No.662691

真・恋姫†無双 裏√ 第六十話 運命編其四

桐生キラさん

こんにちは
とうとう六十話です!
今回の内容は
司馬懿VS虞美人
呂布VS項羽(三人称視点)となっております

2014-02-12 18:23:06 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:1747   閲覧ユーザー数:1544

 

 

 

 

 

 

運命編其四

 

 

 

 

 

 

咲夜サイド

 

 

 

 

 

 

私は途中の人形兵をある程度潰しつつ、奴らが使っている武器を奪いながら進んでいた。

槍に剣、そして弓。これだけあれば、何かと役に立つだろう

 

咲夜「ここが祭壇か」

 

私は祭壇の階段を駆け上がる。するとそこには、妙齢の女性がいた

 

咲夜「よぅ、あんたは誰だ?」

 

虞美人「私は虞美人。項羽様を心から愛している者です」

 

咲夜「あんたが?」

 

悠里が絶世の美女とか言うから、どんな奴か期待していたのに…

 

咲夜「思ったよりも普通?」

 

虞美人「な!?なんですか普通って!」

 

咲夜「いや、ちょっと期待外れっていうか…まぁ、性別が女ってだけマシか。

自称絶世の美女っていう、性別が筋肉の塊だっているくらいだしな」

 

虞美人「ど、どんな想像してるんですか!ちょっと失礼ですよ!」

 

咲夜「それにしても、期待外れであるにも関わらず、思ったより歳が…」

 

虞美人「うっ…じょ、女性に歳の事を言うなんて酷いです!」

 

咲夜「まったく、少しは歳考えろよ。あんたなんて格好してんだ。

なんだそのフリフリ、可愛いとか思ってんのか?」

 

虞美人の服装は、うちのメイド服よりフリフリしていて可愛らしいものだ。

だが着ている人がちょっとなぁ…

 

虞美人「わ、私はまだ、じゅ、17歳だもん…」

 

咲夜「おいおい、そりゃ嘘だろ。明らかに四十手前じゃねぇか」

 

虞美人「そんなこと…ないもん…」

 

咲夜「いやあるぜ。もうあんた残念だわ。

えーっと、確かこういう時は……そうだそうだ、チェンジで」

 

虞美人「う…ぐす…」

 

やべ、とうとう泣かしちまった

 

人形兵1「あー!虞美人さんを泣かしたー!」

 

人形兵2「悪いんだー!」

 

お前ら喋れんのかよ!?

 

咲夜「あー、その、なんだ…確かにあんた、綺麗だと思うぞ、うん」

 

虞美人「ほ、ほんと?」

 

虞美人は涙目で問いかける。この人、単純だなー

 

咲夜「あ、あぁ。なぁ人形ども!」

 

人形兵3「そうっすよー!虞美人さん、超可愛い!」

 

人形兵4「虞美人さんは世界一可愛い!」

 

人形兵s「可愛い!可愛い!可愛い!虞美人!虞美人!虞美人!」

 

ふぅ、とりあえずこれで虞美人の機嫌も…

 

虞美人「あぅあぅ…」プルプル

 

顔真っ赤かよ!なんだこいつ!超面倒くせェ!

なんでどう転んでも涙目なんだよ!精神面弱すぎにも程があるだろ!

 

咲夜「おいあんた、悪いがそこどいてくれないか?私はこれでも忙しい身なんでな」

 

さっさと祭壇壊して、あいつんとこに助太刀に行きたいとこだな

 

虞美人「だ、ダメです!ここを護るのが、私のお仕事ですから!」

 

咲夜「つっても、あんた戦闘とかできんのか?今なら大人しく…」

 

 

バシュッバシュッ!!

