No.678093

英雄伝説~焔の軌跡~ リメイク

soranoさん

外伝~漆黒の剣士、ジューダスの軌跡~

2014-04-12 00:00:01 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:2718   閲覧ユーザー数:2684

~ボース市長邸~

 

「―――こちらにマリアンさんが控えております。」

「ああ。」

メイベル市長に幼い頃から仕えているメイド―――リラの言葉に頷いたリオンが部屋の中に入るとそこにはマリアンが外の景色を見つめ、リオンが部屋に入ってくると振り向き、リオンの姿を見て目を見開いた。

 

「エミリオ……!ああっ!生きて貴方と会えるなんて、夢みたい……!生きていて本当によかった……!」

マリアンは涙を流して嬉しそうな表情でリオンを抱きしめ

「マ、マリアン!?記憶喪失だと聞いていたがもしかして記憶が……」

マリアンに抱きしめられたリオンは赤らめた顔で戸惑った様子でマリアンを見つめていた。

 

「ええ………全て思い出したわ。」

「―――マリアン。一体何があった?異世界であるこのゼムリアの地に来る等、通常の方法では絶対に無理だ。」

「……………その事なんだけど実は―――――」

そしてマリアンはかつてリオンが自分自身の仲間達を裏切り、死んだ原因が自分である事をずっと罪悪感を感じ続け、ついに罪悪感に耐えられず、ある日自分がいた世界では既に死んだリオンの元に向かう為に海に身投げした事を説明した。

 

(そ、そんな!?それじゃあ坊ちゃんは何の為にスタン達を裏切ったと思っているんですか!?肝心の貴女が自分から死んでしまったら、坊ちゃんの想いや命を賭けた行動は全て無駄になる所だったじゃないですか!)

「…………………………………………」

マリアンの話を聞いたシャルティエは驚いた後レンズ越しに怒りの表情でマリアンを睨み、リオンは目を伏せ、身体を震わせながら黙り込んでいたがやがて目を見開いて決意の表情になって、マリアンを真っ直ぐ見つめて口を開いた。

 

「―――マリアン。僕がスタン達を裏切り、あいつらと戦い、敗れた後にはまだ続きがある。決して歴史には語られていない真実がな……」

「え………?」

リオンの口から出た予想外の言葉にマリアンは呆けた表情でリオンを見つめた。

 

「まず僕はスタン達に敗れた後……何を血迷ったか、スタンの馬鹿は自分達を裏切った僕を一切責めずに、それどころか未だに僕を”友達”と呼び、手を差し出してきた。――――『もう一度力を合わせて全て―――”神の眼”やマリアンをヒューゴから全て取り戻そう』とな。」

「え…………ス、スタンさんが!?」

「僕はあいつが差し出してきた手を握ろうとしたその時――――ヒューゴが僕ごとスタン達を生き埋めにする為に洞窟内の到る所に設置していた爆薬を一斉に起動させた。」

「!!そんな……ヒューゴ様が………自分の息子を殺してまで、そんな事を……!?」

リオンの口から語られた真実の一部を知ったマリアンは目を見開いた後信じられない表情をした。

 

「そして洞窟が崩れ始めた所に海水まで流れ込み………――――僕は非常用のリフトにスタン達が全員乗り込むのを確認した後、スタン達にマリアンを含めた全てを任せる為に……僕が残ってリフトを動かすレバーを操作してスタン達を地上へと送り届け………――――洞窟を埋め尽くす海水に呑まれ、”一度目の死”を迎えた。」

「!!!……………え?い、”一度目の死”………?」

リオンの話に目を見開いて驚いたマリアンだったが、”一度目の死”という訳のわからない話を聞いて戸惑った。

 

そしてリオンはマリアンに決して誰にも知られていない自分の”真実”を語り始めた。

 

リオンが死に、リオンが”友”と認めた男スタン・エルロンを始めとした『ソーディアン』の”素質”を持つ者達――――『ソーディアンマスター』と彼らに同行して力を貸していた仲間達によって世界が救われて数十年後、レンズに蓄積された人々の『幸福になりたい』という思念によって、具現化された神――――フォルトゥナが降臨した。

