ブランデンブルク門に辿り着いた一行は、そこから見えるベルリンの惨状に目を奪われた。
「前より酷くなってませんか・・・?」
「うん、そんな感じがする・・・」
砲塔右舷ハッチを開けて、優花里が言えば、キューボラから上半身を出して、双眼鏡でベルリンの様子を窺うみほが答えた。
前方にあるブランデンブルク広場には、生存者達が積み上げた武器や弾薬に、石床にあちらこちらで見られる血が描かれた魔法陣がある。
魔法陣には頭に灯が灯った蝋燭が置かれ、額にハーケンクロイツが描かれた頭蓋骨が置かれていた。
他にも上半身が無い下半身だけの死体や、頭、喰い殺されてそのままの死体が多数あった。
余りにもおぞましい光景を見ていたみほ達は、それを声に出した。
「ゆかりんの言うとおり、前より酷くなってるよ・・・」
無線手席から顔を出す沙織が言えば、砲塔左舷ハッチから上半身を出す華も口に出す。
「あの方が仰有るとおり、おぞましくなっております・・・」
「早いとこ、決着を付けないとな・・・」
最後に麻子が言うと、カールが先陣を切って前に進んだ。
「よし、行くぞ」
カールに続くように一同が向かっていった後、みほ達のⅢ号戦車N型もそれに続いた。
無論、一行を出迎えたのはゾンビであった。
的確に頭部を撃ち、爆発物で排除していく。
向かってきたゾンビを物の数分で片付けると、また二手に分かれて前進した。
みほ等に続くのはクレマン、カミーユ、浩二郎、玖美子、マリ、ルリで、地下道から行くのは残りの14名だ。
何故、狭い通路に向かうのかは、参事の前にソ連赤軍の歩兵による人海戦術対策に埋められたとされている対人地雷に警戒しているからである。
当然の如く、みほ達に続く6名は車体の上に乗っていた。
ゾンビが踏んでくれていると嬉しいのだが、この辺に彷徨いているゾンビは見当たらない。
「一体も出てこない・・・このまま出てこなければ良いけど・・・」
キューボラから上半身を出すみほが、荒れ果てた第三帝国の帝都を見ながら呟いた。
武器弾薬が積み上げられている場所にある地下の出入り口まで到着すると、丁度カール達が出て来た。
その瞬間、石床に描かれていた魔法陣が光り出し、倒れていた死体が起き上がり、一行に襲い掛かって来る。
「前より禍々しくなってる!」
リンダが向かってくるゾンビを見ながら、感じ取った感覚のことを言う。
ゾンビと戦っている最中に、複数の魔法陣が浮かび上がり、そこからガイコツが召還された。
敵の増援に、一行は少し戦いづらかったが、なんとか軽い掠り傷程度で撃破できた。
治療する間もなく、先へと進む。
ゾンビやガイコツとの連戦が続くが、みほ達のⅢ号戦車を前に出して進んでいく。
弾薬箱が積み上げられた裏側まで行くと、目の前にガソリンと火薬箱が積み上げられた場所まで付いた到着する。
「なんでこんなに積み上げているんだ?」
先行したボニファーツが口を開くと、向かい側のドアが爆発し、そこからマシンガンゾンビと大多数のゾンビが出て来る。
これを見たカールは、車体に上がり、キューボラを叩いてみほを呼び出す。
「なんでしょう?」
「大多数のゾンビが目の前の火薬庫に近付くまで撃つな。弾を節約する。機関銃を持っているのは狙撃銃で倒す。ゾンビが火薬庫に集まったら、榴弾を撃て」
火薬庫を指差しながら伝えるカールの指示に、みほは頷いて、車内に戻り、全員にカールが伝えた事を伝えた。
「皆さん、ゾンビが火薬庫の周りに集まるまで待ってください」
「え、集まっちゃうとやばいよ?」
沙織が聞いてくると、みほは直ぐに返答する。
「フェアバーンさんが目の前の火薬庫に榴弾を撃てって」
「あぁ、あれですね」
照準器を覗く華が火薬庫を見て分かった。
マシンガンゾンビが頭部に銃弾を数発ほど撃たれて倒れると、火薬庫の周りにゾンビが集まってきた。
「今です!」
その機を逃すことなく、みほは砲撃を命じた。
榴弾が火薬庫に目掛けて発射され、それが火薬庫に命中すると、中に詰まっていた火薬と共に大爆発を起こす。
思ったより爆発が凄かった為、徒歩組が一斉に戦車の後ろへ隠れた。
車内でも爆発の衝撃が少し感じられる。
