「なぁ、水島のこと好き?」
隣のブランコに座っていた中田が身を乗り出して尋ねて来た。
その前の長い沈黙のせいで、俺は「は?」と、間の抜けた返事をしてしまった。
自分の質問に答えを返さない俺に痺れを切らしたのか、中田はもう一度尋ねて来た。
「なぁってば、お前は水島のこと好き?」
「んだよ、お前、水島嫌いなの?」
去年から二年続けて同じクラスの水島。
趣味が合って、お笑い好きの彼とは仲が良い。
だから、昔からの親友の中田に彼を嫌っているように発言をされておれは怪訝そうに眉をひそめた。
「やっぱり!?そー思う!?」
「は?微妙に話し合ってねーよな」
目をきらきらさせて俺を見る中田。
嫌いかと聞いて、そう思う?と答えられて・・・。
お前は水島を好きなのか?嫌いなのか?はっきりしてほしい。
「で、嫌いなの?」
「好きだよー。あいつおもしれぇもん」
「でもさ、お前俺は嫌いなんだけど、って感じだったぞ」
先程の質問と答えが合っていない中田の答えに、俺は少し苛立ち、土を蹴った。
しかし、俺の言葉に彼はにやりとわらってみせた。
「だから、やっぱり。って言ったろ?」
わけが分からない。こいつは日本語を喋っているのか?
とまでは行かないが、意味が不明だ。
「何々君のこと、好き?って言われるとさ、俺は嫌いなんだけど。って言ってるみたいじゃね?」
にやにやしながら言う中田は少し気持ち悪いが、それもそうだと思った。
俺が頷くと、彼は満足そうに笑い、先程の俺のように土を蹴った。
「ねぇねぇ、綾香ちゃん好きぃ?」
「は?あやかって誰だよ」
またもやにやにやする中田にそう俺が言えば、彼は噴出した。
「女子ってたまにこんなこと言ってねぇ?」
そんでさ、好きって言ったらシカトされたりすんだよ!!と、彼は続ける。
「そんなんなら、聞くなっつーの!!」
無駄に大笑いする中田を見て、俺は溜息を吐いた。
彼の言っていることは最もだし、気になるが、笑いすぎではないか?
「なぁ、水島好き?」
「好きだよ」
「ねぇ、綾香ちゃん好きぃ?」
「知らねぇよ」
「なぁ、中田好き?」
「嫌いだよ」
また、中田は無駄に大笑いした。
気になることは気になるが、それがどうした?と言いたい。
end.
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そーいや、そーだな。
なんて、言われてみれば、気になることだね。