No.658930

ランドシン伝記 第9話 (アーカーシャ・ミソロジー)

ヴィル達に対し、ついにハンター達が追いつく。
そして、必死に隠れるヴィル達に対し、
思いがけない味方が現れるのだった。

2014-01-30 21:35:39 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:293   閲覧ユーザー数:293

 第9話 ケット・シーの森

 

聖騎士「では、参りましょう」

 そう言って、聖騎士はシオン達のパーティを先導して、街道を行進していった。

 シオン達は聖騎士達の中央を歩いており、それは-ある意味、

彼らが逃げ出さないための措置とも言えた。

シオン(・・・・・・さらば、気ままな旅よ)

 と思い、シオンは一瞬、街の方を振り返り、そして、再び

歩き出すのだった。

 

 ・・・・・・・・・・

 ヴィル達は獣道を抜け、山麓(さんろく)に出ていた。

ヴィル「よし、ここまで来たら、古(いにしえ)の森は後-少しだ。みんな、

    気を抜くなよ」

 とのヴィルの言葉に、皆は返事をした。

トゥセ「ところで、団長、その古(いにしえ)の森って、あの山を越えた所

    なんですよね」

ヴィル「ああ。そこまで行けたら、追っ手も何とかなると思うぞ」

 その時、風が止まり、鳥達の声が聞こえなくなった。

『ヒィヤァァァァァ』

 との少女の声が響いた。

そして、黒い波動が周囲を通った。

トゥセ「な、なんだッ、今の・・・・・・。やばいだろ、この魔力ッ」

ヴィル「戦闘態勢に入れッ!ハンターだッ!カシム、敵が何処(どこ)に

    居るか分かるか?」

カシム「は、はい。今のは向こうの探知能力でしょう。この

感じ、少女の能力者ですね。距離は、近い・・・・・・。

数キロと言った所でしょうか?待って下さい・・・・・・。

空?ッ、空を移動していますッ!まずい、凄(すご)い速さで

近づいて来ていますッ!」

ヴィル「走れッ!」

 とのヴィルの掛(か)け声で、全員は一気に走り出した。

カシム「敵は上空に居ます。なるべく、木の陰(かげ)に隠れるように、

    移動して下さい」

トゥセ「んな事、言われても・・・・・・」

 そして、トゥセ達は必死に上から見えないように移動する

のだった。

 

 一方、上空では、黒い大ガラスが何羽も飛んでいた。

 その大ガラス達の上では、黒ローブに身を包んだハンター達が抜刀していた。

 すると、一人の男がフードを取った。

 そこからは好青年そうなエルフの顔が見て取れた。

エルフ「ファントムさん。もう少し、高度を下げた方が、

    見つけやすいかと思いますが」

 と、エルフは-ボスに対し言うのだった。

ファントム「焦(あせ)るなよ。敵には遠距離-攻撃の能力者が居るって

      話だ。カード使いのな。ハハッ、それに、どうせ

      向こうから姿を見せるさ。アリスの波動を受けて、

      平静で居られる奴など、お遊びギルドには居は

      しまいさ」

 と言って、拘束具を付けた少女アリスの方を見るのだった。

エルフ「確かに、そうかも-しれませんね」

ファントム「フフ、ヴィル、そして、ヒヨコ豆-団。さぁ、僕を

      楽しませてくれ」

 と言って、笑うのだった。

 そして、大ガラスは-とてもカラスとは思えない-おどろおどろ

しい鳴き声をあげるのだった。

 

 その頃、ヴィル達は大分、移動をしていた。

ヴィル「止まれ。集まって、身を隠すんだ」

 そう言って、ヴィルは大木と岩の陰に皆を集まらせた。

カシム「気配-断(だ)ちの術を使います。これから、一切、言葉を

    発さないでください」

ヴィル「だそうだ。皆、絶対に守れよ」

 とのヴィルの言葉に、皆は無言で頷(うなず)いた。

 そして、カシムの術が完成するや、ヴィル達の気配は薄れて

いった。今、ヴィル達は自然と同化しており、彼ら-は森の一部と化していた。

 

