総統地下壕からベルリン郊外へと向かった一行は、地下トンネルから進んでいた。
たまに砲弾が着弾したのか、空襲でも行われているのか、地面が震動し、瓦礫の粉が降ってくる。
「わぁぁ!」
「空襲か・・・?」
「空襲が始まれば、俺達は下敷きだ」
震動に怯むみほ達を見ながらボリスはそう思ったが、カールが言うと、全員が黙り込んだ。
通路を進んでいくと、脇に兵士や避難民の亡骸が彼等の目に入った。
ゾンビ映画なら避難民もゾンビになって襲い掛かってくるところだが、生憎と噛まれてもゾンビにはならないため、腹から内臓を抜かれたり、頭、腕、脚が引き千切られた死体が大量に転がっていた。
この光景になれないみほ達は、また吐いてしまった。
「慣れないだろうな・・・俺が任務で潜入した場所ではこれより酷い光景が広がっていたぞ」
カールはこの光景には慣れているらしく、今広がっている光景より酷い物を見たと言う。
そんな話を聞きながら道行きに行くと、ゾンビの呻り声が彼等の耳に入った。
「そろそろだな・・・銃を手放すなよ・・・!」
MP40を握りながらハーマンが言うと、一同が銃を持って辺りを警戒しながら進んだ。
「何かありそうな・・・?」
左手の部屋に何かあるかと思ったみほは、早速そこへと向かう。
部屋に足を踏み入れた瞬間、物凄い音と共に縛り付けられている男が火あぶりにされている光景が見えた。
呆然とするみほであったが、数秒後には男は消え、元の部屋へと戻る。
「一体何が起きてんの・・・!?」
後で部屋に入った沙織が見えると言うことは、この幻覚が全員に見えると言うことだ。
そんな不安を感じながら、次へ進むと、階段が見えた。
先が霧で見えないくらい包まれており、そこからゾンビが続々と姿を現す。
「やはり来るか・・・全部殺すまで撃ち続けろ!」
「言われなくとも!」
手榴弾の安全ピンを抜きながら、カールは一同に命じた。
インニェヤルドがリーエンフィールドNo4の
彼女が引き金を引けば榴弾は階段を下ってくるゾンビの集団に命中し、複数のゾンビの手足や胴体を抉り取る。
小火器などを持つ者達による一斉射撃も行われ、わずか一分で霧から沸いて出て来たゾンビは全滅した。
霧が晴れると先が見えた為、カールが無言で手を翳すと、一行はその後へと続いた。
やはりそこにもゾンビが居り、上階からゾンビが降りてきて、一行を見るなり襲ってくる。
「まだ、出て来るか・・・」
麻子がMP40を構えながら言うと、一同は襲ってきたゾンビを全滅させ、近くにあった弾薬箱で補給した。
出入り口もある為、先にみほ達が外に出た。
「空に爆発が見えるけど・・・」
「このような状態で、まだ高射砲塔が機能しているのですかね・・・?」
「戦争している場合じゃないかと思いますが・・・」
破壊され尽くした街の上空で、所々起きる対空放火の爆発(近接信管による爆発)を見ながら、沙織が第一声を放てば、続いて優花里が言い、華が最後に最もしいことを言った。
その直後、爆発が起こり、外に出ていた一同が驚いて転んだ。
「な、なんだぁ・・・!?」
「あ、あれは・・・!」
尻餅をついた麻子が言うと、みほは燃え盛る炎から出て来るフライデーモンと、多数のゾンビを見た。
「全員迎撃態勢だ!まずはあのデカイのから仕留めろ!」
即座にカールが、一同に迎撃態勢を取るよう指示する。
まずはフライデーモンを優先的に仕留める事にし、狙撃銃を持つ者達が、弱点である頭部を撃ち始める。
数十発以上の弾丸を頭部に受けたフライデーモンは、被っていたデカール付きのヘルメットが飛び、力尽きて爆発した。