 

しかしフォルトゥナは完全な降臨をしていなかった為己の分身たる存在を作り、レンズを集めさせて完全な降臨をしようとしていた。

 

そして分身の一人であり、リオン達の世界の宗教団体では”聖女”と崇められている女性――――エルレインの力によって、リオンは蘇らせられ、協力するように要請されたがリオンは一切協力はせず、世界を放浪していた。

 

そんなある日、リオンは自分が”友”と認めた男であり、バルバトスによって暗殺されたスタン・エルロンとその妻であり、リオンの実の姉でもあるルーティ・カトレットの息子―――カイル・デュナミス、そして一人残されたルーティが経営している”デュナミス孤児院”の出身でカイルと血の繋がった兄弟も同然の家族関係であるロニ・デュナミスと出会い、カイルには名を名乗らない自分に『ジューダス』という名を名付けられ、カイルに名付けられたその時から『ジューダス』としてスタン達の意志を継ぐカイルとロニを見守る事を決めた。

 

最初は陰でカイル達を見守っていたジューダスだったが、様々な事情によりカイル達の仲間となった。

 

カイル達の仲間となったジューダスは後に人々を救う為に歴史をも改変しようとするエルレインの野望を阻止する為にカイルや自分と同時にカイルとロニの仲間になったもう一人のフォルトゥナの分身体である”聖女”リアラ、リアラの力で時代を超え、様々な事情により仲間になったナナリー・フレッチ、ハロルド・ベルセリオスと共に未来、改変、過去と時を超えた戦いを幾度も続け、最後にはエルレインを倒し、更には完全な降臨を果たし、死亡したエルレインの”歴史をやり直す為に一度世界を滅ぼす”という意志に同意して世界を滅ぼそうとしたフォルトゥナを倒し、カイルがフォルトゥナを生み出す元となったレンズを破壊した事によって、歴史が修正され、その際にエルレインによって蘇らせられたジューダスはリオン・マグナスとして”2度目の死”を迎え、気付いたらゼムリア大陸にいた事を説明した。

 

「そんな事………が……………」

(僕がいなくなってから、そんな事があったなんて……でも……坊ちゃんは最後までカイル達と共に戦い抜き、勝ったんですね……よかった……ううっ………)

リオンが語った決して歴史には語られない”ジューダスの軌跡”を知ったマリアンは驚きの表情でリオンを見つめ、シャルティエは泣きはじめ

「……どうして貴方ばかり、そんな辛い目に………”2度”も死を迎えるなんて……やっぱり全て私のせいね……」

やがて壮絶な軌跡を描いたリオンの一番の原因が自分である事に気付いたマリアンは辛そうな表情をし、顔を俯かせた。

 

「……………いや。君のせいじゃない、マリアン。全て僕が選んだ”道”だ。」

「でもっ!貴方がそんな道を選ぶ事になった一番の原因は………!」

リオンの言葉を聞いたマリアンは涙を流した顔を上げて悲しそうな表情でリオンを見つめ

「―――マリアン。僕はスタン達を裏切り、死を選んだ事……その事に後悔はしていないし、僕は僕の信念を貫き通した。何度同じ選択を迫られようと答えは変わらない。」

リオンは静かな表情でマリアンを見つめた。

 

「どう……して……私の為に………そこまで……」

「………………………」

涙を流すマリアンに見つめられたリオンは目を伏せて黙り込み、マリアンの問いかけに答えず話を続けた。

「それに『ジューダス』として生きた僕は”幸せ”だった。カイル達との旅でのやり取り……スタン達を裏切った『リオン・マグナス』であると知ったカイル達は僕を『ジューダス』として……仲間の一人として受け入れてくれ……僕は『ジューダス』としてカイル達と共に最後まで戦えた。裏切り者である僕が手にするには大きすぎる幸せだ。それが手に入ったんだ。悔いはない。」

