No.674253

がちゆり~京子誕生日SS 2014

初音軍さん

京あか。小さい頃のあかりと京子を見てると有りかなぁって思ったり。
ひょんなことで思い出してあかりの心情を察して京子の心動かしても
いいのよ。そんな自由に組めるゆるゆりは良いと思う。

2014-03-28 14:16:41 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:863   閲覧ユーザー数:863

がちゆり~京子誕生日SS 京あか

 

「はぁはぁ…おーっす、あっかりー」

「あ、京子ちゃん~」

 

 朝起きて、自分の誕生日だと知った私は全力でアピールしに行こうと

決意して結衣やちなつちゃんの家を巡ったというのに二人共留守だったから

せめてあかりだけでもこの気持ちを伝えたいと全力で走ってきた。

 

 最初は普通に返事をしていたあかりは腰を曲げて呼吸を整えている私を見るや

あかりは驚いて私の傍に駆け寄ってきた。

 

「どうしたの!? 何かあったの!?」

「はぁはぁ…いや何も…」

 

「もー、驚かせないでよ~」

 

 びっくり損したと、口を尖らせてぷんぷんしているあかりを見てると

何だかもやもやしていた気持ちが少し晴れたような気がした。

 

 後他にも別な感情が…あれ、何だったっけ。この気持ちは…。

それよりも走ってきたせいで喉が渇いてしまって、それどころじゃなかった。

吐く息をあかりにかけながら思っていることをあかりに伝えた。

 

「あか…はぁはぁのみもの…はぁはぁ、ちょうだ…はぁはぁ」

「わかったから、息吹きかけないで!生ぬるいよ~~~」

 

 必死な私の表情に怖がりながらあかりは部屋に案内してくれた後に水と

ジュースやお菓子を持ってきてくれた。とりあえず私は水を一気に飲み干して

一息ついた。

 

「ふはー!生き返るー!」

「何でそんなに急いでたのかな~。あかり今日なんの用事もないのに」

 

「それがさ~」

 

 私がこれまで二人の家を訪ねたことをあかりに伝えると、あかりは笑いながら

私を慰めてくれた。他にも浮かんだことをあかりと楽しく話しているけど

あかりの最初の優しさが身に沁みるように感じる。

 

「あー、あかりは本当優しいよな」

「えぇ、そうかな?」

 

 謙遜するあかりの顔を見ていると少し胸のあたりが熱くなるようなものを感じる。

それがむず痒い気分になるから紛らわすために私はあかりの頬に口をつけた。

からかうだけのつもりだった。

 

「ふぁっ!? 何をするの京子ちゃん!」

 

 あかりは私の欲しい反応をくれた。その様子を普段だったらからかうようにして

ごまかしていたのに、今日に限ってはごまかすまでに時間が少しかかった。

 

「冗談だよ」

 

 少し顔が熱くなるも、笑ってごまかすといつものように軽くむくれるあかりの姿に

ほんわりした気持ちになる。

 

 シンプルながら、可愛いものがチラホラ見えるあかりの部屋の中で

私はおもむろにあかりの膝元に向かって頭を乗せた。

 

「膝枕させて~」

「もう、今日の京子ちゃん。ちょっと変だよ~?」

 

「今日と京をかけてるのか!駄洒落か!寒いぞあかり!」

「そんなつもりはなかったよ!?」

 

 からかいつつ、あかりの柔らかい頬を指で突くと「やめてよぉ~」と困ったように

するあかりを見て思わず私は言葉を漏らしていた。

 

「あかり…かわいいな…」

「え…」

 

 普段のトーンとは違う声があかりの耳にも入っただろうか、私は思わず口をつぐんで

顔を赤くしながらあかりに向けていた視線を逸らしていた。

 

「もう、からかわないでよ…」

「…」

 

「京子ちゃん?」

「今のは…つい…」

 

「えへへ、京子ちゃんありがとう」

 

 普通に褒めてるように取ったのか、あかりは少し赤らめながらも照れ笑いしながら

そう答えた。普通だったらそれでいい。いつものように楽しくやれるんだったらそれで。

でも、今の私はそういう気持ちにはなれなかった。

 