 

 

私が彼女に近付こうとすると、突如地面から槍が飛び出す。

私はこれに寸でのところで気付き、避ける事ができた。

もし、あのまま進んでいたら串刺しだったな

 

 

 

 

咲夜「……なかなか、怖い事するな」

 

私は虞美人を睨みつける。彼女は目を拭い、落ち着きを取り戻していく

 

虞美人「あれに気付きますか。初見ではだいたいの人があれで串刺しですのに」

 

咲夜「残念だったな。私はそういうのに敏感でな。

ちょっとした地面の違和感も、私は見抜く力がある」

 

虞美人「これは、私も本気を出さなければいけませんね」パシッパシッ

 

虞美人の両手から突然細剣が現れた。まるで、零士の魔術のように…

 

咲夜「ずいぶん珍しい技を使うな」

 

虞美人「不思議でしょう?私はこうして、いろいろな物を出すことが出来る。

そして私は、それらを使って罠を張るのが得意なんですよ。こういう風に…」

 

咲夜「!!」

 

 

ヒュンヒュンヒュン

 

 

今度は柱から無数の矢が飛んできた。チッ、面倒だ。一旦下がって…

 

 

カチッ

 

 

咲夜「カチ?って、うぉ!」

 

下がった所にあった奇妙な出っ張りを踏むと、もう少し後ろの地点で今度は剣山が現れた。

私はなんとか踏みとどまり、飛んで回避する

 

咲夜「え、えげつない真似するな。さっきまで恥ずかしがっていたのは演技か?」

 

虞美人「そ、そうですよ!あなたを油断させるためです!」

 

あれは素か。耳まで真っ赤じゃあ、説得力ないな

 

咲夜「まぁいい。あんたが意外とできる奴ってのがわかったんだ。こっちも遠慮はしない」

 

私は弓を構え、狙いを定める。女性をやるのは気が引けるが、仕方ない

 

 

ヒュンヒュン

 

 

私は連続で矢を放つ。秋蘭程ではないが、これくらいの連射なら、私にもできる

 

 

キキィン!

 

 

虞美人はこれを軽く弾く。

慣れてないとはいえ、割と真面目に射ったつもりだったんだが、

あぁも簡単に弾かれるとちょっと傷つくな

 

虞美人「ふふ、拠点防衛は私の専売特許。単身で落せる程、甘くはありませんよ」

 

 

ヒュンヒュンヒュン!

 

 

今度は鉄線が展開されたか。恐らく動きを制限する為のものだろう。

本当にいろいろと出てくるな

 

咲夜「だが鉄線ごとき、私にはなんてことない」

 

私は鉄線をナイフで切り刻む。すると…

 

 

ガァン!

 

 

タライが頭に直撃した

 

虞美人「ふふふ、その鉄線を切ると、タライが落ちてくるよう細工してあります!」

 

虞美人はドヤ顔で答えているが、一つ疑問がある

 

咲夜「なんでタライ?」

 

虞美人「精神攻撃の一つです。地味に痛いし、なんだかマヌケみたいですし」

 

バカだこいつ。こんだけ罠張れるのに、精神年齢が子どもだ…

 

咲夜「………もっかい泣かす!」

 

私は弓で罠がありそうな所を狙撃しながら前進する。罠は何かしらの引き金が必要だ。

それらを潰して行くと、落とし穴や剣山、槍に矢と、いろいろな物が飛び出した

 

咲夜「散々見たんだ。もう見切ったぜ」

 

私は弓を投げ捨て、事前に拾った剣を虞美人に投げつける。

そして間髪入れずにナイフを構え…

 

 

キィン! ガキィン!

 

 

投げ付けた剣を弾かれたかと思えば、私の攻撃も防がれた。こいつ…

 

咲夜「なんだあんた、接近戦は苦手かと思っていたが、やるじゃないか」

 

虞美人「項羽様について行くには、これくらいの力が無ければいけませんので!」

 

虞美人は両手の細剣を縦横無尽に振るってくる。マズイな、手数が違いすぎる。

かと言って、もう一本のナイフを取り出す暇は…

 

虞美人「ハァッ!」

 

 

ブシュッ

 

 

咲夜「ッ!!」

 

クソッ、腕にかすったか。舐めていたな。だが…

 

咲夜「フッ!」

 

私はなんとか立て直し、攻撃を弾きつつ、腹に蹴りを入れてやった。

虞美人は堪らず後退し、私も一旦距離をとった

 

 

 

 

咲夜「チッ…ちょっと油断したか…」

 

私は腕から流れる血を見ながら答える。

こいつの細剣、思った以上に厄介だ。速いし、軌道が読みづらい

 

