No.664186

九番目の熾天使・外伝~マーセナリーズ・クリード~番外編 

okakaさん

番外編その1
旅団発足後の後期メンバーとの邂逅や調査、勧誘がメインになります。
今回はウィルスに魅入られた狂気のマッドサイエンティスト、龍神丸さんことアルファ・リバインズの調査任務です。
※後半微グロ注意です

2014-02-17 20:35:27 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:936   閲覧ユーザー数:774

番外編【戦闘査定記録】その1~白き暴君~

 

 

「さて・・・それでは実験を開始しましょうか・・・イーリスさん?」

 

 

薄暗い小部屋に問いかけるように男の声が響く。

 

 

「はい博士、記録機材の起動を確認、両タイラント武装ロック解除、戦闘を開始します」

 

 

それに反応した女性が操作パネルを起動、部屋全体に明かりが灯り、眼下のアリーナにも照明が灯った。

 

 

「「「グウォォォォォォォォォォ!!!」」」

 

 

アリーナが明るくなるのと同時に二体の巨体が唸り声を上げ、眼前の標的に襲いかかる。

 

 

『ちっ・・・結局こうなんのかよ!』

 

 

記録機材が両手に拳銃を構える【標的】の声を拾い上げた。

 

 

「さて・・・どこの誰かは知りませんが・・・私の研究成果の実験台になってもらいますよ?」

 

 

そう言うと彼【アルファ・リバインズ】は眼下のアリーナを一瞥する。そこには彼の研究成果の一つ、【量産試作型タイラント・改】が二体、様々な大型武装を抱え、侵入者である【標的】を追い掛け回していた。

一体がガトリングガンを構え、【標的】に向けて発砲、轟音が響き渡るのと同時に辺りに薬莢が舞い散る。その射線から離れるため走りだした【標的】の未来位置にもう一体の持つロケットランチャーが撃ち込まれた。

しかし、【標的】は発射されるロケット弾に発砲、その銃弾は寸分違わず信管に命中し、タイラントの付近で爆発、ランチャーを破壊しながら辺りに破片をまき散らした。その破片がガトリングを構えたタイラントの腕に当たり、射線が狂う。

その隙に【標的】が今度はガトリング目掛け発砲、どうも特殊弾頭だったらしくモーター部分で小さな爆発が起きて発砲が止まった。

 

 

(マイクロ・グレネード弾頭・・・なかなかの出来だな、帰ったらプロフェッサーにコーヒーでも奢るか。しかし・・・どうしてこうなった・・・)

 

 

そんなことを考えながら【標的】である岡島一城こと【OTAKU旅団No.9 okaka】はタイラント達に反撃を開始した。―――――――――――――――――

 

 

 

――――――――事の発端は一週間前の団長室―――――――――

 

 

「メンバー候補の調査ですか?」

 

「ああ、今からとある無人世界に飛んでこの人物について調査してもらう」

 

 

そういうとOTAKU旅団【団長】クライシスはシルクハットを軽く持ち上げ、okakaに視線を向けた。彼は自分の座るデスクの上にあった資料をokakaに手渡すと更に続ける。

 

 

「名はアルファ・リバインズ、広域次元犯罪者で主にTウィルスの研究とB.O.Wの開発を行うマッド・サイエンティストだ。つくづく君はマッド・サイエンティストと縁がある用だね?」

 

(げっ・・・マッドって言い切ったよ・・・)

 

「自分でも嫌になりますよ・・・もう慣れましたけど・・・って犯罪者?」

 

「そうだ、それも筋金入りの、な」

 

「げ・・・マジっすか」

 

 

okakaは団長の言葉に嫌そうな顔を浮かべるも団長は気にせずに続ける。

 

 

「だが、非常に優力な候補だ。それにこういう人間には早めに【首輪】を付けておいた方がいいだろう。大事を起こす前に、な」

 

「・・・まぁ・・・そうですね」

 