残りのゾンビや全身大火傷のゾンビは、飛んでくる銃弾や手榴弾の前に次々と倒れるか吹き飛ばされていく。
復活するゾンビも居たが、そのまた何発も受け、死体に戻された。
全員の倒した分を合わせて百体以上倒すと、燃え盛っていた炎は止み、前へと進めるようになった。
「あそこにセーフハウスが・・・!」
セーフハウスをまず始めに見付けたカミーユは、先行して前に進んだ。
走れば直ぐの距離に近付いた瞬間、ドアが突然開き、そこから自爆ゾンビが飛び出してきた。
「自爆ゾンビ!」
先行した彼女は直ぐさまステンMkⅤを乱射し、自爆ゾンビを撃ち倒した、
撃たれた自爆ゾンビは爆発し、咄嗟にカミーユは左腕で自分の顔を覆う。
「痛ぁ・・・!」
左腕に破片が幾つか突き刺さり、傷口から溢れんばかりの血が流れ出していた。
「だ、大丈夫か!?」
クレマンは直ぐにカミーユの元へ向かい、包帯を取り出し、彼女の左腕を見た。
みほ達も直ぐに駆け寄る。
「大丈夫よ・・・これくらい」
「出血が酷いぞ・・・」
「包帯を巻けば大丈夫よ」
麻子からの声に、カミーユは破片を強引に抜きながら答えた。
包帯を巻いて簡単な応急処置を行い、一行の後へと進む。
セーフハウスと思った場所には、一応弾薬は置かれていたが、気休め程度しか無かった。
そこを出ると、何体かのゾンビが狂気を振り回しながら向かってきたが、先行したマルゴットに全部倒された。
ゾンビが居る場所を目印として進むと、本物のセーフハウスが左手に見えた。
「あれが本物だな・・・」
インニェヤルドはセーフハウスを見付けて口にするが、ゾンビがまだ居るのでFNハイパワーを抜き、襲ってくるゾンビの頭を正確に撃ち抜く。
その拳銃さばきを見て、優花里は見取れてしまうが、額を掠った銃弾で、現実に戻される。
「この馬鹿!上に狙撃ゾンビが居るんだぞ!」
「あ、あぁ・・・済みません!」
浩二郎に、屋内へ引き摺り込まれた優花里は謝った。
セーフハウスの上にある窓からスナイパーゾンビが、銃口を出し、目に映る一行を狙撃している。
複数居る場合があるのか、マリがパンツァーシュレックをスナイパーゾンビに向けて放つ。
「うわぁ!気を付けろ!」
「ゴメン」
無反動砲後方から熱風を帯びた衝撃が当たったカールはマリを叱ったが、彼女は振り向いて一言だけで謝る。
発射されたロケット弾は窓に命中して壁が崩れ、下にいたゾンビが下敷きになって死んだ。
ロケット弾を受けたスナイパーゾンビは吹き飛び、何処か一向に見えない場所に突き刺さった。
地面に叩き付けられた狙撃スコープ付きGew43は、バラバラになって散らばる。
これ以上、的が出ないことを確認すると、一行はセーフハウスへと入った。
セーフハウスに入るなり、いつものようにラジオから声が聞こえてくる。
『この一帯は荒廃していて乗り物も通れない。ターミナルに行ってみる。唯一の手段だ。建物が崩壊し掛かっている。爆撃より酷いな、何があったんだ?』
どうやらターミナルに脱出手段があると見込んでのようだ。
所々あるセーフハウスのラジオの同じく、言いたいことを伝えたら切った。
取り敢えず聞いていた一同は、弾薬補充と休息を済ませ、危険な場所へと戻った。
出た先は屋敷の中であり、まだ電気は生きているようだったが、明かりの付いた部屋から三体程のゾンビが出て来たが、ホレイシオのM1918A2 BARの連続射撃で全滅する。
ゾンビが出て来る場所を目印として進み、階段を上がると、二階からの上階が吹き飛ばされた建物に出た。
