No.672506

機動戦士ガンダム異聞~旭日の旗の下に~第14話

お待たせしました。第14話です。ここからは旭日艦隊視点で物語が進行します。

追記:ハーメルンで連載を始めました。

2014-03-21 08:55:07 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:2509   閲覧ユーザー数:2437

これまでのあらすじ

 

 後世世界U.C.0079年1月3日、地球から最も遠い宇宙都市、サイド3とサイド4は、ジオン公国、プラントを名乗り、地球連邦政府に対し独立戦争を挑んできた。開戦から1か月間の間に、両陣営は総人口の約半数を死に至らしめた。

 

 人々は、自らの行為に恐怖した。

 

 ジオン軍とザフトは、開戦当初から巨大人型兵器「モビルスーツ」を投入し、戦局を有利に進めてきた。

 

 この状況の中、大日本帝国は独自の戦術理論に基づき、MS開発計画「V作戦」を発動した。

 

 これとほぼ同時期に、連邦軍も「G計画」と宇宙軍再編計画である「ビンソン計画」を発動、反撃の狼煙を上げた。

 

 戦況は、膠着状態に陥り、一年近くが経とうとしていた12月8日、サイド7「ヘリオポリス」で開発中の連邦軍新型MSがザフトに強奪される事件が発生、さらに、この時の戦闘により、ヘリオポリスは崩壊、オーブ代表ウズミ・ナラ・アスハは責任を取り、辞任を発表した。

 

 これと同じ頃、プラントでも攻撃を行ったクルーゼ隊に対し査問委員会が開かれたが、審議の結果、クルーゼ隊は不問となったものの、アークエンジェル討伐は、シャア大佐率いるラグナレク分艦隊に引き継がれた。

 

 一方、紺碧艦隊は、新旗艦「轟天号」の最終試験航行中に、ユニウスセブン宙域にてアークエンジェルと遭遇、これを追尾していたが、アークエンジェルは味方救援のために進路を変更、轟天号もこれに続いたが、これは、シャアがアークエンジェルをおびき出すための陽動作戦だったのである。戦闘の最中、轟天号は運悪く流れ弾の直撃を受けてしまう。これに対し、前原は戦術S7でジオン艦隊を撤退させた。

 

 混迷する世界、遂に高野は、旭日艦隊の復活を決断した。

 

 世界は、かつての第2次大戦同様の三極構造にあった。だが、その構造は、火薬庫の上の蝋燭のように、脆く、危険な状態であった。

 

 

第14話 旭日未だに昇らず

 

 U.C.0080年1月9日、新型MSの評価試験の為、紺碧艦隊は印度洋へ出撃した。それと同じ頃、旭日艦隊司令長官大石蔵良は、北海道室蘭の帝国軍秘密工廠で建造中の日本武尊型超弩級機動戦艦1番艦「日本武尊」の進捗状況の視察に来ていた。

 

 

 

 日本武尊、日本神話の英雄の名を象ったこの超弩級戦艦は、本来ならば宇宙軍連合艦隊の新たなる総旗艦として就役するはずだったが、今時大戦の長期化に伴い、軍務省は方針を転換、旭日艦隊の再結成を宣言し、日本武尊はその旭日艦隊の旗艦として建造されることとなったのである。

 

 さて、その日本武尊だが、この日本武尊の基本構造は、前世において連邦軍の外郭新興部隊“ロンド・ベル”の旗艦を務めたラー・カイラム級機動戦艦をベースに、完成時には全長500m、全幅180m、3連装51サンチメガ粒子砲4基、艦首空間魚雷発射管6門、75mmガ式対空機関砲22基、MS搭載機数20機という驚異的な性能を持った超戦艦になるのである。主機関にマキシマオーバードライブを実装、これにより巨大な図体には似合わない高速性と機動性を手に入れたのである。

 

 

 

「村上技術少佐。日本武尊の進捗状況はどうなっておるか?」

 

 大石はドックに向かう通路を歩きながら、建造主任の村上技術少佐に進捗状況を聞いた。

 

「やはり難航しております。このままですと、就役は来年の10月頃になります」

 

「無理もないな。前世におけるU.C.0090年代の技術で建造された戦艦だ。いくらこの後世でも技術の壁がある」

 

 はい…と村上は返すと、通路の前方のドアが開き、ドックに着いた。そこには、未だその全容を見せぬ超戦艦の姿であった。

 

「やはりでかいな。長門型が小さく見えるぞ」

 

 前述したとおり、日本武尊の全長は500mであり、現在の宇宙軍総旗艦である長門型超弩級戦艦は全長333mであるため、その大きさの違いは歴然であった。大石はその巨大な日本武尊を見下ろすと、隣のドックに係留中の八咫烏型に似た艦艇に目を向けた。

 

「こいつの進捗状況はどうなっている?」

 

「はっ!既に試験航行は完了しており、いつでも出航可能であります!」

 

 そこには、旭日第1遊撃打撃艦隊の旗艦を務める機動戦艦「天照」であった。

 

 

 

 機動戦艦「天照」とは、前世のペガサス級7番艦「アルビオン」を基に建造した機動戦艦である。日本武尊のテストヘッドとして建造され、マキシマオーバードライブエンジン、40サンチ連装メガ粒子主砲2基、20サンチ連装メガ粒子副砲2基、75mmガ式パルスレーザー砲塔を対地対空合わせて18基、62サンチ空間魚雷発射管4門と、武装面では若干長門に劣るが、MS搭載機数14機、艦載機14機という八咫烏以上のMS搭載能力を持った艦となった。

 

 

 

「お待ちしておりました!長官!」

 

 大石は天照を見下ろしていると、ふと女性の声が聞こえてきた。振り返ると、そこには、旭日第1遊撃打撃艦隊司令官、秋月律子少将が出迎えていた。

 

「おお、少将か。元気そうで何よりだ。他の幕僚は?」

 

「原参謀長以下、全員会議室に集合しております」

 

「わかった。すぐそこに向かう」

 

大石はそう言うと、ドックの通路を歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 室蘭秘密工廠 作戦会議室

 

 大石が会議室に着いた頃には、原元辰参謀長以下、主だった幕僚が集合していた。

 

「諸君等に集まってもらったのは他でもない。我々、旭日艦隊の今後の予定を伝えに来たのだ」

 

 大石は席を立つと、会議室のモニターに世界地図を表示すると、日本の部分を拡大した。

 

「我が艦隊は、一週間後の16日にこの室蘭を出発、つくばで主力MS並びに支援戦闘機を受領の後、太平洋沖北緯46度17分、東経165度12分の海域で、実戦を想定した演習を行う。尚、諸君等も知っての通り、現在、我が旭日艦隊の旗艦たる日本武尊は建造中だ。従って、日本武尊完成までの間は、第1遊撃打撃艦隊旗艦「天照」を旭日艦隊代理旗艦として運用する。異存は?」

 

 大石の問いに、幕僚は返事はしなかった。それを聞いた大石は、静かに頷いた。

 

「今回の会議はここまでとする。解散!」

 

 

 

 この日、U.C.0080年1月9日。旭日は、未だに昇らず、世界は闇に包まれていた。

 

 

キャラ設定

 

大日本帝国

原元辰

初出:旭日の艦隊

概要

 旭日艦隊参謀長。決して島田兵ではない。紺碧会メンバー。

 

秋月律子

初出:アイドルマスター

概要

 旭日第1遊撃打撃艦隊司令官。今作の容姿はアニメ準拠である。紺碧会メンバー。リッチャンハカワイイデスヨ。

 


 
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