ファントム「・・・・・・少し移動して隠れたか。厄介だな」

エルフ「アリスさん-の探知をもう一度、使いましょう」

 と、好青年そうなエルフは提案した。

ファントム「ああ。許可する」

エルフ「アリスさん、アリスさん。もう一度、敵を見つけてください」

 とのエルフの言葉に、顔も拘束具で覆っている少女アリスは、

頷(うなず)いた。

エルフ「じゃあ、口の所の拘束具を取りますからね」

 そう言って、エルフはアリスの口元の拘束具を取り外した。

 すると、アリスは口元に微笑(ほほえ)みを見せた。

 しかし、冷気が-その肌に触れると、身をよじらせ、口を

だらしなく開けた。

アリス『ヒィ、ヒヤァァァァッァア!!!』

 とのアリスの叫びと共に、黒い波動が周囲一体を覆って

いった。

 その波動はヴィル達の所にも到達しており、ヴィル達は

その-おぞましい波動を浴び、必死に声をあげたくなる衝動を

押さえていた。

 それから数分後、波動は消えていった。

エルフ「アリスさん、どうでした?」

 エルフはアリスに拘束具を戻し、尋ねた。

 しかし、アリスは首を横に振った。

ファントム「チィッ、逃げるのは得意みたいだな、

      この-うざったいヒヨコちゃん達は」

エルフ「仕方ありません。目視で探させます」

ファントム「ああ。やれ」

 そして、エルフは指笛を吹いた。

 すると、空から小さなカラス達が-黒い雲のようになりながら、

やって来た。

ファントム「散れ」

 とのファントムの命令を受け、エルフはカラス達を森へと

偵察に行かせるのだった。

ファントム「これで、時間の問題だな。ハッ、ヒヨコじゃあ、

      カラスには勝てないなぁ。クックック」

 と、ファントムは低く笑うのだった。

 

 一方、カシムは大量のカラスが放たれた気配を感じていた。

カシム(マズイ・・・・・・。獣使い・・・・・・。いくら気配を断とうと、

    直接-見られたら、どうしようも無い・・・・・・。

    どうする?どうすれば・・・・・・)

 しかし、カシムには-どうする術(すべ)も無かった。

 すると、数羽のカラスが近くに降り立ってきた。

カシム(マズイ・・・・・・)

 すると、トゥセがカードを懐(ふところ)から出していた。

 それをカシムは止めた。

 トゥセは何か言いたそうな顔をするが、大人しく従った。

 そして、長い長い沈黙が訪れた。

 カラスは周囲をうろつくも、森の中は上手く飛べず、

未(いま)だヴィル達に気付いては居なかった。

カシム(頼む・・・・・・このまま去ってくれ・・・・・・)

 と、カシムは祈るように思うのだった。

 しかし、祈り虚しく、一羽のカラスが近くの木に止まり、

周囲を見渡した。

 そして、カラスは確かにヴィル達の方を見た。

カシム(ああッ・・・・・・)

 カラスは急いで飛び立とうとした。

 その瞬間、小柄の何かが-高速でカラスを襲った。

 見れば、カラスは喉(のど)を食い千切(ちぎ)られ、地面に倒れていた。

 その横には血で口を濡らした一匹の茶色い猫が居た。

その茶猫はヴィル達の元へやって来て、首を動かした。

 その動作を見て、カシムは気付いた。

カシム(この猫?私達を助けようとしている?もしや、

    安全な所に、連れて行ってくれようと・・・・・・?)

