第十九話―外敵
一刀視点
美羽が益州州牧兼成都太守になって2カ月も終盤、その間に有った事を一応報告しておこう。まず最初は成都の民は美羽の太守就任に懸念色を示していた。まぁ、当然と言えば当然だ。しかし2週間ほどでそれは杞憂だと言う話になったらしい。政策も民に分かりやすく、尚且つ治安が目に見えて良くなったのだ。一刀の提案した割れ窓理論、これにより犯罪件数が減ったのだ。
桜(劉璋)と桃矢(張任)の婚儀も執り行われた。きっかけは俺が切れた事による。民の警戒が解けてすぐ二人と話をしたんだがこれ以上は正直イラッとしかしなかったので、四日で和室を作り、そこでお見合い形式でお互いの思いを暴露させた。そのままの流れで成都を上げた婚儀を執り行ったのだ。民からは「やっとですか~。おめでとうございます。」「あぁ、人生で一番の悩みの種がやっと解消された」「りゅうしょうさま~ちょうにんさま~おめでと~」と老若男女に声を掛けられていたことから成都全体の周知の事実だったらしい。牢屋の中で大人しくしてる犯罪者ですら。「はぁ!?まだ結婚してなかったのかあいつら!!」と言われるぐらいである。
一月目最後になると桔梗(厳顔)と焔耶(魏延)(約束通り仕えるとのことで許された)も合流し軍備再編を行う事になった。美羽の部隊は親衛隊を同時兼任、七乃の親衛隊予備隊、双葉の歩兵隊、紫苑の弓兵隊、張任の騎馬隊、桔梗の連弩隊、俺の工作隊の編成だ。焔耶はまだ未熟という理由で俺の預かりでまずは精神鍛錬だと桔梗に言い渡された。桔梗の連弩に関しては俺が考案開発に携わった。これは設置型の大がかりの者ではなく、携帯できるクロスボウ的な物である。孔明には負けんよ。桜、紫庵は内政官である。元傭兵団の面々はその技術から諜報員として各地に行ってもらった。それぞれ特出した技術も在りそこらの間諜など物ともしないのだ。部隊名は乱波衆だ。
二月目の頭には黄巾党の本隊が孫策達に壊滅させられたという報告を受けた。張角たちは自身の天幕に火を放ち自害したと伝えられた。死体は上がっていないが3人の男の死体があったことから討ち死にという事だった。
俺には一つの懸念があった。黄巾党の乱の後にある反董卓連合・・・張角たちは男らしかったが董卓がどうしても気になって仕方なかった。一部の乱波に銘じて天水に入ってもらった。ちょうど兵の募集をしていたのでそこに入って独自の報告方法でこちらに報告するようにしている。どのような報告方法か?動物を使う・・・とだけ言っておこう。
そう言えば兵力の事を話してなかったな。益州全体でみると兵数はかなりの数になるがそれは各都市の防衛軍なのでそう多くない、成都で募集を掛けたが意外と多く来た。此処でも袁家の名はやはり大きいのだろう。同時に美羽自身の名声にひかれた者たちも集まって成都だけでも四十万という大きな軍になった。訓練は大変だけどね。そこはまぁ・・・いろんな方法で訓練したよ。いろんなところで『綺羅星!』『サーイエッサー!』『ヤー!』『ypaaaaa!!』と聞こえるが・・・うん、聞こえない聞こえない。そんなの聞こえな~い!!
まぁ、そう言った事があった訳だが・・・今俺は工房で火に焙られている。あ、誰かにお仕置きされてる訳じゃないからね?
一刀「・・・ま、回想は此処まででいいか。」
???「独り言ですか?マスター。」
一刀「ん、あぁ。ちょっと最近の事を思い返してただけだよ。“フェリカ”」
フェリカ「も~、しっかりして下さいよ、マスター。この踏鞴の完成度いかんによっては、マスターの武器の制作が掛かってるんですよ?」
一刀「ははは、分かってる分かってる。」
彼女の名前は黄月英、言わずと知れた孔明の嫁だ。史実では赤毛の肌黒と言われたいたらしい。外国人説があったぐらいだ。彼女も赤毛だが肌は白い、ちなみに真名は俺以外に明かしていない。(正確には真名ではなく本名)俺も人が居る中では月英で通している。真名で分かると思うけど彼女は外国人だ。真名はどうやらこのあたりの風習らしい。と、彼女の紹介をしていたらどうやら“中身”が出来たらしい。
一刀「ふぅ・・・どうだフェリカ?」
フェリカ「・・・今までの鉄とは強度が段違いです。普通に型にはめても従来の武器以上の物が期待できそうです。」
一刀「そうか・・・炉の方も十分、これなら刀を作ることが出来そうだな。」
フェリカ「はい。」
一刀「よし、それじゃあ・・・」
次の工程に入ろうとした所で突然工房の扉が荒々しく開け放たれた。
双葉「一刀兄様!五胡が・・・五胡が攻めてきました!その数二十万!!」
二人「!?」
此処に来て五胡・・・か。すぐに動かなければ民に大きな被害が出る。すぐに動かなければ!!