「凄い衝撃ですね・・・」
「近くでやる物じゃないな・・・」
砲弾を抱えていた優花里が伝わる震動の事を言うと、麻子は車体に落ちてくるゾンビの肉片が当たる衝撃を感じながら口にする。
暫し、爆発に呑まれてバラバラになって、降ってくるゾンビの肉片の雨が止むまで待つと、先へと進んだ。
徒歩組がセーフハウスへと入っていく中、みほ等は壊せそうな壁に突っ込んで、強引に先に進む。
進んだ先は、トラックと、MG42機関銃が4つの土嚢に一挺ずつ配置された場所だった。
どうやらここで自殺覚悟のドイツ軍の守備隊が、敵を迎え撃つために配置したらしい。
セーフハウスから徒歩組が出て来ると、進む先が突如爆発し、炎が行く手を遮った。
燃え盛る炎から多数のゾンビが出て来た。
ゾンビの中に、ハーケンクロイツのデカールを付けたヘルメットを被り、しっかりした歩き方をする大きなゾンビが現れた。
「出て来たな・・・」
「見たこともない奴が居るぞ」
ハーマンが言えば、大きなゾンビを見たカールが口を開いた。
「まずはあの赤いのから・・・」
キューボラから大きなゾンビを見たみほは、まずそれから仕留めようとしたが、その大きなゾンビことフライデーモンが力を溜め、炎を周りに拡散させた。
放った炎に当たったゾンビは全身が燃え上がり、持っている凶器を振り回しながら一行に突っ込んできた。
魔法が存在する世界の出身者からすれば、どうやら魔法で強化されているらしい。
「うわぁ!燃えながら突っ込んできた!?」
走りながら突っ込んでくるゾンビを見て、沙織は慌てながら機関銃を撃った。
何体かは倒せた物の、8体以上が戦車に取り付き、手に持った凶器で車体を叩き始めた。
車内にいる麻子が、中に聞こえてくる音に震え始める。
「ヒッ・・・!な、慣れ始めた所なのに・・・!」
「機関銃で追い払いますか?」
MP28を持った優花里がみほに聞いたが、当の本人は首を横に振って却下する。
「今出て行ったら多分、引っ張り出されちゃうと思います。沙織さん、出来るだけ倒してください」
「わ、分かった・・・!」
「華さんも機銃で出来るだけ」
「はい!」
みほは沙織と華に指示を出し、出来るだけ向かってくるゾンビの排除に従事させた。
徒歩組は置かれているMG42を使い、燃え上がりながらⅢ号戦車を攻撃するゾンビの排除を行う。
フライデーモンの方はカールを含む狙撃銃を持つ者達は頭部を集中的に狙い、なんとか倒した。
倒れると、フライデーモンは爆発する。
「こいつも爆発するか・・・」
再装填を行うカールは爆発するフライデーモンを見て、口にした。
致死量に匹敵するほどの大火傷を負ったゾンビを排除していくと、左手の建物の出入り口から、ドアを破ってゾンビが出て来た。
出て来たゾンビを排除すると、急襲してきたゾンビは既に全滅していた。
周囲からゾンビが出てこないと分かれば、一行は先へと進む。
徒歩組は通れそうも無いのか、建物に入って向かうことにして、みほ達はそのまま先へと向かった。
瓦礫の山を上がりながら進むと、そこはT-34/85中戦車とIS-2重戦車の残骸が目の前にあり、地下鉄の出入り口がある爆撃か砲撃で出来た広場だ。
地下鉄の出入り口前にはソ連赤軍が設営したと思われるテントが一つある。
暫し銃声が隣の建物から聞こえてきた後、カール達がみほ等から見て、左手から出て来た。
キューボラから上半身を出したみほは、車体が血で赤く染まっている事に気付く。
「うわぁ・・・凄いことになってる・・・」
車体の上には人間の腐った手足や指、耳が乗っており、さらに内臓まで乗っていた。
少し吐き気を抑えるみほであったが、次なるゾンビの襲撃が来る。
「敵、向かう先の霧の中から出て来ます!」
「迎撃態勢!」
華の知らせにみほは迎撃態勢を取るよう直ぐに指示を出す。
自分らの戦車の前から鎧のような物を付けたガイコツが6体も向かってきたが、二丁の機銃で心臓を撃たれて倒されていく。
カール達もゾンビの排除を行い始めた。
順調にゾンビやガイコツを排除していけば、自爆ゾンビが霧の中から出て来た。
だが、あっさりとマリに排除され、周りにいるゾンビの排除に役立てられる。
