人気投票途中経過を見た久遠さん
「これはどういうことだ! 剣丞ぇ!!」
「ど、どうしたの久遠。そんな血相変えて」
ある真夜中、久遠が俺の部屋に大声で飛び込んできた。とりあえず、声を抑えてもらえないだろうか。
俺の横で寝息を立てている美空が起きちゃうじゃないか。
「どうしたもこうしたも、これを見ろ、これを!!」
全く落ち着く気配のない久遠が取り出したのは、1台のノートPC。そこに表示されていたのは、『人気投票☆りたぁんず』の途中経過。
……読者諸君、『なんでPCがあるんだよ』とか突っ込んじゃいけないぞ。
「この結果はいったいなんだ! まるで意味がわからんぞ!!」
久遠が激怒する原因。それは、彼女の順位にある。2014年1月24日 16時現在の順位は――
1位……美空
2位……詩乃
3位……光璃
4位……一葉
5位……雛
6位……久遠 ←ココ
「何故、我が6位なんだ!!」
「俺に言われても……」
久遠は現在6位だった。
この人気投票では、上位5名は顔とコメントが表示されるという仕組みになっている。
しかし、久遠は6位のため、当然表示されない。残念ながら。うん、本当に残念だ。
「我はメインヒロインではなかったのか!? 発売前の人気投票では1位だったんだぞ! 本編でも正妻っぷりを発揮していたではないか! どうしてこうなった!」
あ、地団駄を踏み始めた。
そんなに暴れると起きちゃうじゃないか。…………美空の隣で寝ている詩乃が。
「しかも、既にTOP争いをしているのは美空と詩乃! 投票率が10%近く離されている我には、もう勝ち目が無いではないか!!」
あ、少し泣いてる。
そんなに泣くと起きちゃうじゃないか。…………俺の隣で寝ている光璃が。
「……久遠。少し落ち着いて欲しい。人気投票で辛い思いをするという気持ちはよく分かる。俺の姉さん達もそんなだったからね」
「そ、そうか。分かってくれるか!」
あ、泣き止んだ。でもまだ声は大きい。
そんなに大きな声を出すと起きちゃうじゃないか。…………光璃の隣で寝ている一葉が。
「だが、このままでは1週間後に我は『メインヒロイン(笑)』と呼ばれてようになってしまう! 1位から6位に転落などとても耐えられん! 我はどうしたらいい! 答えてみろ剣丞!」
むむむ、これは何かしら答えを返してあげないと落ち着きそうにないな。…………あ、そうだ!
「久遠、俺に1つ考えがある」
「おお! 何か案が浮かんだのか? さすがだな、剣丞」
褒められた。奥さんに言われるとやっぱ嬉しいものだな。旦那冥利に尽きるってもんだ。
期待に目を輝かせる久遠。俺はたっぷり10秒程溜めを作ってその案を教えてあげた。
その案とは――
『とりあえず5位を目指せばいい』
「……………………は?」
あれ? なんか微妙な反応。
納得できていないようなので、もう少し説明してみることにする。
「久遠自身もさっき言ったじゃないか。今の投票率だと、TOP争いに加わるのは絶望的だって。でも、5位に食い込めばとりあえず顔とコメントだけは表示できるんだ。どうだ、いい案だろ?」
まさに孔明や今孔明も顔負けの立案。言うなれば、未来孔明ってところか。さすが俺。
「い……い……」
い?
「いいわけ、あるかぁあああああああああああ!!!」
うお!? ビックリした。
そんなに絶叫するから、目を覚ましそうじゃないか。…………俺の足元で寝ていた雛が。
「こうなったら、我に投票しなかった者を……」
「しなかった者を?」
「根切りにしてく
思いっきり噛みながら久遠は出て行ってしまった。やばい、あのままじゃ本気でやりかねない。
……残りの1週間は久遠に投票することにしよう。俺の1票は通常の100票に匹敵するからな。これなら大丈夫だろう。
そして、2日後。
「ねえ剣丞、久遠が大暴れしていたらしいけど、何かあったの?」
「結菜様が大層怒っていらっしゃるという話ですが」
「剣丞、久遠と喧嘩した?」
「主様、もしや
「剣丞く~ん、女の子は繊細なんだから優しくしないとだめだよ~?」
5人に追求されたけど、何も教えないことにした。教えたらまた大変なことになるのは目に見えてるし。
あとがき
最終的にあのような結果になるとは……。ドンマイ。
発売前は一位だった人がここまで順位を下げるとは思わんかった。
ちなみに私は幽さんに投票しました。
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戦国†恋姫の短編その4。
・1時間クオリティ
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