 そして、カシムはヴィルの方を向いた。

 すると、ヴィルも意図に気付き、頷(うなず)いた。

 そして、ヴィルは-ゆっくりと前を進み、皆に付いてくるように

手で示すのだった。

 それに対し、トゥセ達も-ゆっくりとヴィルの後を追った。

 それを見て、茶猫は満足そうに、道案内を開始するのだった。

 

 一方、ハンター達は戸惑(とまど)っていた。

エルフ「・・・・・・妙ですね。カラス達の報告が無い」

ファントム「一度、全員、戻せ」

エルフ「了解」

 そして、エルフは指笛を吹き、カラス達に戻るように命じた。

 大勢のカラス達がエルフのもとに戻って来た

 そして、エルフは-カラスの隊長達から報告を聞いた。

エルフ「ファントムさん、数十羽が戻らないそうです」

ファントム「何?数十羽?偶然じゃあ-ないなぁ」

エルフ「はい。ただ、戻らなかった場所が-それぞれ別なんです」

ファントム「どういう事だ?何かの能力か?いや、そんなワケ

      は無い。そんな大規模な術式を使えば、必ず探知

      出来ているはずだ。つまり・・・・・・」

エルフ「恐らく、私と同じ獣使いの仕業(しわざ)でしょう。それなら、

    魔力を感じなかったのも-うなずけます」

ファントム「Shit(シット)ッ!うぜぇな。誰だ?誰が奴らに協力する?

      チィッ!降りろッ!直接-探せッ!皆殺しだッ!」

 とのファントムの命令にエルフは大ガラスを降下させるのだった。

 

 ・・・・・・・・・・

 ヴィル達は森の中を茶猫に導かれ進んで居た。

 そこは奇妙な空間で、木々も丸みをおびている感じで、

どこか童謡(どうよう)の世界を感じさせた。

 すると、茶猫は止まった。

カシム「皆さん、もう平気です。ここは魔力的に閉ざされて

    います」

 との声に、トゥセ達はプハッと、口を開け呼吸をするのだった。

トゥセ「しっかし、何とか逃げれたのは良かったけど、ここ、

    何処(どこ)だよ?」

ヴィル「うーん。俺には少し、心当たりが-あるけど」

アーゼ「団長、心当たりって?」

ヴィル「いや、前に通りすがりの吟遊詩人(ぎんゆうしじん)に聞いたんだけど、

    古(いにしえ)の森の傍(そば)には、ケット・シーの森があるらしい」

カシム「ケット・シー。猫の妖精王の名前ですね」

 とのカシムの言葉に、茶猫は頷(うなず)いた。

 そして、茶猫はニャアと鳴くと、再び先を進んで行った。

 ヴィル達は森の奥をさらに進んで行くと、猫達が周囲に

現れだした。

トゥセ「おいおい、猫って、森に-こんなに居たっけ?」

 見渡せば、木々の枝の上にまで猫がおり、ヴィル達は完全に

猫に囲まれていた。

 茂(しげ)みの奥からも猫の瞳(ひとみ)が-ぎらついており、トゥセ達は

落ち着かなかった。

 すると、急に視界が開けた。

 そして、そこは猫の国だった。

 様々な種類の猫が、童謡に出て来るような可愛(かわい)らしい草木の

家に住んでいた。

 さらに、奇妙な事に、二足で歩行している猫もちらほらおり、

トゥセ達を驚愕(きょうがく)させた。

トゥセ「おいおい・・・・・・こりゃ、どういう事だよ。なぁ、

    ジイさん、あんた猫だろ?何か分からないのか?」

 と、トゥセは、ゴブリンの憑依している黒猫に尋ねた。

黒猫「ウム・・・・・・どうも、この黒猫ちゃん-の言うには、

   ここは猫の王国らしいぞい。あの茶猫は-ここの王

   であるケット・シー様の使い-らしいぞい」

トゥセ「ま、マジかよ・・・・・・」

アーゼ「だ、団長の言った通りでしたね・・・・・・」

ヴィル「ああ・・・・・・。しかし、ケット・シーさんが俺達に

    何の用なのか」

トゥセ「ま、まさか、俺達を食う気じゃ・・・・・・」

アーゼ「馬鹿トゥセ。縁起でもない事、言うな」

トゥセ「だ、だってよぅ」

カシム「ともかく進みましょう。大丈夫、向こうに敵意は

    ありませんよ」

 そして、ヴィル達は進むのだった。

 