数分後、襲撃を掛けたゾンビは壊滅した。
霧が晴れればセーフハウスが見えた為、徒歩組はセーフハウスへと向かって行った。
「向こうのセーフハウスの前まで止めてください」
「分かった」
流石に連戦であたった為か、みほは休憩を取るべく麻子にセーフハウスの目の前に止まるよう指示を出す。
セーフハウスの目の前まで止まると、みほ等は暫しの休憩を取った。
一息ついた沙織が無線機を弄ると、誰かに語り掛けるかのような男の声が聞こえてきた。
「なにこれ・・・?」
自分が思っていたのとは違う物であったので、チャンネルを変えようとしたら、みほに止められた。
仕方なく聞くことにする。
『何故サガルマータの探検隊がかなりの資産を提供されたのか分かった。もし総統が他の遺物のピースを持っているなら、我々はこの悪夢をひっくり返すチャンスがある。これを聞いている者は直ぐにカイザー・フリードリヒ美術館に向かうのだ!状況が悪化する前に!』
ベルリンに向かう前の女性と同じく言いたいことだけ伝えて無線を切った。
銃声が聞こえてくると、みほ等の休憩は終わり、目の前を塞ぐ瓦礫を粉砕して前に進んだ。
建物から死体が降ってきて、それが落ちると、起き上がって戦車に向かってきた。
これを見たみほは、驚きの声を上げる。
「落下してるのに起きが上がった!?」
どうやらゾンビは高いところから落ちても死なないらしい。
そう記憶したみほは、迎撃態勢を取るように指示する。
二挺の機銃が火を噴き、ゾンビが密集している所には、主砲から榴弾が放たれ、数秒間に十数体以上が元の死体に戻る。
7階建ての建物の前でゾンビとガイコツと戦っていたカール達も加わり、ゾンビの排除が進んだ。
この場にいたゾンビを全滅させると、陽炎が前に出て、目的地である美術館へと向かおうとするが、突然自爆ゾンビが現れ、自爆し、橋を崩した挙げ句に炎上させた。
「やべぇ!」
陽炎がカール達の元に走りながら戻ってくると、炎の中からゾンビが出て来る。
そればかりか、高い場所からゾンビが続々と落ちてきて、スナイパーゾンビまで現れる。
「狙撃銃まで持ったのが!?」
「それはフェアバーンさん達に任せて、私達は目の前の敵の排除に当たります!」
車内までに聞こえる銃弾が当たる音に、優花里が口にすると、みほは目の前に群がってくるゾンビの排除に当たるよう指示を飛ばした。
機銃が再び火を噴いてゾンビを薙ぎ倒していき、榴弾がゾンビの密集している場所に発射され、数体以上が肉片と化す。
何十体以上も倒していると、自爆ゾンビがみほ等の戦車目掛けて突っ込んできた。
「来たぞ!沙織、早く始末しろ!!」
「そんなこと言われても・・・!」
自爆ゾンビを見た麻子が、沙織に直ぐに知らせるが、素早くて中々当たらない。
だが、脅威は直ぐに狙撃銃や機関銃を持つ者達に排除された。
続々とゾンビが出て来る中、順調に排除は進み、やがて全てのゾンビの排除に成功した。
「弾薬もそろそろからっきしだ・・・」
カールが弾薬帯の中身を確認しながら呟くと、まだある板で出来た橋に向かった。
どう見たって戦車が渡れるほどの強度は無いので、みほ達は戦車を捨てるしか無い。
「ここからじゃ戦車じゃ通れないから・・・皆さん降りてください」
出来るだけ武器弾薬と食料を持って、みほ等は外に出た。
出るなりカール達は鼻を押さえて表情を変えた。
「臭いな・・・お前等、漏らしただろ?」
「え、何て言ったの?」
鼻をつまみながら英語で言うカールの言葉が理解できない沙織は麻子に聞いた。
「漏らしただろって」
「も、漏らした!?」
その答えに沙織は自分の衣服の臭いを嗅ぎ始めた。
沙織だけではなく、みほ達全員から汗や尿の臭いがしてくる。
脱糞していないのが奇跡なくらいだ。
「うわぁ、臭い!」
「ま、股に染みが・・・」
「わ、私も・・・」
「早く着替えたい・・・」
「着替えなんて持ってきてない・・・」
自分らが着ているドイツ陸軍戦車兵の戦闘服の臭いに、ショックを受けたみほ達。
その悪臭は、ボニファーツに携帯用ガスマスクを付けさせる程だった。
「この美術館に着替えでもあれば良いがな」
