No.66539

恋姫無双~魏の龍~第柒話後編

タンデムさん

遅くなり申したっ!
最近、学生の本業の勉学に励んでおり更新が滞ってしまいました;;
ですが、やっとこすっとこ、後編です!
今回はある娘の視点から始まります。
そして龍翠君の隠された事実も出します。

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2009-04-02 01:33:32 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:16500   閲覧ユーザー数:12017

~???SIDE~

「李典、防壁は後どのくらい持ちそうだ?」

「南は兵達でもまだいけそうやけど、西の防壁は・・・もう限界やな。まぁ即席もんやし、しゃぁ無いんやけどな。」

「そうか、于禁。負傷兵達の様子は?」

「大丈夫そうなの~。向こうでやりくりできそうな感じなの~。」

夏侯淵様と真桜と沙和(李典と于禁の真名)が今この状況について話している。

夏侯淵様達は、はじめ500の人員で戦っておられたのを、私と真桜沙和(于禁の真名)で義勇兵を募り今まで持ちこたえている。

正直、状況は厳しい。

敵は10000の軍勢、対して此方はたった800の兵。

だが私達は諦めない。

夏侯淵様が仰るには、官軍の曹操様率いる魏の精兵がもうすぐ到着するはずとのこと。

 

ガゴォンッ!

 

物思いに耽っていると、何やら唯ならない音が聞こえてきた。

「!?真桜っ!今のは何だ!?」

「恐らく、西の最後の防壁が突破されようとしてる音やろうな。」

そのことを聞いて私は居ても立っても居られなくなった。

すぐさま、西の防壁の方に向かった。

後ろから他の人たちもついて来ているが、無手の私の方が早い。

西の防壁まで付くと、もう小さな罅が入っており今にも突破されそうだった。

 

ゴォンッ!

 

轟音が響くにつれ罅も大きくなる。

 

ゴァンッ!!

 

罅が一層大きくなった恐らく、次が最後だろう。

音がなると同時に、皆が着いた様だ。

「凪!自分早すぎやでっ!」

そう言って手に持つ螺旋槍を構える真桜。

「そうなの~。凪ちゃん一人じゃ危ないの~。」

そう言って、二天を構える沙和。

「そうだよ。此処は皆でいこうよ!」

「ふむ。季衣の言うとおりだな。」

そう言って、武器を番える夏侯淵様と許緒殿。

「・・・はいっ!」

 

ゴォォンッ!!ガラガラッ!

 

「――っ!!」

壁が崩れると共に私達は構えたが、

「あ゛っ!壊しちゃったっ!!」

向こうから聞こえてきたのは、野太い黄巾党の声ではなく、聞いたことのある声だった。

見るとその向こう側には、山積みにされた肉塊の山があった。

そしてその前に立つのは、あの時私の籠を買ったあの綺麗な男の人だった。

~龍翠SIDE~

「あ゛っ!壊しちゃったっ!!」

龍翠は門の前にたむろしてた黄巾党を倒しているうちに、防壁っぽい物まで纏めて吹っ飛ばしてしまった。

「そのお声は、龍翠様!?」

「ん?若しかして秋蘭かい?」

だが、偶然にも防壁を壊した先には、見知った顔が並んでいた。

「ほ~。良かったまだ持ってくれているようですね。しかも新顔も居るようで。」

そう言って、龍翠は見慣れぬ3人を見てある一人で視線が止まる。

銀髪を三つ編みにしている少女だ。

「ん?何処かで見たような・・・。あ、若しかして、籠売ってた娘ですか?」

「は、はい!じ、自分は楽進と申します!」

緊張した感じで、龍翠に返事を返す少女に龍翠は笑いながら

「くす・・・、別にそんなに緊張する必要はありませんよ。あ、自己紹介が遅れました。錬鳳と言います。どうぞお見知りおきを。ちなみに、男です。」

彼の気さくな感じに少し緊張を解いて行く3人。

「はっ!自分は、『楽進』と申します。」

「うちは、『李典』言います。(なんか・・・。)」

「沙和は『于禁』なの~。(女としての尊厳が失われていく気がするの・・・。)」

彼女等三人が後に三羽烏と呼ばれる3人である。

(うち2人は諸事情により、落ち込んでいる。)

