No.662833

神次元の外れ者(41)

ヒノさん

良ければどうぞ
やっと出来た………(汗)

2014-02-13 03:52:00 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:347   閲覧ユーザー数:332

【かっこわりぃ】

 

(チータ視点)

プラネテューヌ付近・森林跡

 

デバッカ

「セアアアアアアアッ!!」

 

ズシュッッ……!!!

 

チータ

「ア………!」

意識が薄れる

身に纏っていた装甲と羽が消えてゆく

斬られた痛みも次第に薄れていく……

このまま消えちまいそうだ、いやもしかしたら消えたいって思ってるかもしれない。

だって俺、分かっちまったもん……

視界が狭くなる中、鋭く睨むアイツの目に映る俺を見て、分かっちまった………

デバッカ

「………………」

……俺、全部投げ出したかったんだ。怖いからとかアイツの為とか色々理由付けて逃げ出したかっただけなんだ。

人神に成ってからの生活ってのは…任務だとか、ガールズハントとか、仲間との雑談とかがほとんどだった。

ただ…女神に関わる機会ってのはそこまでなく、市民同様関わらずにいるのかと思った。

けどある時なんとなく教会に寄って、そこから逃げ出した女神を連れ戻す事になって、死にそうになりながらも何とかやり遂げて……

そこからバイトやる事になって、いつの間にか居候になって、任務にもガールズハントにも行き辛くなって……そういやその時から抜け出したくて、逃げ出したくて必死だったんだっけ。

それでついに抜け出したのは良かったんだが、しばらく外には出たくなかったな~

…笑いもんだな、自分の気持ちにすら気づけねーだなんてさ。

意識が薄れる、視界が狭まる、体中の力が抜ける…

それはまるで糸が切れた人形のような…例えるならそんな感じだ。

このまま眠っちまうんだろう。んでその後仕置きを据えられて、トラウマ植えつけられて、もうアジトにゃ戻れねぇんだろうなぁ……

もう諦めるしかねぇよな、うん……

 

ダンッ!!

 

けどよ……

 

(デバッカ視点)

 

…信じられない。目の前に起きた事を見て、それしか

デバッカ

「嘘だろ……」

これでもかと言う位に叩き込んだ筈だ

完膚なきまでのめした筈だ

もう立てない筈だ

変身もとっくに解けている(俺もだけど)

血まみれで白かった服も真っ赤になっている

いつものアイツならもうとっくに倒れている筈だ

なのに…なのに………

チータ

「けど、よぉ……っ」

何で立てるんだ

何で地面を踏みしめられるんだ

身に纏う服を見ろ、白い部分が自分の血で染まって真っ赤だ

その手を見ろ、血だらけで傷だらけで、もう何も握れないだろ

足元を見ろ、血だまりが出来ている

もうお前は…お前はもう限界の筈だ!!

チータ

「こんな………ッ所で……」

デバッカ

「ッ!!」

…何だ?この気迫は……

思わず身構えてしまった。

血だらけ泥だらけで、そんな焦点が定まってすらない目で、何でそんな奴に気圧されるんだ俺は

チータ

「こんな所で倒…れたら…」

その瞳には輝きが戻り

その足は力強く地を踏みしめ

その身には力が湧き上がるのを感じた

チータ

「このままのこのこ帰っちまったら」

逆にこちらの身体が震えてしまう

もう無い筈の力を振り絞るそれを見て、恐怖を感じる

チータ

「かっこつかねぇじゃねぇかああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

 

ダッッ!!

 

デバッカ

「ッ!!!」

目の前のそれは叫び、敵である俺に向かって走り出す。

…勝てるのか?こちらも消耗しているし、人神化も尽きている。

こんな状態で勝てるのか?あの猛獣を、あの野獣を、あの怪物を……

落ち着け!しっかりしろ!何を恐れる!?相手は同じ人神だ!

しかも瀕死同然だ!生ける屍(リビングデッド)だ!

俺は己を奮い立たせ、鬼神の如く迫るそれを迎え撃つ

 

(チータ視点)

 

チータ

「ウォアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

気が付いたら突っ込んでいた。アイツに向かって突っ込んでいた。

このさきどうする?考えちゃいなかった。

デバッカ

「ハッ!」

姿勢を低くし、アイツの左の払いをかわしながら突っ込む。だが目の前に右の突きが……

 

ドシュッ

 

デバッカ

「!?」

咄嗟に左手で止めていた。当然掌は貫かれたがどうでもいい、痛みはねぇし。

そのまま左でヤツの右の剣を掴み、引っ張り、そのまま右で腹を殴り上げる

 

ゴッッ

 

デバッカ

「ガッ!?」

チータ

「ウォォォォアッ!」

殴り飛ばされた瞬間、奴の両手の力が緩んだ。

すかさず俺は剣を左手に刺さったまま奪い取り、右手で柄を持ち、引き抜いてそのまま振り払う!!