「エミ……リオ……………」

「―――だから僕の人生に君が罪悪感を持つ事はない、マリアン。」

そしてリオンが優しげな微笑みを浮かべてマリアンを見つめたその時

「……うう………ああっ……………うああああああっ……………!」

リオンの微笑みで自分が背負った一生許される事のないはずの罪を許されたかのように感じたマリアンはリオンの胸の中で涙を流して大声で泣き続けた。

 

「……落ち着いたか、マリアン。」

「ええ………」

リオンの胸の中で泣き終えたマリアンはリオンから離れ、涙をぬぐった。

「……………まさか、この言葉を君に告げる時が来るとはな。―――マリアン・フュステル。」

マリアンを見つめていたリオンは静かな笑みを浮かべた後すぐに表情を真剣にしてマリアンを見つめ

「エ、エミリオ……?」

突如フルネームで呼ばれたマリアンは戸惑いの表情でリオンを見つめた。

 

「ヒューゴ・ジルクリストの息子、エミリオ・ジルクリストの名の元に今この時を持って、マリアン・フュステルをジルクリスト家のメイド長から解雇する。」

(ぼ、坊ちゃん!?一体何を!?)

「エ、エミリ……い、いえ、リオン様!ど、どうして……!」

リオンが告げた言葉を聞いたシャルティエとマリアンはそれぞれ信じられない思いでリオンを見つめ

「―――今まで僕の世話をしてくれ……そしてジルクリスト家に仕えてくれてありがとう、マリアン。これからは僕の事を気にせず、”自分の幸せ”を求めて生きてくれ。」

リオンは優しげな微笑みを浮かべてマリアンを見つめて自分の意志を伝えた。

 

「エミリオ………」

(坊ちゃん……坊ちゃんは本当にそれでいいんですか……?)

自分自身を過去から解放しようとするリオンの意志を知ったマリアンは驚きの表情でリオンを見つめ、シャルティエは辛そうな様子でリオンに尋ね

「『リオン・マグナス』として再びマリアンに会えた時に伝えようと思っていた意志だ。それをようやく伝える事ができたんだ。悔いはない。」

(坊ちゃん………)

リオンの決意と優しさを知ったシャルティエはかける言葉がなく、黙り込んだ。

「―――さよならだ、マリアン。」

そしてリオンはマリアンに背を向けてその場から去ろうとした。するとその時マリアンがリオンを抱きしめた。

 

「マリアン、一体何を……?」

「例え……例えジルクリスト家のメイド長でなくなっても、貴方の傍にいさせてください、リオン様―――いえ、リオン。」

「なっ、一体何故……」

マリアンの意志を知ったリオンは狼狽えた様子で振り返ってマリアンを見つめようとしたその時

「ん………」

マリアンはリオンの唇に自分の唇を押し付け

「!!!!!!!!!!?????」

(ええっ!?)

マリアンに口付けをされたリオンは混乱した後石化したかのように固まり、その様子を見ていたシャルティエは驚いた。

 

「一人の女性として貴方を愛しているからよ、リオン………それに私が生涯仕える主は貴方だけよ………―――今度こそずっと貴方の傍にいてもいいかしら……?」

「マリアン………ああ……!」

「リオン……!ん………ちゅ……」

思いが通じ合った二人は互いを抱きしめて深い口付けを交わし

(よかったですね、坊ちゃん……長年の想いが通じて……)

意志ある剣はマスターの想いが通じた事を自分の幸せのように感じ、見守っていた。そしてリオンはある決意をし、その決意をマリアンに伝えるとマリアンは喜んで受け入れ、二人はメイベル市長に自分達の事情を偽りの部分も入れて説明した後、ある場所へと向かった。

 

 

 

 

 

なお、今回のBGMはリメイク版デスティニーのED時に流れるBGMだと思って下さい♪後、お気づきと思いますがデスティニーはリメイク版を元にしています。さすがにリメイク前だとリオンの想いは報われないので(汗)


 
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