No.664901 英雄伝説~焔の軌跡~ リメイクsoranoさん 2014-02-21 00:43:39 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:1494 閲覧ユーザー数:1428 |
~グランアリーナ~
「お、おい。レンの奴、軍のトップにも勝っちまったぞ?」
「まさか”武神”をも破るとは………フフ、これはもう何が何でも本部に”特例”を認めるようにかけあわないといけませんね。」
レンの勝利にルークは大量の冷や汗をかいて表情を引き攣らせ、エルナンは目を丸くした後静かな笑みを浮かべてレンを見つめていた。
「な、なななななっ!?モ、モルガン将軍にまで勝っちまいやがった!?」
「う~ん、凄く輝いていていいね~。」
二人の試合を見ていた男性は混乱し、眼鏡の女性は何度もレンの写真を撮っていた。
「まさかモルガン将軍をも破るとは……フフ、私ももっと精進しなければな。」
同じように別の席で試合を見ていたユリア少尉は目を丸くした後苦笑いをし
「ええっ!?モ、モルガン将軍まであんな小さな女の子に!?」
「フフ、成長すればカシウス殿をも軽く超える存在になりそうですね。」
貴賓席で観戦していたクローディア姫は幼き天才剣士の勝利に驚き、アリシア女王は優しげな微笑みを浮かべた。
「フウ。さすがに軍のトップさんだけあって、とんでもなく強かったわ。」
「フフ、その儂を破ったお前が言う事か?――小娘、軍に来る気はないか?お主ほどの力を遊撃士協会のような民間組織の中に眠らせておくのは余りにも勿体なさすぎる。お主の実力ならその年でもかなり上の地位に着く事もできるだろうし、その調子で急成長し続けるのならば歴代初の王国軍を率いる女性になれるかもしれんぞ?」
疲れた表情で溜息を吐いて武器を収めるレンを苦笑いをしながら見つめていたモルガン将軍はレンを勧誘した。
「結構よ。レンは軍みたいな凄い厳しい規則に縛られたくないし、パパやお兄様のように遊撃士になるつもりなんだから。遊撃士も規則はあるけど、軍と違って自由な部分が多いし、そっちの方が気楽だわ。」
勧誘されたレンはつまらなさそうな様子で答えた後モルガン将軍に背を向けて立ち去り
「…………………ええいっ!遊撃士協会めっ!民間組織の分際で一体どれだけ優秀な人材を抱え込み、その者達が持つ才能の無駄使いをするつもりだっ!!忌々しい!」
レンが立ち去るとモルガン将軍は呆けていた後やがて悔しそうな表情でレンが去った方向を睨んで怒鳴った。その後閉会式が開かれた。
「それではこれより、優勝選手に女王陛下の祝福の言葉が贈られます。レン・ブライト選手!どうぞ、前にお進みください。」
「はーい。」
司会の言葉を聞き、レンはアリシア女王に一礼してアリシア女王の前に出た。
「フフ、まさか私の代で闘技大会での最年少優勝者の年齢が大幅に更新されるなんて、予想できませんでした。―――良いご家族をお持ちになられましたね?」
「うふふ、レンにとって自慢の家族よ♪」
アリシア女王の祝福の言葉にレンは微笑みながら答えた。
「貴女のこれからの活躍を期待していますね。―――それでは賞金10万ミラと優勝カップを贈りましょう。」
「ありがとう、女王様♪」
そしてレンがアリシア女王から優勝賞金と闘技大会優勝カップを受け取るとカメラのフラッシュがたかれ、レンはカメラのフラッシュに応えるかのように可愛らしい微笑みを浮かべた。
「やるじゃねえか、レン!正直ここまでやるとは思わなかったぜ!」
レンが控室に戻ってくるとルークが笑顔でレンを迎えた、
「うふふ、レンもまさか優勝できるとは思わなかったわ。―――それでエルナンさん、これでレンもお兄様達みたいに一人で依頼を請けてもいいわよね?」
「ええ。私の出した条件をクリアするどころか、私の予想以上の結果を出したのですから、文句どころか、こちらから頼みたいぐらいです。私も本気で本部に貴女の事を”特例”で認めるように掛け合いましょう。」
レンに視線を向けられたエルナンは笑顔で答えた。
「フフ、その年で親衛隊員を破っただけでも快挙だというのに、”武神”をも破れば本部もその娘を手放さない為にも認めるじゃろうな。」
その時一人の老剣士が控室に入って来た。
「あ、あなたはユン老師!」
「あら。じゃあお祖父さんがお兄様やパパに”八葉一刀流”を教えたんだ。」
「え………で、では貴女がかの”剣仙”!?一体どうしてこちらに………」
