No.672746

IS~ワンサマーの親友~ep40

piguzam]さん

世界中に魅せてやるよ……男の喧嘩ってヤツを

2014-03-22 07:46:25 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:4947   閲覧ユーザー数:4470

 

前書き

 

 

挿絵、書けた事は書けましたが、余りにも酷い出来なので、クォリティについては突っ込まんで頂けると嬉しいです。

 

やっぱ一週間経たん内に書いた絵は汚え花火(絵)だぜ。

 

 

とりあえず、画像をUPするのは初めてなんで多分これで投稿出来てる、かな。

 

ハイ、これが鍋島元次君ですwww

 

 

 

 

 

うん、もうね?とりあえず言いたいのはね……何コレ?

 

 

背景は神室町風のでまぁ良いとして(良いのか?)絵の出来は最低ですwwww

 

脚が途中までなのは、紙にラフ起こしてる時に脚書いたらバランスヤベェ……ッ!!だったので書かずに放置(´Д⊂グスン

 

 

こんな拙い絵ですが、主人公のイメージが少しでも伝われば良いなと思い、UPさせて頂きます。

 

まだ何枚か書いてますので、それも出来たら投稿しますねー。

 

それでは、本編をどうぞ。

 

 

PS.最近感想が減ったなぁ……もう面白くなくなったかも……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ボーデヴィッヒさん。押されていますねー」

 

「まぁ、当然だろうな。織斑はともかくとして、デュノアは代表候補生。近い実力を持つ者の方が複数の場合、こうなるのは目に見えている」

 

アリーナで白熱したバトルが行われている中、官制室ではモニターを見つめる千冬と真耶ののんびりとした会話が行われていた。

二人としては、ラウラが不利な事に対しては余り驚いて無い。

この前の第三アリーナでの一件では、ラウラ対鈴&セシリアという、今と同じ状況だったが、今回は色々な箇所が違う。

モニターの向こうではシャルルの銃弾を回避したラウラに一夏が肉薄し、鍔迫り合いで動きを止めた状態からシャルルの銃弾が再び襲っていた。

AICで一夏の動きを止めようにも銃弾に晒され、銃弾を止めれば一夏に斬られる。

片方だけなら隙があるのに攻めれない。そのジレンマの坩堝に、ラウラは嵌まっていた。

 

「既にAICの致命的弱点はあの二人に知れている。その対策を考慮した戦い方で向かってくる相手に、同じ技は通用せん」

 

AICの致命的弱点。それは慣性停止能力という規格外の力を発揮する為の代償と言っても良い。

本来、鈴やセシリアのIS,ブルー・ティアーズや甲龍に詰まれている第三世代特殊兵器は通称イメージインターフェイスと呼ばれている。

これは本来、ISが操縦者と最高状態の相性になったときに自然発生する固有の特殊能力、ワンオフアビリティーの代用として発明された物である。

自然発生する『かもしれない』という不安定な状態で、しかも特定の操縦者のみだけで発現を待つのでは無く、誰にでも使える様にという目的を意図した兵器。

脳から発せられる電気信号を解して発動する様に作られたこの兵器は、通常よりも高い性能を発揮する事には成功したが、同時に欠点も存在する。

兵器の特性によって個別差はあるが、使用するのに意識を集中させないといけないのだ。

 

「AICはその強力さから、停止させる対象物に意識を集中させていないと駄目ですからね。その隙を与えない小出しの連続攻撃……二人のコンビネーションが上手く決まっているからこその優勢、ですね」

 

「いや。あれはデュノアが合わせているからこそ成り立つんだ。あいつ自体は大して連携の役には立っていない」

 

「そ、そうでしょうか?二週間ちょっとであそこまでデュノア君の銃撃に合わせて動ける様になっているのは、織斑君の才能があるからだと思いますが……」

 

千冬のバッサリとした切り返しに、真耶は少し苦笑いしながら柔らかく反論する。

しかしそれでも千冬の評価は少し下評気味から変わらなかった。

 

「まず、織斑は基本特攻しか出来ない。武器が雪片だけだからな。ともすれば、織斑が近接攻撃を仕掛けてデュノアがそれに合わせて援護する。若しくはその逆で、デュノアがAICに止められた時以外には、織斑はデュノアの援護が出来ない。これではコンビネーションではなく、デュノアが合わせているとしか良い様が無いさ」

 

「あ、あはは……」

 

千冬の余りにも正鵠に的を射た指摘に、真耶は苦笑するしか出来なかった。

千冬の言う通り、実の所上手く連携している様に見えるこのコンビネーション。

実はシャルルが一夏の隙を補っているのが大半なのである。

逆にシャルルのカバーは一夏には出来ない。

これが千冬の言う、コンビネーションが成り立っていない事の最大の理由である。

 

「更に言えば、あの動きはデュノアのラピッドスイッチがあってこそ出来る動きだ。移動する距離、標的の停止か誘導かの目的で使う武器を瞬時に取捨選択出来る思考と、瞬時に武器を切り換えれるラピッドスイッチの技能。これがあって初めて、織斑はああやって気にせずに突撃出来ている」

 

そしてこのコンビネーションは、シャルル以外では成り立たないのだ。

今現在シャルルが一夏の援護を的確に、絶え間なく行えているのは、シャルルの持つ特殊技能が関係している。

シャルルのISは、世代こそ第二世代であり、特殊兵器も積んでいない。

だが、それゆえの汎用性が強みでもある。

シャルルの機体、ラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡは基本性能の底上げ以外に、拡張領域を倍に上げて、装備を大量に積んである。

距離や目的に応じて選り取り見取りの武装を詰んでいるだけで、尖がった性能のマシンよりも柔軟に対応出来る事が、ラファールの強みだ。

そして、その大量の武器の使い道を瞬時に弾き出して選べるのが、シャルル自身の特殊技能、ラピッドスイッチ。

この二つの組み合わせが、一つだけの兵器が他より性能が高い第三世代の機体を凌ぐまでに効果を発している。

 

「え、えっと……そうだとしても、他人がそこまで合わせてくれる織斑君自身がすごいじゃないですか。――魅力のない人間には、誰も力を貸してくれないものですよ」

 

「……まぁ……そうかもしれないな」

 

自分の言葉に千冬はぶすっとした表情で視線を少し上に上げる。

それは千冬の照れ隠しだと、真耶は判っている。

なんだかんだと厳しい事を言っている千冬だが、彼女は何も一夏が嫌いな訳では無い。

その逆、大事な弟だからこそ、厳しく言いつつ見守る。

このIS学園には、ラウラを凌ぐ強敵など、上級生になれば幾人も居る。

そういった強い奴等ともし対峙する事になっても勝てる様に、千冬は厳しく当たるのだ。

全ては大事な家族の為に……それを知っている真耶だからこそ、敢えてそこは指摘しない。

前回の様に塩入りコーヒーを進められでもしたら、今度は助からない(断言)。

故に、ここはラウラのチームへと話題を進める事にした真耶であった。

 

「それにしても……まさかボーデヴィッヒさんのペアが元次さんになってしまうなんて……」

 

「全く……システムがあの組み合わせを決めた時は驚いたものだ」

 

「実力が高いからこそ、敢えて抽選までペアを組むのを禁止したのに、まさかその二人がペアになっちゃうなんて思いもしませんでした」

 

真耶が妙に嬉しそうな様子で言う言葉に、千冬も同調して喜びを顔に現す。

しかし現段階で一年生なら最強の元次と、それに次いで強いラウラのペア等、他の生徒からしたら悪夢でしか無いのだ。

実際ペアの抽選と対戦表の発表が行われた時、女子の更衣室からは阿鼻叫喚の悲鳴が挙がっていた。

学園中に蔓延する噂の、『学年別トーナメントで優勝すれば、織斑一夏、鍋島元次、シャルル・デュノアの誰かと付き合える』を狙った者達の悲鳴だ。

密かに優勝を狙っていた者達は、立ちはだかる壁のハードルが強烈に高くなってしまい、地面に膝を付いて項垂れた。

しかし、これに嬉しい悲鳴を挙げた者達も多い。

まずは学年別という事で約束の範疇に含まれなかった中で、二人の実力を知る2年、3年の女子。

そして……。

 

「まぁ、ペアの仲は悪いが、少なくとも一般生徒では歯が立たないだろう」

 

「そうですねー。一年最強ならぬ、最凶のペアでしょうか?今みたいにならなければ、恐らく優勝はもっていっちゃうかと」

 

「ふむ。上手い事を言うな、山田君」

 

二人して普通通りにしているつもりだが、実際は口元の笑みを隠せていない。

そう、この二人は学生では無い為に約束に含まれず、かといってその約束を揉み消せば生徒達が不満を持つだろうと、今日まで対処出来ずに手を拱いていたのである。

結局当日までどうする事も出来ず、元次が優勝する事に賭けていた千冬と真耶だが、そこから降って湧いた最凶ペアの組み合わせに、二人は心から喜んだ。

この組み合わせが正式に優勝すれば、誰も文句を付け様が無い。

加えて、元次のペアであるラウラには心配する必要が無いのも、二人的にはありがたい誤算だった。

ラウラは他の女子と違って、元次と一夏に興味を持っていない。

だからその約束を知っても、付き合う事は絶対に無いと言い切れるからだ。

 

「それにしても、元次さんは本当に手を出さないつもりなんでしょうか?このままボーデヴィッヒさんが負けてしまえば、元次さんも一人で戦う事になるのに……」

 

