No.668394

第十四章 哀願

Minosawaさん

更新出来ました!

もうすぐ虎牢関の戦いが終盤です。がんばって行きますぜえ!

2014-03-06 00:13:46 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:1398   閲覧ユーザー数:1305

「何ですの!?さっきの爆発は!?」

 

連合軍の総大将、袁紹が当たり散らしていた。

 

「申し上げます!董卓の屋敷から火がまわり始め洛陽の町が次々と燃え始めているとのこと!!」

 

「何ですって!?」

 

兵士の報告に驚く袁紹。

 

「これは好機ですわ!全軍一気に攻めますわよ!!」

 

『『『『オオーーー!!!!!』』』』

 

袁紹の言葉に兵士達は声を高らかに突撃した。

 

 

 

「もうすぐ到着します!」

 

シーナとコーウェンの後を追うようにミノル達は走りつづけていた。

 

すると、アキラが突然立ち止まった。

 

「どうしたアキラ!突然立ち止まって…」

 

「月ちゃんがいない…」

 

『えっ!?』

 

一同が周りを見回してみるが月の姿がどこにもいなかった。

 

「兄さん達は先に行って!後から行くから!!」

 

「アキラ!?」

 

そう言ってアキラが来た道を走ってミノルも後に続こうとしたが、炎がミノルを塞ぐように大きくなった。

 

「クソッ!アキラーー!!」

 

 

ここは月の部屋…ここに月が膝をついて泣いていた。

 

『だいだい…こんな貧弱な小娘が董卓である以上、死ぬのは当然なんだよ!!』

 

「私が董卓である以上みんな戦い、傷つき、死んでしまう…」

 

月は左慈の言葉を思い出し、自分を責めていた。

 

「私がいなくなれば…みんなが助かるなら…私…」

 

月が手に持っているのは小さい短刀だった。

 

「みんな…詠ちゃん…さよなら」

 

月は目を閉じ、短刀で首を刺そうとした。

 

 

 

 

 

『・・・・あれ』

 

痛みがない…月はそう思って目を開けると、そこには…

 

「・・・・・・・・・・」

 

月の短刀の刃を右手で握り締めているアキラがそこにいた。

 

「あっ・・・・」

 

月はアキラを見て驚いた。

 

「ぐっ・・・・」

 

アキラは月から短刀を奪い。炎の中へ投げ捨てた。そしてアキラの手から血がボタボタと流れ落ちていた。

 

「アキラ…様…」

 

月はアキラの顔を見た。そこには優しいアキラではなく、怒っている顔のアキラだった。

 

「何で…こんな事」

 

「私は董卓…私の為に死んでしまうなんて…耐えられない」

 

「みんなは君のために…心優しい君の為、生きたいと思った君の為に…」

 

すると月は立ち上がり、アキラの服を掴んだ。

 

 

「私はイヤなの!!私がいなかったらこの戦で死んだ人は生きていた。大切な人と一緒にいられた。だから私が死ねばこの戦が終わるの!私を死なせてよ!」

 

『バシィン!!』

 

アキラは月の頬をビンタした。

 

「私が死ねば戦が終わる?私を死なせて?ふざけた事言うな!!」

 

「アキラさん…」

 

「この戦いは君が起こしたものじゃない…君が死んでも何の解決にもならない…」

 

「・・・・・」

 

「いいか!!死んで解決しようとするのは馬鹿がやる事だ!!そんな事をして誰が得する、誰が喜ぶ!?結局は周りの人間が悲しむだけだ!」

 

そう言ってアキラが月の肩に手を乗せた。そしてアキラの目から涙が零れた。

 

「君が死んだら悲しむ者はたくさんいる…僕だけじゃない、兄さんやコーウェン、シーナや詠ちゃん、恋(れん)ちゃん・音々音(ねねね)ちゃん・霞(しあ)さん・華雄さんも皆悲しむんだ…」

 

「・・・・・・」

 

「一人で抱え込むのはもうやめよう…この時代、この世界にいる限り、僕が君を守る。だから…死なないでくれ、月…」

 

「アキラさん!!」

 

涙を流しながら月はアキラに抱きついた。

 

「ごめんなさい…私」

 

「いいんだ…行こう…みんなが待ってる…」

 

「はい…」

 

二人が立ち上がったその時、天井が崩れ始め、大きい瓦礫の塊が二人の上に落ちて来た。アキラは剣を抜こうとしたが、利き手が負傷していて動きが止まってしまった。

 

「月ェ!!」

 

「キャアアア!!」

 

アキラは月を庇おうとして、もうダメかと思った。

 

 

 

だが…

 

 

 

「ブルゥワァァァァァァ!!」

 

二人の前に壮大な声と共に瓦礫が砕け散った。二人は前を見てみると…そこにいたのはピンクのビキニパンツのみを纏って、筋骨隆々の男だった。

 

それを見た二人は硬く固まった。

 

「だ…誰…」

 

「わ~たしぃ~の事~」

 

「へうぅぅ…」

 

しかもその男はオカマのような言動に月は震えだした。

 