龍翠は自己紹介が終わると、秋蘭に今の現状を簡潔に聞いた。

話に出てきた此処に居た3000ほどの黄巾党というのは、今時分の目の前にある肉塊だと説明したら、皆に驚かれていた。

そして此処の他にもう一つの門に7000ほどが集まっているという事になる。

「ふむ。分かりました。では、西の門に行きましょう!」

聞き終わると、そう言って行こうとする龍翠に秋蘭が首を傾げて言う。

「龍翠様、ここは何処の門だと思っていらっしゃいます?」

「えっ?此処は南の門でしょう?」

「「「「「・・・・・・・・・。」」」」」

それを聴いた瞬間全員に沈黙が降りてしまった。

龍翠も、何だか居心地悪そうだ。

「れ、錬鳳様。その・・・此処は西の門です。」

「・・・そ、そうですか。」

そんな沈黙の中勇気を振り絞った楽進の一言に龍翠は狼狽し、

「・・・うすうす感じていました。自分がとんでもない方向音痴だってことは・・・。(普通に陣留に向かって旅していて馬謄さんの所には行きませんよね・・・。)」

そして激しく落ち込んだ。

その様子の龍翠に暫く誰も声を掛けることが出来なかった。

「と、兎に角!此処にいても仕方ありません。確か此処には此処と南に門が有りましたよね。其処に向かいましょう!」

龍翠の言葉は空元気と言って良いような感じだった。

「「「「「はい・・・。」」」」」

その言葉に全員が気まずそうに返事をした。

~南門~

「!遠くの方に砂塵が見えるぞ!!」

「旗は何だ!?」

「青い曹旗だ!官軍だぞっ!」

南の門に来て見ると、なにやら兵達が騒いでいた。

城壁から外を見ると遠くの方に曹旗をはためかせながら、華琳たちがこちらに向かってきているところだった。

「流石僕の妹。仕事が速い。すぅ~・・・皆の者っ!良く聞け!」

その龍翠の言葉にそこに居た約800の兵達は龍翠のほうを向く。

「コレより私は、曹操の軍と共に挟み撃ちを行う!!吾こそはと思う者は付いてきなさい!」

そう言って龍翠は城門の方に向かう。

その龍翠の後ろから秋蘭、季衣と3人も付いてくる。

「我らもお供します。」

「龍翠様が居るから、平気ですよね!」

「勿論。」

「うち等三人も」

「一緒に行くの~!」

そんな5人の方を向いてふっと龍翠は笑みをこぼし。

「怪我しないようにしてくださいね。城門開けよ!」

龍翠の掛け声と共に城門が開かれる。

 

 

 

 

~華琳達SIDE~

 

「!華琳様!城門が開かれました!」

「夏侯の旗は!?」

春蘭からの情報に即座に返事をする華琳。

「夏侯の旗も顕在しており突破された感じではないので、恐らく龍翠様が吾等にあわせて打って出た者と思われます~。」

近くに居た風がそう言う。

「分かったわ。全軍!聞け!今目の前に力なきものを食い物にしようとする者達が居る!我々はすべての力を持って是を阻止する!全軍構えっ!突撃―――っ!!」

「雄――――――――――――っ!!」

その華琳の言葉に兵達は雄叫びと共に黄巾党の軍に突撃した。

 

 

 

 

「うぅぅぅぅおぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

 

ブォンッ!!