「まぁ、理由はどうあれ選択事態は間違っていない。ボーデヴィッヒは、初めから自分側を複数とは考えていないからな。共に攻撃したとしても、コンビネーションが取れず、最悪フレンドリーファイヤも考えられる」

 

「確かに、何の事前練習もして無い上に、仲が険悪な二人が共に戦うよりは、今の個別の方が力を出しやすいですし……」

 

そこで言葉を切って、千冬からモニターへと視線を移した真耶は、左右からの攻撃をワイヤーと実弾砲、ブレードを駆使して捌くラウラの姿を見る。

中距離で射撃しようとしたシャルルがワイヤーで飛ばされ、援護の無くなった一夏を殴り飛ばし追撃を掛けるが、立て直したシャルルに襲われて距離を取る。

攻めきれてはいないが、二人分の攻撃を凌ぎながらも随所で反撃するのは見事だった。

 

「それでもやはり、ボーデヴィッヒさんの実力は群を抜いてますね……」

 

「……」

 

改めて確認する真耶だが、千冬は敢えてその言葉に同調しない。

昔から変わりが無さ過ぎる教え子に対して、千冬は呆れを含んだ表情を浮かべる。

 

「(変わらんな……力は、強さは攻撃力と同一のものだと思ってる……それに気付かない様では――それに気付いている一夏には、勝てんぞ?)」

 

『『『『『ワァアアアアアアアアアアアアア!!!』』』』』

 

と、この先の展開を予測していた千冬の耳に、観客席の歓声が飛び込んできた。

既に試合開始から十分以上が経過しているのに、試合内容は白熱する一方なのだから、それも当然の事である。

ましてや未だに第一回戦。

初っ端の段階でこれだけの試合内容を見せられては、興奮するのも仕方無い話だ。

そして、モニターの向こうでも、新たな動きが展開されている。

 

「織斑君とデュノア君、決めにいくみたいですね。二人の動きがかなり攻撃的になってきてます」

 

「ボーデヴィッヒを倒した後には、鍋島が控えているからな。自機のエネルギーを少しでも残した状態で、確実に倒したいんだろう」

 

「ですね。デュノア君はガルムとレッドバレット以外はまだあまり使ってませんし、織斑君もここまでで零落白夜を一度も展開していません」

 

「全ては最後に戦う鍋島戦の為の温存作戦……だが、余りそれに拘って悪戯に時間を浪費すると、後がドンドン厳しくなるだろうな」

 

「え?どういう事ですか?」

 

真耶としては、最後の元次戦の為に力を温存する作戦は決して悪い物では無いと思っていたが、千冬はそこに少し指摘を加える。

時間が経つ事で、別に一夏達の不利が起きる要素は無い筈だが、千冬は時間が経ってしまう事が駄目だと言う。

まるで、何かにタイムリミットがあるかの様に。

モニターから目を離して可愛らしく首を傾げる真耶に、千冬は苦笑しながら口を開く。

 

「アリーナの端の様子を見てみると良い」

 

「え?……あー……」

 

千冬の言葉に更に疑問を持ちながらも画面を見てみれば、真耶も漸く千冬の言わんとしてる事を理解して、苦笑いしてしまう。

 

「……凄ーく良い顔してますねー元次さん……」

 

彼女が見つけたモノ、それは戦っている3人を見て、物凄くイイ笑顔を浮かべている元次の姿だ。

もうなんというか、大好物の前で「待て」をされ過ぎて我慢の限界に近い大型犬としか言い様が無い。

 

「アイツは怒らせない分には大人しい、と思われがちだが……アイツの性根は、喧嘩が大好きでな。大方自分の予想より強くなった織斑を見て、血が滾っているんだろう」

 

「あ、あはは……それなのに待たされてるから、戦いたい欲求が更に焦らされて、もっと興奮しちゃうっていう……悪循環ですかね?」

 

「ふむ。まぁつまり時間を掛け過ぎると、鍋島の抑え込んでいた昂ぶりの爆発度合いが大変な事になるだろう、という事だ」

 

「織斑先生の言葉の意味、良く分かりました」

 

心の中で、二人ともー早くボーデヴィッヒさん倒した方が良いですよー、と念を押しながら、真耶は再び元次へと視線を送る。

腕を組んでアリーナの壁に寄り掛かる元次の顔は笑顔に染まっているが、同時にかなりの威圧感をも生み出している。

IS操縦者の中でも規格外の体躯を有する元次の巨大なISも、そのボディにペイントされた炎の柄も、全てが得も言えぬ威圧感の塊だ。

真耶はそんな元次の姿を捉えて、少しばかり頬を染めながら、心の中でエールを送る。

 

「(口に出したら、先生として不公平ですけど……心の中でちゃんと元次さんの事、応援してますよ♪)」

 

そんな恋する女な真耶とは別に、千冬は画面に映る元次から湧き上がるヒートの青い炎を見て、また苦笑いしていた。

 

「(あいつめ、本当に楽しそうな顔をしおって……楽しむのは良いが、負ける事は許さんぞ)」

 

前もって約束した折に、一年なら誰にも負けるつもりは無いと自身満々に自分と約束した元次の姿を思い返しながら、千冬はモニターを見続ける。

そのモニターの向こうでは、一夏とシャルルが二人でラウラへと突貫した所が映っていた。

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

「貴様如きが私に対して力を温存する等、身の程を知れ!!」

 

「ハッ!!お前よりもゲンの方が百万倍恐えからな!!こんなトコで全力なんて出せるかよぉおお!!」

 

ワイヤーブレード4本の縦横無尽な攻撃を、白式の加速性能を使って潜り抜けつつ、一夏はボーデヴィッヒに言葉を返す。

シャルルはガルムとレッドバレットを二丁撃ちしながらスライドする様に移動し、上手く実弾砲の照準を狂わせている。

横からの銃撃を避けつつワイヤーブレードを操るのは見事としか言い様が無えが、その先の攻撃へ移る事が出来ない。

確実にボーデヴィッヒの攻撃は封じられてるな。

 

「さてさて、ボーデヴィッヒはまぁもうすぐ潰れるとして……鬱陶しい視線だな、ったく」

 

俺は壁に寄り掛かったままで、サングラス越しに観客席の方を見る。

その先では俺を目の敵にしている女性権利団体の連中がゴミでも見る様な目で俺を見ているではないか。

他にも政府の女性政治家とかが、俺に敵意の視線を浴びせてる。

けっ、一夏にイチャモン付けたら千冬さんと束さんが恐えからって、一々俺に当たるんじゃねぇってんだよ。

……まぁ、見られてるだけでブッ殺そうなんてつもりは無え。

この先、俺か俺の家族に実害をもたらした時は……そん時こそ、死にたくなる程に後悔させりゃ良い。

今はこの試合に集中しねぇと。

気を取り直して3人の交差する場所に目を向けると、今度はAICに動きを止められたシャルルの姿があった。

しかしそのピンチも、ワイヤーの嵐を潜り抜けた一夏の接近攻撃によって終焉を迎える。

 

「何度も邪魔をしおって……ッ!!」

 

「そりゃタッグマッチだぜ?ペアで戦うなら、お互いをカバーすんのは当然だろ?」

 

最初の時の様に一夏の攻撃を迎撃するのでは無く、AICを解除して射程距離外に逃げたボーデヴィッヒは表情を歪めて一夏を睨む。

一方で一夏はそんなボーデヴィッヒのメンチを涼しそうに受け流してる。

普通なら二対一で何を偉そうにって言う所だろうが、一夏の言う通り、これはタッグマッチだ。

その利を生かすのは当然だし、逆に俺と一緒に戦うのを拒否したボーデヴィッヒの作戦負けってとこか。

 

「それに、パターンも掴めてきたよ……ボーデヴィッヒさんは、AIC以外の兵器はマルチタスクで器用に動かせても、AICを発動しちゃうと、実弾砲以外動かせないでしょ?」

 

一夏に続いて、シャルルもジュウを構えたままにオープンチャネルでそんな事を言う。

ちなみに俺もシャルルの言った事は思った。

あいつはAICを使うと、実弾砲以外の兵器の運用が出来なくなってる。

やっぱ動きを停止させる様なハイテク兵器を使うと、それ以外の複雑な動きは出来ないらしい。

出来て単純な、実弾砲の照準操作と砲撃のみって訳だ……まぁそれでもタイマンじゃ充分に脅威な訳だがな。

実際にボーデヴィッヒがシャルルの指摘に苦い顔してる所を見ると、それは図星らしい。

しかし策士タイプのシャルルが折角得た情報をこうもあっさりバラすとは……もしかして動揺を誘ってんのか?

