第3話天才ドクター
蓮太郎side
俺はあの事件後、ある大学病院へと訪れた。さすがに制服で行くのは周囲の目が恐いのでちゃんと私服に着替えている。俺が訪れることはスタッフも知らないが、もはやん常連といわんばかりに顔パスで入れた。俺は院内をただひたすらに北側に進み、一番北側のとこで足を止めた。右手には穴があいていた…実際には階段があり、昇降口とでもいうべきものだ。急な階段を下りるとすぐそこには「霊安室」という名札がかかっていた。みんな、
想像してくれ。もしここに天才ドクターが死体と一緒に生活していることを。
俺はドアをノックし、天才の名を呼んだが返事はない。いつものことだ、どうせ何かゲームしたり、変な物作ってるだろうと思い、ドアを開けると強烈なミントの消臭剤の臭いが鼻を刺激する。俺は少し呻くが、もう一度天才の名を呼んだ。するとカーテンに仕切られた一角から男の顔と共に顔だけ出した。
「やぁ、里見くん。
俺は腰を抜かしそうになったが踏ん張った。
「君もとんだビビリだね。毎回この程度で驚かれたら困るんだけど。」
「先生、とりあえずその死体を置いて話そうぜ。」
「ほう、君がこの男を一瞬で死体と見抜いたのにはびっくりしたよ。」
「先生以外にここにいそうなのは俺を除いたら死体しか無いだろ。」
「まぁな、私は生きている人間が嫌だからね。当然、君もだよ。」
そう言うと、先生は死体を置き、全身を露わにした。私服のタイトスカートの上から引きずるほどに長い白衣を身にまとっている。彼女の名は
「先生、さっき、ハエトリグモのガストレアがここに来てないか。」
と尋ねると先生は
「あぁ、もちろん。それにしても綺麗に倒してるね。君が倒したわけでは無いだろう?君が倒すとぐちゃぐちゃになるもんね。」
「いろいろと余計だよ。確かに俺が倒したわけではない。友人が倒したものだ。」
「今度、その友人とやらを連れてきてくれないか。感謝状を贈りたいとでも言っておいてくれ。」
「絶っっっ対に連れてこねーよ。」
「まぁ、そんなこと言わずにさ。頼むよ。」
俺はだんだん話が逸れていくのを察して、本題へ話を戻す。
「先生、実を言うとそいつは感染者であって、感染源じゃないんだ。それに、その感染源ガストレアはまだ見つかってすらないんだ。先生ならどこに身を潜めてると思うのか分かるかと思って聞きに来たんだ。」
「ふーん、解剖所見を聞きに来たかと思えばそんな話かい。そうだねー、マンホールの蓋を開けて地下に入ったんじゃないのかい。」
「それは無いな。まず蜘蛛の足で蓋が開けられるのかが問題だ。さらに最近では地下にも暗視補正付きのカメラが作動してるから見つかるだろう。」
「いや、もしかしたら器用に足で蓋を開けて閉め、カメラの死角をついて移動したのかもよ。」
「先生、ガストレアは知能が無く、生得的な本能で行動してるんじゃないのか。」
俺がそう尋ねると、先生はやれやれと首を振り、こう言った。
「まだ、君はそれを信じるのかい。欧米ではもはやガストレアは知能があるのが定説となっているのだよ。」
俺はそういやそうだなと思った。その後、門外漢の物理学について一時間以上話され、帰ろうとすると、いつの間に作っていたのか俺に夕食(笑)を食べないかと勧められた。
最初は少し期待もしていたが、出された料理はもはやマトリッ○スに出てくる『ゲロッグ』だった。白いお粥のような半固形やオートミール状になっていて、スプーンですくうとドロッとしていてさらに
先生はそれを愉快愉快とでも言わんばかりに笑顔だ。さらに先生はこんな事まで言った。
「それには、死体の胃袋に入っていたドーナツも入っているぞ。」
俺はそれを聞いた瞬間洗面所に行き全て出した。先生、それはあかん…と心で叫び続けた。
一方先生は同じ物をおいしそうに食べている。俺の心は恐怖で満たされた…
蓮太郎sideout
あとがき
えーと、すいません。投稿できました。前回では面白くすると言ってましたが果たしてこれが面白いのか自信が無いですが、これでも毎日投稿できるように頑張っているつもりなのでよろしくお願いします。次回はまたもや影胤が登場します。では今回はこの辺にて…
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今回は先生の話です。頑張ったら投稿できました。