虞美人「ふふふ…はぁ…はぁ…ど、どうですか?私は、つよ、強いんです!」

 

咲夜「………」

 

息上がってんじゃねぇか

 

咲夜「お前、罠張るために、魔力使い過ぎたんじゃないか?」

 

虞美人「ぎくっ…」

 

図星かよ

 

零士の魔術、想造の弱点、それは膨大な魔力を消費すること。

そして魔力を使い続けると、体力が思った以上に食われる。

ただ、あいつが特殊な点は、一度出してしまえば、それは独立したものとして捉えられ、

現出している間の魔力消費はゼロであるとの事。

あいつが任意で消すか、死なない限りなくならない

 

だがそれは、あくまで零士個人の能力。

他の魔術師にはできない芸当であり、物を出している間も、魔力は消費されるらしい。

そして目の前のこいつは…

 

虞美人「はぁ…はぁ…おぇ…」

 

残念な事に魔力を盛大に使ったらしく、足にキテいるようだった

 

咲夜「はぁ…大丈夫か、お前?」

 

虞美人「し、心配せずとも…あ、ちょっと待って…」パチンッ

 

虞美人さんが指を鳴らすと、先ほどまであった罠の数々が全て消えた

 

虞美人「ふぅ、これでちょっと回復。仕切り直しです!」

 

虞美人はキリッとした顔で答える。ただ顔面は汗まみれだった

 

咲夜「お前、なんでそんなに頑張るんだ?そんなに大陸を手中に収めたいのか?」

 

虞美人「ふっふっふ、聞いてくれますか?」

 

あぁもう、なんか一瞬で聴きたくなくなった…

 

虞美人「私、この戦いが終わったら、項羽様と結婚するんです!

女性同士ですが、項羽様は笑顔で了承してくれました。だから、負けられないんです!」

 

咲夜「あぁ…そう…」

 

心底興味ない…

 

虞美人「私は私の夢の為、あなたを倒します!」

 

咲夜「そうかい。なら私も…」

 

私はもう一本のナイフを取り出す。

一本は、今まで私が愛用し続けた、私の相棒と言ってもいいナイフ。

もう一本は、龍の素材で出来た不思議なナイフ。

両方を逆手に持ち、虞美人に対峙する

 

咲夜「家族の為に、お前を倒す。お食事処『晋』副店長、司馬懿仲達、行くぜ!」

 

私達は同時に動き出し、両手に持った武器を振るう

 

 

ガキィンガキィン!

 

 

激しい剣撃が鳴り響き、火花を散らつかせる

 

虞美人「ッ!?だんだん、押されていく!」

 

ようやく眼が慣れ、あいつの攻撃の軌道が視えてきた

 

咲夜「フンッ!」

 

だがあいつも強い。これだけ押してもまだ崩れない。

それだけ、虞美人は項羽を想っているということだろうか

 

咲夜「だが、想いの強さなら、負ける気はない!」

 

こいつが項羽を想うように、私は『晋』を、零士を愛している。

その想いは、砕けはしない!

 

咲夜「……ッ!!」

 

 

シュン!

 

 

咲夜「……虞美人、私の勝ちだ」

 

私は一気に押し返し、虞美人に一閃を決めた

 

 

ハラリ

 

 

虞美人「な!?」

 

私は虞美人の服を細切れにし、ひん剥いてやった。

武器破壊してしまうと、消えてしまうかもしれないからな

 

虞美人「キャーー!!あ、あなた!鬼ですか!?」

 

虞美人は自分が下着姿であることを認識すると、縮こまってしまった

 

咲夜「いやなに、せっかく蘇ったんだ。

もう少し居たいだろうと思って、せめてもの情けに武器は破壊しないでおいたんだが。

ダメだったか?」

 

虞美人「ならそのニヤニヤ顏はおかしいですよ!」

 

さて、さっさと祭壇壊して、零士のとこに行くか

 

 

 

 

恋サイド

 

 

 

 

 

 

「来たか…名を聞こう、赤毛の少女よ」

 

恋「呂布…奉先…」

 