まだ残っている階段から二体くらいのゾンビが下りてきたが、ホレイシオに倒される。
そこは建物全体が見回せる格好の位置であり、カールはホレイシオに援護射撃をするように命じた。
「お前はそこから援護だ。俺達はここを進むぞ」
M1トンプソンを持つカールは、ホレイシオを除いた者達に、このまま進むと伝える。
残った上階からの援護射撃でゾンビはある程度減って、楽に突破できた。
ホレイシオを待って、進む先を見てみると、周りに砲弾やジェリカンが置かれたティーガー重戦車が目に入った。
「あっ、ティーガー!」
みほ達は早速乗ろうと向かうが、ルリが放った一発の銃弾が、重戦車の周りに置かれたジェリカンに命中し、周りに置かれてあったジェリカンや爆薬に誘爆してティーガーは、周りのゾンビを巻き込み、吹き飛んだ。
「・・・ごめんなさい」
撃った本人が謝る中、砲身は空中高く飛び、たまたまそこに居たゾンビが下敷きになる。
「あの戦車は恐らく罠だったんだろうな・・・」
多くのゾンビを巻き込むために仕掛けた罠だろうとカールは推測し、ホレイシオが合流したのを見計らって先へと進んだ。
墜落したB-17の残骸近くまで着くと、地中から這い出た大勢のゾンビが彼等を歓迎するが、機関銃などの類で薙ぎ倒される。
近くで突き刺さっていたV2ロケットを見たカールは、これまで無用な物かと思われた時限爆弾を仕掛けた。
「大体2~3分って所だな。全員、この場から離れて・・・」
時限爆弾を仕掛けたカールが伝え終える前に、ゾンビが大挙して襲ってきた。
「爆発まで生き残れ!」
カールはスプリングフィールドM1903A4に持ち替えて、叫んだ。
霧の中から続々と襲ってくるゾンビに、一同は銃で反撃に出る。
数体ほど排除すると、複数の自爆ゾンビが霧の中から出て来た。
「あいつを仕留めろ!」
ボリスは直ぐに自爆ゾンビの始末を優先した。
的確にゾンビを倒していくが、思わぬ場所から自爆ゾンビが出て来る。
「あんな場所から!?」
それに気付いたカミーユは、直ぐに短機関銃を複数の自爆ゾンビに向けて撃った。
全て爆風で仕留めることができたが、飛んできた破片が腹に突き刺さり、倒れ込んだ。
「うっ!?」
「カミーユ!」
心配したクレマンが向かおうとしたが、迫り来るゾンビの猛攻で手が離せず、向かえない。
魔法が使えるリンダやマルゴットが向かおうとしたが、こちらも手一杯だった。
ある程度片付けたのを確認したみほ達が、カミーユの治療に向かう。
「大丈夫ですか!?」
「しっかりしてください!」
腹に刺さっていた破片を抜いて、呼び掛けながら止血を試みたが、血は止まらなかった。
刻々と彼女の顔が青ざめていく中、戦闘が終了し、V2ロケットに仕掛けてあった時限爆弾が爆発した。
リンダとマルゴットが治療魔法で傷口を塞ごうとするが、出血量が酷すぎ、カールに離されてしまう。
「彼女はもう駄目だ・・・出血量が酷すぎる・・・!」
「なっ、どうしてだよ!?」
「彼女の顔を見ろ。もう駄目だ」
カールに噛み付くクレマンであったが、ゲールドの言葉に耳を傾け、カミーユの顔を見た。
「私・・・もう・・・駄目みたい・・・取り敢えず
それがカミーユの最後の言葉だった。
また一人死んだ為、みほ達はやや不安を覚えたが、コルネリウスの言葉を思い出して、死んでいないと思う。
彼女の死体を丁重に埋葬した後、爆発で出来た穴に、一行は入った。
入った先は地下鉄らしく、進む先に火事に見舞われているホームが見える。
