今日の天気は今年一番の晴天
桜並木に咲く桜は満開で、力いっぱい花を咲かせているようだ。
日の光を浴びて花弁一枚一枚がキラキラと輝いている。
その桜並木は多くの生徒たちでにぎわいを見せていた。
クラブ勧誘のため必死にビラ配りをするラグビー同好会
ひときわ広い広場でパフォーマンスを行うチアリーディング部
その少し離れたところでは吹奏楽部が演奏しており、小ステージには今まさに軽音楽部がライブを行おうとしている。
そんなどこの学校にでもみられるような光景にそぐわない少女が一人いた。
顔は俯かせたまま桜並木を奥へ奥へと進んでいく。
しかし、その顔からは悲壮感は感じ取れない。
何かしらの決意をした・・・そんな表情をしている。
奥へ行くは行くほどにぎやかな雰囲気は少しずつなくなっていき、静かになっていく。
人が一人、二人といなくなっていく。
桜並木を一番奥に行ったところにある建物が歴史博物館だ。
今この瞬間、この建物に用事がある少女はただ一人
北郷咲蘭、その人だ。
「ここ・・・ね」
カガミという不思議な女性と別れてから、自分の部屋のベッドに寝るまでのことは実はあまり覚えていない。
帰りがてらにちょっかいを出してきた及川を2,3発蹴飛ばしたような気もするが、それもささいなこと
咲蘭にとってベッドに入ってから次の朝を迎えるまでを非常に長く感じていた。
あの女性の話を全部信じてもいいのか
あの女性にあったことも実は夢だったのではないか
そう考えた時、その考えを一掃する。
あの女性に会ったことが夢のはずはない
なぜなら目覚まし時計の横においている勾玉が今も淡く光り続けているから
ではあの女性は一体何なのか
本当にお兄ちゃんに会わせてくれるのか
もし、お兄ちゃんに会いに行ったら、私もこの世界には戻ってこれないらしい
戻ってこれなかったら?
残された両親は?お爺ちゃんとお婆ちゃんは?新しい友達は?中学までの友達は?
もう二度と会えなくなるの?
いろいろな考えが頭の中をぐるぐると駆け巡る。
考える時間が長いは長いほど、自分の気持ちにブレが出てきそう
明日には返事を出すか?それとも一週間後?
(どうすればいいかな・・・お兄ちゃん)
いろいろな考えが脳裏をよぎる中、その脳裏の中核にいつもいるのが北郷一刀の存在だった。
その脳裏にいる兄が咲蘭に問いかけた・・・ような気がした。
『咲蘭は・・・どうしたいの?』
(私は・・・私はお兄ちゃんに会いたいっ!!)
『そう・・・戻ってこれないかもしれないよ?俺みたいにさ』
(っ!!・・・でも、それはあの女が言っているだけでしょ?)
『そうだね』
(きっと・・・方法があると思うんだ。この世界にお兄ちゃんと一緒に戻ってくる方法が)
『なぜそう思うんだい?』
(だって、外史へ行く方法があるのに、正史へ戻れない方法が絶対にないって言いきれないでしょ?私はお兄ちゃんに会って、それから元の世界に戻れる方法も探してみせるよ。お兄ちゃんと一緒ならやれると思うんだ)
『ふふっ・・・楽観的、ご都合主義的な考えと思わないかい?現実世界にも一方通行って標識があるじゃないか』
(私はポジティブさと元気だけが取り柄なの。何とかなると思うな。それに標識だけなら破ろうと思ったら破れるしね)
『危険を承知でも・・・かい?』
(ええっ!!)
『なら・・・もう考える必要はないんじゃないかな?』
(そう・・・だよねっ!)
目覚まし時計のアラームが鳴り響いた。
咲蘭は布団を勢いよく引っぺがし、大きく体を伸ばす。
あまり長い時間眠っていないはずなのに、何十時間も眠ったかのように頭がすっきりとしている。
良い夢を見たからだろうか?
久々にお兄ちゃんと話すことができたからだろうか?