 

「じゃあ、シャルル……そろそろ決めようぜ」

 

「うん。じゃあ、お先に!!(ズドドドドドド!!)」

 

と、遂に一夏達はボーデヴィッヒを沈めに行く様だ。

二人で顔を見合わせて直ぐ、行動を開始し始める。

まず、先鋒には後衛をしていたシャルルが両手に持ったガルムとレイン・オブ・サタディを銃撃しながら飛び出し、その後を幾分か空けて一夏も動きだす。

 

「舐めるな!!(ギュイィ!!)」

 

しかしボーデヴィッヒもここまでくれば数の不利を視野に入れたのか、シャルルの後ろから迫る一夏を気にしつつ、シャルルをワイヤーと実弾砲で攻撃する。

シャルルに向けたワイヤーの数は、今までよりも増えて6本だ。

足のスラスターでホバリング移動しながら銃撃していたシャルルもこれには意識を集中しねえと駄目らしく、銃撃を止めて回避に専念していた。

 

「く!!(バキィ!!)うぁ!!」

 

「貴様は目障りだ!!大人しくしていろ!!(ギュウン!!)」

 

「うぅ……ッ!?」

 

しかし、さすがに乱れて迫る6本ものワイヤーには対処し切れ無かった。

途中回避に失敗したシャルルは機体に直撃を喰らい、レイン・オブ・サタディを落っことしてしまう。

そのまま絶妙のタイミングでボーデヴィッヒはAICを発動。

ワイヤーで仰け反ったままのシャルルを固定して、反撃も許さない状況へ持っていった。

 

「まだこっちの攻撃は終わって無いぜ!!」

 

そして、動きが止まったシャルルを影にして、一夏が飛び上がる。

シャルルの上をジャンプで飛び越した体勢からボーデヴィッヒへと、雪片を大上段に構えたまま向かう。

 

「間抜けめ!!AICを作動していても、貴様を墜とす事は出来る!!」

 

おっと……どうやら、一夏の奇襲を、ボーデヴィッヒは読んでたらしいな。

雪片を振り上げた状態の一夏に、ボーデヴィッヒはシャルルをAICで捉えたまま、実弾砲の照準を一夏へと向ける。

自分へ直線的に向かってくる相手に対してなら、AICを作動させたままでも捉える事が可能なんだな。

剣で斬るには遠すぎる距離で狙われた一夏だが、果たしてどうするのか――。

 

「やっぱりそうくるよ――なぁ!!(ブォオオオン!!)」

 

「な!?(ザシュ!!)し、正気か貴様……ッ!?」

 

「おぉ……マジか?」

 

そして、実弾砲で狙われた一夏の取った大胆な行動に、観客も俺達も目を見開いて驚く。

何と、一夏は己の最大最強にして唯一の武器である雪片を、『投擲』しやがった。

大上段に振りかぶった体勢から、まるでブーメランでも投げるかの様に身体全体をしならせての投擲。

その投擲によって雪片はクルクルと回転しながら飛び、一夏を狙っていたボーデヴィッヒの実弾砲の砲身にブッ刺さった。

……まさかアレで当てるとは思わなかったぜ。

 

バヂヂヂヂ!!

 

「ぐぅ!?チッ!!だがこれで、貴様にはもう武器は無――!!」

 

一夏の雪片が刺さった実弾砲がショートして火花を上げるが、ボーデヴィッヒはそれに構わず空の一夏に視線を送る。

両腕からエナジーブレードを出して、今正に降りてくる一夏へと迎撃態勢を取っていた。

 

「――じゃあ、『これ』は何だと思う、ラウラ?(ジャキッ)」

 

「ッ!?それは……ッ!?」

 

しかし、上空を向いたボーデヴィッヒを待ち受けていたのは、無防備な獲物と化した一夏ではなく……ショットガンを両手撃ちで構えた、狩人の様な一夏だった。

って、アレはシャルルの落としたレイン・オブ・サタディ……そうか、アンロックしてたのか。

試合中かその前かは分からねぇけど、シャルルは自分の武器の使用許可を白式に出していて、一夏はさっきそれを拾って背中に隠し持っていたって事になる。

しかも運の良い事に、一夏が構えてるレイン・オブ・サタディはショットガン。

距離が近くも遠くも無い中距離での射撃は、最も被ダメージがデカイ。

一夏がまだ武器を隠し持っていた事に目を見開くボーデヴィッヒだが、喧嘩中にそれはいけねえ。

 

「へへっ!!変則型、『飛翔乱撃の極み』ってなぁ!!!」

 

「(ズドンズドンズドン!!)ぐああぁああああ!!」

 

撃鉄が薬莢を叩き、大量のマズルフラッシュとペレット弾が発射され、ボーデヴィッヒの身体を蹂躙する。

元々そんなに弾丸が入って無かったらしく、3発撃った時点でレイン・オブ・サタディはカチン、カチンと弾切れを起こした。

……あれも維新に載ってた技か?……俺はまだちゃんと読んでねえが、良くこの二週間で幾つもモノに出来たモンだ……やっぱ剣との相性は抜群だな、兄弟。

しかしこれで本当に武器は無くなった一夏だが――。

 

「この距離なら、僕のとっておきをお見舞いしてあげる!!」

 

今度はAICから解放されたシャルルが、ボーデヴィッヒへと迫る。

しかも――。

 

ギュオォオオオ!!

 

「イ、イグニッション・ブーストだと!?貴様が使えるなどというデータは無かった筈だ!!」

 

「今初めて使ったからね!!データは毎日進歩するんだよ!!」

 

瞬時加速という、今まで見せた事の無い技能を使いながら、だ。

しかもシャルルの言葉を信じるなら、この戦いの中で瞬時加速の使い方を覚えたって事になる。

俺や一夏がヒィコラ言いながら必死になって覚えた技術を、シャルルは戦いの中で一夏が使っているのを見て覚えたんだ。

それがどれだけシャルルの技術が高いかを示している。

そして、シャルルは瞬時加速でボーデヴィッヒに肉薄している間に、右腕の実体シールドをパージした。

バシュウゥ、という排出音と煙の中から、守る為の盾に隠されていた『牙』が日の光に晒される。

 

 

 

オプティマスのセンサーに送られてきた武装は、単純な攻撃力だけなら第二世代型トップクラスと謳われた超々近接装備。

鈍色の塗装に、無骨にして雄々しい『杭』とリボルバー型の弾倉が融合した、愚直なまでに攻撃力のみを突き詰めた、牙突の牙。

どんなモノでも容易く貫いてしまうであろうその危険な代物の名は、六十九口径式パイルバンカー『灰色の鱗殼(グレー・スケール)

 

 

 

またの名を――。

 

「『盾殺し(シールド・ピアース)』だと……ッ!?」

 

守りすら容易く殺すという、不動の破壊力を物語る通り名だ。

 

「たぁ!!(ガゴォオ!!!)」

 

ハンマーコックがリボルバー内部の薬莢に渇を入れ――。

 

「(ズドォォオ!!!)あっ――がっ――!?」

 

爆発した薬莢が、敵の腹を食い破る勢いで、己が牙を突き立てる。

幾ら世代差があろうとも、グレー・スケールの攻撃力はその差を埋めてしまう。

その攻撃を受けたボーデヴィッヒの表情はこれ以上無い苦悶に染まっている。

……ここまでだな……約束通り、参戦させてもらうぜ?

等々約束の時が来た事を認識すると、体内を流れる血流が一気に加速した。

ドキン、ドキンと痛い程に鼓動を刻む心臓の音色……その理由は良く分かってる。

前にやった時よりも、格段に強くなっている一夏。

そして火力で言えば、俺が前に戦ったあの無人ISに匹敵する程に、そしてあの無人ISを上回る豊富な装備を使いこなすシャルル。

 

 

 

……あの二人と、喧嘩したくて、喧嘩したくて――堪んねぇんだ……あぁ――。

 

 

 

 

「これで――終わりだよ!!」

 

「ッ!!……くぅ……ッ!?」

 

バァン!!

 

――ガシィ!!

 

「ッ!?な――」

 

「……?……ッ!?こ、これは――」

 

 

 

――もう、我慢出来ねえ。

 

 

 

シャルルがボーデヴィッヒに止めをさそうとした、グレー・スケールの一撃。

俺はその間に割って入り、オプティマスの手でパイル部分をキャッチして止めた。

金と銀、その対象的な髪を翻す二人の少女は、互いに良く似た驚愕の表情に顔を染める。

会場の観客や、特に女性権利団体の連中は「信じられない」ってツラしてやがるぜ。

一方で、周囲に驚きを齎した俺は、口が裂けそうな程に吊り上った笑みを浮かべていた。

 

「選手交代だ……おっ初めるぜぇえええ!?」

 

「ヤバイッ!!逃げろ、シャルルーーーーーーーーーッ!!!」

 

「ッ!?(グイ、グイ)ぬ、抜けない……ッ!?」

 

逃げろ?逃がす訳無えだろぉが!!

必死に俺の手からグレー・スケールを引っこ抜こうとしてるシャルルだが、それは一向に外れない。

そんな状態のシャルル目掛けて、俺は二人の間に割って入った体勢から、裏拳のアッパーを繰り出す。

 

「おらよ――っとぉ!!」

 

「(ドゴォオオオ!!)あ゛ぅっ!?」

 

その一撃をモロに……いや、若干威力を逸らして顎に食らったシャルルは一夏の居る後方へと吹っ飛んでいった。

俺の左手には、いまだにグレー・スケールが握られているのに、だ。

 

「ふっ――く、うぅ!?(ズザザァ!!)」

 

「シャルル!!大丈夫か!?」

 

「だ、大丈夫……じゃないかも……少し、景色が揺れてる……ア、IS装備なのに、おかしいな……」

 

「いや、ゲンのパンチをモロに食らっても意識がハッキリしてんなら、充分スゲエって」

 

一夏の元に吹っ飛んだシャルルは、器用に空中で体勢を立て直して、足で地面をスライドしながら一夏の傍で停止した。

その直ぐ傍に一夏が駆け寄ってフォローに入るが、一夏の手元には雪片が無い。ボーデヴィッヒのISに刺さったまんまだからだ。

 

「へっ。モロじゃねぇよ……シャルル、テメェ俺の拳が当たる寸前で、グレー・スケールをパージしやがったな?そこから後ろに加速した時に、俺の拳を受けてる……大したダメージにゃなってねぇ筈だ」

 

