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機動戦士ガンダム異聞~旭日の旗の下に~第3話

第3話です。因みに言うと、私、紺碧の艦隊はOVAと故居村眞二さんの漫画版は制覇したんですが、未だに原作版と続編の「新・紺碧の艦隊」は未読です。中々近くの古本屋に置いてないんだよなぁ。

2014-01-25 11:12:29 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:1897   閲覧ユーザー数:1869

U.C.0079 9月18日 ルナツー宙域

 

 この日、ルナツー宙域を航行する紺碧艦隊は、重力環境下性能評価試験を行う3機の新型モビルスーツのRX-78「ガンダム」3機を搭載した八咫烏型強襲揚陸艦の1番艦「八咫烏」の護衛についていた。

 

 

 

 RX-78「ガンダム」とは、帝国軍開発部と三菱重工がこれまでの技術とノウハウを生かして開発したモビルスーツである。ガンキャノンの装甲材に使用されたルナ・チタニウム合金をふんだんに使用し、世界初となるエネルギーCAP方式を採用する事により、メガ粒子砲の携帯化を実現、更にパイロットの生残性を向上させるコアブロックシステム、反応速度を向上させるマグネット・コーティングなど、様々な新技術を採用した実験機である。開発された3機にはそれぞれ新技術の実験機としての側面があり、黒を主体に塗装された1号機はエネルギーCAP方式の兵装の実験機として、胴体をトリコロールカラーにした2号機はコアブロックシステムの実験機として、グレーに塗装された3号機はマグネット・コーティングの実験機なのである。だが、まだ未知数の部分が多くある為、今回の無重力環境下での性能評価試験が実施されたのである。

 

 

 

 紺碧艦隊は、八咫烏の護衛を終えた後、試験を行う宙域の周辺の警戒に当たる事になっていた。

 

「しかしガンダムは凄いですな。あの性能では、ジオンやザフトの連中が可哀想に思えますな」

 

 紺碧艦隊旗艦の「イ601 富嶽号」の艦橋で、艦長の入江大佐が潜望鏡で試験の様子を見ながら呟いた。

 

「モビルスーツの性能が戦局を変えるわけではないぞ、艦長。重要なのは機体を扱うパイロットの腕と私のような将校が立てる作戦、そして国家の運命を担う大戦略が戦争を決めるのだ」

 

 「まったくもってその通りですな」と、入江は返すと、潜望鏡を180度反転させ、虚空の星空を見ていた。

 

「哨戒中の宙式春嵐(しゅんらん)より定時連絡、ポイントB789のムサイ級に変化なし」

 

この時、紺碧艦隊は八咫烏を追尾していたムサイ級を警戒していた。南極条約には中立国に対する威力偵察は基本禁止されているが、ジオン側が何らかの行動を起こした場合、有事関連法に基づき、自衛行動をとるつもりだったが、ジオン側が何もしなければ、放置しておいても問題なしと前原は判断した。

 

「司令!八咫烏より、入電!「ワレ、ガンダムノシケンヲシュウリョウセリ。キカンノケイゴニカンシャスル」以上です!」

 

「よし!八咫烏に返信!「キカンノコウカイノアンゼンヲイノル」以上!叱る後我が艦隊は春嵐改修後、ミノフスキー粒子を最大散布したのち、現宙域を離脱する!」

 

「了解!」

 

 紺碧艦隊はその存在が秘匿された艦隊である為、隠密行動を主体としている、各潜宙母艦のミノフスキー粒子の散布力はジオンのグワジン級を軽く上回る程の能力を持っているのである。

 

 

 

 

ジオン公国宇宙攻撃軍所属ムサイ級巡洋艦「ファルメル」艦橋

 

 このファルメルは、ドズル・ザビ座乗艦の「ワルキューレ」同様、ムサイ級のカスタムタイプである。そして、この艦のMS隊指揮官こそ、ルウムにおけるジオン軍エースパイロットの一人である「赤い彗星」こと、シャア・アズナブルである。彼は、哨戒任務からの帰りで偶然にも八咫烏とそれを護衛する紺碧艦隊を目撃、追尾していたのである。

 

「やはり6月の発表はブラフでしたな。少佐」

 

「うむ。だがこれで日本は我が軍のMSを遥かに上回る性能を持ったMSを完成させたわけだ」

 

 シャアは腕を組みながら、仮面に隠した瞳でモニターのガンダムの性能試験の様子を見ていた。

 

「にしても、我々を偵察していたあの戦闘機・・・データベースにない機体ですな」

 

「恐らく“八咫烏”の護衛についていたあの黒い艦隊の艦載機だろう」

 

 八咫烏の存在は二週間前の進水式で発表されており、ジオン側にもその存在は知られていた。

 

「まさか…伝説の“X艦隊”では?」

 

 X艦隊とは、他国における紺碧艦隊の呼び名である。存在を秘匿された紺碧艦隊は、数多くの軍から目撃証言があり、日本側からの公式発表もないため、各国ではX艦隊という名で通っていた。ジオン側でも例外ではなく、ジオンきっての諜報組織である「キシリア機関」ですら全貌を暴けなかった謎の艦隊として知れ渡っている。

 

「もしあれが噂のX艦隊ならば、八咫烏の護衛についてもおかしくはないな。だが、今の任務は哨戒任務だ。『アレ』の追撃ではない」

 

「分かりました。軌道変更!右15度!ソロモンへ針路をとれ!」

 

 このシャアの行動により、日本が新型モビルスーツの開発に成功したという情報がザビ家の耳に入るのに、左程の時間はかからなかった。

 

 

 

 

 広島県呉市帝国軍工廠造船ドック。かつての海軍工廠を宇宙軍用の造船ドックに改装した帝国軍最大の造船所である。宇宙軍連合艦隊旗艦「長門」他、帝国宇宙軍の主力艦の殆どがこの呉の生まれである。そして今、この呉のドックでは、紺碧艦隊の新旗艦の建造が進んでいた。

 

「どうか?」

 

「はっ!全体の80%は完了しました!残りは艦砲の取り付け作業のみです!」

 

 高野は技師の説明を聞くと、ドックの展望室から外の景色を見下ろした。そこには、全長400m近くの巨大な船が浮かんでいた。

 

「(お前は日の目を見る事はないだろう。しかし、いずれお前を必要とする日がやってくる。その時は、この国を守護する英霊として守ってくれ!)」

 

 高野は心の中でその船に語り掛けた。この船こそ、紺碧艦隊最強の超潜宙戦艦伊900型「轟天号」なのである。

 

 

 

 

 

 

キャラ設定

 

ジオン公国

シャア・アズナブル

初出:機動戦士ガンダム

概要

 ジオン公国少佐。ルウム戦役で5隻のマゼラン級を轟沈させた事から、「赤い彗星」という異名を持つ。

 

大日本帝国

入江九市

初出:紺碧の艦隊

概要

 紺碧艦隊旗艦の艦長を務める。紺碧会メンバーの一人。気前が良く、前原にとっては副官的存在である。

 


 
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