No.670816

英雄伝説~焔の軌跡~ リメイク

soranoさん

第41話


お待たせしました!ようやくSC篇開始です!!

2014-03-15 00:00:12 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1202   閲覧ユーザー数:1168

~グランセル城・客室~

 

「……て……ま……」

「ん………?」

ベッドの中で眠っているルークは自分を呼ぶ声に反応し

「起きて、ルークお兄様!もうすぐ朝ご飯の時間よ!」

「朝メシ……?………ふああああああ~っ。よく寝たぜ……」

ルークがベッドから起き上がって大きな欠伸をすると傍にはレンがいた。

 

「うふふ、お兄様が寝坊だなんて珍しいわね?そんなにお城のベッドが良かったのかしら?」

「まあな。やっぱどの王城の客室のベッドも寝心地が良くて最高だな。」

「”どの王城のベッドも”?お兄様、グランセル城以外のお城に泊まった事があるのかしら??」

ルークがふと口にした言葉を聞いたレンは首を傾げて尋ね

「あ”。ハ、ハハ……唯の言葉の綾だよ。」

尋ねられたルークは今の自分の立場を思い出し、表情を引き攣らせながら答えを誤魔化した。そしてルークは軽く身だしなみを整えた後レンと共に部屋を出て歩き出した。

 

「そういや昨日はティータが泊まっている部屋に泊まっていたんだっけ?」

「ええ。楽しい一夜だったわ。」

「おしゃべりに夢中で夜更かししてねえだろうな?今日からお前も正遊撃士として働くんだぞ?」

「んもう、余計なお世話よ。夜更かしなんてお肌に悪い事、レンがする訳ないでしょう?そういうのに無頓着なエステルだったらするかもしれないけど。」

ルークの忠告を聞いたレンは頬を膨らませて答え

「ハハ……それ、絶対に本人の前で言うなよ?」

レンの言葉を聞き、烈火の如く怒るエステルの様子を思い浮かべたルークは苦笑していた。

 

「―――ルーク、レン!ちょうどよかったわ!」

その時焦った様子のシェラザードと傍には重々しい様子を纏ったカシウスが走って近づいてきた。

「シェラザード?何でそんなに慌てているんだ?」

「それに二人とも何だか雰囲気が暗いわよ?」

二人の様子を見たルークとレンは首を傾げ

「今はそんな事はどうでもいいわ!ロレントに一端戻るわよ!」

「ハ?」

「??」

シェラザードの言葉を聞き、二人は再び首を傾げた。

 

「……先程エルナンから連絡があった。エステルがロレントに戻ってきていると。」

「あら。」

「エステルが?ヨシュアと一緒に母さんに正遊撃士になった事を報告しに帰ったのか?」

カシウスの説明を聞いたレンは目を丸くし、ルークは不思議そうな表情で尋ねた。

 

「「………………」」

しかし二人は何も答えず、それぞれ重々しい様子を纏って黙り込んでいた。

「お、おい二人とも、一体どうしたんだよ?」

二人の様子を見たルークは戸惑いの表情で尋ね

「………………………フゥン。その様子だとヨシュアがエステルに何かした……………――――いえ、大方ヨシュアの記憶が何らかの理由で蘇って、ヨシュアは何らかの理由でエステル……ううん、レン達の前から姿を消したのね?」

レンは真剣な表情で黙り込んだ後尋ねた。

 

「なっ!?レ、レン!?あ、あんた、まさかヨシュアの過去を最初から知ってたの……!?」

「…………………」

レンが呟いた言葉を聞いたシェラザードは驚き、カシウスは信じられない表情でレンを見つめていた。

 

「ちょっと考えればすぐにわかる事よ。エステルの話だとパパがヨシュアを連れ帰った時、大怪我を負っていたそうだし、レンも怪我が治るまでのヨシュアの傷を見たことがあるけど………あの傷は事故でつく傷じゃなく、”誰かに狙われてついた傷”よ。実際いくつもの刃物によってできる切り傷があったし、パパが持ち帰って来たヨシュアの荷物―――双剣には随分使い込まれていた跡があったもの。それらをまとめて出る答えは………―――ヨシュアは幼い頃からどこかの裏組織に所属して兵士……いえ、暗殺者みたいな事をしていたのじゃないかしら?ヨシュアの戦闘スタイル―――スピードで敵を翻弄し、隙を見つけて仕留めるなんて戦闘スタイル、まるで”暗殺者”みたいだもの。」

「あ、”暗殺者”!?ヨシュアが!?」

「………………………」

レンの推理を聞いたルークは驚きの表情で声を上げ、的確な答えをついているレンの推理に驚いたシェラザードは口をパクパクさせて絶句し

「……………やれやれ。まさかたったそれだけのヒントを元に、正確な答えに辿り着くとはな。エステルもレンの鋭さを少しは見習ってほしいものだ。」

カシウスは真剣な表情で黙り込んでいた後疲れた表情で溜息を吐き

「そしてエステルはヨシュアが自分達の前から消えたという事実から逃避して、ヨシュアがいない理由はヨシュアが先に家に帰っていると思ってロレントに向かったって所かしら?」