「あと、そろそろ裏仕事をする者が必要だろう、君一人に対処させるのも面倒になってきたし。良いころ合いだ」

 

「まぁ、・・・そういうことなら」

 

「では、よろしく頼む」

 

こうしてokakaはアルファ・リバインズの調査に向かうことになった。――――

 

――――――――――――

 

 

「ふむ・・・六日前から誰かが嗅ぎまわっていると思いましたが・・・なかなかの手練ですねぇ~開始15秒で正面からタイラントの武装を破壊ですか・・・」

 

 

アルファ・リバインズは記録データを確認し、【標的】の予想外の奮闘に少し興奮しながらひとりごちる。そのつぶやきに助手であるイーリス・クレントが申し訳なさそうに返す。

 

 

「はい、位置が特定できないので隠密特化かと予想していましたが・・・申し訳ありません博士、予想が外れてしまい・・・」

 

「構いませんよ?私も探知できませんでしたし、それに・・・」

 

「それに?」

 

「あの実力なら、いいデータが採れることでしょう。タイラントを限界まで追い込んでくれそうですから・・・イーリスさん、全センサーの感度を最大に、0.1秒も録り逃しがないように」

 

「はい、博士」

 

 

助手の返事に満足そうに頷くと、アルファ・リバインズは再びアリーナに視線を向ける。そこには武器を失い、格闘戦を挑む二体のタイラントとそれに立ち向かうokakaの姿があった。

 

 

「グウォォォォォォォォ!」

 

「っと!この!」

 

「ガァァァァァァァァ!」

 

 

唸り声を上げながら襲い掛かる二体のタイラントの攻撃をかわしながらokakaは次の一手を考える。このまま相手に手の内を晒すのは得策ではない。それにさっきから【鷹の目】がこのアリーナのそこら中にセンサーを捉えている。今データを取られるのは面倒だ。ならまずは――――――――――――

 

 

(センサーの破壊、もしくは欺瞞!)

 

 

そう判断した岡島はタイラントと距離を取ると自身の拳銃にドラムマガジンを装填、中身はさっきと同じMG(マイクロ・グレネード)弾頭、彼の企業の【裏の商品】、その試作品だ。それを惜しげも無くアリーナの全体に仕掛けられたセンサーにぶちまける。但し、数発外すことで【センサーには気付いているが場所までは解っていない】と錯覚させる。

弾切れになったマガジンを捨て、新たなマガジンを装填する。

今度の弾種はR.I.P.弾、命中時の衝撃で弾頭が9本のブレード状に裂け、相手の内部をズタズタに引き裂く強力な弾頭だ。但し3A基準の防弾プレートを抜けないため確実に露出した部分を狙う必要がある。

okakaは銃をタイラントに向けると発砲、タイラントの防弾コートを抜けはしないが、足止めにはなった。

そして、タイラントを撃つ流れ弾に見せかけて混ぜ込んだ通常弾で残りのセンサーを破壊していく。壁に仕掛けられた全てのセンサーの破壊を確認したokakaは最後の仕上げに取り掛かる。つまりは――――――――――――

 

 

「後はあいつらだけだ!」

 

 

最後のセンサーはタイラント自体、つまりタイラントを倒せば良いだけだ。そう考えたokakaはもう一度R.I.P.弾を装填し、二体のタイラントに飛び掛かる。

それを察知したタイラントが同時に拳を突き出した。狙いはokakaの顔面と腹部、確実に仕留めるためにしっかりと引きつけて放たれる。しかしその拳は虚しく空を切る。それと同時に二体の突き出した手の甲に銃剣が突き刺さり、砕け散る。

寸前に飛び上がったokakaが銃剣を突き立て発砲したのだ。いくら頑丈でも超至近距離からのR.I.P.弾は耐えられなかったのだろう。二体の片手は手首から先がズタズタに引き裂かれていた。