ホームにルリが辿り着いた瞬間、ゾンビが彼等を襲う。
「クソッタレめっ!」
相当クレマンには、カミーユの死はショックであったのか、ホームにいるゾンビを撃ち殺したり殴り殺したりする。
そんな彼を見ていたみほ達は、また不安を抱いたが、クレマンの御陰でホームは突破できた。
霧が塞いでいた場所に向かうと、線路には複数の無惨な死体があり、行き先を塞ぐ貨車には大量の死体が載せられていた。
余り見るべき物ではないと判断し、線路の横に開いてあった大きな穴の方へ向かった。
数秒後には外へと出られた。
線路と貨物列車があると察するに、ラジオの声の主が言っていたターミナルが近いと言うことだ。
「近付いたな・・・」
そう悟ったカールと一同は、その場にいたゾンビを全滅させ、セーフハウスの壁から這い出てきたガイコツを余裕で倒し、中へと入った。
セーフハウスの中は、生存者達が居たとされており、食料に物資、それに武器弾薬と寝床もあった。
いつもの通り、置かれているラジオから声が聞こえてくる。
『ここから高射砲塔まで線路に障害物が無いと良いいのだが。なぜ高射砲塔を首都からあんなに離れた場所に建てたのか分からない。何かドイツの大切な物を守っているに違いない・・・何をだ?』
最後のサガルマータの異物がある高射砲塔を示しているようだ。
弾薬補充と休憩を終えた一行は外に出た。
通路を抜けると、線路に脱線した貨物列車がある場所へと出る。
敵影は一体も確認できない為、みほは管制塔まで上がって、警報装置に手を触れた。
装置を作動させてしまったのか、警報はけたたましく鳴り響き、多数のゾンビが管制塔に向かってきた。
ハーマンがMG42に即座に付き、向かってくるゾンビの迎撃に当たる。
他の者達も、持っている銃で迎撃に参加する。
「自爆ゾンビ!」
マルゴットの知らせにみほ達は、突っ込んでくる自爆ゾンビに集中砲火を浴びせる。
暫し管制塔に立て籠もってゾンビを迎撃していると、敵は全滅した。
管制塔から降りて、赤いランプが光り左手に入り、先へと進む。
車庫まで近付くと、石炭の山からゾンビが這い出てきた。
頭を撃つなり殴るなりして、ゾンビを排除すると、車庫の中へと入る。
入るやいなや、スナイパーゾンビが待ち構えていたが、一斉射撃で直ぐに倒される。
スナイパーゾンビが倒された瞬間、ゾンビが彼等に襲い掛かる。
ゾンビを倒しつつ進んでいくと、複数の自爆ゾンビが突っ込んできた。
向かってくる全ての敵を排除すると、崩れた壁から出て、セーフハウスへのマークを見付け、矢印に沿って進む。
操車場に着いた途端、複数のスナイパーゾンビがこちらを狙撃してきたが、狙撃銃を持つ者達は手慣れた手付きであっと言う間に全滅させた。
セーフハウスへ向かおうとすると、連続した機関銃の銃声が聞こえた。
「機関銃持ち!」
先行していたインニェヤルドがマシンガンゾンビを目にして、直ぐに知らせ、他の者達に下がるよう急かす。
マシンガンゾンビの数は二体であり、狙撃銃を持つものは遮蔽物に銃身を置き、機関銃を持つ巨体なゾンビの頭部に向けて一斉射撃を始めた。
狙撃銃を持たない者達も、援護射撃を始める。
一体目が狙撃銃で頭を吹き飛ばされて倒れると、残りの一体は、脳髄を吹き飛ばされて死んだ。
周囲の安全が確認と、言うわけでも無いが、一行はセーフハウスへと直行した。
今度のセーフハウスはかなり整理されて、並々の生活感があったが、拳銃自殺を図って倒れている死体を見て、気分が削がれる。
