No.673053

英雄伝説~焔の軌跡~ リメイク

soranoさん

第54話

2014-03-23 09:19:51 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1003   閲覧ユーザー数:983

~???~

 

「………?―――なっ!?こ、ここは……バチカルの俺の屋敷!?俺……元の世界に戻って来たのか??」

ルークが目を覚ますと自分にとって見覚えがあり、どことなく懐かしげな豪華な屋敷が目の前にあり、それを見たルークは驚き

「一体どうなってんだ……?」

訳のわからない状況にルークは首を傾げながら屋敷の中へと入って行った。

 

「ルーク様!お帰りなさいませ!」

ルークが屋敷の中に入ると一人の老執事が迎え

「ラムダスか。えっと……父上達はいつもの場所に?」

「はい!奥様や若奥様と共に首を長くしてルーク様をお待ちしております!」

「………ハ?奥様は母上の事だとして……若奥様って誰だ??」

聞き覚えのない人物がいる事を聞いたルークは首を傾げて尋ねた。

 

「何を仰いますか!若奥様は勿論、ルーク様の奥様の事ではありませんか!」

「ハアッ!?お、おおおおお、俺に妻~~~~っ!?」

自分に伴侶がいるという全く身に覚えがない事を知ったルークは混乱し始めた。

 

「こうしてはおられません!すぐに旦那様達をお呼びしますので少々お待ち下さい!」

「あ、おい、ラムダス!……行っちまった………ラムダスがあんなに慌てている様子、見た事ねえな……」

そして老執事は慌てた様子でその場から去り、その場にはルークが一人取り残されていた。

 

「俺に妻って……まさかナタリアの事か?いやでも、国王である叔父上の一人娘のあいつと結婚していた場合、住んでいるのはバチカル城の上、俺が婿入りする……というかそもそもナタリアの相手はアッシュだし!あー、もう!どうなってんだよ!?」

現在の自分の状況を考え込んでいたルークはある場所に飾られてある見事な宝飾がついた剣に気付いた。

「あれはガルディオス家の……!あの剣は父上がガイに返して師匠(せんせい)との決戦の時にガイが使っていたはずなのに……という事は俺、過去に戻ったのか?」

「お、ようやく帰ってきたか、ルーク。」

見覚えがある剣を見たルークが考え込んでいたその時、金髪の青年が笑顔を浮かべて近づいてきた。

 

「ガイ!何でお前が屋敷に……というか何であの剣をファブレ家に渡したんだ!?あの剣、お前にとって大切な剣なんだろ!?」

青年――――ガイに気付いたルークは血相を変えて尋ね

「おいおい、帰って来て早々何を変な事言ってんだ?俺がファブレ家に来た時からあの剣は元々あの場所に飾ってあったし、俺はあの剣の事なんか、全く知らないぞ?」

「ハ………?」

ガイの口から出た信じられない答えを聞いたルークは呆けた。

 

「そんな事よりこうして帰ってきたって事は無事、任務を果たしてきたようだな。」

「へ?任務って何の事――――」

そしてガイの話を聞いたルークが目を丸くして尋ねかけたその時

「――お帰りなさい、ルーク。ああ、無事で本当によかった……!」

「よく成し遂げてきた、ルーク。お前はファブレ家の誇りだ。」

「母上!父上!」

生まれてきたばかりの自分にとっての”両親”がルークに近づいてきた。

 

「父上、”成し遂げてきた”とは一体何の事でしょうか?それに俺に妻って一体誰の事を言ってるんですか?」

「まあ、ルーク。間違ってもあの娘の前でそんな事を言っては駄目よ?」

「うむ。後数ヵ月もまてばお前も立派な父親になるのだから、そのようなふざけた事を口にするなよ?」

「ハアッ!?お、おおおおおお、俺が父親~!?ってか、マジで俺の妻って誰だよ!?」

両親の口から出た信じられない話を聞いたルークは再び混乱し

「おいおい、何を言ってんだ、ルーク?お前の結婚相手が”予言(スコア)”で決められていたとはいえ、お前達は相思相愛の仲じゃないか。」

ルークの様子を見たガイは首を傾げて言った。

「いや、だからマジで俺の妻って誰な――――」

そしてガイの言葉にルークが答えかけたその時

「――――ルーク!やっと帰ってきたのね……!―――お帰りなさい……!」

薄い茶色の髪を腰までなびかせる一人の美しい女性が嬉しそうな表情でルークに抱き付いた!

 

「!!ティア……!な、ななななな、な、何でお前が俺の屋敷に……というか、何で俺に抱き付いて――――」

女性―――ティアに抱き付かれたルークは混乱した様子で言いかけたその時

「おいおい、夫婦同士仲が良いのはわかるが、そういう事はできれば人の目のない所でやってくれよ。」

「フッ、夫婦仲が良い分、ファブレ家は将来、跡継ぎに困らなくて助かるな。」

「ふふっ、ティアさん。ルークの兄であるアッシュと結婚して既に子供を産んだナタリアに負けないように、多くの子供を産んでくださいね?」

「お、お義母様っ!」

ガイ達はルークにとって信じられない会話を始め、それを聞いたティアは顔を真っ赤にして声を上げ

「…………………………」

ティアが自分の妻と知ったルークは石化したかのように固まり

「ええええええええええええええええええっ!?」

やがて我に返ると大声を上げて驚いた!その後ルークの帰還パーティーが祝われ、ルークは流されるままにパーティーに参加し、そしてパーティーが終わると自室でティアと二人っきりになった。

 

「ふふっ、ようやく二人っきりになれたわね、ルーク……」

(い、いいいいい、一体どうなってんだよ!?あのティアがこんなにも変わるなんて……!っていうか、そもそもそれ以前に俺、いつティアと結婚したんだよ!?)

