冬も過ぎ、春を迎えようとしているこの鎮守府は今日も平和である・・・
「あんたねぇ・・・」
我が秘書官である五十鈴はこの鎮守府がまだ小さいころからいる言わば古参の艦娘である
「いい加減にしなさいよ!!誰がやるとおもってんのよ!!」
「え?五十鈴が俺の分もやるんだろ?」
「だから何であたしがあんたの仕事をやらないといけないのよ・・・なんでこんなのが提督なのかしら・・・」
この通り普段から口喧嘩がたえないにぎやかな執務室の光景である
「まぁいいだろ、俺とお前の仲なんだこんな感じでやってればさ」
「あんたはそれでいいかもしれないけど私が疲れるのよ・・・」
五十鈴は頭手で押さえながら困っていた
「しゃーない仕事するか~」
「最初から真面目にやりなさいよ・・・」
「五十鈴お茶頼むわ、それくらいはいいだろ?」
「入れてあげるからちゃんと仕事しなさい」
ちゃんと仕事をやり始めて2時間が経ったある時、五十鈴が話しかけてきた
「あんたなんでそんなにやるときはできるのに普段は真面目にやんないのよ」
「普段から真面目にしてたらなんか負けなきがして・・・」
「はぁ・・・なんでそうなるのよ、いつもこんな風にしっかりやりなさい」
「えー」
「えーじゃない!!しゃきっとしなさいしゃきっと」
「(`・ω・´)シャキーン」
「ほんと疲れるわねぇ・・・」
他愛もない会話をしながらもくもくと仕事を片付ける提督と五十鈴であった
「はぁ、書類仕事飽きたなぁ~」
「口じゃなくて手を動かしなさい、じゃないと終わらないわよ」
「へーい」
そこからさらに2時間が経ち
「あーやっと終わった~」
「溜め込むからこうなるのよ、これを気に少しは真面目にしなさい」
「ぐてー・・・」
「はぁ・・・」
「さーて、五十鈴」
「なに?」
「休憩していいぞ」
「ありがとう、すこし休むわね」
そう一言残して五十鈴は執務室を後にした
提督はと言うと
「あいつにはいろいろとやらせちまってるからたまには休ませてやらないとな、そしてこいつをいつ渡そうか・・・」
提督の手には手のひらにのる小さな箱があった
「なかなかタイミングがないんだよなぁ・・・」
「いい時間だし風呂にでも入ってどうやって渡すか考えるか・・・」
提督は小さな箱を机の引き出しに仕舞い風呂に向かった
同時間の五十鈴はというと・・・
「ほんと普段から真面目にやればできるのになんでやらないのかしら・・・」
「って、なんで私こんなに提督のこと気にかけなきゃいけないのよ!!」
「気分転換にお風呂に入りましょう、誰もいないだろうし」
五十鈴は気分転換にお風呂に向かったのであった
そして・・・
「なぁ五十鈴・・・」
「何よ・・・」
「何で二人っきりで風呂に入ってるんだ?」
「大体なんでこの時間に入ってんのよ」
「この時間はお前たちもう入った後だろ」
「今日に限ってどこかの誰かさんのせいで遅れたんだけどね・・・」
じとーとこちらを見る五十鈴の視線が痛い
「そんなこといってもお前はちゃんと最後まで付き合ってくれるよな」
「次の日まで仕事を溜められたらどうしようもないから仕方なくよ」
「そうか、仕方なくか・・・」
「な、なによ・・・」
「嫌なら付き合わなくてもいいんだぞ?秘書官をお前から変えてもいいし・・・」
「どうしてそうなるのよ!!誰も嫌なんて言ってないじゃない!!」
「ははっ・・・そうか、そういってもらえるとありがたいかな・・・」
提督は下を向きながら言う
「なんでそんなこと急に言ったのよ」
「いつも俺の仕事を押し付けてるからな、嫌なんじゃないかって思ってさ・・・」
「まさかあなたがそんなこと言うとはね」
「俺だって人だ、不安になったりすることもあるさ」
「ねぇ・・・もし、もしよ?私があんたに付き合うのは嫌って言ってたらどうなってたの?」
「秘書官をお前から違う人に変えてたろうな、俺は強制させるのは好きじゃないからな」
「そっか・・・」
その後話が続かず暗い空気のまま湯船に浸かっていると五十鈴がポツリとつぶやいた
「私は、私はあなたが提督でよかったわ。」
「え・・・?」
「この気持ちがなんなのかわかったわ、だからこの際言うわね」
「あ、あぁ・・・」
「私は・・・その・・・」
「五十鈴、無理してまで」
「っ!!無理なんかしてない!!私はあなたのことが好きなのよっ!!提督としてじゃなくて1人の男としてね」
五十鈴の突然の告白に提督は戸惑った
「五十鈴・・・のぼせたんだったらはや・・・」
「のぼせてなんかないわ!これが私の本心よ!!提督、あなたはどうなの?わたしのこと、五十鈴のことをどう思ってるの?」
「はぁ・・・まさか先に言われちまうとわな・・・」
「え?どういうことよ」
「五十鈴、俺はお前が好きだ!艦娘としてではなく1人の女性として」
「え・・・うそ・・・」
「本当はさ、いつ切り出そうか迷ってたんだ、いつも迷惑かけてるから嫌われてるんじゃないかって」
「そんなことない、そんなことあるはずがない!私結構うれしかったの、ちゃんと頼ってもらえてるんだって実感できて」
「五十鈴、俺と・・・」
「俺とケッコンカッコカリしてくれますか?」
その提督の問いに五十鈴は
「はい」
「私はずっとあなたのそばにいて一緒に戦い抜くことを誓うわ!」
そのときの五十鈴の笑顔は提督にとって忘れることのできない大切なものになったのだった
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