隣のタンスの上に置いてあるラジオから、拳銃自殺した人物と思われる最後の声が聞こえてくる。
『私はここから一歩も出ないぞ!この安全な場所で助けを待つことにしよう。
「等に総統はこの世にいないと思うが・・・」
ラジオからの声に、ボニファーツが口にする。
弾薬補充を終えると、一行は次の扉を開けて次へと進む。
道中にゾンビの襲撃があったが、数も少なかったので、割と早く突破できた。
爆撃なのでありとあらゆる場所が破壊されている為、地下から向かうことにした。
「祭壇の上に死体が置かれている・・・」
カールは祭壇の上に死体が置かれている事に気付き、周囲を警戒する。
出口も門で塞がれ、左右の壁に白骨化した死体が張り付いている。
みほはガイコツ辺りが出ると、察した。
「これ・・・ガイコツが・・・」
「出て来ますね・・・」
優花里もみほの考えに同感だった。
ナターリヤが出口に近付くと、祭壇から魔法陣が浮かび上がり、周囲の壁からガイコツや、鎧を身に着けたガイコツが出て来た。
「うわぁ・・・いっぱい来た!」
沙織が叫ぶと、一同は弱点である心臓を撃ち始めた。
物の数分で、襲ってきたガイコツは全滅したが、第二波が直ぐに壁から出て来る。
「何人の遺骨を流用したことなんでしょう?」
「それは関係ないと思う・・・」
華は出て来るガイコツの数を見ながら口にすると、麻子が彼女にツッコミを入れる。
銃が撃つのが下手だった者達も、この頃には段々と当てられるようになったので、ガイコツの殲滅が迅速に進んだ。
ガイコツが全滅すると、門が独りで開いた。
先にホレイシオが外に出る。
これが、最後に生きたホレイシオの最後の姿とは一行は思いもしなかった。
銃声が響いた後、ホレイシオは糸が切れた人形のように地面に倒れた。
「どうした!?」
倒れたホレイシオに、ゲールドと浩二郎が彼の近くまで寄り添ったが、彼の額に穴が開いていることに気付き、即死と判断しかねなかった。
「死んだか・・・」
額に穴の開いたホレイシオを見たカールはそう口にした。
「ま、また死者が・・・」
また再起不能者が出たことで、みほ達は少し動揺したが、無理矢理コルネリウスの言葉を思い浮かべて完全に死んでいないことを強調する。
直ぐさま狙撃銃を持つ者達が、ホレイシオを狙撃した複数のスナイパーゾンビの排除を行うが、彼等をゾンビが邪魔をしようと、近付いてくる。
それらを排除するのはみほ達だ。
彼女達は直ぐに持っている銃で、頭部に狙いを付け、引き金を引いた。
スナイパーゾンビが全滅する頃には、ゾンビは残り少数となった。
最後の一体が、頭を吹き飛ばされて地面に倒れると、一行は破壊され尽くしたターミナルへと向かう。
「ここも随分と酷い有様だ・・・」
線路を破壊されて脱線した貨物車や、燃え盛るターミナルを見て、カールはそう呟くと、串刺しにされた死体が飾り付けられている歩道橋まで上がった。
歩道橋はまるで何かの襲撃に備えているかのように、弾薬や機関銃が置かれ、おまけに真ん中には、パンツァーファウストが何本か立て掛けられている。
「絶対に来るな・・・」
ハーマンがそう言えば、言ったとおり、歩道橋の両階段が突然燃え上がり、下の線路から続々とゾンビが這い出てきた。
「ゾンビを全滅させるまで、持ち堪えろ!」
ゾンビの集団に向けてバズーカを一発撃ったボリスが、歩道橋の上にいる全員に告げた。
「全滅させるまでって・・・やだもー!」
文句を言いながら、沙織は置かれているMG42を手に取り、階段に向かってくるゾンビの集団に向けて掃射し始める。