「いや……それでも、おかしな威力だったよ……今も景色がグワングワンって揺れてるからね」

 

そりゃ上手い事顎に当たって、脳が揺れてんだろ。

確かにどんな攻撃でも、ISの絶対防御のお陰で骨は死にはしねえが、そういった命の危険に直結しない怪我は後回しにされるからな。

っつうか、俺は今の一撃で頬をブチ抜くつもりだったってのに、寸前で打撃ポイントをズラされるとは……やっぱ最高だ。

俺は依然として笑みを保ったまま、グレー・スケールを明後日の方向に放り投げる。

 

「き、貴様……ッ!!余計な事を……ッ!!」

 

と、良い気分になってる俺に水を指す奴が役一名。

今の俺の乱入であわや撃墜判定が下る寸前だったボーデヴィッヒだ。

 

「約束通りだぜ、ボーデヴィッヒ。テメェの負けが確定したからなぁ……こっからは俺が楽しませて貰うぜ?」

 

「ふざ、けるな……ッ!!私は、まだ……負けては……ッ!!」

 

「ふざけるな?ふざけてんのはテメェだろーが。あのままシャルルの攻撃ドテッ腹に喰らえば、誰がどうみても撃墜判定が出てた……今のテメェが言ってるのは、只の強がり。ガキが駄々捏ねてるだけなんだよ」

 

「黙れ……ッ!!貴様に、指図される謂れは無い……ッ!!」

 

なるべく優しく、感情を荒立たせない様に喋る俺だったが、ボーデヴィッヒはそれに駄々を捏ねるばかり。

終いにゃ無理を押して立ち上がろうとしてやがる……あぁ、ったく――。

 

「『――ゴチャゴチャうるせえんだよ、テメェは』」

 

「ッ!?(ズン!!)ぐ!?か、あ、あぁ……ッ!?」

 

俺は前に出会った名も姿も知らない女子に使った時より『強力』な威圧を、言葉と眼力に乗せてボーデヴィッヒに叩きつける。

このレベルの威圧ってのは、生で見て俺と対峙したのが普通の生徒なら、泡吹いて痙攣気絶する程に強力だ。

しかし、今俺と対峙してるのはボーデヴィッヒだけなので、安心して使える。

他の女の子達はさすがに観客席からじゃ、ビビりはしても気絶はしねぇだろう。

俺と対峙してる当のボーデヴィッヒはと言えば、両足を地面に付けた正座の体勢で、俺の事を震える目で見てた。

……一夏に……心から倒したいと思ってた奴に負け掛けて、俺の威圧を浴びて、心が折れかかってやがる。

それを認めたくない、認められないから、こいつはまだ負けてねえと言い張るのか?

威圧する俺を理解出来ないと言いたげに震えながらも睨むボーデヴィッヒに、俺は溜息が出そうになった。

 

「『テメェが何に対して意固地になってるのか、なんて興味もねえが……まだ負けてねえって思うんなら、テメエの足で立って、勝手に参戦しな……それが無理なら、そこで大人しくしてろ』」

 

俺はそれだけ言って、シュヴァルツェア・レーゲンの実弾砲に刺さってる雪片を引っこ抜き、ボーデヴィッヒに背を向ける。

 

「ぐ、くそ……ッ!?何故だ……何故動かない……ッ!!」

 

背後から聞こえるボーデヴィッヒの声を無視して、俺はこっちにファイティングポーズを取っている一夏、膝立ちのシャルルを見やった。

一夏は緊迫した表情ながらも、しっかりと構えて俺を見据えているが、シャルルは冷や汗をドップリと掻いているではないか。

良く見ると一夏もシャルルよりは量は少ないが、汗を垂れ流している。

 

「『何だ?これから楽しい楽しい喧嘩の始まりだってのに、二人してそんなツラしやがってよぉ』」

 

やる前から引け腰になってんじゃねぇだろうな?頼むから勘弁してくれよ。

 

「……そりゃ、お前がオープンチャネルでそんな声出せば、嫌でも汗掻くっての。観客席の皆だってビビってんじゃねぇか」

 

「は、はは……ぼ、僕、今まで元次がISに乗って戦うのは見てたから、理解してたつもりだったけど……対峙するのは、全然違うんだね……まるで、心臓を鷲掴みにされたみたい……」

 

「『あん?……おおっ、そうだったな。忘れてたぜ……まぁとりあえず、コレは返しとくぞ』」

 

そういやこの会話は観客席どころか、世界中に生中継されてるから、テレビ見てる全員に届いてるんだっけ。

いやはや、すっかり失念してたぜ。

まぁ、女性権利団体の奴等が俺に恐れてブルブル震えてんのは良い気味だがな。

一応ボーデヴィッヒに言葉を投げ掛けた時よりも威圧は抑えてるから、まだ一夏達は大丈夫なんだろうな。

自分の行いを少しだけ反省しつつ、俺は肩に担いでいた雪片を一夏に向かって投げ渡す。

雪片は軽い放物線を描きながらクルクルと回転し、最後は一夏の目の前の地面に刺さった。

一夏は俺の挙動を注意深く観察しながら、地面に刺さった雪片を引っこ抜いて正眼に構える。

 

「『おいおい。ンなに注意深くしなくても、取って食いやしねぇよ』」

 

「良く言うぜ。そんな台詞は鏡で自分の顔を見てからにしろよ、兄弟……もう待ち切れねぇって顔してるじゃねえか」

 

「『あぁ、顔の事は気にしねえでくれ……散々待ち侘びたから、中々元に戻んねーんだ』」

 

一夏に言われずとも、自分の表情くらい良く判ってる。

吊り上がった口元が全然元に戻んねーんだもんな。

首を左右に捻って骨を鳴らしながら、俺は冴島さんに習ったファイティングポーズを取り、『猛熊の気位』を発動させる。

俺が本格的に構えを取ると、シャルルもハッと意識を戻して、ガルムとヴェントを2丁同時に構える。

 

「『さぁ……喧嘩は漢の華だ!!いっちょ派手に咲かせようぜぇ!!!』」

 

「ッ!?気を付けろよシャルル!!ゲンは最初っからカッ飛ばしてくるからな!!」

 

「うん!!元次とは初めて戦うけど……手加減無しだからね!!」

 

「『ハッ!!上等だゴラ!!手加減なんかしやがってみろよシャルル!!――ブッ殺してやるからよぉおおおおお!!!』」

 

バァアアアアアアッ!!

 

俺の怒声を合図に、世界で3人の男性IS操縦者(表向き)は其々動き出した。

シャルルは半円を描く様に俺の外周を周り、ガルムを乱射してくる。

しかし、その乱射も直ぐに止んだ。

理由としては、俺の向かう目的地に、シャルルのパートナーが居るからだ。

 

「おぉおおおおおおおお!!!(ドォオオオオ!!)」

 

俺の向かう先、そこは零落白夜を展開した一夏が、俺に向かって瞬時加速で突っ込んでくる姿がある。

触れたら即大ダメージの零落白夜の振り下ろし。

勿論素直に当たってやる義理はねぇし……俺だってちゃんと練習してんだぜ?

 

「『スゥ――ラァアア!!(バババババァアア!!)』」

 

気合の雄叫びと共に、今まで噴射していたブースターのエネルギーをスラスターに取り込み直し、より爆発的な推進力を得る。

おっしゃぁ!!瞬時加速、バッチリ成功だ!!

 

「な!?お前もかよ!?」

 

「『ハッハッハァアアア!!イグニッション・ブーストはてめえだけの特権じゃねぇんだよ!!』」

 

多分、一夏の中で予想していたよりも俺の到達が早くなってしまったんだろう。

振り上げられた雪片は、かなり至近距離に俺が居るにも関わらず、振り降ろされる事は無い。

一夏のことだから多分、何が何でも先制攻撃を取ろうとしてたんだろうが、こうもタイミングがズレちゃそれも厳しいだろ。

 

「一夏!!離れて!!」

 

ここでシャルルがガルムを構えて一夏にオープンチャネルで指示を飛ばすが、残念な事に俺達は瞬時加速中なんだ。

もうほぼ間合いに入っちまった段階でのゼロ距離停止も、回避も出来ねえ。

なら、俺が取る選択肢は?

 

「『――だりゃぁあああああああああああ!!』」

 

「(ズドォオオオ!!)ごはぇっ!?」

 

真っ向から叩き潰す!!これっきゃ無えだろ!!

一夏が雪片を振り下ろすより先に、俺は飛行で前のめりになっていた身体を曲げて、一夏に加速を充分に乗せた飛び膝蹴りを叩き込む。

自分の速度+俺の速度=食事を吐き出しそうな程の衝撃を喰らった一夏は、身体をくの字に曲げて浮き上がる。

だが、生憎この技は『連撃技』なんだよ!!

飛び膝蹴りをモロに喰らって目の前で滞空する一夏に対して、俺は振り上げていた両手をハンマーの様に組んで、振り下ろす。

 

「『どるぁ!!!』」

 

「(ゴズ!!)がふぅ!?」

 

更に地面からバウンドして戻ってきた所にぃいいい!!

 

「『――おぉるぁああああああああああああ!!』」

 

「(ドゴォオオオオ!!)おぐぁあ!?」

 

今度は下から掬い上げるダブルハンマーアッパー!!

