魏END 外伝
~三羽烏、海へ行く~
一刀が魏に帰ってきて一月と少しが流れた。
一刀が皆へ告白し、それを祝うお祭りが日夜行われたのが、今はそれすら懐かしいさを感じるような平和な毎日が続いている。
そして、いつもの日常に戻り町の警備隊はあらためて北郷警備隊に戻った。
北郷一刀は警備隊の隊長と張三姉妹のマネージャーに復帰。
その他にも一刀は平和への献策をおこない、忙しい毎日を送っていた。
そして、一刀には華琳から七日間の休みをもらったのだ。
破格の休日。
理由は簡単、一刀の献策は波に乗り上手くいっている。
そして、なおかつ北郷隊の三人は警備の仕事を毎日こなしているため、犯罪率の確実なる低下と、一般兵達だけでも警備がまわるようになっているのである。
それに約束が三人との間にあったのである。
新婚旅行に行くという約束が。
「ホンマにええの?」
「いいのですか華琳さま?」
「いいの?」
三人が眼を丸くする。
「えぇ、約束をはたすのには遅すぎたくらいだわ。楽しんでらっしゃい。」
「っよ!大将、太っぱら!」
「ありがとうございます!」
「やったのーーー!!」
玉座の間に喜びの声がこだました!!
そして、その報が三羽烏を通じて一刀の耳に入る。
「本当か!?」
「ホンマや。で、一刀はどこに行きたい?」
「ぜひ、聞きたいです。」
「沙和達は一刀さんが決めたとこに行くってことになったの。」
「そういうことならもう決めてあるから、任せてくれないか?」
「えぇけど、どこに行くきなん?」
「秘密だ。」
「秘密かぁ~・・・・・なら楽しみにしてんで!」
「では、出発は三日後ですので。」
「楽しみにしてるの~。」
これから警備なので笑顔で三人は駆けてく。
そんな三人を一刀は手を振って見送る。
「さて、三日後が楽しみだな。でもアレは間に合うか?」
一刀には考えがあった。
まだ、平和に向かって戦ってた時から時からずっと考えていたことでもある。
だから、下調べも万全なのだが心配なのが一点だけそれは・・・・・
――二日後――
「まいど!」
「いつも悪いね、親っさん。」
「なに、御使いさまの頼みですからね。しかしそれで今度はどこに行くんですかい?」
「秘密だ。」
「仕方がありやせん。では、後で使った感想を教えてくださいまし。」
「おぅ、任せとけ。」
(さて、これで憂いはなくなった・・・・・明日が楽しみだー!!)
休みをもらって俺達はまず馬で一日かけて目的地のある東を目指した。
その一日目、俺達は山奥にある温泉に立ち寄っていた。
日も沈み、明日にそなえての休憩。
「ふぅ~極楽、極楽~~♪白のにごり湯、湯加減も最高ときたもんだ。」
山奥なため、聞こえてくるのは虫や木々の音。
あと、フクロウの声だ。
「・・・・・・・・・・・・ん?」
(山奥=静か は大丈夫。自然なことだけど・・・・・・。)
「静かすぎるな・・・・・あいつらは・・・・・・・・・・・。」
「風呂やーーーー!!」
「お風呂なのーーーー!!」
「・・・・・・・・//。」
(あぁ、やっぱり・・・・・・・。)
木の陰から布で大事なとこを一応隠しながら三人が駆けてきた。
凪は顔を赤らめている。
バシャーン!!
「うわっ!・・・・・静かに入れよ。」
「ええやん、気にせんといて。」
・・・・・・ムニ
「そうなのー。いくら沙和達しかいないって言っても、いつまでも裸で外歩くのは恥ずかしいの。・・・・・それともじっくり見たい?」
・・・・・・ムニ
「すみません。・・・・・・自分も。」
・・・・・・・ムニ
「あのー、皆さん?」
「「「??」」」
「嬉しいよ、男としては。でも、何だ風呂で裸で胸を押し付けられるとだな・・・・・色々と問題が・・・・・・・・・・・。」
(それに、普段と違って髪もおろしてて・・・・・なおかつ何か温泉のせいか!?艶らしくて艶らしくて・・・・・・・・・・。)
一刀を見て三人は、お湯の中で手を動かして・・・・・
「うちら夫婦やないの。我慢したらあかん・・・・・なぁ、一刀。」
「そうなの・・・・・一刀さん。」
「一刀さま・・・・・・お慕い申しております。」
この後、何があったのかは読者の皆さんの想像にお任せします。 By南風
日も昇り俺達は、目的地を目指すことにした。
温泉のある場所から何刻たったのだろうか。
日は天の頂から少し傾き始めた頃だった・・・・・・・・・・・。
「何やこの音?」
「さっきからずっと聞こえるの。」
「それに嗅いだことがない臭いがします。」
「どうやら目的地についたらしいな。」
「ついに着いたん?」
「あぁ、あの丘の上に登ってみろ。」
一刀に言われて、三人が丘へ駆け出す。
そこに広がるもの・・・・・・
