No.68187 桜のあるココでもかねこさん 2009-04-11 15:09:25 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:1647 閲覧ユーザー数:1489 |
たくさんの好きをあなたに
私は元気にやってるよ
ふいと浮かぶあなたの横顔に顔を赤くさせながら
今日もここであなたを思う
大好きだよ
「木之本~!」
「ほええぇっ!?」
先生の声に体が大きく揺れる。目をこすりながら見上げると、苦笑いの先生が立っていた。
「ふぇっ!?わ、わたし!??」
「ちゃんと起きてないと授業ついていけないぞ~」
クラス中から、どっと笑いがおこる。
隣の友世ちゃんが、眉をひそめて小声で話しかけてきた。
「ごめんなさい…。起こそうと努力したんですが……」
「ううん!友世ちゃんは悪くないよっ」
いつの間にか数学で寝ちゃってる私が悪いんだよぅ…。
よ~し!
すっかり目が覚めた私は、黒板の字をノートにとりはじめる。
ー夢に出てきたあの人の事を思いながら。
「んーっ!いい天気だね」
学校が終わって、私と友世ちゃんは公園のベンチに座って空を眺めた。
「そうですわね…。春にぴったりのお天気ですね」
おねむのさくらちゃんも超絶可愛いものでしたわ、と友世ちゃんは目を輝かせていた。
「と、友世ちゃん…」
「そういえば、さくらちゃん。数学の時から頬がほんのり赤いのが気になるんですが…」
「ほぇ!?」
心臓が飛び出しそうになった。
な……、なんで友世ちゃんは分かっちゃうんだろう。私は、顔が熱くなるのを恥ずかく思いながら口を開く。
「あ、あのね……、し、小狼くんが夢に出てきたの」
「まあ……」
小狼くん。
数学とは全く関係ない…あ、でも小狼くんも算数嫌いだったけ。
ほんの少し。
ほんの少しだったけど、夢の中に前よりも大人びて見える小狼くんが出てきたんだ。
「李くんに会えなくなってもう1年経つんですね…。お手紙は出されてますか?」
「うん…。すぐにお返事くれるよ。電話も先週、ちょっとだけしたの!……でも…」
「でも?」
「やっぱり…会いたいな……小狼くんに」
会いたいよ。
文字や、声だけじゃなくて、小狼くんの目を見てお話したい。
ワガママな事だって…分かるよ。
でも本当はね、
すごくすごく、
小狼くんに会いたい…。
でも……。
「さくらちゃん…」
「でも、頑張るの!いっぱい我慢したらその分、会った時の喜びは大きいんやでぇってケロちゃん言ってたし」
ケロちゃんのマネをすると、友世ちゃんはくすりと笑った。
そして私の手をそっと握る。あたたかい感触が心地いい。
「さくらちゃんには、たくさんの人が見守ってますわ。だから…、辛いことがあったらどんなに小さいことでもいいんです。お話をして下さいね」
優しい、友世ちゃんの声が私の全てを包み込む。
「うん…!ありがとう、友世ちゃん……」
小狼くん。
お元気ですか?
私は相変わらず元気にやってるよ。
友世ちゃんも、みんな、変わらないの。
…相変わらず、優しいよ。
「わぁ…っ」
「綺麗ですわね…」
春風と一緒になって、どこからか桜の花びらが舞っている。
たくさんの桃色の花びらがひらひらと手元に落ちてきた。
友世ちゃんはそれを見て、まるでさくらちゃんを応援しているみたいですわねと微笑んだ。
そうだったら、嬉しいなぁ。
私も笑って、その花びらの数枚を、ハンカチに包む。
「小狼くんに送ったら喜ぶかなぁ?」
「まあ…。絶対、喜びますわ」
ここにも春が来たよ。
香港ではどうなのかな?
たくさんのみんなの写真、それと桜の花びらも送るね。
また一緒に桜の木を見たいね。今度はみんな一緒にお花見できたらいいね。
では体に気をつけてね。
ずーっと大好きだよ。
また、桜の木の下で
あなたに会いたい
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