No.671000

リリカルHS 10話

桐生キラさん

こんにちは!
このシリーズもとうとう10話目!
ってことで、今回もとある日の授業風景などです

2014-03-15 19:11:11 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:1521   閲覧ユーザー数:1344

 

 

 

 

 

 

士希「すいませーん、遅れましたぁ」

 

先生「もう、またですか?なんで雑賀君はいつもいつも遅刻するんですか?」

 

士希「いやぁ、これでも5時には起きてるんですけど…」

 

先生「そんな早起きしてるなら、学校にも余裕で着くでしょ!?」

 

士希「いや、弁当作りに熱が入って、気づいたら7時でした」

 

先生「それでもまだ十分間に合いますよね!?一体それから何があるんですか!?」

 

士希「今日も暖かいじゃないですか。気付いたらベンチで寝てました」

 

先生「それ!雑賀君それが原因!せめて寝るなら学校に来てからにして!」

 

士希「ダメなんです先生。俺、あそこで寝るのが好きなんです。これだけは譲れません!」

 

先生「そんなキリッとした顔で言わないで下さい!」

 

なんて朝のホームルームでのやりとりを、私はぼんやり眺めていた。

実は今日も士希君がいつもの公園で寝てたんは知ってたんやけど、

私も若干遅刻気味やったで起こす事ができやんだ

 

士希「おいはやて。なんで起こしてくれなかったんだよ?」

 

はやて「いや、私起こす義務ないよね?」

 

士希「俺の昼飯食ってんだから、それくらいはしてくれてもいいじゃねぇか」

 

はやて「最近は私らの為に、別の弁当箱持ってくるようになったでな」

 

そう。最近の士希君は、オカズのみが入った弁当箱を余分に持ってくるようになった。

なんでも、私ら対策やとか。士希君の料理ホンマに美味しいから、太ってしまいそうで怖いわ

 

士希「今日のは自信作だぜ。今度こそアリサから10点取ってやる!」

 

士希君、私らの為にお昼作ってくる事自体を、理不尽とは思わんのやな

 

士希「あ、1限何だっけ?」

 

はやて「現代文やで」

 

さて、今日も一日が始まるな

 

 

 

 

なのは「むー…」

 

はやて「(ん?どないしたんなのはちゃん?)」

 

現代文の授業中、珍しく起きているなのはちゃんが何やら唸っていた

 

なのは「(はやてちゃん、漢字が読めない)」

 

はやて「(え?やばいやん、次当たるで)」

 

なのは「(うわーん!フェイトちゃんも寝ちゃってるし、助けてはやてちゃん!)」

 

はやて「(ちょ、ちょい待ってな。どこがわからんの?)」

 

先生「はい!じゃあ次のところ、高町さん、読んでくれるかしら?」

 

なのは「は、はい!えーっと…」

 

なのはちゃんは最初の一文からつまづいていた。

え?これなんて読むんやろ?東の雲ってかいて…人の名前っぽいけど

 

なのは「(はやてちゃーん!)」

 

はやて「(ごめんなのはちゃん。私もわからへん)」

 

なのは「(えー!?)」

 

先生「ん?どうかしましたか?」

 

なのは「あ、いえ、その…」

 

はやて「(なのはちゃんガンバ!)」

 

なのは「(えーい!)……と、とううんさんのすぎょうの悪さは子どもでも知っている事でした……」

 

士希「え…?」

 

ふと後ろで、士希君が嘘やろ?みたいな感じで声を漏らしていた。

まぁでも、こらまずい。”すぎょう”は…

 

先生「あー、惜しいわ高町さん。まず最初の文字、”東雲”って書いて”しののめ”って読むのよ。

そしてもう一つ、これは読めて欲しかったなぁ。”素行”って書いて”そこう”って読むのよ。

次からは気をつけてね」

 

なのは「あ、はい。ありがとうございます。(うぅ、ちょっと恥ずかしい…)」

 

先生は微笑んで、優しく教えてくれた。この先生、ほんまええ人やな

 

はやて「(大丈夫やでなのはちゃん。次頑張ろ)」

 

士希「(………こいつらって、もしかして勉強やばいんじゃ……)」

 

 

 

 

フェイト「へー、東の雲って書いて”しののめ”って読むんだ」

 

現代文の授業が終わった後、なのはちゃんは先ほどのミスを振り返っていた

 

なのは「うー、高校の国語って難しいなぁ」

 

はやて「せやなぁ、でも…」

 

士希「”すぎょう”はねぇわ」

 

士希君に同意やった。これは私でも読めたで

 