これぞ、冴島さんから習ったパワー系のフィニッシュブロウ、『連撃 錬気三段』だ。

パワー系統の俺が持つ連続技の中でも、極めて汎用性に優れる上に、ダメージもかなりデカイ。

 

「(ドザァ!!)げは!?あ、が、はぁぁ……ッ!?」

 

ダブルハンマーアッパーで吹き飛ばされた一夏は、腹を抑えた体勢で膝立ちになる。

だが、エネルギーを無駄に消耗しない為に、零落白夜は一旦解除してるのは凄え。

多分あの勢いだと、絶対防御突破したんじゃねぇか?

だが、こりゃ試合だ……キチッと戦闘不能になるまで叩きのめさねえとな。

膝立ちの体勢で動く事もままならない一夏の顔面目掛けてサッカーボールキックを――。

 

「それ以上はやらせない!!(ドババババババ!!)」

 

「(ガガガガガ!!)『うお!?ちっ、自分から距離を詰めて来やがったか!!』」

 

「今の位置なら、一夏を巻き込む心配も無いからね!!やられた一夏の分も、鉛のデザートをたらふくご馳走してあげるよ!!」

 

「『うおっと!!そう何発も喰らって堪るか!!』」

 

一夏を蹴り飛ばす寸前で距離を詰めながら射撃してきたシャルルに阻まれ、俺は銃弾の嵐から逃げる様に回避する。

『猛熊の気位』発動状態の俺+ISのシールドエネルギーなら、ボーデヴィッヒみたいに銃弾をガードする必要も無えが、シールドエネルギーは普通に減ってしまう。

ISの試合はシールドエネルギーをゼロにした方が勝ちだから、自分の耐久性に頼って何時の間にかエネルギー切れなんて事態は避けなきゃならねえ。

最初の立ち位置位まで距離が空いたので、俺はストライカーシールドを呼び出して、銃弾をガードしていく。

この距離でシャルルの弾切れの隙を伺うが、シャルルのガルムは一向に看板(弾切れ)になる気配は無い。

いや、あったとしてもラピッドスイッチで直ぐに切り替えられちまう……ええい面倒くせぇ!!

 

「『こうなりゃ強引にいったらぁあああ!!(ボォオオオオオ!!)』」

 

ストライカーシールドで銃弾を防いだままに、ブースターを吹かしてシャルルへ突貫する。

よく見たら一夏も起き上がろうとしてるし、何時迄もこのまんまじゃ埒が開かねえ。

多少強引でも、あの二人に近づかねえとな。

 

「あ、相変わらず無茶苦茶するね!!でも!!」

 

ストライカーシールドを構えたままという、所謂一つの巨大な塊となって進む俺に、シャルルが見覚えのある武器を構える。

通常の銃よりも遥かに大きな口径で、弾倉は六連式のリボルバータイプ……ってあれはリュシエールじゃねえか!?

真耶ちゃんの使ってた六連装グレネードランチャー、リュシエールは、突進する俺に向かって不気味な大口を向けている。

ヤベェ!!横や後ろじゃ爆風にモロ巻き込まれる!?じ、じゃあ――。

 

「これなら寧ろ、的が大きくて当てやすいよ!!」

 

考えてる間にも、シャルルはグレネードを放とうとトリガーに力を加えていく。

射撃武器のコールも間に合わねえなら――これだ!!

 

「『そらあぁ!!』(ドカァ!!)」

 

俺はシャルルがグレネードを撃つ前に、ストライカーシールドを『蹴り飛ばして』シャルル達に飛ばした。

 

「ッ!?おっと!!」

 

「うお!?危ねえ!!」

 

しかしそれはシャルルだけじゃなく、起き上がった一夏にも軽々と避けられちまう。

だが、それで良い。少しでもあの二人の注意が引ければな!!

 

「ゲ、ゲンは何処に!?」

 

「一夏、上だよ!!」

 

「んな!?」

 

シールドを蹴飛ばした瞬間に上へと跳躍した俺だが、シャルルには捉えられていたらしい。

二人の上を放物線を描きながら飛ぶ俺に、シャルルはグレネードを放つが、それはギリギリ俺に当たらず明後日の方向へ飛んで行く。

だが、俺も既に片手装備の大型イオンレーザーブラスターの『LON BLASTER』を展開済みだ。

 

「『シッ!!』(ガゥンガゥン!!)」

 

「くそ!?」

 

「は!!」

 

宙を舞いながら射撃したレーザーだが、上手い事当たる筈も無く、一夏は急いで後退し、シャルルは俺と交差する様に宙返りしながら武器を入れ替える。

このままだと挟み撃ちされると考え、もう一丁のイオンブラスターを展開し、二丁撃ちの体勢を取った。

 

「『おぉお!!』(ババウ!!バウ!!)」

 

「く!?ハァ!!(ババババ!!)」

 

後に飛んだシャルルより先に着地して体勢を整えた俺は横移動しつつ、空中に滞空中だったシャルルに射撃を繰り出し、二発ほど脚に当てる事に成功。

しかしシャルルも黙ってやられる筈も無く、ラピッドスイッチで入れ替えたヴェントの射撃を繰り出す。

ちっ!!やっぱ射撃はシャルルに一日の長があるな!!

連射しても3発に1発といった具合の俺とは違い、シャルルはほぼ確実に当ててくる。

 

『警告。後方から迫り来る機体を感知。至急回避行動を』

 

「後ろががら空きだぞ、兄弟ぃ!!」

 

オプティマスのハイパーセンサーが警告を飛ばすと同時に聞こえる一夏の声。

雪片を突き出した構えで突撃してくるが、ンなもん気配で判ってんだよ。

 

「『甘えんだよぉ!!うるぁ!!』」

 

「(ガゴォ!!)うわ!?」

 

右斜めから繰り出された奇襲突撃を、イオンブラスターを握ったまんまに右手の裏拳でいなしながら背中向きに回転。

放った裏拳が一夏の後頭部を叩き、回転した力で俺と一夏の位置が入れ替わる。

俺が後ろで、一夏が左前に出るって形だ。

そのまま無防備な背中を晒す一夏に、後ろから左手のイオンブラスターでゼロ距離射撃を見舞う。

 

「一夏!!離脱して!!」

 

「『無料(タダ)で逃がすかってんだ!!』(ババウ!!バウ!!)」

 

「(ドドン!!)が!?ちくしょお!!(ドォオオオ!!)」

 

俺にフルオート射撃を浴びせていたシャルルだが、射線状に一夏が現れたので一旦銃撃を止め、一夏に指示を飛ばす。

一夏は悔しそうにしながらもシャルルの指示に従い、俺から急加速して離れようとする。

シャルルの邪魔にならない様に俺の背中側へ回って空へと逃げようとする一夏に、身体を回しながら続けて右手のブラスターで連続射撃を浴びせていく。

 

「(良し!!一夏が射線からズレた!!今の元次はガラ空き――)」

 

勿論、シャルルが一夏に攻撃して隙を晒してる俺を撃とうとするのは当たり前だよな?

俺はそれも込みで、イオンブラスターを二丁展開してんだからよぉ!!

現在、俺は背中側に回って逃げた一夏に追撃の射撃を浴びせていたので、体勢は一夏とシャルルに横合いから挟まれた状態だ。

だから、『右手』のブラスターは『一夏』へ、『左手』のブラスターは『シャルル』への対応に回している。

一夏を撃ちまくっていた右手のイオンブラスターはそのままに、身体を半身だけ回転させてから左手のブラスターをシャルルへ合わせる。

更に、イオンブラスターの第二機能である強化弾モードを起動させた。

 

「『――(ニヤッ)』(ガチャン!!)」

 

「ッ!?しま――」

 

ブラスターを少しだけ持ち上げてトリガー部分のセレクターを入れ替えると、『ガチャリ』という起動音と共に銃身のバレルが一部開く。

俺の動きが二人に同時対応するものだと気付いたシャルルは顔をハッとさせるが、もう遅え。

 

ドォオ!!

 

けたたましいマズルファイヤーと共にブラスターから吐き出された大型強化弾は、回避しようとしたシャルルの胸元へ吸い込まれる様に飛び込んだ。

 

「(バゴォオ!!)うあぁあ!?」

 

恐らく空へ飛び上がろうとしていたであろうシャルルは、強化弾の衝撃に踏ん張りが効かず、両手のガルムとヴェントを落として後ろへと吹っ飛ばされていった。

うし!!これでシャルルの銃撃が止んだな!!

まだ一夏も空へ上がったままで、直ぐには追撃してこねーだろう。

ふと残存エネルギーに目を向けると、現在の残りエネルギーは4322と出ている。

チッ。かなりシャルルの銃撃を貰っちまったし、最初の瞬時加速のエネルギーが響いてるな。

なら、先に全距離対応出来るシャルルを潰すとすっか!!

両手に握ったイオンブラスターを収納しながら、俺は飛んでいったシャルルへと向かって行く。

吹っ飛ばしたは良いが、シャルルに距離を取られると面倒くせえからな。

ボーデヴィッヒの時みてーに、一夏と遣り合ってる最中に横槍を入れられちゃ堪んねえ。

 

「う、あぁ!!(ズザザザザ!!)」

 

シャルルも何時迄も吹っ飛ばされる筈が無く、空中でクルリと回転して体勢を整え、地面に脚と腕を付いて勢いを止めるが、既に俺はシャルルの目の前で拳を振り下ろす体勢に入っていた。

 

「『うおらぁ!!』(ブオォン!!)」

 

「ッ!?ハァッ!!(ガギィイン!!)わッ!?――お、重いなぁ……ッ!!元次とは……インファイトなんてしたくなかったんだけど……ッ!!」

 

俺のパンチをラピッドスイッチで取り出したブレッドスライサーで何とか受け止めたシャルルだが、拳の威力が予想外だったのか、苦悶の表情を浮かべる。

何ならもう1発喰らってみろや!!

