花「戦闘終了後、全ての隊は手持ちの軍旗を全て砦に立ててから帰らせてください」

季衣「どういうことですか?」

桂花「この砦を落としたのが、我々だと示す為よ」

秋蘭「なるはど。黄巾の本隊と戦っているという官軍も、本当の狙いは恐らくは此処・・・・・。敵を一掃したこの城に曹旗が翻っていれば・・・・・・」

華琳「・・・・・面白いわね。その案、採用しましょう。軍旗を持ち帰った隊は厳罰よ」

 

 

華琳は覇気を出し、釘を挿す。

 

 

真桜「なら、誰が一番高いところに旗を立てられるか、競争やね!」

凪「こら、真桜。不謹慎だぞ」

一刀「凪はもう少し位は単純でいいと思うぞ」

凪「か、一刀様」

春蘭「ふん。新入りどもに負けるものか。季衣、お前も負けるんじゃないぞ!」

季衣「はいっ!」

秋蘭「姉者・・・・・大人気ない」

華琳「そうね。一番高い所に旗を立てられた隊は、何か褒美を考えておきましょう」

一刀「褒美が出るのか・・・・・」

華琳「但し、作戦の趣旨は違えない事。狙うは敵の守備隊殲滅と、糧食を一つ残らず焼き尽くすこと。いいわね」

沙和「あの・・・・・華琳様?」

華琳「何?」

沙和「その食糧って・・・・・・・・さっきの街に持って行っちゃ、駄目なの?」

華琳「駄目よ」

沙和「どうしてなの?・・・・・・」

一刀「沙和。理解しろ・・・・とは言わん・・・・。糧食を奪うと、華琳の風評に傷が付くからだ。糧食が足りないのに戦に出た曹操軍が賊から強奪した、っと」

沙和「けど・・・・・・!」

華琳「・・・・・・かといって奪った糧食を街に持っていけば、今度はその街が黄巾党の復讐の対象になるのよ」

沙和「・・・・・・・あ」

桂花「あの街には警護の部隊と糧食を送っているわ。それで復興の準備は整うはずよ。・・・・・安心なさい」

沙和「分かったの・・・・・・」

華琳「なら、これで軍議は解散とします。先鋒は春蘭に任せるわ。いいわね」

春蘭「はっ!お任せください!」

華琳「なら、この戦をもって、大陸の全てに曹孟徳の名を響き渡らせるわよ。我が覇道は此処より始まる!各院、奮闘努力せよ!」

 

 

 

軍議も終わり、部隊の配置の段階は凪たちがやっているお陰で一刀のやることはなく、せいぜい、報告を聞く程度。

 

 

凪「一刀様。楽進隊。布陣完了しました!」

一刀「ご苦労」

真桜「一刀はん。布陣完了したで」

一刀「ご苦労」

真桜「それで、なんの話や?」

一刀「沙和のことだ。どうして義勇軍に入ったのかと」

真桜「そんなん沙和に聞いたらええやん」

一刀「いや、いい」

真桜「ま、一刀はんが思っとるような子やないで」

一刀「そうか」

沙和「一刀さん、布陣終ったの」

一刀「ご苦労。さあ、お喋りは此処までだ」

 

 

一刀の雰囲気を察知して凪たちも切り替える。

 

 

 

春蘭「銅鑼を鳴らせ!鬨の声を上げろ!追い剥ぐ事しか知らない輩と、威を借りるだけの官軍に、我らの名を知らしめるのだ!総員、奮闘せよ!突撃ぃぃぃぃ!」

 

 

春蘭の声で、曹操軍は奮い立つ。

一方で、一刀たちも春蘭の声を聞き奮い立つ。

 

 

一刀「始まったか、楽進隊、李典隊、干禁隊、準備は出来ているな」

凪「はっ!」

真桜「ええで」

沙和「大丈夫なのー」

一刀「楽進隊は、前に出よ!中立は俺が受け持つ。李典隊、干禁隊は後方にて、打ち零れた敵兵を殲滅せよ!」

凪「はっ!」

真桜「了解や」

沙和「了解なの」

 

 

春蘭「進め!進め!華琳様の邪魔する奴は、私の剣の錆にしてくれる!」

季衣「春蘭さま・・・・ボクも負けてられない」

 

 

季衣は、春蘭の勢いに奮い岩打武反魔を振るう。

 

 

黄巾A「もらっ・・・・・ぐふ」

秋蘭「姉者、季衣。背中が隙だらけだぞ」

春蘭「おぉ、済まぬ。秋蘭」

季衣「ありがとうございます。秋蘭さま」

秋蘭「まったく」

 

 

秋蘭は、呆れながらも春蘭、季衣の背を守りながら愛用の餓狼爪で一矢、二矢と矢を放ち黄巾党を殺していく。

 

 

黄巾A「仕方ねぇ、作戦変更だ」

桂花「相手が陣形を変えてくるわ。春蘭は、流れに合わせて移動して頂戴!」

春蘭「分かった!皆のもの、私に続けーーーー!」

 

 