ベッドの上で幸せそうな表情をしているティアはルークにもたれかかり、ルークは混乱していたが

「予言(スコア)で決められた重要な任務も終えたし、これからはキムラスカも繁栄し、多くの人々が幸せになるでしょうね。」

「!!(予言(スコア)で決められた重要な任務…………キムラスカが繁栄する………――――まさか!?)………なあ、ティア。確認なんだけどさ。その予言(スコア)の内容って何で俺は何の為に任務に行ってたんだっけ?もしかして俺の力で”セフィロト”を壊せばアグゼリュスが崩壊して、キムラスカが繁栄するっていうアレか?」

ティアの口から出た話を聞き、心当たりがあるルークは血相を変え、真剣な表情でティアを見つめて尋ねた。

 

「ええ。ND2018

 

ローレライの力を継ぐ若者、人々を引き連れ鉱山の街へと向かう。

 

そこで若者は力を災いとしキムラスカの武器となって街を消滅させ、マルクトの領土の一部を削り取った英雄となってキムラスカに戻ってくる。

 

しかる後にルグニカの大地は戦乱に包まれ、マルクトは滅ぶだろう。

 

結果キムラスカ・ランバルディアは栄え、それが未曾有の繁栄の第一歩となる。

 

ルークはその為に今まで出かけて来て、見事アグゼリュスを崩壊させたじゃない。」

「………………………」

ティアに微笑まれたルークは厳しい表情で黙り込み

「………けん……な………」

「ルーク?どうしたの?」

やがて顔を俯かせて身体を震わせながら呟き、ルークの様子に首を傾げたティアは不思議そうな表情で尋ねた。

 

「ふざけんな!ティアの顔で………命懸けで師匠(せんせい)を止めようとしたあいつの顔でそんなふざけた事を口にするな!」

「ル、ルーク?どうしたの?」

するとその時はルークは怒りの表情で自分にもたれかかっているティアを振り払って叫んだ。

 

「何もかもが間違っているよ!俺は”英雄”なんかじゃねえ!………俺は何も考えず、疑わなかった自分の愚かさでアグゼリュスに住む多くの人々が死ぬ事の原因を作った”大罪者”だ!それに……例え予言(スコア)で決められていたとしても、あいつは……ティアは……自分の故郷―――ホドが滅ぶ原因となった”死の予言(クローズドスコア)”を黙っていたテオドーロさんを怒り、”死の予言(クローズドスコア)”を嫌い、助けられる命は助けようとしていた!そんな優しいあいつの顔でふざけた事を口にしてんじゃねーよ、偽物が!―――消えろ!」

そしてルークが怒りの表情で叫んだその時、空間に罅が入った後パリンと音をたてて割れ、ティアや周囲の景色も全て消え、ルークは暗闇の中に立っていた!

 

「やっぱり夢だったか……色々とおかしいと思っていたんだよな………」

周囲を見回したルークは疲れた表情で溜息を吐いた。するとその時

「フフ、よく気付いたわね、ルーク………アグゼリュスを崩壊させた時の貴方と比べると見違えるように”変わった”わね……」

ルークの背後から聞き覚えのある声が聞こえ、声を聞いたルークが振り向くとそこにはティアが微笑みながら自分を見つめていた。

 

「……ティア………」

「貴方も気付いていると思うけど、正確に言えば私は貴方が知る”ティア・グランツ”ではないわ。貴方の思い出から構成された擬似的な人格と言うべきかしら。今までの出来事は全て貴方の夢の中での出来事なの。」

「やっぱりな。……でも夢の中とはいえ、俺は自分の”罪”から逃げようとしていたなんて、最悪だぜ……こんな事、本物のティアに知られちまったら、今度こそマジで見限られちまうな……」

ティアの説明を聞いて頷いたルークは疲れた表情で溜息を吐いた。

 

「ふふ、自覚しているのだから、成長し、昔の貴方から必死に変わろうとしている証拠よ。”本物の私”が知ってもきっと大丈夫よ。それで………行くのね?」

「ああ。俺は自分が背負う”罪”を償う為にも一人でも多くの人々を助けることが俺の”義務”だからな。」

ティアに問いかけられたルークは真剣な表情で頷き

「そう……ふふ、不思議ね……私は本物のティアではないけれど、今、”エルドラント”で別れた貴方に再会できたことにとても幸せを感じている……好きな人にまた会えた事に………」

「え、えっと……ティア?あの時言ってた”好き”って意味ってまさか………」

自分を見つめて微笑むティアの言葉を聞いたルークは顔を真っ赤にしてティアを見つめた。

 

「ふふっ、それは”本物の私”に聞いて。貴方には戻るべき場所があるでしょう?」

ルークの表情を見たティアが微笑んだその時、暗闇の中に光が刺す扉が現れた!

 

「あれが夢の終わり……今の貴方が生きている時間と空間への出口よ。さあ……行きなさい。」

「ああ。―――じゃあな、ティア!夢とは言え、俺が好きなお前にまた会えた事、凄く嬉しかったぜ!」

そしてルークはティアに微笑んだ後光が刺す扉の中へと入って行き、ルークが扉の中に入ると扉は消え、その場はティアだけになり

「いつかまた貴方と会える事、心から祈っているわ………ルーク………」

一人だけになったティアは優しげな微笑みを浮かべていた……………

 

 

 


 
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