更にもう片手で追撃を出そうとする俺だが、そんな俺に対して、シャルルは口角をニヤリと吊り上げる。

 

「でも、捕まえたよ!!(キュイン!!)」

 

「『ぬ!?』」

 

ここでシャルルは、ブレッドスライサーから片手を離してラピッドスイッチを使い、空いた片手にレイン・オブ・サタディを出現させて、俺の腹に向ける。

1発撃ち込めば、俺の腹にフレショット弾かスラッグ弾のどっちかが炸裂する事だろう。

……どうやら、俺はまんまとこの策士の策に溺れちまったらしいな。

完全に俺の腹に押し当てないのは、ISの銃火器に備え付けられてる安全装置が発動しない様にだろう。

銃を密着させた状態で放てば、下手すると内部機構がイカれちまうらしい。

特にフレショット弾なら、銃身にペレットが詰まっちまうからな……安全装置発動させる為に俺から押し当ててみるか?

そんな俺の思考を先読みするかの様に、シャルルはニコリと微笑む。

 

「悪いけど、安全装置なんて発動させないし、入ってるのは『熊を仕留める』スラッグ弾だから……それに、僕だけじゃないしね♪本日の天気は晴れ、所により――」

 

「――剣が降るでしょう!!」

 

シャルルの言葉を引き継いで、頭上から雪片を振り上げつつ、一夏が奇襲を仕掛けてくる。

しかも瞬時加速+零落白夜の超・攻撃型コンボでだ。

これで頭上と下を挟まれた形になり、シャルルのショットガンを塞ぐ間も無くなった……やれやれ。

 

「『……まったく、イイ性格してやがるぜ』」

 

「「それはどう――も!!!」」

 

俺の言葉に呼応して言葉を返すと同時に、シャルルのレイン・オブ・サタディが火を噴き、一夏が雪片を振り下ろす。

こうなったら零落白夜のガードが優先!!シャルルはダメージ覚悟で後回しだ!!

 

ドゴゴォオオオ!!

 

『腹部直撃、残存エネルギー4110』

 

頭上の一夏へ思考を向けると、腹に今日喰らった中で一番の衝撃が2度炸裂した。

『猛熊の気位』を発動してる俺の腹に響く一撃……中々のモンだが――。

 

「『ふんッ!!――ガァアアアアアアアアア!!!』」

 

「う、嘘!?スラッグの連続直撃で体勢が崩れないの!?ゼロ距離なのに!?」

 

「やっぱ兄弟には効かねえか!!でも、これはどうだぁあああああ!!(ブォン!!)」

 

俺を止めるにゃ、ちとパンチが効いてねえなあ!!

獣の様な雄叫びを挙げながら普通に動く俺を見て、シャルルは驚愕に目を見開くが、一夏は攻撃を続行する。

長い付き合いなだけあって、俺がこの程度で倒れねぇのは折り込み済みなんだろう。

だが、俺もテメエに対応する為にシャルルを放置してんだよぉ!!

空いていた右手を下から振り上げつつ、俺はエナジーアックスを呼び出して、雪片と交差させた。

 

ギィイイイインッ!!!

 

「「おぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!(ギギギギギギギギ!!!)」」

 

一瞬にして体中に降り掛かる、膨大な負荷。

頭上から瞬時加速の速度を乗せて振られた雪片の一撃は、途轍も無い威力を誇っていた。

ましてや俺の方は振り回すのも難しい大振りな超重量のエナジーアックス。

普通なら片手で振り回して拮抗してるのがおかしい話だろう。

だが、忘れてんじゃねぇだろうなぁ一夏?

テメエの白式が他を寄せ付けない速度特化のISなら――。

 

「『――おっらぁああああああ!!!』(ガキィイイイイ!!)」

 

「どわぁああああああ!?」

 

「一夏!?」

 

俺のオプティマス・プライムは、超・パワー特化なんだぜぇええええ!!

誰が見ても不利な体勢から、剣だけで無く白式自体を吹き飛ばした事に、下に居たシャルルが悲鳴を挙げる。

それも束の間の事であり、シャルルは直ぐに俺を睨んで、レイン・オブ・サタディを顔面に向けてきた。

ならばと俺は、顔面に向けられたレイン・オブ・サタディに、額をぶつける。

こうすれば安全装置が働いて、撃つ事も出来なくなるよなぁ!!

 

「ッ!?く!!」

 

当然、それを確認したシャルルはレイン・オブ・サタディを少しだけ離してトリガーに力を掛ける。

 

「『それを待ってたぜ!!』(ガシィ!!)」

 

「(ドゥン!!)な!?」

 

その瞬間、俺はエナジーアックスから手を離して、レイン・オブ・サタディの銃身を掴み、銃身を顔面からズラした。

驚きに声を挙げるシャルルへニヤリと笑みを浮かべながら、俺は掴んだ銃身を今度は下へズラす。

 

「『はぁ!!』」

 

「(バゴォ!!)うわ!?」

 

ズラした銃身を膝で蹴り飛ばすと、レイン・オブ・サタディはシャルルの手からスッポ抜けてシャルルの背後へと飛んでいった。

更に銃を蹴り飛ばした際の衝撃で体勢を崩した無防備なシャルルに、俺は容赦無く追撃の手を掛ける。

見せてやるよ!!俺が神室町で師事した人から教わったヒートアクション!!

相手の体勢が更に下向きへ崩れた所へのぉおおおおお!!

 

「『――でいぃいいやぁああああ!!!』」

 

「(ドグシャァアアア!!)あぁあああああああ!?」

 

溜めを作った、重厚な前蹴りで顔面を蹴り飛ばしてブッ飛ばす!!

地面を五度、六度と派手にリバウンドして吹っ飛んでいくシャルルを見ながら、俺は蹴り足を降ろす。

 

「『……フウゥゥ……『古牧流・火縄封じ(長筒飛ばし)』……わりぃな、シャルル……IS装備なら銃なんか向けられても、別に怖か無えんだよ』」

 

ついこの間、死ぬ気で訓練した末にある人から教わった技名を言いながら、俺は大きく息を吐き出す。

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

「いやいやいや!?幾らIS装備でも顔に銃向けられたら普通ビビるでしょ!?頭の螺子が2,3本ブッ飛んでるんじゃないの!?」

 

元次が常識外れな事をのたまったのに合わせて、一般生徒や来賓客とは隔絶された観戦席に居た少女が、スピーカーから聞こえた言葉にツッコミを入れる。

毎度お馴染みの扇子には『この男、予測不能』と達筆で書かれていた。

少女の言葉は確かに常識ではあるが、あの男、常識から逸脱した訓練をしている。

故に少女の言葉は、正に『馬の耳に念仏』状態である。

先程参戦してから豪快に、それもたった一人で戦況を引っ繰り返し捲ってる元次に、女子生徒は顔を盛大に引き攣らせる。

彼女の側に控えていた本音の姉である虚も、開いた口が塞がらない様であった。

 

「あー、もー!!私もあの時から今日まで毎日厳しい特訓してきてるのに、何で差が詰まって無いのよ!!それどころか開いてるってどういう事!?」

 

憤慨しても差は縮まらないのだが、彼女としては叫びたくもなる。

何せ最初に元次の話を聞いた時の『ヤマオロシ撃破』という戦績の時点で心が挫けたというのに、ソレにもめげずに修行してきたのである。

それは偏に、学園最強を名乗る僅かなプライドと、あの力が此方に向いても抑えきれる様にという責務の為だ。

しかし今度はクラス対抗戦で謎の無人機の襲撃があった時、更に元次の人外ぶりをまざまざと見せつけられて完全に心が折れた。

「もう最強の称号は彼に譲っても良いんじゃないか?」と諦めたが、彼女の使用人である虚の説得と、自らの『実家』からの命令に何とか立ち直った。

実家の人間達も元次の非常識さをビデオで見て、「あれ?コイツ人間じゃ無くね?」と思ったが、それでも何とか抑えこんで欲しいと、命令という形の懇願を取った程である。

普段は厳格な家の者達が弱り切った表情で頭を下げるのを見て、もう一度頑張ろうというタイミングで、更なる成長を見せつけられた。

これでは少女がキレても仕方無いであろう。

 

「うー……一体何処でどんな鍛え方したらああなるのよぉう……虚ちゃ~ん。彼の新しい情報はある~?」

 

「は、はい……本音から、何とか聞き出しました」

 

完全に不貞腐れてヤル気を無くした少女だが、虚はそれを咎めない。

寧ろ咎める事は出来ないと理解しているのだ。

彼女の必死な努力を、元次はたった一度の試合で全否定してしまったのだから。

今まで彼女の厳しい修行を見守ってきた虚には、落ち込む少女を咎める事は出来なかった。

ここで虚から妹である本音の名前が出てくるが、これには複雑な事情がある。

実は本音は、最初は元次に無邪気に近づいたのでは無い。

彼女の主である家の命令で、元次の人と成りを観察する様に命じられていたのだ。

だが、元々心優しい少女である本音は、この命令に乗り気では無かった。

しかも共に過ごしていく内に本気で惚れてしまったのだから、尚の事報告は極力しなかった。

だが、彼女の家が仕えている実家からの命令。

それは下手をすれば自分の親が叱責の対象になってしまうという事は、彼女も重々承知している。

だからこそ、取り分け元次の戦闘力についてだけは、本音もキチンと報告していたのだ。

しかし、本音にとっては嬉しい事が一つだけあった。

それは彼女の親が仕える実家からであり、元次の調査を今回限りで打ち切って良いとの事だった。

彼等は、もしもこの事が元次にバレた時に、その戦闘力が自分達に牙を向く可能性が有る事を、本音からの報告で悟った。

鍋島元次という人間は、決して損得勘定で意志を曲げる事が無い。

自身の感情を優先し、自分にとっての悪と断ずれば、相手が誰であれ牙を向く、正に野生の獣そのもの。

幾ら使用人であるとはいえ、嫌がる少女を使って情報を集めさせていたのだ。

例えかなり友好的に過ごしている本音が止めようとも、その怒りの炎が鎮火する頃は、自分達が滅ぶ頃だと。

 