老剣士――――”剣仙”ユン・カーファイの登場にルークは驚き、レンは目を丸くし、エルナンは信じられない表情でユンを見つめていた。
「なに……剣を捨てたカシウスが以前闘技大会に優勝したという話を小耳にはさんでな。どれ程の腕前か見る為に今年の生誕祭に訪れたのじゃが……肝心の奴は参加していなかったからアリーナから去ろうとしていた所をお主の戦いが気になって観戦していたんじゃよ。」
「うふふ、それでどうだったかしら、かの”剣仙”にとってのレンの剣は。」
世界にその名を轟かせる老剣士に見つめられたレンは小悪魔な笑みを浮かべた。
「まさに才能の塊と言っても過言ではないな。その年でよくそれ程の実力を手に入れたな。―――じゃが、一つだけお主に忠告しておこう。」
「何かしら?」
「決勝戦の時に見せたお主の奥義。あの時のお主からはとてつもない”殺意”が込められていた。一体どのような経緯があってあれ程の殺意を出せるようになったかは知らぬが………決して殺意に呑みこまれるな。殺意に呑みこまれた時、お主は”鬼”に墜ちる事になるじゃろう。」
「ユン老師……」
「…………………」
老剣士の忠告を聞いたルークは驚き、エルナンは真剣な表情でレンを見つめ
「…………………うふふ、忠告、ありがたく受け取っておくわ。レンも鬼さんなんかになりたくないし。でも大丈夫よ。レンには大好きな家族がいるんだから♪」
レンは呆けていた後やがていつものような小悪魔な笑みを浮かべて答えた。
「フッ、そうか。まだ皆伝もしておらず、”到っていない”お主は”剣聖”を名乗る事はできないが………お主のその若さでそれ程の剣術を収めた事を称してこの名を贈ろう。――――”剣姫”。今後はその二つ名を名乗ると言い。」
「”剣姫”―――剣のお姫様、ね。うふふ、とっても素敵な名前だわ♪レン、お姫様が大好きだし♪」
老剣士から贈られた異名を口で繰り返して呟いたレンは嬉しそうな表情になった。
「お主ならカシウスやアリオスよりも早く”到れる”だろうな。―――ルーク、妹に負けぬようにお主も精進するのじゃぞ。」
「は、はい!」
「ではな。」
そしてユンはその場から去って行った。
「まさか”剣仙”から直々に称号を贈られるとは。フフ、遊撃士協会の未来は明るいですね。カシウスさんやルークさん共々、これからの活躍を期待させて頂きますね。」
「うふふ、いつかパパみたいなS級にもなってみせるわ♪」
「ハハ……レンならマジでそうなりそうだから、洒落になってねぇな。」
その後レンはルーク達と共に協会支部に戻り、エルナンはレンの件を本部に報告し、翌日本部から連絡があり、レンとルークに報告し始めた。
~翌日・遊撃士協会・グランセル支部~
「”特例”でまずは手帳だけを渡す?本当なのか、それは?」
エルナンから本部から伝えられた話を聞いたルークは目を丸くし
「ええ。それと通常の遊撃士同様の扱いですからオーブメントも支給されます。――これからは遊撃士と同じ扱いにしますので、覚悟していてくださいね?今のレンさんはもはやサポーターではなく遊撃士と同じ扱いですから、レンさんが負う責任も重大になってきます。幼いからと言って、通用しませんよ?」
「勿論、わかっているわ♪」
エルナンの説明を聞いたレンは笑顔を浮かべて頷いた。
「正直な所、驚いたよ。闘技大会に優勝した事もそうだが、まさか”剣仙”直々から二つ名まで贈られるなんて……」
「その件も本部に話したのか、エルナン?」
クルツは苦笑いをしながらレンを見つめ、ある事に気付いたルークはエルナンに視線を向けて尋ねた。
「ええ。今後レンさんの”剣姫”の異名は遊撃士達だけでなく、各国の軍や様々な組織にまで知れ渡る事になるでしょうね。」
「うふふ、人気者は辛いわね♪」
「全然そんな風には見えねぇぞ………」
エルナンの説明を聞いて微笑むレンを見たルークは呆れた様子で溜息を吐き
「―――まあ、何はともあれ特例とはいえ遊撃士と同じ扱いなら今後はより一層様々な事を覚えてもらうから、今の内に心しておくのだよ?いくら幼いと言っても、贔屓はできないからね。」
「はーい。」
真剣な表情のクルツに視線を向けられたレンは無邪気な笑顔を浮かべて返事をした。
こうしてレンは特例で”仮準遊撃士”という扱いで一人で依頼を請けれるようになり、”剣姫”の異名を遊撃士協会を含めた様々な組織に轟かせる事となった……………
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外伝~剣姫の誕生~後篇