両手を腰に当てながら、カールは美術館を見上げながら伝えた。
数体ほどある死体にマリがM24柄付手榴弾を投げ付け、爆発した後、一行は仮設階段を使って屋上に近い階から美術館へと入った。
いきなりゾンビが出迎えたが、先行したインニェヤルドのナイフで頭を切られて倒された。
他にも数体以上居たが、全てFG42自動小銃で頭を撃たれて全滅する。
先に進むと、屋上に上がれる木製で出来た上がり台があった。
それによじ登って屋上に上がり、その場にいるゾンビを見付け次第排除する。
さらに先へと進むと、板で出来た架橋があり、ルリが先に行って渡ろうとすると、彼女が下に落ちた。
「ルリ!」
マリがルリを追って、下に降りてしまった。
一行が心配して下を見てみると、そこはさっき入って近くにあった物で積み上げられて封鎖されていた場所であった。
「降りてきても大丈夫だよ」
ルリからの知らせに遠慮無く一行は下に降りていく。
一本道を進むかのように、反対側に向かっていくと、セーフハウスに辿り着いた。
みほ達も入って、着替えになるような物を探し始める。
その時、無線機から戦車の無線機で聞いた先の男の声が聞こえてくる。
『もしサガルマータの遺物の本質を知っている者達が我々だけだったとすれば・・・我々はパーツが別れることを許してはならないのにやってしまった。テキストは何が起きるかを警告しているが、我々はそれを比較的迷信だろうと考えた。私はそうであることを願う』
言いたいことだけ告げると、同じように無線機を切った。
切れた瞬間に着替えを発見したみほは直ぐに着替えようとしたが、カールに注意される。
「人が見てるぞ」
「あぁ、すいません」
謝ると、全員がセーフハウスから出るまで着替えを待った。
「良いぞ」
カールからの声が聞こえると、みほ達は着替えを始めた。
まず始めに下着を新しい物に履き替えると、見付けた着替えの黒い軍服に手を付ける。
先程来ていたドイツ陸軍の戦車兵の戦闘服と同じような服であったが、襟章に髑髏トーテンコップではなく、武装親衛隊所属を表すマークと階級章が付けられ、微妙に違うことから武装親衛隊の戦車兵の戦闘服と分かる。
みほは一般制帽で、沙織、華は略帽、麻子は規格帽、優花里だけは迷彩作業服で、迷彩帽である。
準備を終えたみほ達は、階段で待つ一行の目の前に現れる。
「おぉ、武装親衛隊の義勇戦車兵か・・・だが、身長で落とされるな」
彼女等の格好を見たボニファーツはそう告げた。
確かに年齢や健康的な面で、彼女等は合格だが、性別と身長で不合格だ。
「着替え終えたな?では、行くぞ」
ボリスが先導に立って告げると、一行は彼の後ろに続いた。
一階へ降りて、本殿の方へ入っていくと、全身大火傷のゾンビが襲い掛かってくる。
直ぐさまボリスのPPsh41を撃たれ、あっさりと倒される。
炎の中からまた出て来るが、後続の者達に一瞬で蜂の巣にされた。
目の前に居たゾンビを全て排除すると、上から一体のゾンビが落下してきた。
落下したゾンビは立ち上がろうとしたが、待つはずもなく即刻蜂の巣にされる。
中庭は炎に包まれて進めなくなっており、一気に向こう側から向かえそうもない。
本殿の方も血塗れで恐ろしくなっており、ゾンビの餌食となった死体が大量にあった。
そればかりか悪趣味に死体でアートのつもりで置かれている物もある。
「こ、怖い・・・」
麻子は急造自動小銃VG-45を握りながら、一行の後へとついていく。
床に流れる血を踏んだ水の音が鳴る中、遭遇するゾンビを倒しながら進む。
「なんだあれは・・・?」
ゲールドが壁に掛けられた謎の紋章を発見した。
それをクレマンが手に取ると、中庭の火が一瞬で消えた。
それと同時にマシンガンゾンビが二体以上現れ、一行にMG42を撃ってくる。
「デカ物だ!!」
ボリスが叫ぶと、クレマンは一目散に一行が集まる場所へと逃げた。
まともに戦えそうもないみほ達は、一行の後ろに下がる。
MG42の連続した銃声が鳴り響く中、みほ等にガイコツと鎧ガイコツが襲い掛かってきた。
「き、来た・・・!」