「本音から聞いた話ですと……鍋島君は、2週間前に東京の神室町に赴き、ある人から訓練を付けてもらったそうです。その時に技を2つ程教授したと……」

 

「……え?……たった一日だけで?それだけであんなに強くなっちゃったの?」

 

虚の報告に「嘘でしょ?」という思いをたっぷり乗せて聞き返すと、虚は首を左右に振って彼女の言葉を否定する。

 

「――凡そ、半日だそうです。その後は……本音と……デ、デートを……していたそうですから……」

 

「……フ、フフフ……私、今日から訓練メニュー、3倍にするわ」

 

言い辛そうな虚からの報告に、少女は力無く笑って、椅子に深く座り込んでしまう。

正しくは鈴の父親である維勳の居所を知る為に、地下闘技場で戦った時の経験もあるのだが、二人は知る由も無かった。

 

「ハァ……ちなみに、その訓練付けてもらったお師匠さんの名前は?」

 

彼女は椅子に深く凭れたままに、目だけ向けて虚に最後の質問をする。

その質問を聞いた虚は、自分で作ったファイル表の彼方此方に視線を向けて、探していた項目を見つけた。

 

 

 

 

 

「えぇと……『古牧 宗太郎』さんと仰る方だそうです」

 

「古牧……聞いた事無い名前だけど……あの鍋島君を鍛えられる人が、普通な訳無いのかしら……」

 

 

 

 

 

様々な武術を嗜む彼女でも、元次を鍛えた者の名前は聞いた事が無かったが、それも仕方無い。

何故ならその男は、表では活動を遥か昔に止め、現在は神室町の地下格闘技場に偶に出没する程度であるからだ。

しかしその実力は、伝説と謳われる『堂島の龍』が師事した程に、超が付く程の折り紙付き。

現在は地下格闘技場で、『格闘界の人間国宝』との異名が付く男であった。

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

ふぅ、ヤバイヤバイ……古牧の爺さんの訓練で、生身の状態で改造エアガンを顔面に向けられたりしてなかったら、ビビッて銃なんか掴めなかったろうな。

残心を終えた俺の目前では、蹴飛ばされたダメージで起き上がれないシャルルが居る。

今なら追撃を掛けられる状態だが、それは相手が『シャルルだけ』ならだ。

 

「これ以上はシャルルを……やらせねぇぞ!!兄弟!!」

 

既に俺の目の前には、空から純白に輝く機体を翻して剣を構える一夏の姿がある。

シャルルを守る様に俺との間に割って入るその姿は、正に姫を守る王子様さながらだ。

やっぱ、兄弟は良いなぁ……どれだけブチのめしても、最後の最後の瞬間までは絶対に諦めねえ。

何時でも、どんな時でも……お前は自分で決めた事を諦めねえからな……。

 

「『へへっ。さすが兄弟だな。どれだけボコボコにしてやっても、闘志は微塵も消えちゃいねえ……それを無謀だとか罵るヤツも居るだろーが、その姿勢は……兄弟として誇らしいぜ?』」

 

地面に落としていたエナジーアックスを拾いつつ、笑みを浮かべながら言葉を発すると、兄弟もニヤリと笑って俺を見やる。

 

「へっ……お前に挑むって時点で、誰がやっても無謀になるだろ?……それに――」

 

兄弟は俺に言葉を返しながら、正眼に構えていた雪片を八相の構えに構える。

それはまるで、俺が最初の入学試験で対峙した千冬さんを彷彿させる様な構えだった。

一瞬ではあるが、兄弟の後ろに千冬さんの姿を見る程の……。

この土壇場において更なる成長を遂げている一夏を見て、俺はドンドンと自分の中の闘争本能が暴れだすのを感じ取った。

 

「俺には、『千冬姉を守れる男になる』って、兄弟より無謀な目標があるからな……だったらどれだけ無謀でも、無理だと決まる最後の瞬間まで、カッコ悪く足掻いてやらぁあああああ!!!」

 

一夏の言い放った言葉に、会場の誰もが騒然とするが、俺達には一切関係無かった。

その言葉を皮切りに、一夏は会場のざわめきなんて放置して、俺に向かって再度突進してくる。

俺はそんな兄弟の姿を見ながら、エナジーアックスを両手で持って構え――同じ様に笑う。

 

「『――ハ……ハッハハハハァ!!!ここで!!ここでそれを言うのか!?最高じゃねえか!!兄弟ぃいいいいいいいい!!!』」

 

「あぁ!!こんな最高の舞台で言わねえなんて、只のビビリだ!!――それじゃ『兄弟』にも、恥掻かせちまうからなぁあああ!!ぜぇあああ!!」

 

「『うおおおおおおお!!オラァアアア!!』」

 

ギィン!!

 

「ハァアアアアアアアアア!!!」

 

「『うるぁあああああああ!!!』」

 

ガギィン!!ギャリィ!!

 

袈裟、逆銅、小手、斬り上げ、突き、唐竹割り。

まるで映画の殺陣を演じているかの様な、素早く流れる剣戟。

それは一夏の雪片が発している零落白夜の光と相まって、相手である俺や観客に幻想的な蒼い剣の軌跡を魅せつける。

一方で俺のエナジーアックスは、大振りな武器なだけあって、一夏の連撃にギリギリついて行けてるってところだ。

しかしそんな中でも、俺と一夏は口元に笑みを浮かべていた。

楽しくて、楽しくて仕方が無えんだよ。

あの兄弟が、不敵にも全世界へ向けての生放送で、千冬さんを守れる男に――『世界最強』になるって宣言したのがなぁ!!

周りの音を置いて、只俺達の剣戟の音のみが鳴る中、俺達はひたすらに斬撃を叩き付ける。

あぁ畜生!!滅茶苦茶楽しいじゃねぇか!!これでホントに初っ端の一回戦かよ!?

体中のボルテージが上がって仕方無え!!血沸き肉踊るってのはこういう事を言うんだな!!

コイツと!!兄弟と喧嘩すんのがこんなに楽しいなんて……ッ!!

 

「うらぁ!!」

 

ズバッ!!

 

そして、遂に一夏の雪片が、俺のオプティマスの膝辺りの装甲を掠めた。

ホントに軽く掠めた程度だが、零落白夜の攻撃力は、ハッキリ言って馬鹿げてる。

 

『脚部損傷、残存エネルギー3680』

 

たった一撃掠めただけで、シャルルにもらったスラッグ弾2発分を超えちまうんだからな。

 

「うおおおおおおお!!!(ブォン!!)」

 

これを好機と見た一夏が、下がるか受けないとどうしようも無い胴斬り攻撃を繰り出してきた。

確かに少し体勢が崩れた所でこれは有効だが……まだ詰めが甘えぞ、一夏?

お前が成長してる様に……俺だって成長してるんだからな。

横から振りかぶって斬り付けてくる一夏に対して、俺はエナジーアックスの刃を地面に真っ直ぐ突き立てる。

その行動に少し顔を歪める一夏だが、押し切るつもりなのか、そのまま斬撃を放つ。

おし!!今だ!!

 

 

 

俺は、その突き立てたエナジーアックスに一夏の斬撃が当たった瞬間――。

 

 

 

 

「はぁ!!(ガギィイン!!)」

 

「『――ぬん!!』」

 

エナジーアックスを『支点』に、空中で『回転』した。

 

「な!?」

 

これに驚愕して目を見開く一夏を尻目に、回転が半分以上終わった段階で、地面からエナジーアックスを引っこ抜く。

地面に着地した俺は、一夏の後ろで横向きの体勢になり、そこからエナジーアックスを力いっぱい横向きに振るう。

慌てた一夏が雪片を防御に回すが――。

 

 

 

「『――剛剣!!猿返しぃいいいいいい!!!』」

 

「(ズバァアア!!)ぐあぁあああああああ!!?」

 

 

 

超重量を誇るエナジーアックスの一撃の前じゃ、防御なんて無意味だ。

その剛撃を叩き付けられた一夏は、悲鳴を残してアリーナの隅へと吹き飛んでいく。

 

『剛剣、猿返し』

 

これは古牧の爺さんに習った技では無くて、俺が普段から愛読していた『龍が如く見参』で天啓を得たヒートアクションだ。

本来は大太刀でやる技だが、重量のある刀剣類ならこの代用が効く。

 

「(ドガァア!!)ぐわ!?」

 

『『『『『キャァアア!!?』』』』』

 

と、剛剣、猿返しで吹き飛ばされた一夏は、アリーナの外壁では無く観客席を覆うシールドにぶつかって停止した。

それにはさすがに驚いて、観客席の中から悲鳴が挙がっている。

さぁ、こっから更に追撃をカマして――。

 

『警告。後方敵ISよりロックされています』

 

「『ッ!?うおっと!?(バグォオオオン!!)ぐぬ!?グレネードかよ!?』」

 

オプティマスの警告と同時に、俺の本能が打ち鳴らした警報に従ってその場を離れれば、そこには1発のグレネードが撃ち込まれた。

何とか間一髪で逃げ切れたが、あと少し遅かったら喰らってたぞ……危ねえ。

注意深く、緩みかけてた気を引き締めて発射地点を見れば、膝立ちの体勢でリュシエールを構えたシャルルの姿があった。

 

「ハァ、ハァ……まだ、終わってないよぉ!!(ドォンドォンドォンドォンドォン!!)」

 

「『グレネードの乱射たぁ、派手な事しやがるじゃねぇか、シャルルゥ!!』」

 

シャルルはその場から動かずに、俺に向かってリュシエールの残弾を全て撃ちだす。

俺は直ぐ様エナジーアックスを収納して、回避に専念する。

グレネード自体にホーミング性能は無いので躱すのは楽だが……シャルルがこんな無駄撃ちをするだろうか?