 

龍翠が一太刀振るうたびに、黄巾党の塊が乱れ飛ぶ。

「・・・ひ、一振りごとに100人は吹っ飛んでへん?あれ。」

「沙和も吃驚なの・・・。綺麗な顔して凄いの。」

龍翠の鬼神のごとき戦いぶりに目を丸くする二人。

「真桜!沙和!固まってる暇ではないぞ!」

そんな二人を戒めるかのように楽進こと凪が黄巾党の一団に向かって気弾を投げながら言う。

「それは凪もっ!」

「一緒なの~!」

そう言いつつも、二人とも

自分に襲ってきた黄巾党を突き殺し、切り倒す。

程無くして、黄巾党は駆逐された。

戦が終わり、義勇軍と共に華琳の元に行くと何故か機嫌が悪そうだった。

華琳は龍翠を見つけると、すぐさま龍翠の元まで行く。

美しい顔の顳顬には青筋を浮かべている。

「私が言いたい事分かるわね?」

「え、ええ・・・。」

華琳が何を言わんとしているか大体分かる。

「そう。じゃあ何で勝手に飛び出したりしたのよっ!?」

「その~・・・秋蘭たちが心配で・・・。」

龍翠の言い訳に何だか釈然としないが仕方がない。

「はぁ・・・今度からは、ちゃんと許可取りなさい。」

「わ、分かりました・・・・たぶん。」

華琳に聞こえないように小さく多分と言うあたり、全然反省してないのかもしれない。

「全く・・・。すまないわ、見苦しい所を見せてしまって。」

そう言いながら、華琳は義勇軍の将3人の方を向く。

「い、いえ。・・・それよりも、錬鳳様は曹操様の家臣なんですよね?」

それに、代表して楽進が華琳に応える。

それと共に、先ほどのやり取りで気になった事を聞いてみる。

「あ、そういえばちゃんと自己紹介していませんでしたね。僕は性は曹、名は朋、字は錬鳳といいます。」

「え、曹?」

「ちゅうことは・・・」

「曹操様の・・・」

「「「兄君様(お兄さん、兄ちゃん)!?」」」

龍翠の名を聞いたとたん、3人は驚愕しすぎて腰を抜かしてしまった。

「はぁ・・・兄さん?」

「くすくす。悪戯ってすると面白いですよね♪」

兄の悪い癖が出てしまった事に、内心溜息をつく華琳。

「こほん。・・・呆けてるとこ悪いけど、話をするわよ?」

その華琳の言葉に、3人とも居住まいを正す。

「単刀直入に言うわ。あそこの村の上が居なくなったから私が統治する事になったのだけれど、あなた達もうちに来ない?」

「勿論是は、強制ではないので無理強いはしません。」

華琳の説明に多少付け加えをする龍翠。

所謂、スカウトだ。

「・・・・我々は、もう二度とこの村と同じ者達を生みたくありません。」

「せやから、うち等の方こそ。」

「お願いしますなの~。」

そう言って3人は、頭を下げる。

「・・・分かりました。では華琳?この娘達は僕の下につけます。」

「・・・はぁ?」

また突拍子もない事を言い出したものだ。

「町の警邏について、この前案件出したでしょう?それを担当して欲しいのですよ。勿論、僕が隊長としてですね。」

「・・・はぁ。良いわよ。でも、ちゃんとこの娘達を磨いていくという条件の下でだけど?」

「う~ん。まぁいいでしょう。我侭言っているわけですし。」

自分たちの事なのに、ほいほいと話が進んでいくことを唖然と見るしかない3人。

「と言う訳で、君たち3人は僕が面倒見る事になりました。改めて、僕は曹錬鳳。真名は龍翠といいます。」

「は、はい!改めまして、私は楽進、真名は凪と申します!」

「凪、緊張しすぎやデ?ウチは李典、真名は真桜言いマす。ヨロシュウ。」

「そう言ってる、真桜ちゃんも緊張しすぎて裏声になってるの~。沙和は、于禁真名は沙和なの。宜しくお願いしますなの~。」

3人とも、妙に緊張しながら龍翠に自己紹介をする。

龍翠が真名を許したという事で、皆が真名を交換し合う。

「では、交換し終わりましたし陣留に戻りましょう。」

その龍翠の言葉に、華琳は軍を陣留へと動かした。

 

 

 

龍が姫を助けると、

 

龍の元に3匹の可愛い烏が舞い降りた。

 

3匹の烏は、龍の元で働く事になりました。

 

続く。


 
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