そしてokakaはその二体の腕の間を抜け、背後に回ると銃剣を二体の延髄に突き立て連射、二体のタイラントの頭部が落としたザクロの用に砕け散った。

二体のタイラントが完全に沈黙するとokakaはアリーナ上のブースに発砲した。

銃弾はブースの防弾ガラスに突き刺さったものの貫通はしなかった、が、確実に、アルファ・リバインズに向けて撃ち込まれていた。

 

 

「博士!あいつ!・・・っ!?博士?」

 

 

イーリスが驚き、okakaを焼き殺そうと火種を取り出そうとする。しかし、その手はアルファ・リバインズに止められた。その顔はとてつもなく狂気に満ちた笑顔を浮かべていた。

 

 

「クククッ・・・クハハハハハハハハハハハハハッ!素晴らしい!まさかこれほどとは!いやぁ~おかげで良いデータが取れました!今後の改良点に役立ちますよ!」

 

「ですが収集機材は全て・・・」

 

 

そう、彼らが設置した機材は全てokakaにより破壊されていた。しかし、アルファ・リバインズは最高に楽しそうに自分の頭を指差す。

 

 

「あるじゃないですか!ここに!全て!早速反映させなければ!イーリスさん!ここの撤収準備は完了していますね!?」

 

「は、はい」

 

「では早速自爆装置を起動させてください!私達も離れましょう!」

 

リバインズのテンションに干引き気味のイーリスだったがすぐに自爆装置を作動、同時にリバインズのテレポートでふたりとも退避した。――――――――――――

 

 

 

 

 

 

――――――別の無人世界――――――

 

 

リバインズは新たな研究所に到着するとすぐに自分用の端末にかじりついた。

 

 

「さて、まずはデータの洗い出しです!今度は彼の本気を引きずり出させることが最低条件ですねぇ~」

 

「彼は本気ではなかったと?」

 

「ええ、アリーナのセンサーを破壊した後の彼のセリフ覚えてますか?」

 

「たしか・・・『後はあいつらだけ』・・・!」

 

「そう、彼は最初から全てのセンサーを認識していた可能性が非常に高い。それだけではありませんよ?こちらにデータを取らせない措置をとっていた。つまりアレが彼の本気である可能性は低い。どこの誰かも知りませんが今度は勧誘でもしますかねぇ~実験台やアグレッサー、クローン用のサンプルにピッタリですから!」

 

「・・・それは確実に断られるかと・・・「イーリスさん?何をしてるんです?早く手伝ってください」・・・はい、博士」――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――爆発する研究所を見ながらokakaは報告書を書き上げる。――――――

 

潜入調査七日目、指示通りにわざと見つかり、追い込まれる形で戦闘可能な場所まで誘導。しかし、相手は試作品と思われる人型B.O.W.二体を投入、こちらを実験台に性能評価試験を敢行。二体を撃破後、挑発に一発銃弾を撃ちこむ。が、目標は撤収、研究所を自爆処理。こちらも転送で退避。以上をもって調査を終了。

 

総評

非常に危険な人物ではあるが、Tウイルスの実験を行う被験体はあくまで次元犯罪者や襲撃をしてきた相手に対してのみで、戦いとは無縁もしくは罪の無い民間人にまで手を出す事は無く、戦闘時でも民間人を巻き込む事は極力避けていることが見受けられる。

Tウィルスの研究ができればどこでもいいらしいので勧誘自体は聞き入れる可能性高し。

ただし、スカウト時は旅団員やそれに準ずるメンバーを被験体にしないように厳命すべきであると思われる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

番外編第一回、今回は竜神丸さんの回になります。本編でもマッドな人ですが、上手く書けてるかなぁ・・・因みに調査自体は七日間ですがアルファ・リバインズが六日前と言ってるのは最初の一日をバレずにいたためです。まぁアサシンだしこれくらいは・・・一日でバレてますけど・・・次回の番外編は更新は未定ですが、おそらくあの人と【仮面をかぶる覚悟と決意】がメインになると思います。

 

 

 

 

 

 

 


 
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