「私の名前は~貂蝉よっ!」

 

貂蝉と名乗るオカマにアキラは口を大きく開け驚愕していた。

 

「さあ!!行くわよぉぉーーーーー」

 

貂蝉はアキラと月を背負って走り出した。

 

 

 

「水裂斬!!」

 

シーナが炎を纏った瓦礫を切り裂いて道が開いた。

 

「よし!早くアキラと月ちゃんを探さないと…」

 

そう言ってミノルが走り出そうとした瞬間何かが聞こえた。

 

『・・・・・・・・ァァ』

 

「ん?何か言ったか」

 

「何がよ?」

 

「いいえ?」

 

「私は何も…」

 

『・・・・・・・ルァァァァァ』

 

次第に声が近くなりつつあった。

 

「何か来る…」

 

ミノルとコーウェンとシーナは武器を持って待ち構える。

 

 

 

そして…

 

 

 

「ブルウゥゥゥゥウワァァァァ!!」

 

『!!!』

 

現れたのは上半身裸でムキムキマッチョでビキニパンツを履いた男だった。男はミノル達の前に立ち止まった。そしてミノルと詠は男の腕には月とアキラがいるのに気づいた。

 

「アキラ!?」

 

「月!?」

 

「あら~ん、ようやく会えたわ~ん」

 

男がアキラと月をミノル達の前に立たせた。

 

「詠…ちゃ」

 

月が詠の名前を言おうとした時に詠が月を抱き締めた。詠の目には涙があった。

 

「心配させないでよ…月…」

 

「ごめんね…ごめんね…詠ちゃん…」

 

月も涙を流して強く抱き締めた。

 

「とにかくこの屋敷から脱出するぞ!」

 

ミノル達は馬車がある方に向かって走り出した。

 

そしてミノル達が到着すると、そこには周りの結界で炎を守られている馬車がそこにはあった。

 

「結界張って正解でした」

 

「結界張ってるけど乗れるのか?」

 

「月様に関する人物ならそのままで大丈夫です」

 

シーナの言うとおり一同は結界が張った馬車に乗り込み、コーウェンが馬の上に乗って手綱を持って馬を動かした。

 

「間に合ったな…」

 

「そうだね…」

 

『ワン!』

 

「「「「「「えっ…」」」」」」

 

馬車の中にいる全員が鳴き声がした方を見ると、木箱の上に恋の飼い犬セキトが乗っていた。

 

「セキト!!」

 

「荷物を整理していた時にセキトに連れられて、そしたら他の犬やら猫やら小動物がたくさんいて…」

 

シーナの話を聞きながらミノルが木箱を開けると、犬や猫などが入っていた。

 

「多分…恋が飼っていた動物達じゃないかしら…あの子野良の動物をよく拾ってくるから」

 

「何か見てるだけで癒やされるな…」

 

詠の言葉に動物達を見てほっこりするミノルだったが、ある事に疑問を持っていた。

 

「なあアキラ、流れでそのオカマ乗せたけど…誰?」

 

「あァんたァが紅き戦人ォ?」

 

「あっ…ああ…」

 

貂蝉がまじまじとミノルの事を見つめた。

 

「わぁたしは貂蝉よっ!(ウインク)」

 

「・・・・・・は?」

 

貂蝉の信じがたい言葉にミノルは口が開いたままだった。

 

「あらあらァ~そんなに見つめられたらぁ~恥じゅかしいィ~///」

 

何故か顔を真っ赤にしながら照れる貂蝉。

 

「・・・・スマン、疲れてつっこむ気力無い…」

 

ミノルはそう言いながら詠の膝の上に顔を乗せようとした。

 

「人前で何やろうとしてんのよ!!」

 

そんなミノルの耳をおもいっきり引っ張るミノル。

 

「痛っででで痛い!痛い!!」

 

そんなミノルと詠の姿を見てアキラと月とシーナに笑みがこぼれた。

 

「皆さん!袁紹軍の旗印が見えました!」

 

コーウェンの言葉にミノルは赤くなった耳を抑えながら真剣な顔になる。

 

「それじゃあ…みんな、手はず通りに…それと貂蝉」

 

「何かしら?」

 

「お前は洛陽に住んでいたんだよな?」

 

「そうよ?」

 

貂蝉の返答にニヤリと笑うミノル。

 

「協力してくれないか?」

 

「いいわよォ~んで?何すればいいのかしらん?」

 

そしてミノルはその内容を貂蝉に話した。

 

「・・・・という訳だ…」

 

「任せなさァい!(ウインク)」

 

「ウインクだけはやめてくれ…」

 

そう言って顔を青ざめるミノルであった。

 

 

 

 

『袁紹様!』

 

一人の伝令兵が麗羽の元にやって来た。

 

「何ですの!もうすぐ…」

 

『董卓軍の旗印の馬車に紅き戦人と蒼き戦人が停戦を求めてこっちに向かって来ています!」

 

「何ですって!?」

 

伝令の知らせに麗羽は驚きを隠せなかった。


 
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