No.674738

【真・恋姫†無双if】~死を与えることなかれ~1話

南無さんさん

こちらは真・恋姫†無双の二次創作でございます。
タイトルに入っていますがifものです。
もし雪蓮を助けていたら、どうなっていたか?
しかし、助けた代償はあまりにも大きかった…
砂糖無し(多分)シリアス一本勝負!!

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2014-03-30 02:25:01 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:10616   閲覧ユーザー数:8066

…ああ、そっか。俺がこの外史で記憶を………いだ理由、

 

それは、君を救う為だったのか、なら、こんな結末でも納得が出来る。

 

…泣かないでくれ、雪蓮。君に涙は似合わない。

 

俺は君の笑っている姿が好きなんだ。最後は君の温かな笑顔で――逝きたい。

 

…だから……笑ってくれ……雪蓮―――――

 

 

 

 

 

「ほらほら、そんなに遅いと日が暮れるわよ」

 

「ひ、日が暮れるって、まだ昼前じゃないか。

 ちょっと待ってくれよ雪蓮、息が……」

 

「それほど速く駆けてないでしょ。運動不足なんじゃないの?」

 

「いや、明らかに速いって。なぁ、少し休憩しないか?」

 

「ダーメ。後少しだから頑張りなさい」

 

「……わかったよ」

 

「でも、そうね。私は時を気にし過ぎてたみたいだから、

 ここから先はゆっくりと歩いていきましょ」

 

「しぇ、雪蓮!?」

 

「ん?何かな一刀君?」

 

「その、腕に抱き着かれるのは嬉しいんだけど。…胸が当たってる」

 

「当ててるのよ。それとも一刀は嫌なのかしら?」

 

「嫌な訳がない!!」

 

「ふふふ、素直でよろしい。それじゃあ目的地まで再出発~」

 

「りょーかい」

 

 

俺は雪蓮に連れられて森林を歩いていた。何処に向かっているのか、

 

目的地は知らされていない。と言うのも聞いても教えてくれないからだ。

 

だが、雪蓮曰くどうしても一緒に来てほしいとの事だった。

 

その際、上目遣いで尚且つ胸を強調されたポーズで頼まれて、つい…

 

まぁ、そんなポーズを決められたら男として断れない。俺は冥琳に一声掛けた後、

 

雪蓮の誘いに乗り現在に至るのである。

 

 

「…ここよ。どうしても今日貴方と一緒にここに来たかったの」

 

 

先程の子供の様な人懐っこい表情を浮かべていた雪蓮は一転して、

 

覇気を纏っていた。そのオーラは間違いなく江東の小覇王そのもの。

 

戦場で勇ましく武を揮う時の表情だ。そして、ここに来た理由、

 

眼前の一基の墓を見て瞬時に悟る。

 

 

「もしかしなくても。このお墓…」

 

「…そうよ。私達の偉大なる母、孫文台が眠る英霊の墓」

 

 

雪蓮は手で優しく墓石をなぞり語り始めた。

 

 

「母さん。暫く来れなくて、ごめんなさい。今日は朗報があって会いに来たの。

 …蓮華のことよ。あの子、将として上に立つ者として大きな壁を乗り越えたの。

 今までは一時の感情に支配され物事の本質を見抜けないで、

 頑固な一面が多々あったじゃない。それがね、今じゃ誰かさんの影響を受けてか、

 目をしっかりと見開き、本質を見抜くことが出来る。

 それ所か柔軟な思考も身につけたの。あの石頭に定評がある蓮華が、よ」

 

 

俺は横で口を開く事無く、只々嬉しそうに語っている雪蓮を見詰めていた。

 

 

「あの子は将来、人々から名君と謳われるような君になれるわ。

 そうなったら、私の出番は終わり。喜んで君の座を譲る。

 楽しみで仕方がないわ。蓮華を始め次世代を担う子達が成長して、

 私の背中を追い越していくのが」

 

「老け込むには早過ぎるだろ。俺達には、まだまだ雪蓮が必要なんだから」

 

「それは、勿論わかってるわ。言っての通り直ぐに君主の座を渡そう何て

 思ってないもの。でも、一刀もわかっているでしょう。蓮華の大器が」

 

「ああ。雪蓮が切り開く力なら、蓮華は治める力…だろ?」

 

「そう。時代が蓮華を選ぶ日が必ずやってくる。その時が待ち遠しいわ」

 

 

雪蓮は笑顔をこちらに差し向けた後、墓石へと視線を移した。

 

本当に嬉しそうだった。だが、心に引っ掛かる事がある。

 

ここ最近、雪蓮を見ていると何故か、不安が心を過ぎる。

 

まるで、この世から消え去ってしまう、そんな悲哀なる感情。

 

…俺は、とても大切な何かを忘れている?

 

 

『一刀。蓮華を…蓮華を支えてあげて、貴方には私達が持っていない、

 人と人とを結ぶ不思議な力があるの。その力を発揮すれば、

 孫呉は今まで以上に強固になるわ。だから、私の…最期のお願い

 蓮華と皆を頼むわね……一刀』

 

 

 

―――――――っつ!!!?

 

 

 

突然、頭の中で雪蓮が矢によって倒れる映像が流れた。

 

それも、妙に現実味に帯びていて、白昼夢と言う言葉では片付けられないものだった。

 

 

雪蓮が…死ぬ……

 

 

身体が思わず震える。俺は雪蓮に視線を向けると、最悪なデジャブを感じた。

 

 

……俺は…この先の出来事を…知っている……!?

 

 

『今度こそ、今度こそ雪蓮を救ってくれ。お前にはそれが出来る』

 

 

また、白昼夢!?いや、頭の中に声と何かが入り込んで……

 

……そうだ、この後!!焦りながら直ぐに辺りを見渡す。すると、茂みの奥から

 

甲冑を身に着けた屈強そうな兵達がおり、その一人が今にも矢を放たんとばかりに、

 

弓を引いていた。

 

 

駄目だ!!もう二度とあんな悲しい事を繰り返すわけにはいかない!

 

絶対…絶対に君を死なせはしない!!

 

 

「―――――危ない!雪蓮!!!!」

 

 

 

 

 

 


 
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