手に持ったMP40やkar98kでガイコツを目掛けて撃つが、全く弱点である心臓には当たらない。
代わりにマリが全て片付けた。
「撃つときはちゃんと狙いなさい」
『は、はい・・・』
マリにそう告げられたみほ達は返答した。
マシンガンゾンビが頭にライフル弾や爆発物を受けて倒れると、一行は次の中庭へと進んだ。
そこには四方に一体ずつのスナイパーゾンビが待ち受けていたが、カールに呆気なく撃退されてしまった。
次に燃え上がったゾンビが襲い掛かってくるが、集中砲火であえなく全滅する。
他に何もないと分かると、ルリが祭壇まで向かって上にある書物を拾う。
その時である。
行き先が突如燃え上がり、ゾンビが中庭の地中から出て来た。
「っ?あいつか!」
カールが炎の中からフライデーモンが現れた。
直ぐに周囲に炎を拡散させ、炎に当たったゾンビが炎上ゾンビとなって、凄い速さで向かってくる。
先に炎上ゾンビから片付けると、姿を見せたフライデーモンの頭部に集中砲火を浴びせる。
蹌踉めいたりしたが、何度も頭を撃たれている内に倒れた。
「爆発するぞ!離れろ!」
ハーマンが言うと、一同はフライデーモンから離れた。
フライデーモンは爆発し、行き先を封じていた炎が消えた。
直ぐに目的であるドアの前に立ったが、封印術が掛けられ、ドアが封じられた。
上にあるバルコニーに目と鼻が見えないくらいに包帯を巻き、ドイツ陸軍の将官の軍服を着た謎の人物が現れ、何かの呪文を唱え、一行が居る場所にゾンビを召還した。
反対側にも現れて、ゾンビを召還し、一行を包囲する。
「撃ちまくれ!」
ボニファーツの指示で、召還されたゾンビを撃ち始める一行であったが、二人の謎の人物が減った分だけ再びゾンビを召還する。
「きりがないじゃない!やっぱりあいつ・・・?」
「多分そうかな・・・ねぇ?」
撃つのを止めたマリとルリが、魔法が存在する世界出身に話し掛ける。
「はい、おそらくあのバルコニーにいる二人がそうかと」
「成る程・・・」
マルゴットから返答に、マリはバルコニーの上にいる召還者の頭を狙撃スコープ付きのkar98kで撃ち抜いた。
そのマリの行動に、カールもバルコニーに居る召還者の頭を撃ち抜く。
これによりゾンビは召還されなくなり、最後のゾンビを撃ち倒すと、周囲のゾンビは全滅し、ドアが開いた。
「これで終わりですか・・・」
小銃を握っていた華は、周囲を警戒した。
みほもゾンビが出て来そうな場所に銃口を向けたが、玖美子に肩を叩かれて、警戒を解いて、一行が入った部屋に入る。
まず目に入ったのは壁に飾られた巨大な絵だ。
描かれているのは、中央のサガルマータの遺物に群がる人々が、遺物から出て来る魂に苦しめられている。
遺物の周囲には、赤い布を羽織った三人の人物が、何かの呪文を唱えているようだった。
みほ達異世界から来た者達は、中央に描いてあるサガルマータに目を奪われた。
ハーマンが絵の前にある机の上に置かれた録音機のスイッチを押した。
『分かったぞ!これを総統地下壕にある他のと合体させなくては!私は・・・ワァァァァァ!!』
先程の声の男であり、どうやら何処かで襲われたらしい。
グールドが地図を見付け、総統地下壕を見付けた。
「全員来てくれ。総統地下壕を見付けた」
この知らせに全員がグールドの周りに集まってくる。
総統地下壕の位置は、ベルリン・プラネタリウムであった。
しかし、本当の総統地下壕の位置は、総統官邸の下である。
本当の位置を知っているみほと優花里は少し疑問に思った。
「(あれ?確か総統地下壕は、ベルリンの総統官邸に・・・)」
少し声を掛けようかと思うみほと優花里であったが、同じく正確な位置を知る麻子に止められた。
「待て、ここは別世界で黒魔術まで出て来る程だ。忠実なんてクソみたいな物だろう」
その麻子の言葉で二人は納得し、総統地下壕があるベルリン・プラネタリウムへ、休息と準備を終えてから向かう事となった。
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ベルンハルト「TINAMIに投稿して、挿絵を描いて貰えるだろうと思うなど、作者の考えは甘い」