デバッカ

「グッ!!」

奴はゆるんで左手から離れそうになった剣を逆手に持って再度握り、それを防ごうとした…

だが見ただけでもわかる、あの剣には受け流せるほどのキレがない。

その場合、俺が防御ごと払い飛ばすか奴が防ぎきって止めるかの力勝負になる。

だが力なら…こちらの方が上だ!!

チータ

「オラァッ!!」

 

キィィンッッッ……

 

デバッカ

「ぐっ!!」

防御を弾き飛ばされた奴は少し吹っ飛ばされるも着地し、そのまま構えを取ろうとした…が

チータ

(オセ)ぇ」

その時俺は、既に奴との距離を詰め…

デバッカ

「しまっ……」

そのまま思い切り振り下ろす

 

ザシュッ

 

斬られた奴はそのままうつぶせになって倒れ、出続ける血は奴の周りを赤く染めていった

その時俺は、今まであらゆる意味で勝てなかったコイツに勝てた現実をまだ受け止められず、に呆然とつっ立っていた

暫く経った後、俺は直ぐに切り替える。

帰ろう(・・・)…俺の居場所へ…足取りが重いけど、それでもあそこには帰れるだろう。

帰ったらどうしようか。寝てしまおうか、それともちゃんと…………

 

ゴッッ

 

チータ

「――――――――――――――」

帰る瞬間、振り向いた瞬間、歩を進めようとした瞬間、何か(・・)が俺の頭を直撃し、そのまま目の前が真っ暗になって………

 

 

(クリエ視点)

 

その光景を見た瞬間、私は思った…『間に合ってよかった』と。

組織の拠点近くに居る事は分かってた。皆が頑張ってたからか手が空き、居場所を特定するのも容易だった。

だけど、その時いるかどうかは分からなかった。

そこは賭けだった。だけど今、目の前の状況を見て思った…『間に合った』と。

そこにいたのは瀕死のデバッカと…

チータ

「………」

プルルート

「ぷ~るぅぅ~………」

今回の主犯二人であった。

まさかデバッカがやられるなんて予想外だったけどね…私の予想だと、ぷーちゃんが落ちて来た時に呆然としてる役だよね?

ノワール

「さ、さっさと三人を回収して帰るわよ。主犯には後でじっくりと問い詰めましょ。」

ブラン

「今回の事件は、女神に対する不信感と持たせた上に、他国との関係にも影響を及ぼす事だし……同落とし前と付けようかしら。」

ベール

「先ずは…串刺しの刑なんていかがしょう…わたくし、今回の件ですこぶる不機嫌ですの。晒し者にするのも厭わぬ所存ですわ。」

……その前にこの三人をどうにかしないと駄目な気がする。何か段々と重くなってるし……

ノワール

「だいたいコイツのナンパ癖が問題ね。どう教育すれば良いのかしら。」

多分何やっても無理だと思うよ、筋金入りだし。

ブラン

「身体に教えてあげればいいのよ…その方が手っ取り早い。」

いやいや君達やり過ぎるでしょ

ベール

「そうですわね…責任をもって、来世の教訓の為にしっかりと刻んであげましょう。」

君に至っては殺す気満々だよね?あの世に送る気満々だよね?

ピーシェ

「くりえ。ちーとぷるると、なんでわらってるの?」

クリエ

「きっと楽しい夢を見ているんだよ。」

ピーシェちゃんマジ天使、マジ女神…プラネテューヌってピーシェちゃんで維持してるようなものだと私は思う。

ノワール

「大体コイツのせいで最近プルルートが私に構ってくれないのよ?付き合い長いのに……」

ブラン

「単に貴方に飽きただけじゃないの?私は違うけど、絶対コイツのせいだけど」

ノワール

「な…そんな事ないわよ!貴方こそプルルートに飽きられたんじゃないの!?私だって、そんな頭でっかちと付き合ってたら……」

ブラン

「てめぇ…喧嘩売ってんのか?」

ノワール

「貴方の方から言って来たんじゃない!」

ベール

「先ずはその汚らしくぶら下がってる物を潰してからがいいですわね。最初からクライマックスに苦しんでもらいませんと。」

 