咲蘭はいまだ光り輝く勾玉を手に取り、学校へ出かける準備を始めた。
そして今こうして、カガミとの待ち合わせ場所である歴史博物館の前にいる。
その建物からは人の気配が感じ取れないが、自動ドアに近づけば機械音を立てながらその扉は開く。
受付には誰も人がいなかったので、そのまま中へ入っていく。
「やっと来たんかいな・・・待ちくたびれたで」
すると、資料室と書かれた部屋からまだ聞き慣れない関西弁が聞こえてきた。
「来たんだ?見送りに来てくれたの?」
「おっと・・・もう敬語でもないんかいな。なんか距離が縮まった感じがすんな~~。ちゃうで、一緒に行こうかなって思ってな」
頭の後ろで手を組みながら、及川は咲蘭へと近づいていく
「・・・なんで?」
「そら、お兄ちゃん代行やからなっ!しっかりとかずっちのとこまで咲蘭ちゃんを送り届けたらんとな」
「戻ってこれないかもしれないのに?」
「おうっ!」
及川はニコッと笑いながら親指をつきあげる。
「そう・・・なら、行きましょう」
「あら・・・意外とあっさりやね」
「お兄ちゃんを探すのに・・・人手はいっぱいいた方がいいでしょ?」
「そりゃそやね。んじゃ、行きましょか」
及川は博物館の奥へとつながる通路を歩いていく。
(・・・・・・ありがと)
「んっ?何か言った?咲蘭ちゃん?」
「えっ!!な・・・なにも・・・」
「そうか・・・へへっ」
咲蘭は先に行く及川のあとを追いかけながら、博物館の中を進んでいった。
「ここね・・・」
博物館の一番奥の大ホール
ここにはこの博物館で一番貴重な品々が展示されているそうだ。
「あっ・・・おったでっ!!」
及川が指さす方向を見やると、そこには昨日とまったく同じ服に身を包んだ女性、カガミがいた。
二人は少しの警戒心と一緒にカガミへと近づいていく。
「早かったですね。もう決心がついたので?」
「ええ、そうよ」
「勾玉を壊さず、ここに持ってきたということは・・・」
「私は・・・お兄ちゃんの所へ行くっ!!」
「もう正史には戻れませんよ」
「そんなの、分からないじゃない」
「・・・・・・ふふっ、面白い人ですね。ところで、及川さんも一緒に来るのですか?」
「おうよ!ベッピンさん二人とどこかに行けるチャンス・・・ふいにできるかいな」
「そうですか。なら・・・」
そう言いながら取り出したのは、青銅色に少し茶色いサビが付いていて、見るだけで古そうな銅鏡であった。
その銅鏡の上部には勾玉の形をした窪みがあった。
「この窪みに差し上げた勾玉を入れてください。入れた瞬間、もう後戻りはできません」
「・・・・・・・・・」
「今からでもその勾玉を壊していただいてもかまわないのですが・・・」
「いやっ!行くんだからっ!!」
そう言いながら咲蘭は淡く光る勾玉をその窪みへとセットする。
すると、今まで淡くしか光っていなかった勾玉が強く輝き始めた。
「ちょ・・・まぶし・・・」
「きゃあああああああああああああああっっっ!!!」
『今・・・外史への扉が開かれました』
その光の強さはさらに増していき、真っ赤な光が三人を包んでいく。
外史への扉が・・・今開かれた。
時は青天の時代
これから行くはその青天が漆黒に染まるやもしれない外史
その扉が開かれた・・・
『ついに・・・動き出しましたか』
深い深い森の中にポツンとある湖
普通の方法では立ち入ることもかなわないそんな場所で、白装束に身を包んだ女性が一人呟いた。
その女性は上空を見上げている。
その視線の先にはまだお昼の正午過ぎにもかかわらず、強く光る発光体が流れ星のごとく尾びれを引きながら落ちていく様が見えた。
『あなたの一手、確かに拝見させていただきました。次は・・・私の一手です』
胸元にぶら下げられている淡く緑色に光る宝石を両の手でしっかりと握りしめ、呪文のような言葉をぶつぶつと呟く。
『この外史の管理を任せているのは卑弥呼・・・いや、今は貂蝉でしたか・・・』
そして一瞬だけその緑色の光が強く光り、そして徐々に光を失っていく。
『これでいい・・・。では、私はしばし身を潜めましょう。頼みましたよ・・・』
その女性は最後にそう言い残して、森のさらに奥へと入っていった。
「くっ・・・あぁ・・・」
眩しい
眩しくて目が開けられない。
しかし、その眩しさの原因は先ほど見た赤色ではなく、太陽の光
(私・・・屋内にいなかったっけ?)
