No.684201 【獣機特警K-9ⅡG】目が覚めると【交流】2014-05-05 21:13:49 投稿 / 全5ページ 総閲覧数:904 閲覧ユーザー数:877 |
ここは、どこだ?
眩しい光を感じ、ケイシー・イスタズは目を覚ます。
体を起こしながらあたりを見回す。まだ意識が定まらず、体も重い。
どこかの病院の手術室?何度かドラマやドキュメンタリーで見たそれに似てる。でも何だか雰囲気がおそろしく暗い。
ふと横を見やると、窓らしきものから「女の子」がこちらを見ている。
その窓に近づく。すると女の子もこちらに近づく。髪はブロンドで肩にかかる程度の長さ、犬型のファンガーかな?患者衣のようなものを身に着けていた。
窓に手をあてると、女の子もその手に合わせるように逆の手を窓にやる。
首を傾げながら微笑むと、また合わせるように女の子も逆に傾げながら微笑む。
まるで「鏡のように」彼女は自分の動きに合わせて動く……「鏡」?
そういえばこの子は誰かに似ている…僕だ。顔が少し細く、かつもう少し丸みを帯びたらちょうどこんな感じになるんじゃないのかな。
…え、僕?
驚愕で徐々に意識が覚醒していく。そしてようやく気がついた。これは窓ではない、「鏡」だ。
そして、そこに移っているのは、「自分自身」だということにも。
「そんな……そんなバカな!!」
ケイシーは思わず叫ぶが、自分の体を見るとまさに鏡に映る女の子と同じような、手術衣を纏った女性の体が視界に入った。
「嘘だ…僕は…僕は男なんだぞ…でもなんで…」
ケイシーはエバーグリーンカレッジに通う「男子」高校生だった。運動が苦手な部分を除けばごく普通の少年、ではあるがその傍ら裏ではハッカー活動を行っており、企業の不正取引や犯罪組織との関連などを中心とした情報を密かにプラネットポリス等に流すなどを行っていた。先日も偶然から巷を騒がすあのドローア教授の悪事を偶然ながら突き止め、それを阻んだ…彼、いや彼女はそう先日までの出来事を思い返いった。
(ドローア教授!?)
ようやくすべてを思い出した。彼は学校の帰り道でPCパーツの予約のためにV.A.テクノサービスに寄った帰路、奇妙な巨大なロボットの様なものが突如目の前に飛び出してきたのだ。そのロボットこそ彼が阻んだ悪巧みの首謀者、ドローア教授その人であったのだ。
「よくもワシの高尚な計画を台無しにしてくれたな。しかし、ワシが構築した完璧なプロテクトを壊すほどの技術ぢゃ。有用に使わせてもらうぞい」
その言葉とともにガスみたいなものを吹きかられ、そのまま意識が無くなっていった…。
「なんぢゃ、もう目が覚めおったか」
不意に機械的なものが混じった老爺の声が聞こえた。
あたりを見回すと、真後ろの方向に大きなガラス張りの窓が、そしてその向こうに大型のロボット…ドローア教授が手下と思われる赤いネコ型のロボットともにいた。
「ドローア教授!!お前が僕がこんな姿に変えたのか!?」
「いかにも。そしてここはいずれ科学界の神殿となるであろう、我が研究所ぢゃ」
わめくケイシーにドローアは愉快そうに答える。
「今の姿も全然違和感ないよねー。まあ、元の顔立ちが顔立ちだからねー」
彼(彼女)のまじまじと姿を見ながらネコ型のロボット、タイニーが言う。
「仕返しのために、わざわざこんな格好にしてはずかしめようっていうのか…!」
「あー一応弁解しておいてやるがの、お主が女の子になったのはワシにとっても想定外の事態だったんぢゃ」
「…え」
キョトンとするケイシー。
「お主の体ををとあるウイルスの培養液に2週間ほど浸したぢゃよ。こいつは随分前に偶然見つけたものでな」
苦虫を噛み潰したようようなケイシーをよそに、嬉々として解説するドローア教授。
「見つけたときに、その時はわずかながらだが感染した被験者の身体能力を向上させる作用があることを発見してのう、これをワシの天才的な頭脳を以て改良に改良を重ね作り上げたものぢゃよ。ワシの忠実なる兵隊を作り上げるためのな。ようやく形になったのでな、早速お主で試したのぢゃよ」
「結果は上々、に見えたんだけど途中でおかしな事態になっちゃったんだよねー。こういう話ってゲームでゾンビとか、知性や性別なくした筋肉ダルマのお化けになるってイメージがあるでしょ?幸いどちらでもなかったんだけどねー」