「…………ああ。恐らくそうだろう。」

真剣な表情のレンに尋ねられ、重々しい様子を纏って頷いた。

 

「!?父さん、どういう事だよ!?今の話は本当なのか!?」

その時ルークが血相を変えて尋ねた。

「………今はロレントに急ぐぞ。飛行船の中で詳しい事情を話す。」

その後ルークとレンはカシウスとシェラザードと共に出発直前の貨物飛行船に事情を説明し、特別に乗せてもらい、カシウスは二人にヨシュアの事情を説明した。

 

かつてヨシュアはクーデター事件を陰から操っていた結社―――”身喰らう蛇(ウロボロス)”と言われている裏組織に所属していた事。

 

5年前、カシウスを暗殺しようと子供である事を利用して襲って来たがカシウスは苦戦しながらも撃退し、撃退したヨシュアに”身喰らう蛇(ウロボロス)”に所属していると思われる者達がカシウスの暗殺を失敗したことを理由に襲い掛かり、ヨシュアが瀕死の所をカシウスがわって入って襲撃者達をそのまま撃退し、家に連れ帰った事。

 

そしてヨシュアは5年間、”身喰らう蛇(ウロボロス)”の手の者による暗示によって遊撃士協会に関する情報を”身喰らう蛇(ウロボロス)”に流し続けていた事。その全てはルークを驚愕させた。

 

~貨物飛行船~

 

「…………………」

全てを聞き終えたルークは驚きの表情で絶句し

「なるほどね。――――となるとヨシュアが消えた理由は例え操られていたとはいえ、レンやエステル達を裏切ってしまった事の罪悪感に耐えられず……と言った所かしら?」

レンは考え込んだ後真剣な表情で尋ねた。

 

「ああ、恐らくそうだろうな。」

「………母さんはその事、知っているのか?」

レンの推測に頷いたカシウスにルークは真剣な表情で尋ね

「………レナは知らん。余計な気苦労を負わせる訳にはいかなかったし、何よりヨシュアも望まなかった。」

「そっか……………”身喰らう蛇(ウロボロス)”。まさかその名前が出てくるなんて……!」

答えを聞いたルークは疲れた表情で溜息を吐いた後唇を噛みしめた。

 

「その様子だとルークはその”身喰らう蛇(ウロボロス)”って組織を知っているのかしら?」

「ああ。とは言っても知り合いの”星杯騎士”――――イオンやアリエッタから軽く聞いたぐらいだよ。長い歴史の中、裏で”星杯騎士団”と何度も争った事がある裏組織だってな。」

「………となると、”身喰らう蛇(ウロボロス)”とやらはかなり以前から存在していたようだな………」

シェラザードの疑問に答えたルークの話を聞いたカシウスは真剣な表情で考え込み

「今はそんな事はどうでもいいわ。それよりパパ、一つ聞きたいのだけどいいかしら?」

レンは溜息を吐いた後真剣な表情でカシウスを見つめた。

 

「何だ?」

「パパは”いずれこうなる事がわかっていて”、ママやレン達に黙っていたのかしら?」

「……………すまん。」

責められるような視線のレンに見つめられたカシウスは目を伏せて呟き

「父さん………」

その様子をルークは複雑そうな表情で見つめていた。

 

「まあ、黙っていた理由はどうであれ………―――ヨシュアもパパも”最低”よ。エステル……―――いえ、ヨシュアにとっては恋している相手で、パパにとっては大切な娘が泣くとわかっていて、黙っていたんだから。」

「ああ………先程シェラザードにも同じような事を言われて叱られな。」

「そう。―――さすがはシェラお姉さんね。」

「ええ、女の立場として当然言うべきでしょう?」

疲れた表情で溜息を吐いたカシウスの答えを聞いて頷いたレンに視線を向けられたシェラザードは口元に笑みを浮かべて頷いた。

 

「お兄様はパパやヨシュアみたいな”最低”な男の人にならないでよ?勿論レンはお兄様はそんな男性にならないって信じているから、最初から心配していないけど。」

「ハ、ハハ……勿論だぜ。」

そして無邪気な笑顔を浮かべてレンに視線を向けられたルークは瞬時にかつての自分を思い出し、大量の冷や汗をかきながら渇いた声で笑いながら答え

「やれやれ………女性は怒らせたら本当に恐ろしいな……」

その様子を見ていたカシウスは疲れた表情で溜息を吐いた。

 

その後貨物飛行船はロレントに到着し、ルーク達は実家に急いで向かった。

 

 

 


 
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