No.664219

魏伝 再び舞い降りし御遣い 第7幕

ZZさん

ようやく、更新では第7幕です。どうぞ

2014-02-17 23:02:07 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:4980   閲覧ユーザー数:3894

 

昼食の最中、華琳の一言で始まってしまった春蘭との模擬試合。

 

 

春蘭「いくぞ!一刀」

一刀「・・・・あぁ」

霞「両者、始め!!」

 

 

 

一刀たちは華琳たちと合流の後、昼食を摂るため厨房へ行き、流琉お手製の料理や月の料理など準備を行っている。

兵士たちも使って街の料理も運んできて貰っている。

準備が出来た。卓ついて皆で始めてる最中、華琳の一言で始まった。

 

 

華琳「一刀、あなたの実力がどれ程成長したか今、見せて頂戴」

一刀「今!?」

華琳「今よ、春蘭、相手にしてやりなさい」

一刀「拒否権なし!?」

春蘭「さぁ、勝負だ!!一刀!!」

一刀「しかも、本人やる気満々だし・・・・はぁ・・・・やればいいでしょ」

華琳「それでいいのよ」

霞「なら、うちが審判したる」

 

 

春蘭は七星餓狼を肩に担いで広い場所に移動する。

一刀も肩を竦めながら春蘭に続いて移動する。

両者が広い場所に移動いたら、互いの距離を開け構える。

 

 

春蘭「行くぞ!一刀」

一刀「・・・・あぁ」

霞「両者、始め!!」

春蘭「はぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

一方、別の場所では春蘭VS一刀の試合の行方をじっと見つめている。

 

 

雪蓮「華琳はどっちが勝つと思ってるの?」

華琳「そうね・・・春蘭。といいたいけど一刀も見たところ腕を上げているみたいだし、わからないわね」

桃香「二人とも頑張れ~」

愛紗「桃香様、静かにして下さい」

桃香「ぶー、ひどいー」

沙和「凪ちゃんはどっちが勝つと思うの?」

凪「私は隊長を・・・・////」

沙和「真桜ちゃんは?」

真桜「うちも隊長かな。沙和は」

沙和「沙和も隊長なの」

 

 

周りの皆も誰が勝ちかを予想していた。

春蘭の方が若干勝率が高かったものの、一刀の方も人気はあり、修行を行っていた将兵も一刀を支持していた。

 

 

春蘭「どうした!一刀、避けてばっかりじゃないか!!」

一刀「・・・・・・・」

春蘭「避けてばかりではこの私には勝てんぞ!!」

 

 

 

華琳は一刀の様子を見て、声を洩らした。

 

 

華琳「一刀、如何したのかしら」

秋蘭「姉者の攻撃を唯、ひたすら避けているだけのようですね」

 

 

周りもこの攻防戦を見て各々が感じたことを口に出していた。

すると、突然一刀の動きが変わった。

 

 

一刀「(反撃の狼煙を上げるとするか・・・・・まずは春蘭の攻撃を避けなければ・・・・・”あれ”を試してみるか・・・・意識を右手に集中・・・・・)」

 

 

この時、凪を含める複数の将が一刀の異変に気がついた。

 

 

凪「(隊長・・・・・右手に氣が集まってる)」

秋蘭「(一刀・・・・・どうするのだ)」

紫苑「(一刀さん・・・・なにかする気ですね)」

桔梗「(北郷・・・・・如何にして覆す)」

祭「(北郷・・・・・)」

華琳「(一刀・・・・何かするつもりかしら)」

雪蓮「(御遣い君、どうするのかしら?)」

 

 

一方、一刀の方は・・・・

 

 

一刀「(大分、氣が溜まってきたな・・・・・春蘭だし大丈夫だと思うけど、威力は弱めておくか・・・・・・・・・・今だ)北郷流氣功体術奥義・・・・・龍衝掌底破(りゅうしょうしょうていは)!!」

春蘭「がはっ!?」

全員「「「「「!!!!????」」」」」

 