「ええい、余計なこと言わんでいい!!」
割って入るタイニーをドローア教授がこつく。
「…左様、その問題というのがお主の今の体じゃ。日が経つたびにお主の体が徐々に変わっていっての、約1週間でその様ぢゃよ。一応検査を実施してみたが…今のお主の体は、完全に「女」ぢゃ。外見だけではなく、臓器も、遺伝子もなにもかもな」
「な…!!」
ケイシーは瞠目し絶句した。
「改良前のウィルスにこんな作用はなかったがのう。まあ、それ以外は問題ないようでのそのままにしたがの。がーーーーははははは…!!」
「ふざけるな!!僕を元に戻せ!!」
「ふん、どの道お主は記憶を消されてワシの忠実なる僕として働くことになる。女になったとて、ワシにはメイドとして働かせるという選択肢が増えただけぢゃわい」
「冗談じゃない!!誰がお前なんかのメイドになるもんか!!ここから出せ!!」
互いを隔てるガラス窓を叩きながらケイシーは喚いた。
「あー、やかましい奴ぢゃ」
そう言うとそばに設置されたボタンを押す。するとケイシーの部屋の天井に孔が開きガスが吹き出した。
「…!!…」
彼女の意識が遠のいていき、膝から崩れ落ち倒れ込んだ。
(…さ…催眠ガス…!?)
「間もなくお主の洗脳手術を開始する。科学史の天才たるワシの兵士として働けることを光栄に思いながら眠…」
ドォォォォォォォォォォンッ!!!
「…へ…!?」
突如響く非常に大きな轟音と震動。かなり近い場所で何かが爆発したらしい。同時に周囲に明かりが消える。
「…えっと、これって隣の第二発電室じゃ…」
「ひょっとするとこの前修理した発電機かのう…」
「だから言ったじゃんか!!あんな無茶なバイパス修理じゃいつか吹っ飛んじゃうって…!!」
「ええい!!うろたえるでない!!早う予備電源を…」
ドコォーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッ!!
「「ギャワーーーーーーーッ!!」」
ドローア達の部屋の壁が突如吹き飛んだ。件の発電室を隔てる壁だ。爆風で二人は吹っ飛ばされた。その勢いでケイシーの部屋とのガラス窓が割れる。充満したガスが漏れていった。
「…ううん…」ケイシーはどうにか失いかけた意識を取り戻していった。幸か不幸か彼女がいた部屋は脱走防止のためか頑丈に作られていたこと、意識を失いかけて倒れ込んでいたこともあってかほぼ無傷で難を逃れていた。
立ち上がって様子を見る。周囲は爆発の炎で照らされていた。割れたガラス窓の向こうでドローア教授とタイニーは倒れ込んで唸っている。ケイシーは「どうにか思考を定めて状況を判断しようとする。
「…逃げられる…?…逃げなきゃ…」
そうつぶやくと力を振り絞り、割れて隔てるものが無くなった窓から飛び出しドローア達の部屋から飛び出した。
「あ!!こら、待たん…」
ズドォーーーーーーーーーーーーンッッ!!
「アバァーーーーーーーーーーーッ!!」
気づいた教授が叫んで追おうとするも、再び起きた爆発に阻まれた。
どこをどう駆けているのだろうか。脱出を図ってからそこそこ経ったが停電のためか明かりは辛うじて廊下が見える程度の上、予想を上回る広い施設のためどこに逃げているのかわからなかった。
(なんでもいい…!!脱出口…乗り物…!!)
!!
突如天井から光が辺りを照らす。どうやら教授たちは電源を復旧させたらしい。
(急いで出ないと!!)
走るさなか、一つの部屋の入り口の脇に書かれた文字が視界に入る。
「転送室…?」
ここからどこかに転送装置か何かで移動するということか?
(なんでいい!!急がないと!!)藁にも縋る思いで入り込んだ。
中にはドーム状の、妙に半径のある機械が設置してあった。これが転送装置?大きさはあの教授に合わせて作られたのだろうかやけに大きい。調べるとドームの中に地図らしい映像が照準らしい円形とともに映し出されたタッチパネルモニターに、「転送」と書かれたボタンがあった。どうやら地図の照準に合わせて転送するらしい。
手探りでタッチパネルを操作して、自分の暮らす街を探す。
(ラミナ市…あった!!ここだ!!)
ガシャン…ガシャン…!
「どこにおる!!隠れても無駄ぢゃ!!」
!! 廊下から金属の足音とともに怒号が。ドローア教授だ。もうここまで来ていたのか。
(もう間に合わない!!)