それは、三人が生まれてはじめてみる光景・・・・・・・
ザパーン
潮の香り、
波の音、
彼方に広がる水平線、
それは、海である。
「何やこれ。ごっつい湖やな・・・・・」
「長江ではないのか?」
「キラキラして綺麗なの。」
「ははははっ、それが海だよ。」
「海!?」
「これが・・・・・。」
「海なの・・・・・。」
「どうだ、初めてみた感想は?」
「「「・・・・・・・・・・・・。」」」
何も反応をしめさない。
「ん?どうし・・・・・・。」
心配になり近づこうとした時、
「海やぁーーーーー!!」
「海なのーーーーー!!」
「・・・・・・・・・。」
二人が両手を挙げ大声で叫ぶが、凪は少し恥ずかしそうに手を挙げる。
そして、二人の大声に一刀は思わず耳をふさぐ。
(おっと・・・・・・連れてきて良かった。)
「ほら、凪ちゃんも一緒に。」
「お、おぅ・・・・・。」
今度は三人そろって息をすって、
「「「海だぁ(なの)(やぁ)ーーーーー!!」」」
両手を挙げ大声で叫んだ。
「じゃあ、海に入るかぁー。」
「入れるんか!?・・・・おぉー!!」
「おうなのー!!」
「・・・・・・・ぉぅ。」
「突撃やー!!」
「突撃なのー!!」
「ちょっと待てって!」
一刀の静止も聞かず二人は海へ走り出す。
「一刀さま、ああなっては誰も止められません。」
「・・・・・・だよな。」
二人が履物を脱いで砂浜に足を・・・・・
「あっちー!!」
「熱いのー!!」
「あぁ~あ。だから止めたのに。・・・・・・戻ってこーい。」
変な踊りを踊りながら二人が戻ってくる。
「足の裏がひりひりするのー。」
「はよう言ってなー。」
「ちゃんと止めたよ。お前らが突っ走ったんだ。なぁ、凪。」
「まったくです。」
「「うぅぅぅ・・・・・・。」」
「わかったから、ほれこれを履くんだ。」
一刀はサンダルを取り出す。
「なんやこれ?」
「ん~と俺の世界じゃサンダルって言ってな、熱い日とかこういう海に来た時に履くもんだ。」
「へぇ~薄いの~。」
「だから、涼しいだろ?」
「便利ですね。」
三人がサンダルを履く。
「んで、こっちが水着だ!」
「何やそれ、うちの服と似てるな。」
「それは何に使うの?」
「水に入るときの服だ。裸だとまずいだろ?それに薄い布だと透けるからな。それを解決してのがこれだ。」
「で、でも一刀さま・・・・・いささか、布の面積が少ないです・・・・・・。」
「水着はそういうもんだからな。」
「えぇやん凪。一刀がわざわざ用意してくれたんやから。」
「それにとっても綺麗なの。凪ちゃんも似合うよ。」
「じゃあさっそく着替えてきてくれ。裸の上から着るもんだからな。」
「・・・・・・・・一刀のへーんたーい。」
「えっちなのー、一刀さん。」
「・・・・・・さすがここでは。」
凪はともかく二人はニヤニヤしている。
「誰もそんな事考えてない!木陰や物陰で着替えて来い!」
(昨日、あんなことした奴らに言われたくない!)
「なんやー、冗談やのになー。」
「もぅ、一刀さんってばー。」
「ほら、行くぞ。」
凪に連れられて、三人が近くの岩の物陰に消える。
しばらくして、三人が姿を現した。
(おぉ、グッジョブ!親っさん!)
一刀が頼んでいたのはサンダルと水着だったのだ。
三人はとてもスタイルが良い。
昔は幼さがあったが、今は大人の女性としての魅了があった。
三人が着ているのはビキニだ、これは単純に一刀の趣味である。
そんな一刀とはというと・・・・・・
(えぇ眺めや。もぅ死んでもいいです!)
親父度MAXで鼻の下をたらしていた。
「一刀がえろい顔しとるー。」
「やっぱり、えっちなのー。」
「一刀さま、さすがに・・・・・。」
(さすがに!?何ですか!?)
「そ、そんなことはない!・・・・・・よし、じゃあ海へ突撃!」
「そんなん、一刀は水着やないやん。」
「そうなのー。」
「話を流しそこねましたね。」
「う!そ、そんなことはない・・・・・・それに俺はもう着てるのさ!」
そういって一刀は服を脱ぐ。
一刀は服の下に水着を着ていたのである。
(小・中●生とか言うな!)
「うぉ!さすがや。」
「でも、何か嫌な感じがするの。」
「・・・・・・・突撃ー!!」
場の空気に耐えきれず一刀が海へ走り出した。
「か、一刀さま!?」
「逃げよった!」
「追いかけるのー。」
海で、声が響き渡る。
全てを忘れてただ今を楽しむ声が。
「うわっ、しょっぱ!」
「辛いのー。」
「そうか?」
「海の水は塩が入ってるからな。」
「塩かいな。」
「海の塩って利用できないの?」
「そうですね、利用できれば色々と活用できます。」
「おぃおぃ、仕事の話は無しだ・・・・・ぞ!」
バシャ!