 小さい時から、結衣と一緒にいた頃からどれだけあかりの元気で穏やかさに

癒されていたか。今さらだけど私は気づいてしまった。

 

 あかりの顔がまともに見られない。頭の後ろは膝枕したままであかりの柔らかさと

温もりを感じたままで、ドキドキする音がうるさいくらいに聞こえてくる。

 

 何だろう、この気持ち。今伝えないといけない、そんな気がしてならない。

 

「あかり…」

「何?」

 

 私は決心をしてあかりに打ち明けることにした。結果はどうあれ、そうしないと

私の中でずっともやもやが残るのは嫌だから。

 

「あかりのこと好きだよ…」

 

 ちょっと切なそうな声で膝枕したままあかりを見つめながら言うと、

あかりはあっさりした笑顔で。

 

「私も京子ちゃんのこと好きだよ」

 

 このノリは友達的な意味で言ってるんだろうなって感じたから改めてあかりの手を

握りながら自分らしくないくらい大人しくあかりにもう一度伝えた。

 

「そうじゃなくて…もう一つの意味で…」

「もう一つ…」

 

 あかりは少し考える素振りを見せた後、急に顔を赤くして驚いていた。

 

「え…えええ!?」

「…」

 

「え、だって京子ちゃんは結衣ちゃんやちなつちゃんのことが…」

「私もそうかと思ってたけど…」

 

 あかりと触れているとずっとこうしていたい気持ちになるから。

今までこういう気持ちになったことはあまりなかった。

特に中学生になってから忘れるくらいに。

 

 あの時と違ってしっかりしなくちゃって思っていて必死だったから忘れていたのかな。

 

 私の言葉にあかりは驚きつつも、何とか頭の中を整理したらしく改めてぎこちない

笑みを浮かべた後に私の手を強く握っていた。ダメかな…?と思っていた矢先。

 

「私も京子ちゃんのこと好きだったよ、小さい頃から」

「ほんと?」

 

「うん、だから京子ちゃんのこと守らなきゃって。

京子ちゃんの笑顔が見たくてはりきってたんだ。空回りしてたけど」

 

 でも…ってあかりは少し切なそうな表情になって膝で寝転がる私の顔を覗き見ていた。

 

「京子ちゃん、ずっと結衣ちゃんのこと見てたから。今で言うなら失恋っていうのかな」

「そうか…」

 

 確かにあかりの言う通りだったのかもしれない。あの頃は結衣に積極的に連れ出されて

楽しいワクワクした気持ちでいっぱいだったから、傍にいてくれたあかりの大切さを

あまり感じていなかったのかもしれない。でも、今わかったんだ。

 

「今からでも遅くはない? あかり…」

「私でいいのかな…?」

 

「もちろん!」

 

 二人でえへへって笑って私が起き上がった後、すっかりぬるくなったジュースを二人で

飲みながら思い出話に浸った。

 

 それからいつも通りの二人に戻るのかなって不安になったけど。

自然と…。

 

「あれ、京子。あかりと手繋いでるんだ」

「へへっ、いいだろ~」

 

「お、おう…」

 

「結衣ちゃんおはよー」

「おはよう、あかり」

 

 通学途中で結衣が走って傍に寄ってきてからの会話。

その日は朝から違って、いつも私と一緒にいたのは結衣だったけど。

普段しない早起きから、落ち着きが得られなかったためにあかりの家へ直行したのだ。

 

 あかりもいつもの通りのようで、少し私を意識してくれてるような反応を見せてくれた。

だからみんな揃うといつも通りだけど、少しだけ関係が変わった私たち。

 

 青空の下で馬鹿みたいにはしゃぐのも普段通りだったけれど、少しずつ心のどこかで

あかりと近づいていくのを感じていた。それが心地良くて、いつもより楽しくて幸せに

思えるのだった。

 

 これからもずっとこの気持ちが続きますようにって想いながら私はあかりの手を取って

今度は私があかりを幸せにしてその笑顔を守るんだって強く思ったんだ。

 

お終い

 


 
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