No.664242

英雄伝説~焔の軌跡~ リメイク

soranoさん

第10話

2014-02-18 00:00:03 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:2046   閲覧ユーザー数:1956

ブライト家の一員になったレンは家族の誰にも甘えたが、ルークとレナに特に甘えた。そしてルークがエステルと武術の練習をしていると、その様子を見ていたレンはふと意外な事を口にした。

 

~ブライト家~

 

「ねぇ、お兄様。レンもお兄様のやっている剣をしたいわ。」

「ふえ?」

「ハ?剣を?なんでまた。」

少女の希望を聞いたエステルは自らの得物である棒を収めて首を傾げ、木刀でエステルと武術の練習をしていたルークは木刀を地面に置いて不思議そうな表情で尋ねた。

 

「あら、パパとお兄様は遊撃士だし、エステルも遊撃士を目指すんだからレンが目指してもおかしくないでしょ?」

「まぁそうだけどそれよりなんで剣を?父さんとエステルは棒術だから、武術を志すにしてもそっちが普通じゃねえか?」

「そうそう!あたしがお姉さんとしてちゃんと教えてあげるわ!」

レンの説明を聞いてもレンの考えが理解できなかったルークは首を傾げ、エステルは胸を張ってレンを見つめた。

 

「だって、そっちの方が面白いじゃない。美少女剣士ってとっても人気になると思わない?」

「お、面白いから剣にするって……」

「というか自分で美少女って言うかしら?」

予想斜めな答えを聞いたルークは表情を引き攣らせ、エステルはジト目でレンを見つめた。

 

「うふふ、だってレン、みんなから”可愛い”って言われているし、男の子達からは憧れの視線で見られているから美少女でしょう?」

「うわっ、何その自慢。」

「ハハ……(アニスあたりと話が合うかもしれねぇな。)」

「ねぇ、それより教えてくれるの?くれないの?」

「う”。その目は卑怯だろ………」

「絶対わざとしてやっているでしょ。こういうの”アクジョ”って言うんじゃなかったっけ?」

眼をうるうるさせるレンに見つめられたルークは断るに断れず、エステルは呆れた様子で見つめていた。

 

「一体どっからそんな言葉を知ったんだよ……って、シェラザードか。―――まあいい。それで?どっちの剣術をやりたいんだ?俺が元々使っている”アルバート流”の剣術と”八葉一刀流”があるが。」

「勿論どっちもよ!レンはルークお兄様の妹なんだから!」

「ハハ、わかったよ。まず剣の構えだけど……」

そうしてルークはレンに剣術の基礎などを教えた。レンはスポンジのように一度教えた事をすぐに覚え、僅か数時間で”技”すらも編み出せるようになった。

 

「魔神剣!!」

レンが樹の枝を振るうと、振るった樹の枝が反動によって真っ二つに折れると共に衝撃波が発生し、衝撃波は地面を走りながら一本の樹に命中し、樹を揺らした。

 

「ほえ~。ホントにできた……」

「ハ、ハハ……どうやらレンには剣の才能があるみたいだな。(俺だって基礎を完璧に覚えるのに時間がかかったのに、何でこんなに速くできるんだよ!?)」

レンの成長の速さにエステルは呆け、ルークは大量の冷や汗をかいて表情を引き攣らせていた。

 

「クスクス、うかうかしていたらレンがあっという間に抜いちゃうわよ?お、ね、え、ちゃ、ん?」

「むっかー!だったらもっと強くなって姉としての威厳を見せつけてやるわ!」

そして二人はそれぞれの想いを抱えて鍛錬を再開した。

 

「これは一体……ルーク、どうしてレンが剣術の練習をしているんだ?」

二人の鍛錬をルークが見ていると仕事から帰って来たカシウスが目を丸くして尋ね

「実は――――」

事情を知らないカシウスにルークはレンが剣術の練習をする事になった経緯を説明した。

 

「……………………………ルーク、ちょっとこっちに来い。話がある。(二人には聞かせられない話だ。)」

「あ、ああ。」

真剣な表情のカシウスに小声で話しかけられたルークは鍛錬している2人から距離を取った。

 

(先程のレンの件だが、恐らくあの娘に投与された薬物が関係していると俺は睨んでいる。)

(へっ!?”D∴G教団”の!?)

(お前も報告書で読んでいるはずだ。奴等が開発した”グノーシス”と呼ばれる薬物で様々な”実験”を犠牲となった子供達に施し、更に俺達が襲撃した際、連中はそれを呑んで異形の存在になった事も。)

(!!じゃ、じゃあレンがあんな短時間ですぐに剣を振れるようになったのって……!)

忌まわしき事件の影響が未だにレンに残っている事に気付いたルークは顔色を変えた。

 

(恐らく投与された薬物の影響で身体能力や記憶能力も大幅に向上しているのだろうな。)

(………どうすんだ?)

(レン自身が戦う事を決めたのなら、俺達はどんな形であれ得てしまった”力”を間違った事に使わないように導くだけだ。)

(………わかった。)

こうして二人は人知れずレンが間違った方向に進まないように教えることを決意し、レンに剣術を教え始めた。

 

~1年後・ロレント市~

 

「ねえねえ、ママ!今日のディナーって何なの?卵をいっぱい買っていたから、もしかして卵を使った料理かしら?」

「あら、鋭いわね。今日の夕食はオムライスよ。」

「わーい!今日は2回もお母さんのオムレツを食べられるんだ!」

「もう、エステルったら、相変わらずそそっかしいわね?オムレツとオムライスは全然違うわよ。いつまで経ってもそんなんだから、レンはエステルの事を滅多に”お姉ちゃん”って言わないのよ?」

「むっかー!レンこそおかしな事を言っているじゃない!オムレツとオムライスは一緒でしょう!?」

「もう、この娘達ったら………はいはい、喧嘩をしないの。」

レンにからかわれ、頬を膨らませているエステルを見たレナは呆れた後、苦笑いをしながら二人を宥めていた。

 

「………………………」

レナやエステルと笑い合って歩いているレンをレンと全く同じ容姿で、唯一違うのは菫色の髪のレンとは違い、髪の色は夕焼けのような橙色の髪をサイドテールにした少女は愕然とした様子でレンと同じ琥珀色の瞳を震わせながら見つめていた。

 

「何で……何でおねえちゃんだけ、”幸せ”になっているのよ……!ユウナと同じ”穢れた子供”なのに……!」

やがて少女は何かに耐えるかのように唇を噛みしめて身体を震わせ、レナを真ん中にしてエステルと共にそれぞれの片方ずつの手とレナの手を繋いで共に笑い合っている自分と瓜二つの容姿をする菫色の髪の少女を見つめていた。

 

「………俺達に拾われた事、後悔しているのか?」

その時少女の傍にいる銀髪の青年は去って行くレン達を見つめながら尋ねた。

 

「………………………クスッ………うふふ、レーヴェったら、またおかしな事を言っているわね?”偽物”のお姉さんなんか、あの”偽物”のパパとママ同様、ユウナは知らないわ。」

「………………………………もうこれでここの用はすんだな?―――行くぞ。」

少女の答えを聞いた青年は目を伏せて考え込んだ後、やがて去って行くレン達に背を向け

「はーい。」

少女もレン達に背を向け、2度と振り向く事もなく青年と共に去って行った。

 

 

 

 

オリジナルキャラ、ユウナの名前の由来ですが、”とあるゲーム”の”レン”繋がりでユウナという名前に決定しました。まあ、わかる人には即バレているでしょうがww


 
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