「なにすんねん!・・・・・おかえしや!」
「おかえしだー。」
「負けませんよ。」
バシャバシャ!
・・・・・・・・・・。
・・・・・。
・・・。
日も沈み一刀は海で夕焼けを見つめていた。
スイカ割り・ビーチバレー・砂のお城・互いを砂に埋めたりした。
「楽しかったな・・・・・久しぶりだなこんなに遊んだのは。」
「「「スースー。」」」
一刀を中心として三人は寝息をたてている。
「・・・・・・・・・・・可愛いな。」
一刀は三人の頭を撫でる。
「うん・・・・・・・。」
「ふぅん・・・・・・・。」
「ぅぅ・・・・・・。」
三人はくすぐったいのかわずかに身を動かす。
「来て良かった・・・・・。」
本当にそう思う。
三人とは籠を売ってるときに出会って、
黄巾の乱で仲間になった。
そして、警備隊の俺の部下になった。
三人が三人とも個性的で・・・・・。
「本当に色々あったな。」
凪の唐辛子びたびた
真桜のカラクリ
沙和のお洒落
初めての警備
初めての御前練習
全てが鮮明に思い出せる。
「ん・・・・・。」
「悪い起こしたか?」
「・・・・・そんなことないよ。一刀が近くにいるから寝れるんや。」
「ありがとうな。」
頭を撫でる。
「うぅ~、くすぐったい。」
「悪い悪い。」
「・・・・・どうしたのー。」
「一刀さま・・・・・?」
「皆、起こしちゃって悪いな。」
「大丈夫なの。」
「私達は大丈夫です。それより一刀さまはお休みにならなくてもよろしいのですか?」
「俺は皆の寝顔が見れて元気いっぱいだ。」
「「「・・・・・・・。」」」
「な、なんだよ。」
「なんもないよー、なぁ?」
「そうなのー。」
「そうです、気にしすぎです。」
そして、この体勢は・・・・・・
「だから・・・・・・胸が当たってる。」
「ええやないの。」
「そうなの。」
「遠慮なさらずに。」
(凪まで・・・・・・。)
「さ、さすがにな、ここじゃあ何だ・・・・・・・・・。」
「じゃあ、うちらが着替えたとこ行こか。」
「あそこなら誰にもばれないの。」
「それに、我々の服も置いてあります。」
「・・・・・・行くか。」
四人で立ち上がり、夕焼けで映し出される四つの影法師。
そして三つの影法師が一番大きな影法師に重なり、一つになる。
それは四人のことを表してるようだった。
新婚旅行の七日間はあっという間に過ぎた。
海で遊び、海沿いの街で観光をした。
魏の皆にお土産を買って、帰りはまた例の温泉に寄った。
「思えばあん時にできたんかな。」
「まぁ、日にちを考えるとそうなるな。」
「そうなの。あの時は毎日三人相手にしてもっらたの。」
中庭の休憩所で三羽烏がお茶を飲んでいる。
「お母さんは何の話してるの?」
オレンジがかった髪の色に翠の瞳。
そして、沙和の事をお母さんと呼ぶ。
この子は沙和と一刀の間にできた娘なのだ。
「な、なんでもないの。ほら、向こうで皆と遊んでくるの。」
「わかった~。」
「娘に何教えるつもりや。」
「ごめんなの。」
「しかし、平和だな。」
中庭では先程の沙和の子と、白い髪に褐色の肌の凪の娘・紫の髪の真桜の娘が追いかけっこしている。
もちろん追いかけられているのは、
「助けてくれ~。」
今や魏の父となった一刀である。
「待つのー。」
「父上覚悟です。」
「おとん、覚悟しやー。」
「い~や~だぁ~。」
余談ではあるが三人の娘は同じ日に生まれてきたのである。
そして、今日は久しぶりの休暇をもらっている一刀と三人で親子水入らずで遊んでいる。
「見てみい、一刀が捕まったで。」
「あちゃー、大変なの。」
「あぁ、ああなっては誰にも止められない。」
「いててて、こら!頬をひっぱるなって。」
「いやなの。」
「痛い痛い、蹴るな!」
「父上は今は犯人役なのです。なので泣き言は聞きません。」
「そうや、観念するんや。」
「そうは・・・・・・いくか!!」
「「「きゃー。」」」
一刀が三人をかかえあげてクルクルと回る。
「楽しそうやな。」
「うん、楽しそうなの。」
「あぁ・・・・・。」
娘達が母に向かって手を振る。
「母上もこっちに来て、父上と一緒に遊びましょう。」
「おかんも遊ぼ~。」
「お母さんも来るの~。」
その光景に笑みをこぼす。
「仕方がない。・・・・・行くか。」
「せやな。」
「遊ぶのー。」
魏END 外伝 ~完~
Tweet |
|
|
134
|
8
|
追加するフォルダを選択
この作品は作者・南風の魏END 外伝シリーズの流れを組んだ短編です。なので、そちらの作品を読んだほうがよくわかると思います。あと、キャラ崩壊とオリジナル設定がありますので、苦手な方は申し訳ありません。感想や誤字などの指摘をお待ちしております。