なのは「えー!フェイトちゃん!これ、なんて読む?」

 

なのはちゃんは先ほどの教科書を開き、“素行”の文字を指す。

フェイトちゃんは何の迷いもなく…

 

フェイト「”そこう”?」

 

なのは「ガーン!私だけわからなかったんだ…」

 

なのはちゃんはガックリとしていた。かなりショックやったらしい

 

士希「なぁ、お前ら勉強大丈夫なのか?授業中も結構寝てるし、ちょくちょく休んでるし」

 

はやて「私とフェイトちゃんは大丈夫なんやけど…」

 

なのは「わ、私だって、数学は得意だよ?」

 

士希「国語は?」

 

なのは「………」

 

なのはちゃんは目を逸らした。なのはちゃん、数学は出来んのやけど、文系がなぁ

 

なのは「最悪魔法で…」

 

はやて「なのはちゃん、そらアカンわ」

 

いくらなのはちゃんでも、ズルは良くない

 

 

 

 

四限目は歴史の授業。範囲は三国志。

ぶっちゃけつまらん。それに昼前やでめっちゃお腹すいた

 

はやて「(士希くーん、構ってー)」

 

士希「(お前にはマジメに授業受けるっていう選択肢はないのかよ)」

 

はやて「(ないに決まってんやん)」

 

士希「(じゃあなぜ高校来た!?)」

 

はやて「(え?遊びに来たに決まってんやん?)」

 

士希「(そんな当然のように言う事でもないからね!?)」

 

はやて「(お堅いなぁ士希君は。そんなにマジメやと不良の名が泣くで?)」

 

士希「(だから不良じゃねぇっつの!!)」

 

はやて「(だいたい、こんなクソつまらん歴史なんて学んで、なんの役に立つん?)」

 

士希「(それはまぁ、確かに状況は限られてくるな。

それに、今学んでる知識だって、真実かどうかはわからない。

例えば、今話に出た董卓って人。歴史書には悪逆非道なんて書かれているが、俺はそうは思わん。

実際の董卓はもっと……って、聞いてるか?)」

 

はやて「(んあ?ごめんごめん。なんやった?)」

 

士希「(どんだけ興味ないの!?)」

 

はやて「(それより今日のお昼は何?)」

 

士希「(今日はコロッケだ!朝頑張って色んな種類の味を作ったぜ!)」

 

士希君のその料理にかける情熱はなんなんやろな。まぁでも…

 

はやて「(楽しみやわ)」

 

 

 

 

お昼休み。私らは気分を変えて屋上でご飯を食べることにした。

なかなかのロケーションやん。風も気持ちええし、気分ええわ

 

士希「さぁ!今日はコロッケだ!しっかり感想頼むぜ!」

 

士希君が弁当箱を開けると、中には一口サイズのコロッケが入っていた

 

士希「これがオーソドックスな肉コロッケで、これがカボチャ、こっちがカレーで、

これは野菜コロッケだな」

 

士希君の説明を受け、私は野菜コロッケを取る。そして一口…

 

はやて「さくっ、もぐもぐ、美味い…」

 

なんやろ、この優しく、そして懐かしい気持ちにさせる味は。野菜の甘みがいい感じ

 

アリサ「ふむ、悪くないわね。ただ、少しだけコショウが足りないんじゃないかしら」

 

アリサちゃんは肉コロッケを食べながら言う。対する士希君は唸っていた

 

士希「これでも結構、味見したんだけどな」

 

アリサ「えぇ。十分美味しいわよ。でも、あんたならもっと美味しく作れるんじゃない?」

 

なんてことを、挑発的に言うアリサちゃん。さすが学園の首席はストイックやな

 

士希「…アリサ、お前のご先祖に、曹孟徳っていないか?」

 

アリサ「ん?どうだったかしら。確かホームズがいるって話は聞いたことあるけど。どうして?」

 

士希「いや、なんでもないさ」

 

そう言って士希君は立ち上がり、手すりの方へ移動する。

なんか、微妙に何考えてんのかわからんのやんなぁ

 

フェイト「それにしても、士希の料理って本当に美味しいね。どうやって習ったの?」

 

フェイトちゃんがコロッケを食べながら質問する。その隣にはなのはちゃんがしっかり抱きついていた

 

士希「あー、それは……ん?」

 

士希君は何かに気づいたのか、下の方をジッと見ていた

 

はやて「ん?士希君、どないしたん?」

 

士希「………ちょっと便所行ってくる」

 

はやて「は?って、ちょっと!!」

 

士希君は手すりを乗り越え、そのまま地上に降りて行った

 

