次々と倒れていく仲間達…………
更には月と詠に襲が牙を剥く
詠に絶体絶命の危機が訪れもう駄目かと思ったその時………
救世主・一刀が遂に現れた!!!
第四章‘聖なる魔人、現る’
一節 〜一刀参戦!!〜
詠の頭の中には月の言葉が流れていた
月『そういえば詠ちゃん、ご主人様が仰っていたけど………』
詠「………あ………………あぁ……」
月『天の世界では悪い人に襲われた時……………』
詠「うぅ……………ひっく……」
一刀「待たせたな、皆…………」
月『好きな人の名前を叫んだらその人が助けてくれるんだって』
詠「一刀ぉ……………一刀っ!!!」
詠は一刀の胸に向かって抱きついた
そして力いっぱい一刀を抱きしめる
一刀「大丈夫か?詠…………
あぁ、口から血が出ちゃって………よく頑張ったな………もう大丈夫だぞ」
一刀は左腕で詠を抱きしめ、右手で優しく頭を撫でる
詠「うぅ………一刀ぉ………ひっく…………やっと……来でくれだぁ……」
詠は泣きながら一刀の胸に頭を埋める
華琳「はぁ………はぁ………本当に一刀?」
華琳は地面にひれ伏しながら一刀を見た
宝鈴「ん?誰ですか?あれは…………
于吉、あれは誰ですか?」
宝鈴は于吉に近寄り質問をする
于吉は顔を下に下げたままニヤリと笑い
于吉「ふふっ…………そうですね……
さしずめ……いえ、言うならば」
于吉は顔を上げ宝鈴に言った
于吉「この大陸、外史の救世主ですよ」
宝鈴「救世主?」
宝鈴が首を傾げ、復唱したその瞬間
シュンッ!!
思春「聞こえなかったか?宝鈴………」
宝鈴「っ!!?」
宝鈴が振り向くとそこには『空走』で背後に移動し、ニヤリと笑っていた思春が得物を構えていた
思春「一刀は我々の救世主だと言ったのだ」
フォン!!
ザシュッ!!
宝鈴「くっ!!」
思春は宝鈴に向かって得物で斬りかかった
宝鈴は咄嗟に反応して後ろに飛んだ為かすり傷程度のダメージしか負わなかった
だが、そのせいで
ファンッ!!
于吉「おっと…………」
冥琳「っ!!身体が………」
恋「………軽くなった……………」
秋蘭「いや、元の………体重に戻ったのだ…………」
華佗「っと、こうしてはおれない!!
早く治療をしなければ!!」
華佗は素早く立ち上がり、鍼を構えて走り出した
襲「くっ…………何だあいつ……」
襲は口元の血を右手で拭りながら言った
夜減児「おい襲!大丈夫かぁ!?
お前が殴られるの見たの晩禍と戦ったあの日以来だぜ!!」
夜減児が襲に駆け寄った
襲「あぁ………俺もおんなじ事を考えた…………
(どうやって俺の『瞬考』をすり抜けて一撃を…………?
あいつ……マジで何モンだ?)」
一刀「………………お前らが話に聞いた管理者の否定過激派か……
なる程………過激派らしく人相が悪いなぁ」
一刀は襲の方へ振り向きながら言った
襲「人相悪いってのは余計だ
確かに俺達は否定過激派だ」
夜減児「俺の名は夜減児!!こいつは襲!!