ドドドッ!…ぱたり

 

【EXフィニッシュス・パワータイプ・パラライズアロー】

 

クリエ

「さーてデバッカ回収して撤収しますか。ピーシェちゃん、矢を受けて動けなくなった三人をよろしくね♪」

ピーシェ

「はーい」

ノワール

「躊躇なく撃った…あの子、躊躇なく撃って来たわよ?」

ブラン

「クリエ…恐ろしい子………」

ベール

「くーちゃん、あれで結構気が短いですから……」

何を言ってるのかなこやつは、こちとらここまで飛ぶときべたべた引っ付かれたんでイライラ溜まってるんですよ?

飛び辛いし重かったし何より息苦しかったんだからね。これは当然の報いだよね?

ピーシェ

「しゅっぱつしんこー!」

 

カッ…ドォウンッ!!

 

うお速っ、風圧凄っ…正に最短で真っ直ぐに一直線だね……あの三人、吐かなきゃ良いけど………

 

ピシッ…

 

クリエ

「痛っ……」

二人を治そうとした瞬間、右手に亀裂が入るような痛みが走った。

この痛みには覚えがあって、もしこれが出るとヤバイ前兆だったんだけど…………気のせいだよね?

…うん、そういう事にしておこう。

(チータ視点)

 

チータ

「ん……」

目を開けた瞬間、光が差し込んだ。

眩しくて眩しくて目をしかめたが、段々とそれに慣れて来たので、少しずつ目蓋を開いてみた。

先ず目の前に移ったのは青空だった。雲一つない真っ青な空がそこにあった。

どうやら気を失っていたらしく、前まであった黒雲はひとかけらもなかった…どうやらアイツ等、何とか女王サマをあやすことに成功したらしい。

って言うかなんだろ…俺、地面に接してるはずなのに…頭の部分だけ高くなってるよーな…しかも柔らかい感触があるし。

アイリスハート

「…………………………」

チータ

「…………………………」

可笑しいな…目の前にあの女王様の顔が出て来た。しかも何か黙ってこっち見てるし……あ、これ夢か。

でねぇとあの女王様が覗き込むように見るなんてねぇもん。今頃拷問室だもん。

アイリスハート

「…………………………(クスッ」

チータ

「…!!!………あれ?」

なんだろ…いつものコイツの笑みだと妙に寒気がするのに…暖かい。それが逆に怖い!!

やっぱ夢だ、夢以外ありえない覚めてくれ、いややっぱ覚めないでくr…って何だ何だ!?急に顔を近づけ始めやがっ……

アイリスハート

「何その顔…まだ寝ぼけてるの?」

チータ

「…へ?」

アイリスハート

「アタシは本物よ?」

チータ

「いやだって…いつものお前なら、俺は今頃拷問室だろ?」

アイリスハート

「アンタ本っ当に失礼ね…アンタだけは……」

呆れたような顔をして、プルルートが呟く…そうだ、言わなくちゃな…俺の本音。

チータ

「………あのさ、俺……」

アイリスハート

「………もしお仕事とか用事が出来たら、先ずアタシに言う事。」

チータ

「へ?」

いきなりキャンセルされたよ。先ず話聞こうよ。結構真剣な話なんですよ?

仕切りなおしてTAKE2

チータ

「あ、あのさ…俺実は――」

アイリスハート

「それと……」

 

スッ………

 

チータ

「…へ?」

やぁらけぇ手の感触が額に…撫でられてんだな俺……割と気持ちいいっす。

アイリスハート

「偶にはこうしてあげるから…もう勝手に抜け出してやめない事」

膨れた顔してじっと見つめてる…ヤバい、すっげぇ可愛い………

チータ

「お、おう……」

俺の返事を聞いたプルルートは、微笑んだ後、直ぐに寝てしまった…女神化したまま。

……結局何言えなかったな、『ごめん、もう逃げない』って………

それからしばらく、このまま膝枕されてる状態で寝ることにした…さっきまで激戦を繰り広げたこの場所で

何一つ言えず、伝えられず、結局ずるずる流されちまった……俺って奴は全くもって――――――

チータ

「かっこわりぃ………」

そう小さく呟いた後、俺はゆっくりと目蓋を閉じるのであった………


 
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