アリサ「ちょっと!屋上から地上までどんだけあると思ってるのよ!」

 

すずか「大丈夫かな?」

 

なのは「普通なら絶対アウトだけど…」

 

フェイト「士希、普通じゃないからね」

 

私たちは士希君が降りてったところを見る。そこには既に士希君はおらんかった

 

はやて「突然なんやっちゅうねん!………おった!あの方角は、体育館?」

 

アリサ「みんな行くわよ!」

 

私たちは荷物を持って、体育館の方へ向かった

 

 

 

 

上級生1「ヒィッ!なんなんだよあいつ!普通じゃねぇ!」

 

私らが体育館に着く頃、体育館の裏から上級生が怯えながら逃げて行った。

普通やない、か。ここで一体何が…

 

 

 

はやて「おい士希君、これは一体どうゆう状況なんや?」

 

体育館裏へ回ってみると、そこには複数の上級生が倒れていた。

その中心には士希君が立っていた

 

士希「チッ、来ちまったのかお前ら」

 

フェイト「これ、全部士希が?」

 

士希「だとしたら、どうする?」

 

なのは「さすがに見過ごせないかな」

 

士希「だろうな」

 

士希君は抵抗する素振りすら見せず、両手を上げる

 

はやて「なんでこんな事したんや?私には、あんたがこんな事するようには見えへんのやけど」

 

士希「ハッ!どうしたはやて?散々不良って言ってたじゃねぇか」

 

だからと言って、私は士希君を心の底から不良やなんて思ってない。

こいつがこんな事するなんて、絶対に理由が…

 

「先生こっちです!」

 

ふと、後ろから声が聞こえる。振り返るとそこにはクラスメイトと担任がおった

 

先生「一体これは…雑賀君、これ、あなたが?」

 

クラスメイト「ま、待ってください!雑賀君は俺を助けてくれただけです!こいつは悪くありません」

 

は?

 

士希「安心して下さい先生。別に傷付けてはいません。ちょっと痺れるツボを刺激しただけです」

 

はやて「へ?」

 

私は倒れている上級生を見てみる。確かに傷らしい傷はない。ていうか…

 

上級生2「ちょ、いま、絶対触らないで、触っちゃやだ…」

 

………えい

 

上級生2「ひゃうぅぅん!」

 

私がちょんとつついてみると、上級生2は何ともみっともない声をあげた

 

はやて「あんた、一体なにしたん?」

 

士希「あぁ、ちょっと痺れるツボを刺激して、ついでに超敏感になるツボを刺激したんだ。

今のそいつ、風が当たるだけで気持ち良くなっちゃう体質になってるぞ」

 

なんてことを、爽やかな笑顔で言う士希君。こいつ、何気にエグいことしたんじゃ…

 

先生「えーっと、説明してもらっていいかな」

 

簡単にまとめれば、うちのクラスメイトが上級生に絡まれて、それを士希君が助けたとのことやった。

あの時、士希君は屋上からクラスメイトが連れて行かれる所を目撃したから、いきなり飛び降りたんやな

 

先生「わかりました。見たところ、危害も加えてないみたいだし、この件は私の方で取り計らいます。

ところで、この子達は大丈夫なのかな?」

 

先生はビクンビクンしている上級生を見やる。

ちょっと触れただけで感じてしまうで、立つこともできやんとか

 

士希「あ、大丈夫ですよ。効能は約一時間くらいなんで」

 

つまり、一時間はこの状態か。可哀想に

 

クラスメイト「雑賀君、助けてくれてありがとうな」

 

士希「あぁ、気にすんな」

 

そして先生とクラスメイトは行ってしまった

 

アリサ「まったく、人騒がせね」

 

士希「て言うか、なんで来たんだよ?飯食う時間なくなるぞ?」

 

すずか「いや、さすがに目の前で飛び降りられたら、気になっちゃうよ」

 

士希「そうなのか?」

 

フェイト「うん、普通はそう思うよ」

 

なのは「さすがに非常識だと思うな」

 

はやて「てか、助けたんやったら助けたって言ってよ。士希君がほんまに不良なんやと思たやん」

 

士希「ん?なんだはやて?心の底では俺のこと善良な人間だって思ってくれてたのか?」

 

はやて「……え?」

 

いや、確かにそう思てるけどさ、なんでか…

 

士希「そうかそうか、これがいわゆるツンデレというやつですね?わかります」

 

はやて「ちゃ、ちゃうわドアホ!あんたなんて、不良以外の何物でもないやろ!」

 

なんでか私は、気恥ずかしかった

 

 

 


 
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