そう考えながらも必死で目を開けようとする。
そして徐々にその光に目が慣れてきて、身体も徐々に起こしていく。
「えっ・・・」
そこは見渡す限り木々が生い茂り、葉っぱの隙間からは木漏れ日が降り注いでいた。
学校の裏手の桜並木かなとも思ったが、辺りの木は明らかに桜ではない。
桃色の花はどこにも見当たらず、青々とした葉っぱが生い茂っている。
「ここ・・・どこ?」
「ここは外史ですよ。あなたのお兄さんがいる・・・ね」
後ろから急に声を掛けられて身体を強張らせてしまったが、その声がカガミのものであると分かるとほっと胸をなでおろす。
「急に声をかけないでよ」
「申し訳ありません」
「まぁいいわ。ここが外史・・・という世界なわけね。ところで・・・あの人は?」
「ああ、及川さんですか。上です」
カガミが右人差し指を真上へ向けると、咲蘭はその指先が差す方を辿っていく。
そこには木の枝の上に奇跡的なバランスで眠っている及川の姿があった。
その寝顔はとても高校生男子とは思えない・・・ひどい寝顔であった。
「・・・・・・ほっときましょうか」
「よろしいので?」
「よろしいでしょう。・・・やっぱりだめか・・・はぁ~」
咲蘭は大きなため息をついてから、及川が寝ている木の枝が生えている幹へと近づいていき、思いっきり蹴飛ばした。
バサバサと葉っぱが落ちてくるのと一緒に及川もその奇跡的なバランスが崩れて一緒に落ちてきた。
「いったぁぁあぁぁあ!!!何っ!!何やのっ!!!!」
「おはようございます」
「あっ、どもども・・・ってここどこっ!?」
「外史です」
「えっ!!もう着いたんっ!!」
「はい・・・。コホン、では本題へ行きましょうか。まずは、私たちの仲間を紹介したいと思います。いるのでしょう?ツルギ」
カガミが誰もいない場所に向かって声をかけたため、二人はキョトンとしてしまう。
「あの・・・いったいどなたに声かけてはるの?」
『まぁ、オレにかけてるんだろうよ』
誰もいないはずの所から急に声が聞こえてきた。
「っ!?どこにいるの!?」
咲蘭はいつでも動き出せるように少し腰を落とし、警戒態勢を取りながら辺りを見回す。
『俺の位置がまだ分からない?大丈夫なのか?こんな奴らに手伝わせて』
「ええ、とにかく早く下りてきなさい」
『へ~~い』
そんな気の抜けた声がした後、カガミの真上にあった木の枝がバサバサと揺れたかと思うと、そこから銀髪の男が姿を現した。
「紹介しましょう。彼の名はツルギ。荒事担当です」
「ど~~も」
「こちらが北郷咲蘭さん。こちらの男性が及川祐さんです」
「・・・・・・ども」 「よろしゅう頼みます」
「北郷?今回のブレイクポイントの?」
「はい。その妹さんです」
「そうかい。また、今回もゲスいことするのか?」
「それはどうでしょうか?」
「・・・そ~~かい。んで、これからの動きは?」
「あなたはいつも通りよろしくお願いします。私は彼女たちに現状を報告してから、白帝城へ向かおうと思います」
「了解~~。んじゃ、またあとでな」
そう言ってツルギは上方へ大きく飛び去って、木の枝を揺らしながらどこかへと姿を消していった。
「あっさりした人ですな~~」
「いえいえ、“あっさり”どころか、ドロドロの“こってり”さんですよ。今は任務中にわざわざ寄ってもらっただけですので、もう少し付き合えば分かると思いますよ。いまは現状の確認をしましょう」
「ええ・・・、ここが外史、つまりは作り話の世界ということね」
「そうです。正史の人々の想念が作り出した世界です」
「つまり、設定がある・・・ってことよね」
「“設定”・・・確かにそのような言い方もできますね。では、この世界の“設定”を説明しましょう。少し長くなりますから、腰でも下ろしましょうか」
カガミが先に木の根元に腰を下ろすと、二人も習って近くの木の根に腰を下ろす。