後ろにいる『黒玉晶』を持ってんのが宝鈴、あの厳ついのが晩禍だ!!」
夜減児がズイと前に出てご丁寧に自己紹介をする
晩禍「…………誰が厳ついだ……
粉々に消し飛ばされたいか?夜減児………」
華琳「っ!!?」
恋「っ!!?」
秋蘭「っ!!?何という………威圧……
最早立っている事すら……難しい……」
晩禍はギロリと夜減児を睨みつけた
華琳達は夜減児の声に戦意を完全に無くしてしまった
一刀「夜減児………襲…………宝鈴……晩禍……」
唯一人を除いては……………
晩禍「ん…………?」
一刀「………で、この外史に響窃を探しに来たって訳?」
一刀は至って普通に襲の方へ振り向き、会話を始めた
襲「ほぉ〜?晩禍の戦意という戦意を砕く発言に耐えるとはな………」
宝鈴「では、ご褒美にお答えしましょう
我々は新たな魔人である響窃の複製を創り出そうと思っているのです」
一刀「……………なる程ね……」
??「何を下らない事をしておるのじゃ!?宝鈴!!」
宝鈴「むっ?」
宝鈴の頭上から野太い声と共に5人の影が降下して来た
襲「ん!?おい、あれは………」
華琳「卑弥呼!!」
紫苑「…………桔梗も……焔耶ちゃんもいるわ……」
風「稟ちゃんも凪ちゃんもいますね〜!」
卑弥呼「むんっ!!!」
ドシンッ!!!
卑弥呼や桔梗達は上空から派手に着陸した
因みに稟は卑弥呼に抱えられていたので、稟は卑弥呼から素早く降りた
卑弥呼「久しいのう………晩禍……宝鈴…………
響窃の次に会いたくなかったぞい」
卑弥呼は今迄のおちゃらけな雰囲気と違い、鋭い眼光となり晩禍と宝鈴を交互に睨みつけた
晩禍「胸糞悪いツラだ………
生きてやがったのか…………倭の国のジジイめ………」
晩禍は表情一つ変えず返答した
宝鈴「おやおや…………まさか貂蝉のお師匠、卑弥呼殿まで生きていたとは………
管理者のオールスターですね……」
卑弥呼「ジジイとは良いご身分になったのう………晩禍のわっぱよ……」
卑弥呼は眉間に皺を寄せて再び睨んだ
晩禍「貴様等肯定派は管理者の恥だ…………
破壊を知らないクズ共めが………
邪魔をするなら貴様も消し飛ばすぞ………?」
卑弥呼「儂が手を出す必要などない」
晩禍「…………んん?」
晩禍は首を傾げた
そこへ焔耶や桔梗が一刀の横に立って
焔耶「卑弥呼殿の言う通り」
桔梗「儂らが手を出すのは」
凪「救世主である、隊長が倒れた時です!」
襲「ほぉ?」
夜減児「ガッハッハッハっ!!!こんな小僧に俺達4人が倒せるとでも思ってんのか!?」
宝鈴「確かに………冗談にしては面白過ぎます………」
一刀「冗談じゃないんだけどな………」
一刀は苦笑いをしながら答えた
宝鈴「おや?そうですか………
ならば…………確かめてあげましょう…」
ギュォォ!
一刀「おっ?凄い『邪闇気』だな………」
宝鈴は『黒玉晶』に『邪闇気』を送り始めた
宝鈴「貴方が私達に戦う資格があるかどうか………」
ズズズズズッ!!
ズシンッ!!
霞「っ!!?な、何やあれ…………!!?」
宝鈴は『黒玉晶』から巨漢の男と思われる人型の物体が現れた
その男は処刑人が被るような血が付いた布っきれを被っており
更には血だらけのエプロン、巨大な斧を持っていた
一刀「……………何だこりゃ?」
左慈「……………っ!!………とことんクズ野郎だな………宝鈴……」
于吉「あれは………『徘徊者(はいかいしゃ)』…………」
華佗に『癒療』をしてもらっていた左慈と于吉が呟いた
一刀「『徘徊者』?」
宝鈴「こいつの名は『地獄の番人(じごくのばんにん)』、又の名を『徘徊者』
稀少種召喚獣の一種で、『獄卒鬼(ごくそつき)』の一種でもあります
勿論この種は『禁止術』でしか召喚できません」
一刀「胸張って言われてもな………
ようは違法なんだろ?」
宝鈴「まぁそういう事ですね
ですが、『禁止術』をなめるととんでもない目に遭いますよ?」
卑弥呼は一刀に
卑弥呼「ご主人様、お気をつけよ……
『徘徊者』は罪人を裁き、地獄に送る輪廻の処刑人
儂ら管理者でも隙を見せれば殺られてしまうぞ……」
と忠告した
一刀「了解…………気をつけるよ」
宝鈴「どこまでその余裕が続くのでしょうかね…………
お行きなさい、『徘徊者』!!」
徘徊者「………………」
『徘徊者』は無言で頷くと両手に持っていた巨大な斧を構え、一刀に向かって歩き出した
一刀「無言の威圧ってやつかな?