まだ詳細な位置を入力していない。だがもはやその暇はなかった。そう判断するとケイシーは即座に「転送」ボタンを押した。
(!!)
突如、視界が真っ白い光に覆われ、思わず目を瞑る。やがて何も聞こえなくなっていった。
「!?…そこか!!」
転送室の異変に気づき入り込むドローア教授。しかし、すでにケイシーの姿は消えていた。
「愚か者め!!すぐに追い捕えてやるわい!!」
そう叫び装置に入ろうとした。が…
プツン
またも暗闇。電源の復旧は完全ではなかったようである。無論、転送装置も停止である。
「ぐぬぬ、またしてもかような時に…!!」
ケイシーを包んだ静寂は数秒続き、やがて喧騒が聞こえてきた。
瞑っていた目を開く。転送室とは違う。入り口?どこかの店の前のようだった。
しかし、ケイシーにはこの店に見覚えがあった。
(V.A.テクノサービス!!)
彼女が常連としてPCの関連パーツを買いによく訪れる店。どうやら、転送装置は店の住所に照準を合わせていたようだった。
「…っとなに?今の光」
女性の声が聞こえてくる。すぐに入り口のドアが開かれ、二人の犬型ロボットの女性が現れた。彼女たちにも見覚えがある。ともにこの店の経営者だ。
「…ヴィクトさん…アスティさん…!!」
思わず声を漏らす。キョトンとケイシーを見つめる2人。
「よかったあ…脱出できたんだあ…」
安堵のあまり力が抜けたのか、ケイシーは膝から崩れ落ちた。
「ちょっと君、大丈夫!?」
思わず彼女にかけ寄り抱えるヴィクト。
「…ねえヴィクト、あなたこの子を知ってるの?」
その横でアスティが相棒に話しかけた。
「?…ううん、知らないわ」
「でも『彼女』、私たちを知ってるみたいだけど…」
「…そういえこの子、誰かに似てるような…」
ケイシーは二人の会話にハッとなった。そういえば、今の姿じゃわからないか…。
「…あの、僕です。ケイシーです。ケイシー・イスタズ…」
「「…へ…!?」」
ヴィクトとアスティは目を点にしながら大きく開いた。
「ケイシー!?ちょっと待って!!『彼』って『男の子』じゃ…!?」
「でも待って、言われてみれば『彼』にそっくりよ」
「確かにそうだけど…でも体格は全然違うし、義体でもなさそうよ」
「…信じられないのは無理もないと思います。僕だって今でも夢だと思いたいくらいです…」
科学・医学の進歩したこの時代においても、人の性別を完全に変える方法は未だ確立されていない。生物学的にもその手法は我々の世界と未だ大差なく、それ以外では脳を本来とは別の性別のタイプの義体に入れ替えるくらいだ。
お互いとケイシーを何度も交互に見るヴィクトとアスティ。
「…コホン…もしあなたがホントにケイシーだとして…」
咳ばらいして間を置きながら、アスティが話しかける。
「悪いけど、幾つか質問させてもらうわ。あなたが最後にこの店に来た時、予約注文した品物は?」
「ヴェルデテックのビデオカードZTG980xx、チップはZ-PAWER980zzメモリは…」
「あなたが私たちに嬉々として解説した一番最近のB級ゲームは?」
「"SquidGranpa"、人間に扮したイカのお爺さんが正体を隠しながら街の治安を守りつつ…」云々
「それじゃ、その前に解説した、あなたがここ数年の最高のB級傑作だって絶賛してたゲームは?」
「"Rollerblade3"、スケートを題材にしたゲームだけどあまりにバグも多く、でもそれがかえって多くのお遊びプレイができることから…」云々
「「……」」
ヴィクトとアスティはふたたび瞠目した。いずれも正解、しかもB級ゲームをここまで長々と解説できる知人はケイシー以外思い当たらないのである。
「「ウソーーーーーーーーーーーーーーーッ!?」」
絶叫にに近い声を上げる二人であった。
~続く?~
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すでに書いていただいたのですが、自分なりのケイシー女性化の経緯です。
おおよそ小説とは言い難い、ヒドイ代物ではありますが…。
長ったらしくなった気が…。
一応、ケイシーの体を作り変えたものは、「人体強化する代わりに、副作用に女性化する(但し逆はない)ウィルス」という方向で行こうと存じます。なお、ズンビーにもスー〇ーミ○ータントにもなりませんゆえ、ご安心を(滅)
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