両手に溜めた水が、ゆっくりと零れ落ちてゆく。
確実に掴んでいたはずなのに、今は最初の半分しかない。
――――――そして――――――
手のひらにわずかな滴だけを残し、全てが零れ落ちてしまった。
「一刀……」
そう呟いて立ち上がろうとした華琳の掌に、一枚の羽が乗る。
まるで先ほどまであった水と引き換えるように現れた真っ白な羽。
華琳はそれを手に取り、夜空へとかざしてみた。
月光を浴びた羽が輝きを放つ。
「……ありがとう、一刀。そして…………。……いいえ、また会いましょう、一刀」
華琳の掌で付着した水滴が、さらに羽を輝かせた。【了】
Tweet |
|
|
42
|
1
|
追加するフォルダを選択
一話完結です。
設定としては、魏ルートの最後。
華琳さまが泣き止んだ直後となっております。
続きを表示