並び立つは二人の女性。一人は赤い癖毛が印象的な、方天画戟を担いだ少女。

その彼女の後ろには、先ほどまで動いていた人形が、文字通り粉々にされていた

 

項羽「そうか…俺の名は項羽。西楚の覇王だ」

 

もう一人の女性は、長身でありながら細身で、整った顔立ち。

そして、彼女の両手には、その容姿には似合わない二振りの剣が握られていた

 

恋「……よろしく」

 

戦場には似合わない、なんとも軽い挨拶をした恋だが、その言葉と共に殺気を剥き出しにする。

その気に触発された項羽は満面の笑みを見せた

 

項羽「クックック、いいなお前!俺の前に立つに相応しい気だ!」

 

項羽は笑いながらも、恋と同じように殺気を剥き出しにした。

その気を感じた恋は直感する。こいつは、強いと

 

項羽「行くぞ呂布!お前の力を見せてみろ!」

 

恋「……こい」

 

 

両者、一斉に走り出し、武器を振るう。方天画戟と項羽の双剣がぶつかり合った

 

 

バァァン!

 

 

すると、彼らを中心とし、広範囲で衝撃波を生んだ。

その衝撃波は、先ほどまであった人形の残骸をことごとく消し飛ばした

 

だが、そんな衝撃波でも、彼らは止まらない。

項羽は右手の剣で方天画戟を抑えつつ、左手の剣で恋の横腹を狙う

 

 

ガキィン!

 

 

恋はこれに気付き、右手の剣を押し退け、最少の動きで防御を取る。

そして左手の剣をも弾き、今度は恋が力任せに武器を振り下ろした

 

 

ドゴーン!

 

 

その一撃は避けられるものの、地面を割り、大きく陥没させた

 

項羽は再び笑みを見せる。そして一旦下がり、助走を付けて恋に突撃した

 

 

項羽「ハァァ!」

 

 

ガキィン!!

 

 

双剣での、下からすくい上げるような一撃。

恋は防御するも耐え切れず、空に打ち上げられてしまう

 

項羽「そらそらそらそら!!」

 

項羽は攻撃の手を緩めない。空中に打ち上がった恋目掛けて、氣の斬撃を飛ばした

 

恋「!!」

 

 

ザシュッ

 

 

恋は咄嗟に氣の斬撃を打ち消す。

だが、その数の多さに対処できず、一つを直撃してしまった

 

それでも恋は怯まず、氣を溜め、空中状態から回転し、勢いを付け、

そして溜まった氣の塊を項羽に向けて放つ

 

項羽「素晴らしい!」

 

 

ドカーン!

 

 

項羽はあえて避ける事はせず、これを迎え討つ。

項羽が氣の塊を双剣で受け止めると、大爆発が発生した

 

恋「………強い」

 

恋は腕から流れ出る血を気にもせず、爆発し砂煙が舞うポイントを睨み続ける。

恋は確信していた。項羽はまだ立っていると。そしてそれは確証される。

項羽は双剣を使い、強引に砂煙を晴らした

 

項羽「フッ、お前もな。蘇って早々、本気の勝負が愉しめそうだ!」

 

項羽は恋目掛けて氣弾を飛ばしつつ突進する。

恋は氣弾を軽くいなし、目の前の敵に備える

 

 

ガキィン!!!

 

 

一撃必殺。まさにそう呼ぶに相応しい威力を項羽は繰り出す。

そしてその一撃必殺の攻撃が、二合、三合と続く

 

 

ガキィンガキィン!

 

 

恋「ウッ……」

 

恋は防御しているにも拘らず、痛みを覚える。

ガードを無視するほど、攻撃が重いのだ。項羽に決まった技はない。

だが、彼女の一撃一撃が、既に奥義の域に達しているのだ

 

恋「ふっ!!」

 

 

バキィン!!

 

 

だがそれは、項羽だけではない。

恋の攻撃もまた、一つ一つが奥義級の一撃必殺。

恋は隙を見て方天画戟を振るい、攻撃していく

 

項羽「クッ……」

 

項羽は上手く双剣で防御していくも、次第に崩れ始める。

そして項羽は堪らず後ろに下がり始める

 

項羽「ふん!」

 

 

ガキィン!