「この外史の時代は正史の言うところの三国志です」
「三国志・・・あの曹操とかでてくる?」
「はい。実際に曹操もこの世界に存在しますし、孫策や孫権、劉備や諸葛公明なども有名な軍師、武将も存在します。ただ・・・」
「ただ・・・なんやのん?」
「その武将がすべて男性ではなく、女性です」
「はっ?」
「だから、曹操や孫権が女性なんです」
「・・・・・・そう言う設定なのね?」
「はい。もし曹操や孫権が女の子なら・・・という想念がこの外史の根本を形成しています」
「つまり、そこを話の争点にしても仕方がない・・・受け入れた方がいいわね」
「話が早くて痛み入ります」
「そう、なら続けて・・・ってどうしたの?」
咲蘭から少し離れてところに腰をおろしている及川が顔を俯けたままプルプルと震えていた。
「ちょっと・・・大丈夫?」
さすがに不思議な出来事が連続した後に、こんな話を聞かされて混乱でもしているのかと心配になった咲蘭が近寄ろうとしたその時
「めっちゃええ世界やんっ!!武将が女の子っ!!会ってみたいわっ!!美少女なんやろうな~~。いや~~来てよかったな~~」
顔が緩み切った及川の顔がそこにあった。
「あんたって人は・・・」
咲蘭は今すぐにでもグーパンチをお見舞いしてやりたい衝動をグッと必死に抑え込んでいる。
「ふふっ、あとで嫌ってぐらい会えますよ。今は話を続けさせてくださいね」
カガミはコホンとひとつ咳払いをする。
それを聞いた咲蘭はグッと握った握りこぶしを静かに解くのであった。
「三国志の本来の流れは魏、呉、蜀が大陸統一を目指して様々な闘争を行っていくわけなのですが、現在私たちがいる外史はこの三つの国の闘争が“ある人物”により平定され、三国同盟が成立しています」
「ある人物・・・」
「その人物は“天の御使い”としてこの外史に舞い降り、そして対立していた三国に同盟を結ばせるという大役を見事成し遂げました。その結果、今はその三国同盟の象徴として国の中心となっています」
「すっごい人もおるもんやな~~~」
「その人って・・・まさか・・・」
「はい、あなたのお兄さん“北郷一刀”その人です」
カガミは冷静な声で最低限聞こえる声量でしか話していない。
しかし、それでも咲蘭と及川に与えたショックの大きさは凄まじかった。
もはや声も出すことができずに、二人の時が止まる。
そして先に動き出したのは及川であった。
「あのかずっちがっ!!マジかっ!!」
「はい。そして、咲蘭さん。あなたのお兄さんはこの外史で三国同盟締結という正史の人間が望んだ結末を、そして与えられた役目を見事に果たしたわけなのですが・・・ここでひとつ問題が起きました」
そこでカガミの話す声のトーンが急に低くなった。
「この外史はここで終結するはずだったんです。そして北郷一刀は晴れて外史という世界から解放され、私達と同じく管理者になるはずだった・・・」
「管理者・・・ってなんや?」
「管理者とはその言葉通りの意味です。何を管理するかというと“外史”を、ということになるわけですが・・・」
「お兄ちゃんもその“管理者”になるはずだったのに・・・なれなかった。それはなんでなの?」
「この外史の人間の想念、そして正史の人間の想念の両方が強すぎたからです。花は咲けば日が経つにつれ枯れていき、そして散るのが道理なわけですが、この外史の人間、そして正史の人間はこの物語が枯れていくことを拒んだのです。まだ終わらせたくない…とね」
「??ようわからんな・・・つまりどういうことやねん?」
「もっと分かりやすく言いましょう。外史の人間は北郷一刀と過ごした時間や育んだもの…それを終わりにするのを拒んだのです。そして、北郷一刀と別れることもまた、拒んだのです。そして正史の人間はもっと北郷一刀と外史の登場人物が紡ぐ物語を見たいと考えたため、この外史を終了させることを拒んだわけです」