 ヴィル達は小さな王宮に案内された。

 そして、ヴィル達からすると小さな扉をくぐり、ヴィル達は

中へと入るのだった。

 すると、中は想像以上に広く、二足で立つ猫達が出迎えてきた。

 そして、猫達は小さなラッパを吹き鳴らし、ヴィル達を歓迎

してきた。

トゥセ「あ、やべ。何か、感動してきた。こんな待遇、今まで

    一度も無いわぁ」

アーゼ「ああ・・・・・・そうだなぁ・・・・・・」

 

 茶猫は進み続け、とうとうヴィル達は王の間に案内された。

黒猫「いよいよ、ケット・シー様の-おはします王の間じゃそうじゃ」

 との言葉に、ヴィル達は固唾を飲んだ。

 そして、いよいよ中に入ると、そこには大きな黒猫が居た。

 その大きな黒猫はローブをはおっており、さらに、玉座に

腰を掛(か)けていた。

ヴィル(あれがケット・シー、猫の王・・・・・・)

 と、ヴィルは思うのだった。

 すると、ケット・シーはヴィルの方を見た。

ケット・シー「その通り。僕が猫の王、ケット・シーだよ」

 と、人なつっこく言うのだった。

ヴィル(まさか、思考を読まれた?)

ケット・シー「まぁ、近いかな。一応、君達が悪い人じゃ

       無いかを知りたくて、心を読ませてもらっている。

       でも・・・・・・君達は良い人だね」

 とのケット・シーの言葉に、ヴィル達は戸惑(とまど)うのだった。

トゥセ(え?心を読まれるってやばくね?って言うか、

    こういう時に限って、エロい女の裸が頭に

    浮かんじまうッ!ヤベェ、消えろ、消えてくれ。

    って、増えてくぅ)

 と、トゥセは-もだえていた。

ケット・シー「あぁ、もう読んでないから安心してよ、トゥセ君。存分に卑猥(ひわい)な妄想を

       してくれて構わないよ。君達の歳(とし)じゃ、それが健全だしね」

 との猫の王の言葉に、ヴィル達はトゥセの方を見た。

トゥセ「・・・・・・ありがたき-お言葉・・・・・・です」

 と、トゥセは-しょんぼりしながら答えるのだった。

ヴィル「あの・・・・・・猫の王-ケット・シーよ。どうして、私達

    をハンターから助けてくださったのでしょうか?」

ケット・シー「ああ。それは君達を失わせるワケには-いかなかったからだよ。

       君達は希望なんだよ。今、この世界は代理戦争の状態なんだ」

ヴィル「代理戦争?」

ケット・シー「そう。傲慢(ごうまん)な神々が、ヒトや魔族、果てはモンスターまで

       操って、戦争を起こしているんだ。ただ、その事を操られている側(がわ)は

       気付いて居ないけどね」

ヴィル「そんな事が」

ケット・シー「あるよ。何故、戦争は起きると思う?何故、

       宗教は争うと思う?それは-その背後に霊的な

       作用が-あるからだ。霊的に和合(わごう)してないから

       争う。まぁ、分かりやすく言えば、隣国が戦争を不必要に

       繰り返すのも、過去の戦死者の怨念が解消されておらず、

       その憎しみの念に人々が流されているから-だったりする」

ヴィル「はぁ・・・・・・。それと俺達が-どう関係するんでしょうか?」

ケット・シー「ヒトと魔族も-それに近い。この両勢力の間で

       幾度(いくど)となく戦争が起き、多くの死者が生まれた。

       その死者達は-修羅(しゅら)の国で今もなお、殺し合い

       続けている。霊体をボロボロにしながらね。

       でも、すでに死んでいるから-それ以上、死ねず、

       死ぬ程の傷を負っては再生し-を繰り返して

       いる」

ヴィル「えぇと、つまり、その死者達の苦しみが現実に影響を

    及ぼしていると?」

ケット・シー「そう。でも、それだけじゃ無い。それに加え、

       神々が-その憎しみを利用して、新たな戦争を

       起こそうとしている。愚かな事にね」

ヴィル「なる程。しかし、そんな途方も無い話、俺達のよう

    な小市民には-あまり関係無いように思えるのですが」

ケット・シー「そうでも無い。君達は運命から外れている。

       神々の紡(つむ)ぎし運命から。その運命の操(あやつ)り糸から

       君達は逃れている。そう、普通の人が普通に

       感じるための意識、集団共有-無意識の渦(うず)から、

       君達は今、外れ出ている。分かるかい?