まぁ………不気味さが増したかな」
一刀も軽口を叩き、『徘徊者』に向かって歩き出した
徘徊者「………………」
『徘徊者』はある程度歩くと斧の刃の部分を地面に置き、振り下ろしの構えをした
一刀「……………………」
一刀は丁度振り下ろしたら直撃する辺りで止まって、様子を観察し始めた
蓮華「っ!!一刀!!!何で止まるのよ!!?」
朱里「その位置だと斧が直撃してしまいます!!」
亜莎「あんな巨大な斧が当たればひとたまりもありません!!
逃げてください!!一刀様!!!!」
それぞれ一刀に声をかけるが、一刀は微動だにしない
そうしている間に
徘徊者「…………ウオォォォォっ!!!!」
『徘徊者』は斧を大きく振り下ろそうとしていた
秋蘭「一刀っ!!!何故逃げん!!?」
秋蘭は一刀に向かって叫ぶ
だが一刀は秋蘭の方へ顔だけを向け
一刀「秋〜蘭〜〜生憎だけど『この程度なら逃げるまでもないよ〜』」
ブォンッ!!
ガツッ!!
秋蘭「っ!!!?」
華琳「っ!!!?」
貂蝉「ウソんっ!!!?」
思春「ふっ…………」
卑弥呼「ガッハッハッハっ!!!!」
宝鈴「……………何ですと……?」
秋蘭や華琳、宝鈴までもが絶句していた
何故なら……………
徘徊者「う、ウオ…………っ!!!?」
一刀「やっぱりこの程度か…………」
『徘徊者』が振り下ろした巨大な斧は一刀が何と右手だけで掴み、静止させていたのだ
宝鈴達と対象的に卑弥呼や思春はさも当たり前かのようにニヤリと笑っていた
一刀「ふぅ……………はっ!!」
フォン!!
ドカッ!!
徘徊者「グオァウっ!!!?」
一刀は息を整え、『徘徊者』の頭に向かって蹴りを放った
『徘徊者』は派手に吹き飛び、地面に叩きつけられた
ボキッ!!
徘徊者「ガア……………ア……」
サアァァァァ……………
『徘徊者』は着地した瞬間首の骨を折ったのか、身体が動かなくなりやがて灰となった
襲「ほぉ?あの『徘徊者』を一撃…………」
夜減児「あいつやるじゃねぇか!!ガッハッハッハっ!!!!」
一刀「宝鈴……………だったっけ?
これで資格はあるだろ?」
宝鈴「……………いいでしょう
『徘徊者』を一撃で倒した事を称して……………」
宝鈴「地獄よりマシな恐怖を感じさせてあげましょう………」
一刀「へぇ…………それは嬉しいね………」
宝鈴「……………あの世で後悔しなさい……『天の御遣い』よ…………」
一刀「そうなるのは残念ながらお前等だ」
夜減児「ガッハッハッハっ!!!生意気な野郎だ!!
宝鈴!!俺から殺せろ(やらせろ)!!
一瞬でハンバーグにしてやるぜ!!!」
一刀「『天の御遣い』………及び『聖なる御遣い』・北郷一刀……」
一刀「いざ参らんっ!!!!!」
……終……
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詠と月のピンチに遂に現れたのは
『天の御遣い』・北郷一刀だった!!
そしてここから一刀の逆襲劇が幕を開ける
果たして一刀は否定過激派を倒す事が出来るのか!?