side一夏
六月のある日曜日。俺と焔は久々に弾の家に遊びに来た。
「で?」
「で?で理解するのは難しいでしょう、弾。一夏も困惑するだけですよ」
そうだがな。代弁してくれた海に同意する。
「だから、女の園の話だよ。いい思いしてんだろ?」
「それは幻想だ、弾」
焔が切り返す。ちなみに俺達は今、ジョジョASBをしている。
「そうだな、結構気を使うことが多いし、何かと不便だな」
「それだけならまだしも、暑くなった影響かきわどい格好も目立つようになるし」
「それ、役得じゃね?」
「馬鹿言うな。誤解されちまったら最後、弁解は難しくなるし」
「そんなもんかねぇ」
「そんなもんだ。くらえ、メタリカ!!」
焔のリゾットが弾の音石をK.Oにした。
「つーか、お前ら暗殺チームでやるとかなり勝率高くなってないか?」
「そうか?」
確かに、焔はリーダー(リゾット)をよく使う。海は兄貴(プロシュート)の使い手だ。確かにそうかも。ちなみに俺はポルナレフをよく使い、弾は4部のキャラをよく使う。
「昼からはどうします?」
と昼の予定を話そうとすると、
「お兄!さっきからお昼出来たって言ってんじゃん!さっさと食べに――」
「そうだぜ。さっさと食べないとあたしが――」
どかんと蹴り開けて入ってきたのは弾の妹の五反田蘭とその親友の真庭花梨だ。
「あ、久しぶり。邪魔してる」
「久しぶりだな、花梨」
「焔兄ちゃん~~~」
「だが断る」
ハグをしようとしたのか、花梨は突っ込んで行ったが、これをかわす焔。もはや定番と行っていい光景だ。
「い、いやっ、あのっ、き、来てたんですか……?全寮制の学園に通っているって聞いてましたけど……」
「ああ、うん。今日はちょっと外出。家の様子見に来たついでに寄ってみた」
「そ、そうですか・・・」
しかし、蘭って昔からそうだけど、何でおれ相手だと妙にたどたどしいというか、敬語なんだろうな。それを知ってか知らずか、弾と海と焔はため息をついている。何故だ?
「蘭さん、花梨ノックぐらいはしなさい」
「あ、すみません。海さん」
「海兄ちゃん、何で知らせてくれなかったのさ!!」
「あなたに逐一知らせる義務はありませんから」
「そんな海兄ちゃんに宣戦布告するぜぃ」
「ほう、花梨。私に勝てるつもりですか?」
そういう海の目は獰猛な鮫だ。一方の花梨は
「女に二言は無い!!」
なんかかっこいいこと言ってるし。ていうか
「やめろ、お前ら」
弾が突っ込む。
「すみません。少々血が騒いで」
「ごめんだぜ。弾兄ちゃん」
そんなこんなで昼飯をおごってもらうことになった。
「でよう、一夏。ファースト幼馴染?と再会したって?」
「ああ、箒な」
「ホウキ……?誰ですか?」
「箒姉ちゃんか、元気にしてるの?」
「花梨、知ってるの?」
「おう、幼馴染だぜ」
「そう」
「で、一夏。進展は無かったなのか?」
「どういうことです?」
「ああ、そこの鈍感(一夏)はあろうことに一月同じ部屋であんなことやこんなことを
「まてまて、してないからね。そんなこと決してしてないからね」
「ヘタレが」
何どさくさにまぎれて毒舌はいているんだ、海。
「あんなことやこんなことやそんなことまで!!」
「いや、そもそもしてないし、そんなことってなんだ?」
「黙って食え。お前ら!!」
五反田家の家長にして、この商店街の大将(ちなみに中将は亀有さん)の五反田厳さんが現れた。
「すみません、大将」
「分かればよし」
満足げに頷いて料理を始める。
「お兄。あとで話し合いましょう……」
「お、俺、この後一夏達と出かけるから……。ハハハ……」
「では夜に……。決めました」
なにを?