 

一刀は、春蘭の攻撃をかわした後に、即座に右手に溜めていた氣を春蘭の身体にぶつける。

春蘭は避ける事が出来ずに直撃する。

 

 

一刀「やるなぁ、春蘭。結構本気でやったつもりだけど?」

春蘭「ふん、私は魏武の大剣だ。華琳様を守るため簡単に倒れたりしない」

一刀「それでこそ春蘭」

春蘭「一刀もやるようになった」

一刀「まだ、やれるだろ春蘭」

春蘭「当たり前だ!!」

 

 

それから、一刀と春蘭は数え切れないほど交え、結局華琳の合図により試合は引き分けで幕を下ろした。

 

 

 

華琳「ねえ、一刀」

一刀「ん?なんだ」

華琳「一刀、どうして力を手にしようと思ったの?」

 

 

食事の最中、華琳が聞いてきた。

 

 

一刀「どうしてそんな事を?」

華琳「少し気になったの」

一刀「・・・・・・・・・・・・・・・・守られるのが嫌だったから」

 

 

周りの皆の一刀の発言でピタリと時間が止まったかのようになった。

 

 

華琳「・・・・・・・」

雪蓮「・・・・・・・」

桃香「・・・・・・・」

 

 

一刀はゆっくりと理由を話していく。

 

 

一刀「今更、手にした所で意味が無いかも知れないけど・・・・・・でも・・・・・知識だけあってもダメな気がしたんだ・・・・・・華琳だったらよくやっているって言ってくれるかも知れないけど・・・・・俺自身が納得できなかった」

華琳「一刀・・・・」

一刀「今だから言えることだけど・・・・・・正直に言って辛かったんだよ・・・・・・春蘭や秋蘭、霞、凪達のような武があるわけでも・・・・・桂花や風、稟といった知略で戦うわけでもなく・・・・・天和達のように何か武器があるわけでも・・・・・・皆から守られてるのが堪らなく辛かったんだ・・・・・・・・・うっ・・・・・・・」

春蘭「・・・・・・」

秋蘭「・・・・・・一刀」

霞「一刀・・・・・」

凪「隊長・・・・・」

桂花「・・・・・・・」

風「お兄さん・・・・・」

稟「一刀殿・・・・・・」

天和「一刀・・・・・・」

地和「・・・・・・」

人和「一刀さん・・・・・・」

一刀「ごめん・・・・・・・・泣くつもりはなかったんだ・・・・・・思い出したら出てしまっただけだ・・・・・・すまん、席を外す・・・・・・こんな姿、何時までも晒すわけにはいかないから・・・・・・」

 

 

 

そういって、席を立ち走り去っていく一刀。

それをただ、見つめること出来なかった華琳たちであった。

 

 

華琳「・・・・・・まさか、一刀がそんなことを思っていたなんて・・・・・」

秋蘭「はい・・・・一刀はいつも笑っていました」

霞「せやな・・・・・・うち等が、なに言うても笑っておったし」

春蘭「・・・・・・・・」

秋蘭「姉者?」

華琳「何処に行くの?春蘭」

春蘭「・・・・・・・」

華琳「一刀の所だったら、やめなさい」

春蘭「しかし・・・・・」

雪蓮「そうね・・・・・・やめたほうがいいわ」

冥琳「そうだな・・・・昔の話とはいえ北郷と深い関わりのあるお前たちが行けば北郷も泣くに泣けんだろう」

春蘭「くっ・・・・・」

 

 

春蘭は悔しそうに下唇を噛んでいた。

 

 

凪「私達は何をやっていたのだろう・・・・・・」

真桜「凪・・・・・」

沙和「凪ちゃん・・・・・・」

凪「隊長の御心も解らないなんて部下失格だ・・・・・」

真桜「・・・・・・・」

沙和「泣かないでなの・・・・・・沙和まで泣きたくなっちゃうの・・・・・・うぅっ」

 

 

沙和は、凪が泣いてしまったので凪を抱きしめ自分も小さく泣いていた。

 