一定数のゾンビを倒していくと、自爆ゾンビが突っ込んできたが、直ぐに気付いたみほに撃ち倒された。
それと同時に、フライデーモンが二体も出て来る。
炎を拡散させ、周りに居たゾンビを炎上ゾンビに変えて強化する。
「早いのが来ます!」
華からの知らせに、直ぐにみほ達は全速力で突っ込んでくる炎上ゾンビの迎撃に当たった。
もう片方のフライデーモンは、直ぐにカール達によって排除されたようだ。
ルリはパンツァーファウストを使ってフライデーモンを倒した。
また自爆ゾンビが突っ込んで来るも、あっさりと銃撃の前に倒れ、周りのゾンビの排除に活用される。
「でっかいのが四体も来たぞ・・・」
九九式短小銃を構えていた麻子は、こちらに向けて機関銃を乱射してくる四体のマシンガンゾンビの存在を知らせた。
最後の終いだと思ったカールは、全員にパンツァーファウストで攻撃するよう指示する。
「これで終いだろう!パンツァーファウストや爆発物を食らわせてやれ!」
言われなくもと言わんばかりに一行はパンツァーファウストやバズーカ、パンツァーシュレックをマシンガンゾンビに向けて撃ち始めた。
複数の爆発物を受けたマシンガンゾンビは、上半身が吹き飛んだり、吹っ飛ばされたりして全滅した。
全滅した途端、階段で燃え盛っていた炎が消えた。
終いだと言ったが、警戒して、一応は弾薬補充してから、次へと進む。
案の定、警戒したとおり、何体かゾンビが地中から這い出て襲ってきた。
「これで最後だと思う」
マルゴットはkar98kを構えながら口にし、狙いを付けたゾンビの頭を吹き飛ばした。
襲ってきたゾンビはあっさりと全滅し、一行は中型機関車とドイツ軍最大の重戦車であるティーガーⅡの目の前に着いた。
一応、扱い方を知っているみほ達は、ティーガーⅡに集まる。
「どうやらこれに乗って行くみたいだな・・・」
機関室の中身を見たカールはそう呟き、乗り込んだ。
一方のみほ達は、ティーガーのエンジンを二回ほどのミスを得て、起動させることに成功した。
「やった・・・」
クランチを持っていたみほは、ようやく動いたのでホッとする。
「エンジンが大丈夫だと良いんですが・・・」
砲塔後部ハッチから車内に入り込む優花里は、今乗ろうとしている戦車の欠点を言う。
みほ達全員がティーガーⅡに乗り込むと、以上はないかの点検を行う。
「照準器、機銃、異常なし」
「無線機、前方機銃、異常なし」
「エンジン、燃料、異常なし」
「砲弾排出装置、異常なし」
「まるで新品みたい・・・誰かが用意してくれたような・・・?」
各部点検をした沙織達の報告に、戦車長であるみほは、誰かが用意してくれたようなと思う。
「よし、準備は整ったな?行くぞ!」
機関車に乗るカールからの声に、ボニファーツは親指を上げて答えた。
ちなみに機関車に乗っているのは、カール、ゲールド、ボリス、ハーマン。
ティーガーⅡに乗るのはボニファーツ、ナターリヤ、インニェヤルド、クレマン、浩二郎、玖美子、キース、奈子、リンダ、マルゴット、マリ、ルリだ。
事実、ドイツ戦車は二個分隊ほどの兵士を移動の最中に乗せていた実績がある。
機関車に乗っているカール達は、何かうらやましそうにしっていたが、今はこんな状況なので、気にしている暇はない。
一行は最後のサガルマータの遺物がある、ベルリンから離れた距離にある高射砲塔まで向かった。
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カミーユ「俺の身体を、みんなに貸すぞっ!」