「つまり・・・お兄ちゃんは役目を終えたのに物語が手放してくれなくて、自由になれないということ?」
「はい・・・それを私は先ほど“外史の鎖”と表現しました。私達管理者の目的は外史の正常な運営です。このような状況はとても正常とは言えません。なので、私はあなた達に協力を要請したのです。この外史を終焉にむかえさせるために・・・」
「この外史を終わりにすることができれば・・・お兄ちゃんは助けられるの?」
「はい。この外史を潰す・・・そのお手伝いをあなた方にしていただきたい。そしてその対価として私は北郷一刀と一緒にあなたを外史の管理者に任命する。そうすればあなたは大好きなお兄ちゃんとの時間を取り戻せるというわけです」
「お兄ちゃんとの時間・・・」
本当はもう会えないはずだった二人
順当にいけば咲蘭は正史の浄化作用により、お兄ちゃんの存在を消されるはずだった。
しかし、カガミがもう一度会えるチャンスを、そして、ずっと一緒にいられるチャンスをくれている。
「協力してくれますか?」
咲蘭はすぐには返事をしなかった。
顔を俯け、真剣に考えているようであった。
及川もあえて咲蘭に話しかけるようなことはしない。
ただただ咲蘭をじっと見守っていた。
そして5分ぐらいが経過した後、顔をスッとあげ
「分かったわ。協力する。というか、ここに来た時点で協力しないという選択肢は私の中にはないはずだから・・・」
「はい。ありがとうございます。及川さん・・・あなたは?」
「もちろん協力するで。ただし、オレはあくまでも咲蘭ちゃんに協力する。咲蘭ちゃんが決めたことイコール俺の決めたことってことでこれからもよろしく」
「わかりました」
「で?具体的にはどうすればこの外史を終わりにできるの?」
「主にやり方は二つあります。しかし、今回の場合は2つの内、簡単な方を選択することができません」
「なんでやねんな。簡単に終りにできた方がええやろうに・・・」
「簡単な外史の終結のさせ方はこの外史の主人公である北郷一刀を殺害することです」
「っ!!そんなのダメに決まってるじゃないっ!!」
座っていた咲蘭が勢いよく立ちあがる。
それをカガミは左手をあげて制した。
「だから無理だと言ったのです。なので、私たちは達成の困難な方法でこの外史を終結させねばなりません」
「その方法って・・・なんなの?」
「北郷一刀自身がこの世界の終結を望むこと・・・です」
「お兄ちゃん自身が?どうやって・・・」
「その方法をこれから考え、実行に移していくわけです・・・おや?」
カガミはそう言い終わると急に首を上に向けて、太陽の位置を確認する。
「もうこんな時間ですか・・・ツルギに怒られてしまいますね。では、その説明は追々していくことにして、いまは北郷一刀がいるは白帝城へと向かいましょう。まずは敵情視察です」
「お兄ちゃんに・・・」
「あっ、言い忘れてました。咲蘭さん、残念ですが今すぐ北郷一刀と接触することを許すわけにはいきません」
「えっ!!なんでよっ!!」
「急いてはことを仕損じます。まずは私の言うとおりにお願いします」
「・・・わかったわ。でも・・・遠目からお兄ちゃんの姿だけでも・・・」
「それなら構いませんが・・・目先の出来事にとらわれて大局を見失わないでくださいね」
「分かったわよ」
「なら・・・行きましょうか」
カガミはゆっくりと腰を上げた後、お尻に付いた枯れ葉をパンパンと丁寧にはたく
それを見た及川も同じように立ち上がる。
「北郷一刀がいる白帝城へ」
END
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どうもです。
まずはお詫びです。
恋姫・・・登場させられなかった・・・
恋姫の登場は2話あとになりました。
そこからは一刀視点中心で書いていく予定です。