 

桃香「華琳さん、今日はもうお開きにしませんか?」

雪蓮「そうね・・・・こんな状態じゃ、食事も美味しくないわ」

華琳「そうね・・・・・・」

 

 

 

一刀が居なくなって沈んでしまった、昼食はお開きになった。

その日の夜、華琳は一刀の部屋の前に立っていた。

しばらくじっとしていたが、意を決して扉に手をかける。

 

 

華琳「一刀・・・・・・・」

 

 

華琳は眠っている一刀の横に立つと、手を一刀の頬に添える。

 

 

華琳「(眠るまで、泣いたのね・・・・・・目の少し腫れている・・・・・・溜め込むなとは言わないわ・・・・・相談できない事もあるものね・・・・・ありがとう、一刀・・・・・話してくれて)」チュッ

 

 

華琳は、一刀に口付けを一度だけ済ますと、部屋を後にする。

華琳が部屋をでてしばらくすると・・・・・

 

 

 

春蘭「・・・・・・・」

秋蘭「姉者?入らんのか?」

春蘭「・・・・・入る」

 

 

部屋の扉が開き、夏侯姉妹が入ってくる。

 

 

春蘭「一刀・・・・・」

秋蘭「さすがに眠っているようだな」

春蘭「うむ・・・・・」

秋蘭「あまり長く居続けても迷惑になるし早々に立ち去るぞ」

春蘭「秋蘭・・・・・・・本当にするのか?」

秋蘭「姉者はしないのか?私は、するぞ。感謝の意味の込めて・・・・・どうするんだ、姉者」

春蘭「判った・・・・一刀・・・・・ちゅっ/////」

秋蘭「照れてる、姉者もかわいいなぁ。一刀・・・・・んっ・・・・・行くぞ、姉者」

春蘭「うむ・・・・・」

 

 

夏侯姉妹の次に来たのは・・・・・・

 

 

桂花「・・・・・・・」

 

 

桂花だった。

 

 

桂花「よく眠っているようね・・・・・・・あんただけだから・・・・・・こういう事するの・・・・・・一刀・・・・・・ごめんなさい・・・・・・・・これからは頑張って素直になってみるから・・・・・・ちゅっ」

 

 

桂花は早歩きで部屋を飛び出した。

続いて、来たのは・・・・・・

 

 

霞「一刀・・・・・お、ちゃんと寝とるな・・・・・・無理したらあかで一刀・・・・・・んっ」

 

 

霞だった、一刀の部屋には続々と人が入ってくる。

 

 

季衣「兄ちゃん・・・・」

流琉「季衣・・・・・兄様は寝てるから静かにね」

季衣「うん・・・・・・」

流琉「早く、済ませよう季衣」

季衣「兄ちゃん・・・・・んっ」

流琉「兄様・・・・・・・んっ」

 

 

凪「隊長・・・・・・・貴方の御心を察せなかった私をお許しください・・・・・・・んっ」

沙和「隊長・・・・・・大好きなの・・・・・・・ちゅっ」

真桜「隊長・・・・・・・いつも、支えてくれてありがとう・・・・・・ちゅっ」

 

 

風「稟ちゃん、早くしないと他の人が来ちゃいますよぉ」

稟「判ってます・・・・・・一刀殿・・・・・んっ」

風「お兄さん・・・・・・・ちゅっ」

稟「風、長居は無用ですよ」

風「はいはーい」

 

 

天和「失礼しまーす、一刀・・・・・ちゃんと寝てる」

人和「天和姉さん、静かに」

地和「そうよ、一刀が起きちゃうじゃない」

天和「わかってるよー・・・・・一刀・・・・・・ちゅっ」

地和「ちいも・・・・・・ちゅっ」

人和「・・・・・・んっ、起こす前に行きましょ」

地和「そうね、天和姉さん行くよ」

天和「はーい」

 

 

その日、一刀は一度も起きることなく眠りについていた。

 

 


 
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