 

 

項羽は一度押し返し、後退する事に成功した

 

 

 

 

恋「こんなに強い奴は、零士以来…」

 

項羽「ほう!まだ強い奴がいるのか?それは会ってみたいな!」

 

恋「項羽も、きっと気に入る。零士はご飯も、美味しい」

 

項羽「はっはっは!そうかそうか!

それは是非とも闘って、その零士とやらの飯を食らってみたいものだ!」

 

恋は思う。どうして、こんな良い人そうな人が、大陸を奪う戦に関わっているのだろうかと

 

恋「項羽は、なんで闘う?」

 

項羽「ん?俺の闘う理由か?」

 

恋「ん。項羽は良い人。だから、わからない」

 

項羽「……俺は、お前が思う程良い奴ではないさ。

部下を信じきれず、愛する者すら守れなかったのだからな」

 

恋「……」

 

項羽「王とは、部下を、仲間を信じ、そして守ってやる立場の者だ。

全てを受け入れてこその覇王。だから俺は負けたのだ。受け入れられなかったからな」

 

恋「……そう」

 

恋は項羽の言っている事を全て理解はできなかった。

だが、恋は一つだけ気付く。項羽の、悲しそうな瞳に。

この人は後悔している。仲間を守れなかった事を悔いている。そう思えた

 

項羽「俺が闘う理由、それは蘇った皆を信じ、守り、生きていく為だ。

その為に、俺は張譲なんていう怪しい奴に与している。

これも全て、俺の仲間を守る為の闘いなのだと言い聞かせてな」

 

恋「……そう」

 

項羽「呂布よ、お前はなぜ闘う?お前のその戟は、何のためにある?」

 

恋「恋の役目は、『晋』を、お家を、家族を守ること。だから恋は闘う」

 

項羽は思わず微笑んだ。

短い回答ではあるものの、その言葉には想いが、瞳には確固たる意志が見て取れたからだ

 

項羽「まことに、良き将だ。もう少し早く会えていればな」

 

恋「今からでも、遅くはない」

 

項羽「ふっ、はっはっは!!既に死んでしまった身だが、確かにそう思ってしまうな!

だが呂布よ、我々は今だ敵同士なのだ。なんらかの決着をつけなければならない。

お前にもお前の守るべき者がいるように、俺にも守るべき者がいるのだ。

お互い、引き下がれぬのさ。だらか呂布よ、全力で来い!!

全力でやりあい、自らの意志を貫くのだ!!」

 

恋「………わかった」

 

項羽と恋はお互い笑みを漏らしながら武器を構え、氣を発し、突撃していく

 

 

ガキィンガキィンガキィン

 

 

それはまさに、ノーガードの殴り合いのようなものだった。

お互いがお互い、防御を忘れたかのように攻撃しあっている。

そこに一切の手加減はなく、一撃一撃が全力で殺しにかかっている

 

 

ドーンドーンドーン

 

 

激しい剣撃は何度も響きわたり、その一つ一つが地を割り、空すらも割り、

次第に足場を無くし、空中での切り合いに発展していく

 

項羽「呂布よ!!お前との勝負は心躍るな!!」

 

恋「恋も、項羽は、楽しい」

 

お互い、傷だらけになりながらも、倒れることはなかった。

彼女らの武人としての矜持が、想いが、彼女らを奮い立たせていたからだ

 

だがやがて限界が見え始め、ふらふらになってしまう。

もうあまり余力は残されていない。

感じ取った両者は、最後の一撃を仕掛ける為に力を込める

 

項羽「呂布――!!!」

 

恋「項羽!!」

 

 

ズバァン!

 

 

最後の一撃は、両者ともども受け、そして倒れた

 

 

 

先ほどまで爆撃を受けていたかのような地鳴りがなくなり、辺りは静寂に包まれる

 

 

 

その中で聞こえるのは、二人の息遣い

 

 

 

そして微かな笑い声

 

 

 

項羽「ふふ、呂布よ。なかなかに、良き闘争だったぞ」

 

 

 

恋「…また、闘おう」

 

 

 

立ち上がったのは恋

 

 

 

そして恋は、倒れている項羽に手を差し伸べた

 

 

 

 


 
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