答えは否だ、その証拠に――。

 

「はぁあああああああ!!(ギュオォオオオ!!)」

 

瞬時加速を使って、グレネードを避けていた俺に接近してきたからな。

しかも、シャルルの手には俺が『良く知る』武器が握られているではないか。

それは授業で習ったとか、誰かが使ってるのを見たとかじゃねえ。

 

「『俺の『ストライカーシールド』!?味な真似しやがって!!』」

 

俺が最初に蹴り飛ばしたストライカーシールドが握られてる。

基本的に他のISの武装ってヤツは、使用してるISの許可が無い限りは使えない。

銃火器はロックされて弾丸が撃てねえからな。

だが、剣や盾の様に直接相手を攻撃するタイプで、複雑な機能が付いてない物は、やり方次第で幾らでも使えるんだ。

シャルルは倒れてる間に俺のストライカーシールドを拾っておいて、グレネードの爆撃に紛れてそれで突貫してきたって事だ。

 

「元次の盾の頑丈さは、元次が一番良く知ってるんじゃない!?」

 

確かに、ストライカーシールドの防御力は強力無比だ。

大抵の銃弾なら防げるし、多分グレネードやミサイルでも防げる。

恐らく俺の武装でも相当強力なヤツじゃねぇと駄目だ。

 

「『なら、銃に頼らなきゃ良いだけの話だろぉがぁあああ!!』」

 

瞬時加速の状態のままで突撃してくるシャルルへ身体を向けて、ヒートの炎を漲らせる。

こーゆう時に使える、千冬さんからの制裁で天啓を得た、うってつけの技があるんだよ!!盾がありゃ大丈夫なんて考え、覆してやらぁ!!

 

「『スゥ――オラァ!!』」

 

「(バゴォ!!)わぁ!?」

 

斜めに構えて身体を隠していたストライカーシールドの淵を、蹴り上げの要領で上に力の限り蹴り飛ばす。

しっかりと大地に踏ん張って蹴り出した強烈な蹴りに、シールドを支えるシャルルの手が持ち堪えられず、シャルルは俺の目の前でバンザイの格好になった。

俺の目の前で防御が破られて驚愕するシャルルの顔面に、蹴り上げで伸びきった脚を――。

 

「『おっしゃぁああああああ!!!』」

 

「(ズドォオオ!!)あぐぅ!?」

 

真っ直ぐに振り下ろして、地面へと叩き付ける!!

相手のガードを突き破って、ヘヴィな一撃を顔面にお見舞いする――『突き破りの極み』

千冬さんが俺を出席簿で制裁した時に、俺のガードの上から衝撃を咥えて突き破った一撃をもらった時に得た天啓技だ。

イグニッション・ブーストでスピードも充分乗ってたから、コイツァ効いただろ。

 

「うぉおおおおおおお!!」

 

「『ちっ!!今度はお前か、一夏!!』」

 

「さっきもラウラに言っただろぉ!!コイツはタッグマッチだ!!」

 

「『ああ!!別に卑怯だなんて言わねえよ(ガシ!!)お?』」

 

「ハァ、ハァ!!今だよ、一夏!!」

 

アリーナのシールドに叩き付けられてた一夏が零落白夜を展開しながら突っ込んできた姿を見て回避しようとするが、それをシャルルが脚にしがみついて妨害してくる。

――へへっ。

 

「『やっぱ喧嘩はこうでなくちゃなぁああああ!!!』(ブォオオン!!)」

 

「ッ!?うああぁ!?」

 

「な!?シャルル!?」

 

俺は掴まれた片足を持ち上げて、向かってくる一夏に向かって振りかぶる。

脚を掴んだシャルル事、な。

 

「『そぉら!!テメエの相棒だぜ、兄弟!!』」

 

「「(ドガァアアア!!)うわぁああああああ!?」」

 

シャルルと一緒に振り出した蹴りは、一夏に吸い込まれる様にぶち当たり、二人はそのまま吹き飛んでいった。

 

「くそ!!シャルル、大丈夫か!?」

 

「う、うん。何とか……あ、ありがとう、一夏」

 

「良いって、気にすんな。パートナーなんだからよ」

 

しかし蹴り飛ばされた一夏は空中で姿勢を整え、同じく吹き飛んでいたシャルルをお姫様抱っこで抱え直し、地上に降り立つ。

既に二人のISはボロボロだが、目の光だけは一切失ってねえ……最後まで油断出来無えな。

直ぐに意識を切り替えて俺を睨む二人を見ながら、俺は更に深い笑みを浮かべる。

もうコイツ等なら、出しても良いよな……本気の本気を、よ。

 

「『やるなぁ、一夏、シャルル……本当に、滅茶苦茶楽しいぜ』」

 

「っちぇ。殆どダメージ喰らって無え癖に、良く言うぜ……でも、まだ終わってねえ」

 

「そうだね……僕も、最後の最後まで、足掻くよ……一夏と元次が教えてくれた様に、ね」

 

シャルルの言ってるのは、恐らく自分の境遇の事だろう。

このまま何もしないで待ってたら、シャルルにあるのは破滅の道。

この前まではその道に対して自棄になっていたが、自分で決めたんだろうな。

その道をブッ壊して、新しいレールを進むって覚悟を。

一夏は一夏で、自分の決めた目標の為に我武者羅に戦うって事か。

最後の最後まで、カッコ悪く足掻く、か……何がカッコ悪いもんか……目標にひたむきな男が、カッコ悪い訳無えじゃねえか。

充分カッコ良いぜ、兄弟。

 

「『そうか……なら、俺もマジのマジで、二人を相手するぜ……スゥ――グルァアアアアアアアアアア!!!』(ボボン!!)」

 

「「ッ!?」」

 

俺は深く深呼吸をして、前の実習で千冬さんに首を絞められた時に見せた、本気モードに入る。

身体の抑えていた力を開放した反動で、俺の身体中の筋肉が一回り大きく膨れ上がる。

野生の王者、ヤマオロシを下した俺の最強モードにして、冴島さんや千冬さんという本物の強者と戦う時の状態。

俺が格上と判断した相手にのみ見せる、マジ喧嘩モードってヤツだ。

 

「『フゥ……さぁ、喧嘩の続きと洒落込もうぜぇ!!!二人共ぉおおおおおお!!!』」

 

脚を大きく開いた体勢で、両手からエナジーソードを展開した俺に、シャルルはレッドバレットとヴェントを構え、一夏は再び雪片を正眼に構える。

 

「上等!!本気の兄弟を倒さなきゃ、千冬姉を守るなんて夢のまた夢だもんなぁ!!」

 

「僕だって、意地があるんだ!!……一夏の足枷なんかに、なったりしない!!」

 

二人の気概は俺の本気を見て怯えるどころか、増々闘志が湧き上がってる。

なら、全力で叩き潰してやるのが礼儀ってなモンだ。

会場全体が俺の放つ威圧で重苦しい雰囲気の中、距離を開けた状態で睨み合う俺と一夏、シャルル。

やがて、その距離を一夏とシャルルがジリジリと詰めていき――。

 

「「――はぁあああああああああああああああああああああっ!!」」

 

遂に、二人同時に俺へ目掛けて飛び出した。

俺は動かずにその場でドッシリと構えて、二人を迎え撃つ。

ドッチが勝っても恨みっこ無しだ!!思いっ切り楽しもうぜぇええええ!!!

俺も、両手に出したエナジーソードをしっかりと構えつつ、前に飛び出す!!!

 

 

 

 

 

「――――ぐぅうああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!!!!!」

 

 

 

 

 

「「「ッ!!!?」」」

 

――しかし、俺達の意地を、全力を掛けた喧嘩は突如、終わりを告げてしまう。

 

 

 

 

 

――そう。

 

 

 

 

 

グニュグニュグニュ!!!

 

 

 

 

 

「ううぐぅ!!!うぁああああああああああああああああああ!!!!!」

 

 

 

 

 

突如として挙がったボーデヴィッヒの悲鳴と――。

 

 

 

「……何だ、あれ……ッ!?」

 

「ア、ISが……あんなの、見た事も無いよ……ッ!?」

 

「『おいおい……まさか、また異常事態かよ……』」

 

 

 

 

異形の変貌を成し遂げた、ボーデヴィッヒのISによって――。

 

 

 

 

 

 

後書き

 

 

シャルルとの銃撃戦は、映画トランスフォーマー。リベンジ・オブ・ザ・ファーレンでの、工場戦(オプティマスVSメガトロン&スタースクリーム)を作者の出来る範囲で再現したつもりですwww

 

 


 
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