一刀「やるな、春蘭。黄飛隊前に出よ!このままでいいのか!お前たちは、このまま役立たずの黄飛隊として名を残すつまりか!奮い立て!!」

黄飛隊「「「おおおぉぉぉ!!!!」」」

 

 

一刀の声により、黄飛隊は更に奮い立つ。

 

 

華琳「一刀。やるわね」

桂花「はい。悔しいですが、あいつも一人の将ということです」

華琳「あら、桂花も認めているのね」

桂花「・・・・・・あいつだけです」

 

 

一刀と黄飛隊の奮闘で、黄巾党は殲滅された。

 

 

 

凪「はあああぁぁぁっ!・・・・・・一刀様。周囲の掃討、終りました!」

一刀「ご苦労さん。こちらも終ったぞ、しかし・・・・・凪」

凪「はい?」

一刀「氣が使えるんだな」

凪「はい」

一刀「珍しいな。外に放出型か」

凪「?」

一刀「まぁ、いい。被害状況を見てきてくれ」

凪「はっ!」

沙和「一刀さん。こっちも終ったのー」

一刀「お疲れ」

 

 

春蘭「火を放て!糧食を持ち帰ること、まかりならん!持ち帰った者は厳罰に処すぞ!」

 

 

糧食は庭の中央に集められ、火が掛けられる。

糧食は、火の中で燃えていき灰と化していく。

 

 

沙和「あーあ。やっぱり、もったいないの」

一刀「・・・・・・・・・華琳とて苦しい決断をしたはずだろう。あれでも人の子」

 

 

秋蘭「目的は果たしたぞ!総員、旗を目立つところに挿し、即座に帰投せよ!」

 

 

一刀「帰投命令か。帰るぞ」

沙和「わかったのー」

 

 

 

城までの道中。

華琳は一刀達を集め、会議を開いていた。

 

 

春蘭「作戦は大成功でしたね、華琳様!」

華琳「ええ、皆もご苦労様。特に凪、真桜、沙和。初めての参戦で見事な働きだったわ。」

凪「ありがとうございます」

真桜「おおきに」

沙和「ありがとうなのー」

華琳「さしあてり、これでこの辺りの連中の活動を牽制することが出来たはずだけれど・・・・・」

桂花「はい。暫くは大きな動きはできないでしょう。ただ、もともと本拠地を持たない連中のこと。今回の攻撃も、時間稼ぎにしかならないはずでしょう」

華琳「でしょうね。だから、連中の動きが鈍くなった今のうちに、連中の本隊の動きを掴む必要があるわ」

季衣「どうやるのですか?」

桂花「地道に情報を集めるしかないわ。補給線が復活すれば、優先順位の高い順に補給を回していくでしょうし」

華琳「暫くは小規模な討伐と情報収集が続くでしょうけれど、此処での働きで、黄巾を私達が倒せるかどうかが決まると言ってもいいわ。皆、一層の努力奮闘を期待する」

「「「「はっ!」」」」

華琳「あぁ、そうだ。例の、旗を一番高い所に飾るという話だけれど・・・・・結局誰が一番だったの?」

真桜「あー、なんか忘れとったわ」

春蘭「はっはっは。初めての戦で、其処まで余裕はなかったか!まだまだ青いな」

真桜「くぅぅ・・・・・置いて帰るので精一杯やったわ」

一刀「・・・・・・大人気なさすぎ」

春蘭「な、なんだとぅ」

華琳「で、誰なの?」

一刀「季衣だ」

華琳「何処に挿したの?」

季衣「えぇっと・・・・・城の真ん中にある一番大きい建物の、屋根の上ですけど」

春蘭「正殿の屋根に突き刺さっていた、あれか!?」

華琳「・・・・・・・・どうやって挿したの」

季衣「ボク、木登り得意なんですよ」

春蘭「・・・・・・・」

秋蘭「・・・・・・・」

一刀「・・・・・・まぁ、普通は登って挿そうとは思わんがな」

華琳「そういう一刀は何処に挿したの?」

一刀「残念ながら、季衣には及ばずだがな・・・・・・正殿天井のちょっと下辺りだったかな」

秋蘭「・・・・・あの不自然な場所にあったあれか」

華琳「・・・・・・どうやったのよ」

一刀「投げた」

華琳「えっ・・・・」

春蘭「なんだと」

一刀「だから、投げたの」

華琳「・・・・・・・」

春蘭「・・・・・・・」

華琳「・・・・・まぁ、いいわ。なら、その勝負は季衣の勝ちでいいわね。季衣、何か欲しいものはある?」

季衣「うーん・・・・・特に、何もないんですけど・・・・・」

華琳「欲のない子ね。何でも良いのよ?」

春蘭「何かあるだろう。食べ物だとか、服とか」

季衣「え?どっちも、今のままで十分ですし」

華琳「領地までは流石にあげられないけれど・・・・・何か無いの?・・・・・・まあいいわ。なら、季衣には一つ貸しにしておくわ。何か欲しいものが出来たら、言いなさい」

季衣「はいっ、ありがとうございます!」

 

 

こうして、喋っている内に城に到着していた。

 


 
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