       その意味が?多くの人々は-当たり前の生活を

       送り、当たり前の倫理観や常識に従う。それを

       疑う事すらしない。そう、獣人に関しても」

ヴィル「・・・・・・つまり、魔族とヒトが争うように仕向ける存在

    が-居ると?その存在が全ての元凶だと?」

ケット・シー「そんな単純な問題じゃない。確かに、仕向けた

       存在は居るが、それもヒトや魔族の憎しみを

       利用しているに過ぎない。彼らは-既に出来上がった

       倫理観、常識を固定化させようとしている。

       魔族を殺す事に罪悪感を持たせないようにする、

       などと言った具合にね」

ヴィル「なる程・・・・・・。なら、どうすれば、ヒトと魔族は分か

り合えるのでしょうか?俺は-それが知りたくて、ずっ

と旅を続けて来ました」

ケット・シー「・・・・・・それは難しい質問だね。とても、とても、

       難しい。かつて、空狼王(くうろうおう)ソルガルム、

       黒の女皇帝(じょこうてい)シャーリア、そして、ミロクが、

       それを解決しようと努力した。そして、

       それは-いったんの実(みの)りを見せた」

 そう言って、ケット・シーは-ため息を吐(つ)いた。

ケット・シー「だけど、彼らが居なくなれば、世界は元に戻ってしまった。

       悲しむべき事にね。僕達、異質の

       存在はミズガルズから追いやられて、こうして

       ランドシンに住み着いたのさ」

ヴィル「かつての英雄達ですら-なせなかった・・・・・・」

ケット・シー「でもね、彼らは今、この世界には居ないが、

       それでも彼らの思想は残った。彼らの意思を

       受け継ぐ者達も居る事はいる。でも、世界は

       未(ま)だ救われていない。何故だと思う?」

ヴィル「・・・・・・人々が変わろうとしないから・・・・・・」

ケット・シー「そう。その通りだ。世の中には理不尽や間違った常識が-

       まかり通っている。でも、ヒトは、

       いやヒトだけじゃない、魔族や、それ

       以外のあらゆる知的-生命体は、それらの過(あやま)ち

       に気付いても無視するか無かったことにする。

       いや、そもそも気付こうとする事すら放棄する。

       周りの意見に合わせ、個我を失って生きている」

ヴィル「猫の王-ケット・シーよ。どうすれば、良いのですか?

    どうすれば、人々を変えられるのですか?」

ケット・シー「それは僕には分からない。ただ、ただね。

       ヴィル、君は-かつての英雄達とは違う。

       君には-それ程のカリスマは無い。でもね、

       逆に言えば、君は一般人に近い立場なんだ。

       僕は思うよ。君こそが、その答えかも知れない-

       ってね。君達こそが、いつか人々に、真実を

       導いていくんじゃないかと」

ヴィル「私達が?」

ケット・シー「そう。君達は波紋に-なり得る。よどんだ泉に

       投ぜられた一つの聖石。君達は-これから多くへ

       旅するだろう。そして、そこで君達と出会った

       人々は、良い方向へと変わって行くだろう。

       ヴィル、そして、その仲間達よ、忘れないで。

       女神や魔神は君達を邪魔するだろう。でもね、

       僕達のような精霊や土地神は-きっと君達を

       祝福するだろう。君達は孤独じゃ無い。

       いつだって、君達の成功を願っている者が居る

       事を忘れないでくれ」

ヴィル「・・・・・・はいッ」

 そう言って、ヴィルはケット・シーに-ひざまずくのだった。

 そして、トゥセ達も、それに-ならうのだった。

 

 ・・・・・・・・・・

 

 


 
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