一刀「月英!君はすぐに轟連弩の材料を荷車に積み込み出発の準備だ!」
フェリス「了解!」
一刀「双葉、すぐに軍議の間に行くから皆を呼んでくれ!」
双葉「了解!」
これが俺達にとって初めての大きな戦になる。賊は度々討ってきたけど・・・さすがに“軍隊”は初めてだからな・・・気を引き締めて向かうとするか。
それからは神速の一言に尽きただろう。すぐに部隊の編成、兵糧の確保、装備の確保と三刻程で出陣準備が出来上がったのだ。兵力は十五万、敵に対して五万少ないがそこは策で何とかするのが軍師の仕事だと七乃が言って他の意見を一蹴した。その七乃の目には僅かだが強い炎が宿っているように見えた。
美羽「さて、相手は二十万じゃ。七乃、策はどうするかの?」
七乃「はい、此処は部隊の自力よりも、工作隊の技術力を将兵に知ってもらうための策が良いと考えます。」
一刀「あぁ、弓兵隊や工作隊はともかく・・・前線で戦う将兵は少なくとも俺達の作った兵器に疑問を向けてるのもあるからな。」
七乃「はい、特に轟連弩。あれの威力が信じられないそうです。」
一刀「・・・まあ、上質の火薬の威力を知らないからな。了解だ、組み立て場所はどうする?」
七乃「・・・ここに。」
そこは程よい高台だった。確かにあの兵器は上からの方が狙いやすい。
一刀「了解した。それじゃ、行ってくる。」
七乃「護衛は桃矢さんの騎馬隊を使ってください。奴らも騎兵が相手なら下手に手を出しては来ないでしょう。」
桃矢「了解だ。」
こうして俺と桃矢さんは轟連弩の設置場所まで移動を開始した。
部隊は半円陣(オリジナル)を敷いている。これは俺が独自に考案したものだ。後方で大火力の轟連弩で攻撃、混乱してる所で連弩で追い打ち、そして右、左、右、左、と交互に攻撃しながら相手前線を削る方法をとっている。車掛の陣の劣化盤だが、長距離攻撃が合わさる事で効果があると考えたのだ。
一刀「・・・そうだ!それはそっちに持って行け!!」
フェリス「その火薬は慎重に運んで!!そこぉ!談笑してる暇があんなら働けやごらぁ!!」
一刀「おい!この成果いかんによっては、俺達工作隊が馬鹿にされる結果になるんだぞ!!それでもいいのか?嫌だろう??だったらしっかりしろやごらぁ!!!!」
北郷隊「ypaaaaaaaa!!」
桃矢「・・・何だこれは・・・怖えぇ・・・」
張任隊「ガクガクブルブル」
二人「てめぇら!職人の意地見せて見ろやぁぁぁぁぁぁ!!!!」
北郷隊「ypaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!」
こうして俺達は五胡迎撃戦の準備を完了させた。
あとがき(という名の人物紹介)
劉璋 真名 桜
その名の通り綺麗な桜色の髪をしている。胸は小ぶり(本当に劉家か!?あ、協と弁が居たか)。美羽に州牧と太守の座を譲り、自身は内政官として仕える事になった。
張任 真名 桃矢
渋いおじさん。使用武器はバルディッシュ。長物を使う故に馬術は得意。桜の夫。爆ぜればいいのに。
黄月英 フェリカ・グーデンベルグ
左記の名は真名ではなく本名、真名はない。工作隊の副長。さらに開発工房の副所長(所長は一刀)である。14、5世紀の印刷術を考案したヨハンと同じ姓を持っている。関係は不明。というか分かるはずもない。だってオリジナルだもん!(開き直り)使用武器はチャクラム。
羽生「爆ぜればいいのに!」
結璃「突然なんだ!?」
羽生「一刀爆ぜろ!」
結璃「どうして!?」
羽生「外人すらも籠絡するあのたらし!!」
結璃「そこには同意するけどあんたがそうさせたんでしょ?」
羽生「引き合わせただけで籠絡してとは頼んでもいないのです!!」
結璃「・・・ま・・・マジで?」
羽生「なのです!!あの種馬、爆ぜればいいのに!!」
結璃「・・・女が増えるの?」
羽生「・・・え?・・・あ~大丈夫なのですよ?・・・たぶん。」
結璃「ねぇ、どうして目をそむけるの?」
羽生「さ、さ~て、さっさと続きを書かないと・・・」
結璃「ねぇ、どうして答えてくれないの?」
羽生「・・・そう言えば友の為にも書かないと・・・」
結璃「ねぇ、どうして無視するの?」
羽生「そ、それではまた次回~」
結璃「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ねぇ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・私は・・・・・・・・・・・・・・羽生を・・・・・・・・・・・・・・・・どうしようとしてると思う?」
羽生「・・・・・・・・・・・・きゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
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十九話なのです。
前話の題名が全く本編と関係ない件
変えるの忘れてただけです。
それでは本編どうぞ
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