「私、来年IS学園を受験します」
「その手があった!!」
蘭が決意表明すると同時に花梨が便乗する。
「これで堂々と焔兄ちゃんに付きまとえる」
「付きまとうな。第一、洋子おばさんを説得できるのか?」
「大丈夫。父さんと鎌兄ちゃん経由で説得するから」
はあ~~とため息をつく焔。
「と言うより、奏兄さんは無視か?」
「兄ちゃんは反対しそうだし」
確かに奏さんはシスコンの気があるしな。
「私達の成績なら余裕です」
「確かIS学園には推薦は無いのでは?」
海の指摘に蘭と花梨は不敵にほほ笑み、二人ともポケットから紙を取り出し弾に渡す。
「げぇっ!?」
「ほう」
「ISの簡易適性試験…二人ともAですね」
「で、ですので」
「受かったら、いろいろお世話になるぜい」
「ああ、受かったらな」
と安請け合いしたら刹那、蘭が食いついてきた。
「や、約束しましたよ!?絶対、絶対ですからね!」
「お、おう」
「いいのかよ、母さん?」
「あら、いいじゃない別に。花梨ちゃんも一緒にいることだし。一夏君、焔君、よろしくね」
「あ、はい」
「一応任された」
諦め顔で言う焔。
「弾、あきらめなさい」
「そうだな。ま、俺からは一言、IS学園に入学する気なら、何かしら護身の術は身につけている方がいいぞ」
「そうかも。じゃさっそく、道場に。行くよ、蘭」
「ちょ、ちょっと待てよ。花梨」
怒涛の勢いで二人は出かけて行った。
「若いっていいですね」
「そうだな」
「二人とも、爺臭いぞ」
何を言う
「さて、これからどうします?」
「久々ゲーセンに行きたいな」
「一夏、エアホッケーで勝負だ」
あえて十連敗中のものを選ぶとは
「中学のままの俺だと思うなよ」
「こい、返り討ちにしてやるよ」
さて、行きますか。
side刻枼
「お久しぶりです。校倉さん」
「おう、わざわざ呼びたして悪いな。何か予定でもなかったか?」
「いいえ、大丈夫ですよ」
今日、昨年居候していた校倉さんから呼び出された。
「今日、呼んだのは他でもない。紫苑さんから言伝を伝えるためにな」
「!!祖母から」
「ああ、今日はお前さんの誕生日だろ。十六になったら、伝えてくれって頼まれたからな」
そこで区切り姿勢を正す。
「さて、言伝はこうだ。鑢の菩提寺に鑢家の歴史書を預かってもらってる。どう扱うかは、おまえの自由だとな」
「歴史書ですか?」
焔の真庭語みたいな?
「まあな、菩提寺の住所は分かるか?」
「ええ、分かります。お盆にでも墓参りのついでに取りにいこうかと思います」
「あ、刻枼お兄ちゃんだ」
突如かわいい声がした。
「名雪ちゃん」
「こんちには」
「あら、刻枼の坊やじゃない」
名雪ちゃんの母、校倉 彩子さん
「お久しぶりです。彩子さん」
「久しぶりだね。そういや、もう聞いたのかい?」
「はい、聞きました」
「そう。お昼はどうする?食べてく?」
「おう、食べてけ」
「お言葉に甘えさせていただきます」
「刻枼お兄ちゃん、遊んで」
「食べ終わってからな」
何にせよ、行動は夏になるか。俺はそう思いつつ曇天の空を見上げた。
side焔
夕食後、山田先生に呼ばれた。以前頼んでいたものがようやく出来たということだ。
「わざわざすみません」
「いえ、大丈夫ですよ。問題はありませんか?」
作ってもらったのは、変体刀のコアの収納ケースだ。これまではコアがはいっていた箱をそのまま利用していたが防犯上と利便性を考慮したものがいいと思い、入学当初に頼んでいたものがようやく完成した。基本はIS装備の応用か待機状態がブレスレット、機動時がけ収納ケースとなる。待機状態でもコアの反応が分かる優れものだ。
「ありがとうございます」
「いえ、作ったのは私じゃないですし。そう畏まらないでください。ところで、真庭君。以前から聞きたいとは思っていたのですが、四季崎記紀の変体刀でしたか。他の刀はどんな特徴なのですか?
ま、気になるのも仕方がないか。
「特徴ですか。一言で言うと
絶刀『鉋』 主眼は頑丈さ
斬刀『鈍』 主眼は切れ味
千刀『鎩』 主眼は多さ
薄刀『針』 主眼は軽さと薄さ
賊刀『鎧』 主眼は防御力
双刀『鎚』 主眼は重さ
悪刀『鐚』 主眼は活性力
微刀『釵』 主眼は人間らしさ
王刀『鋸』 主眼は毒気のなさ
誠刀『銓』 主眼は誠実さ
毒刀『鍍』 主眼は毒気の強さ
炎刀『銃』 主眼は連射性と速射性と精密性
ですね」
「全部銘が金属偏ですね」
「ま、それは四季崎なりのしゃれでしょうかね」
そう言って後にした。ま、四季崎が完成させたかったのは、完了形変体刀虛刀『鑢』こればかりは話したくはないがな。しかし、何故鑢のコアがあったのだろうか?謎は深まるばかりだ。謎といえばもう一つ、まだ誰にも話してはいないが初代真庭蝶々が虛刀流初代鑢一根と邂逅した同時期、初代真庭鳳凰も四季崎記紀と会っていたらしい註釈が真庭語(裏)に書かれていた。何故?と疑問ばかりわいてくるが考えたところで憶測にすぎないが、ここのところの事件を偶然で済ますのは腑に落ちない。考えても仕方ないか。そう思い、糖分摂取のため自販に向かった。その後に、厨房で刻枼の誕生ケーキでも作るかと思いつつその日を終えた。
キャラ紹介
校倉 隼人
プロフィール
38歳。校倉総合運輸の社長。校倉必の直系。刻枼の親戚。性格は豪快。なお、親バカ。
校倉 彩子
プロフィール
30代前半。隼人夫人。容姿は敦賀迷彩。箒の親戚。たまに、篠ノ之道場で剣道指南している。
校倉 名雪
9歳。涼のクラスメート。容姿は凍空こなゆき(ショート)。めっさかわいいので、商店街にFC(ファンクラブ)もあるとかないとか。
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