あのね?和尚さんがね?
朝起きたら枕元に立っていて僕の顔を覗いていて
顔を洗いに洗面所へ行ったら僕の後ろに立っているのが鏡に映っていて
歯を磨くときは左右に首をぶんぶん振ったままハミガキする僕を猫みたいな目で見つめていて
朝ごはんを食べるときは僕の左側に座って食事する僕の手元を口元を表情を喉元を腹を心臓を見つめていて
朝のお経を唱えるときは巻物じゃなく僕の口元を僕の声を僕の呼吸をいやらしく凝視していて
外出するときはナメクジみたいに僕の背中へぴとっとくっついて離れないようにしていて
僕の話す声やきみの話す声に胡坐を掻きながら聞き耳を立てていて
うんうんと時折頷いたりとても難しい顔をしたり嬉しそうになったりして
僕が帰ろうと思った瞬間に胡坐をやめて直立不動になったり
僕が歩き出そうと思った瞬間に僕の行こうと思った方向へ歩き出したり
途中でいなくなったかと思うと僕が帰ったとき丁度に晩飯が出てきたり
いつ食べたのかと思うくらい早く食事を済ませていたり
僕が寝るときは朝と同じように枕元に立っていて僕の寝顔をきっと覗くのです。
僕は和尚さんがだいすきです。
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和尚さんだいすきだよ