一刀は本日の仕事を終えて、庭を散歩していた。
「さて、これからどうすっかな~~」
「ワンワン!」
「ん?」
何だ?と鳴き声のした方を見ると、犬がこちらへ全速力で走ってくるのが見えた。
「ありゃ・・・セキトじゃねえか」
「ワン!」
セキトは一刀の足元まで来ると、ピョンピョンと一刀に向かって飛び跳ね始めた。
「何だ?遊んでほしいのか?」
「ワン!」
「そうか。いいぜ、丁度暇だったんだ」
・・・・・・
「・・・・セキト~~」
恋はキョロキョロしながらセキトを探していた。
「ワンワン!」
「流石に速いな!」
声のした方を見ると、そこには楽しそうに走り回るセキトと、セキトを追いかける一刀の姿があった。
「ワン!」
恋に気づいたセキトは、方向転換して恋のいる所にやってきた。
一刀もようやく恋のいる事に気づいたようだ。
「おりょ?いたのか呂布」
「・・・・・・ん」
コクリと頷く恋。
「・・・・・・セキトと、仲良し?」
「おう!もうダチだ!なあセキト?」
「わふ」
コクコクと首を縦に振るセキト。
「・・・・・・友達」
「ああ」
「・・・・・・セキトと友達・・・恋とも友達?」
「ん?う~ん・・・まあ、そうなるのかな?」
「・・・・・・」
ぐ~~~
恋の腹が鳴った。
「何だ、腹減ってんのか?」
「・・・・・・ん」
頷く恋。
「そっか・・・そうだ!俺料理結構上手いんだが、作ってやろっか?セキトの分も作ってやるぜ?」
「ワン!」
「・・・・・・コクコク」
「んじゃ、厨房借りるかな」
・・・・・・
「そうだった。こいつを満足させるのがどれほど大変だったか忘れてた・・・・・・」
「ハグハグハグ!」
凄い勢いで料理を口に放り込んでいく恋。
厨房にいる料理人にも手伝ってもらっているのだが、まだ手が足りないくらいだ。
「チャーハンあがり!」
「シューマイ蒸しあがりました!」
「どんどん持ってけ!こんな数じゃあ呂布の腹を満たす事は叶わんぞ!!」
「「「「オス!!」」」」
恋の腹を満たすと言う共通の目的の為に、厨房の料理人たちの心は一つになっていた。
この時の戦いを呂布満腹戦争と・・・・・・後々まで語り継がれる訳はなかった。
・・・・・・パキィン
「あ~~、疲れた」
椅子に座って大きく息を吐く一刀。
厨房の料理人たちも疲労でぐったりしており、屍累々の状態であった。
「・・・・・・けぽ」
「わふ」
恋の方は満足したようで、お腹をさすりながら立ち上がり、セキトと共に一刀のもとへとやってきた。
「満足したか?」
「・・・・・・コク」
「ワン!」
「そりゃ良かった・・・あ~、肩凝った」
右手を左肩に回し、トントンと叩く一刀。
「・・・・・・」
そんな一刀を見た恋は、一刀の後ろに回りこんだ。
そして、一刀の両肩に手をやり、ゆっくりと揉み始めた。
「お?肩揉んでくれんのか?」
「・・・・・・ごはんのお礼」
「ん~~、本来なら別にいいって言うところだが、せっかくだからお願いしようかな?」
「・・・・・・ん」
「あ~~、そこそこ」
「・・・・・・ここ?」
「そうそこ!く~~、効くなあ」
恋の肩揉みに一刀は気持ちよさげな声をあげる。
「もういいぜ。ありがとな」
一刀がそう言った時、
「陳宮キーーーーック!!」
久しぶりに聞いた例の声がした。
「む!?」
一刀は反射的に防御を固めた。
ガッ!
防御には成功したものの、座ったままだったため一刀は椅子ごと倒れてしまった。
「あてて・・・頭ぶつけた」
「お前!恋殿に何をやらせているのですか!?」
怒りの表情を浮かべ、一刀を見下ろすねね。
「何って、肩揉んでもらって・・・」
「黙るのです!恋殿にそのような事をさせるなど、天が許してもねねが許さないのです!」
「・・・・・・ねね」
「恋殿!ご安心ください!この男にどんな弱みを握られたか知りませんが、このねねが来たからには・・・・・・」
ポカ
恋はねねの頭をグーで軽く小突いた。
「・・・・・・れ、恋殿」
「・・・・・・一刀、何も悪い事してない」
「う・・・・・・」
「・・・・・・ねね・・・謝って」
「うう・・・・・・」
「・・・・・・ねね」
「うああああああん!!」
ねねは泣きながら、その場から走り去ってしまった。
「・・・・・・」
恋は困った顔でねねが走り去った方を見ていた。
「いいのか?」
よっこいせと起き上がる一刀。
「・・・・・・今のは、ねねが悪い」
「ん~~、まあな」
「・・・・・・許してあげて。ねね、一刀のこと忘れてるから」
「それは仕方が無いことだけどな・・・・・・ん?ちょっと待て」
「?」
「お前は俺の事、思い出したのか?」
「・・・・・・コクリ」
「いつ?」
「・・・・・・さっきのごはんで、うどんを食べた時」
「う、うどん?」
「・・・・・・コクリ」
「そうか、うどんで思い出したのか・・・・・・恋らしいというか、何というか」
一刀は何だか気が抜けてしまった。
「・・・・・・一刀」
「ん?」
「・・・・・・おかえり」
恋は嬉しそうに笑顔を浮かべ、そう言った。
「・・・・・・」
恋の不意打ちに、一刀は見惚れてしまい、言葉が出てこなかった。
「?」
動かない一刀に対し、首を傾げる恋。
「・・・・・・はっ!」
正気に戻った一刀は、照れくさそうに恋の頭に手を乗せて、撫でながら言った。
「・・・・・・ただいま」
どうも、アキナスです。
拠点イベント第一回は恋でした。
恋はなかなか感情を表に出さないぶん、出した時の破壊力は半端ないですよね?
初代で恋のイベント見てた時は、あまりの可愛さにもだえ苦しんでましたから(笑)
さて、次は誰を書こうかな?
では次回に・・・・・・
「島津流正波拳!!」
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